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巻き込まれて独立しました
02 突然始まった茶番劇
しおりを挟む華やかなパーティー会場で、似つかわしくない怒鳴り声を上げたのは、我が国の第一王子ジェイド様だった。
「マジか……前々から、お花畑が頭に咲いてるって知ってたけど、なにやってるのよ!? このパーティー会場には他国の方も出席してるって知ってるよね、王族なんだから」
つい内面の声が出てしまったわ。危ない、危ない。イシリス様が側にいてくれて助かったわ。
「ミネリアから聞いてはいたけど、ここまでとは……」
イシリス様も完全に呆れてる様子。
当然よね。あの馬鹿王子、パーティー会場が一気に静かになったことに、なぜか優越感を感じているみたいだし。なに、あのドヤ顔。引くわ~。
「まぁ、仕方ないといえば仕方ないかもしれませんわ。仕えている側近候補の方々も、残念ながら御同類のようですから」
パーティー会場の中央には、ジェイド王子と側近候補の三人。そして、ジェイド様の背中に隠れるようにいるのは、今年入った新入生よね。名前は……忘れたわ。興味ないから。でも、色んな意味で学園を騒がせてる、話題の人よね。
相対しているのは、モリアス公爵家御息女リアス様。ジェイド王子の婚約者。やや離れた後方には、心配そうに見守るご友人たち。成績は常に二位をキープしてて、その立ち居振る舞いは教師陣からお墨付きをいただいてる才女。誰にも平等に接し、下位貴族や平民からも人気がある。新入生とは違った意味で、話題の人ね。
率直なところ、部外者の私から見たら、リアス様が婚約者だから第一王子のジェイド様が王太子候補の筆頭になれたと思うけど。
「御同類って……あの馬鹿王子に隠れてる女が元凶か」
珍しく、嫌悪感丸出しの声音でイシリス様は吐き捨てた。
「見た目だけは、清純そうですからね。庇護欲を唆る可愛さが魅力的なのでしょう。それに、元平民らしく、その気さくなあどけなさが、彼らのツボにはまったらしいですわ。私にはさっぱりわかりませんが」
「アレが清純!? 色んな男を知ってる、あの女がか!?」
心底、軽蔑し気持ち悪そうな顔をしている、イシリス様。
イシリス様がそう言うなら間違いないわね。あの娘、なにしに学園に来たの? 学びに来たのではなく、男漁りのため? にしては、見境ないんじゃない? 好みは一貫してるみたいだけど。
彼女が落としたのは、婚約者ありの高位貴族の御子息たちばかり。
小声で、イシリス様と話をしている間も、ジェイド王子の怒鳴り声は続いている。うるさいわね。
「リアス!! お前は、マリアに対し様々な嫌がらせ行為をしたな!! その行為、王太子妃として恥ずかしいとは思わないのか!?」
指をさし、詰る姿は恥ずかしいしかないわね。
この国大丈夫なの?
ましてや、側近候補たちも一緒に睨んでるし。忘れたの? リアス様の方が身分が高いってことに。まさか、側近だから大丈夫って思ってるの?
「……私が、彼女に嫌がらせですか? 嫌がらせをした覚えは一切ありませんが」
リアス様は表情一つ変えることなく、毅然とした姿で答える。
「どうしても、罪を認めないんだな!! 残念だ、リアス。こんな冷酷で、差別思考を持つ女が、後の王妃とは国のためにはならない!! よって、王太子であるこの私が宣言する!! リアス、お前とは、この場をもって婚約破棄する!!」
あ~~言っちゃったよ。もう取り返しはつかないわ。終わったね、あの馬鹿王子。
「婚約破棄ですか……私としては、一向に構いませんが、このことは国王陛下は御存知でしょうか?」
百パーセント知らないに賭けるわね。まぁ、賭けになんないけど。ん!? この魚も美味しい!!
「これ……いつまで、付き合わなきゃいけないんだ?」
ウンザリしたイシリス様。気持ち、すっごくわかる。茶番だもん。あっ、イシリス様も食べる?
「もう少しだけ、付き合ってあげてくださいな。騎士の一人が陛下を呼びに行ってますから」
イシリス様をヨシヨシと宥める。イシリス様って触られるのが好きなんだよね。本体が本体だからかな。
茶番が始まったと同時に、騎士の一人が会場を出て行くのを目視してるから、間もなく陛下たちは慌てて駆け付けるでしょ。
それで、この茶番は終わり。
その後は、国王陛下と王妃殿下に御挨拶をして仕事終了。
結構食べたし、私的には満足かな。
そんなことを考えていると、突然、私の名前が呼ばれた。
呼んだのは、馬鹿王子。
「ミネリア・ベルケイド、前に出ろ!!」
「はぁ!?」
また、淑女らしからぬ声が出てしまったわ。
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