みにくいオメガの子

みこと

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祐一1

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俊之から紹介したいオメガがいると言われた。
アイツの恋人の友達だ。前に言っていた感じの悪いオメガじゃないよな?
最近は忙しくて紹介なんて面倒だけどどうしても、と言われて渋々承諾した。

俺たちは大学三年になったのでそろそろ本格的番いを見つけなければならない。両親からも言われている。何回かお見合いをしたけどこれといったオメガは見つからなかった。
相性の良いオメガなら優秀なアルファを産んでくれる。
親父はそれが狙いだ。
とにかく良いオメガを見つけろとうるさい。
親父の友人の子どもは高校一年で番いを見つけた。
同じ大学の俺の従兄弟も入学してすぐにオメガを見つけた。
最近頸を噛んで番いになったらしい。
それを聞いて親父は焦っているのかも知れない。
国営の相談所にまで登録させられた。
俺としてはどっちでもいい。相手には困ってないし。むしろ結婚や番い契約なんて面倒だろ。
昔は結婚相手と番いを別々にしているアルファも多かったようだ。今は非人道的だと言われていて結婚相手=番いが主流だ。
なので番いを持つということは結婚するということだ。
考えるだけで面倒だ。

俊之はその国営の相談所で相手を見つけた。相当遊んでたアイツがメロメロだ。しかも相手は高校生。良いのかよ。
真紘、真紘と言って追いかけ回している。
この間、その真紘のヒートを一緒に過ごしたらしい。一週間ヒート休暇をもらっていた。
休暇明けの俊之はふわふわしてたな。心ここに在らずだった。
大学でも真紘…と呟いてばかりいた。

「真紘のヒートはそんなに良かったのか?」

ぼけーっとしている俊之に聞いた。

「え?あぁ、そりゃもう…。天国だよ。番いになるともっと良いって兄貴が言ってた。あれ以上良いって、俺どうなっちゃうんだろう。あっ!真紘からだ。」

そう言ってデレデレしながらスマホをいじっている。
メッセージをやり取りしてたみたいだけど、しばらくして電話しだした。

「真紘。うん?身体は平気か?迎えに行くから待ってて。うん、うん。愛してるよ。うん、早く会いたい…。」

え?愛してる?俊之が?俺は電話している俊之を凝視した。
デレデレして声も甘くて鼻の下を伸ばしている。
き、気持ち悪い…。

俊之は通話を終了してぼーっとしていた。そのうちまたスマホをいじり出して真紘の写真を眺めている。
俺はそんな俊之の様子に既視感を覚えた。
母方の従兄弟の忠臣ただおみだ。大学入学早々に番いを作ってデレデレしてた。一日中番いを追いかけ回してたな。忠臣曰く、運命の番だそうだ。
俊之もそうなのか?そんなもの都市伝説じゃないのか?
真紘の写真を見ながら鼻の下を伸ばしている俊之を眺めた。


♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎


俊之と真紘と俺の三人で待ち合わせのカフェに向かう。そのオメガは真紘の同級生だと言っている。高校生か…。
俊之は終始デレデレしている。人目も憚らずべったりくっついている。マーキングも酷い。かなり濃くマーキングしている。おそらく今日もしたんだろう。
たかがオメガ一人にすごい執着だな。俺ならあり得ない。
心の中で呆れていた。
でもそんな俺の考えは数分後に覆されることになる。

待ち合わせのカフェに着いて中に入った瞬間だった。
ふわりと匂いがした。
オメガのフェロモンだ。
心臓を鷲掴みにされたような気がした。足が震える。
何とか俊之と真紘に着いて行く。
二人が行き着いた先にそのフェロモンを放つオメガが居た。
目の前に座って凝視してしまう。まるでエフェクトがかかっているみたいにキラキラしている。
もの凄く可愛い。可愛すぎる。
そのオメガは俺を知っているようだ。
え?この間お見合いの子?いや、全然違うだろ。何で?

中原由紀と名乗ったオメガは抑制剤のせいでフェロモンがおかしくなっていたようだ。先週まで入院していたと言っている。
とにかく俺のものにしないと。由紀は俺のオメガだ。
連絡先を交換した。まさかこんな日が来るとは…。

俺は由紀のことしか頭になく、俊之のようにぼーっとして過ごした。
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