言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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巻き込まれて独立しました

06 すでに未来は決まってるのよ

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 おや、おや、国王陛下と王妃殿下だけかと思ったら、第一王女殿下と第二王女殿下まで一緒じゃない。

 それも、贅を凝らしたドレスでの登場ですか。

 上品な装いながらも、大胆なデザイン。意中の男を絶対落としてやる感、丸出しじゃないの。引くわ~。

 いったい、誰が対象なのかな? もし、イシリス様なら、返り討ちにしてやるわよ。

 なぜか、一番最後に宰相も入場してきたけど、その顔はとても険しい。頑張ったんだけど、無理だったってことね。なんせ、宰相がいるから国が維持できてるってもっぱらな噂だし。苦労してるわね~。ちなみに、リアス様のお父様だよ。

 第一王女殿下と第二王女殿下は、イシリス様を熱い目でジッと見ている。

 やっぱり……

 はぁ~なるほどね、そういうことか……無理矢理パーティーに呼んで、泊まれって命じた意味がわかったわ。

 自然と私の周囲を纏う空気がピンと張り詰めたものへと変わった。それを鋭く察知したのは、リアス様と宰相様、そしてイシリス様だけだった。近くにいる王族の方々は一切気付いていない。

 馬鹿王子も大概だけど、さすがその親だけのことはあるわね。あんたたち、この国を滅ぼしたいの!? それとも、冴えない私に取って代われると思ってるの!? 

「不愉快だわ。……決めるのは、イシリス様なのに」

 思わず声に出た。小さい声だったから、聞こえたのはリアス様とイシリス様だけね。

 ちなみにイシリス様は、私の声なら、どんなに遠くにいてもはっきりと聞こえるらしい。番の声だから。

「どういうことだ!? なにがあった!?」

 馬鹿王子と同様、国王陛下も負けじと怒鳴る。

 騎士から聞いてるでしょうが!? 思わず、突っ込みを入れそうになったわ。

「父上!! リアスとそこにいる女、アルトを踏み付けているあの男を厳罰を望みます!!」

 馬鹿王子はマリアの背中に手を添え、切実な表情を浮かべ国王陛下に嘆願した。

「厳罰!? なにを言っている!? リアスとミネリア様に厳罰だと!!」

 かろうじて、私を様呼びしてるけど……謝罪はなしね。ずいぶんと、軽く見られてるわね、私。今まで、何も言わなかったからだろうけど。

 この時点で、気付く人間なら気付くわよ。

 でも、馬鹿王子たちは全く気付いていない。

 そりゃあそうか……私のことをファミリーネームまで呼んで断罪を始めたのに、ファミリーネームを持たない平民と思い込んでたんだもの。容姿だけで判断してね。

「それだけの罪を犯したのです!! 聖なる乙女であるマリアを足蹴にしただけでなく、酷い虐めを繰り返し、リアスはそこにいる女に命じてさせたのです!! 国が擁護し、護らなければならない存在をです!! 決して、許されぬものではありません!!」

 ここぞとばかりに、馬鹿王子は自分たちが正当だと訴える。

「……私が悪いのです。ジェイド様をお慕いしたばかりに……リアス様に不快な思いをさせてしまったから……だから、お願い致します!! 国王陛下、リアス様たちの罪を軽くしてください!! お願い致します!!」

 涙ながらに訴えるマリア。

 さらなる、一手を打ってきたようだけど、すでにあんたたちの未来は決まってるのよ。残念ながらね。

「女、誰が、お前に話す許可を与えた」

 国王陛下は冷たい目でマリアを咎めた。

「申し訳ありません!!」

 注意されたばかりなのにまた発言を繰り返す。もしかして、鳥頭並の脳味噌なの?

「お前は、国王である我に同じ言葉を繰り返し言わせるつもりか?」

 国王陛下の言葉に、マリアは子鹿のように震えながら馬鹿王子に縋り付く。それを、国王陛下たちは忌々しいそうに睨み付けていた。視線をリアス様に戻すと、国王陛下は尋ねた。

「リアスよ、ジェイドはこう言っているが、そこの女を虐めたのか? ミネリア様を使って」

「そのようなことは、決していたしておりません!! ましてや、ミネリア様を使うなど、聖獣様に誓ってありませんわ」

 パーティー会場がどよめいた。

 聖獣様に誓うということは、その発言に命を掛けるってことだ。つまり、嘘ならその場で自害すると宣言したのだ。

「そうか……我は、リアスの言葉を信じよう」

「父上!!」

 国王陛下の言葉に馬鹿王子は反発し、声を荒げる。

「追って沙汰をだす。それまで、ジェイドたちを牢屋に放り込んでおけ!!」

「それはなりません!! 国王陛下!!」

 勝手に幕引きをしようとしている国王陛下に宰相様が苦言を呈する。それを、国王陛下は「構わん!!」と無下にした。

 その言動に、ブチッブチッと堪忍袋の緒が切れたわ。

「はぁ!? なにを仰っておいでです? 国王陛下。まさか、このまま有耶無耶にする気でしょうか? そのような考えはありませんよね?」

 詰め寄る私に、国王陛下は焦りと不愉快そうな表情でボソリと答えた。

「有耶無耶にするつもりはない」

 確かに、そのお言葉もらいましたよ。

 ニヤリと笑う。

「ならば、安心しましたわ。リアス様を無実の罪をでっち上げ、このような公の場で断罪し、クラスが違う私を虐めの片棒だと冤罪を吹っ掛けた。ましてや、【聖なる乙女】だと偽証し、あまつさえ、パーティーの参加者を殺そうとした。それらを正当化し、私とイシリス様、リアス様を処刑するとまでほざいた。その責任はどう取るおつもりですか?」

 まさか、私がここまで言うとは思っていなかったみたいね。

 普段は薬草とかに興味がある、ちょっと変わった、おとなしくて扱いやすい娘だと、彼らは勝手に認識してたからね。あえて間違いは正さなかった。その方が楽だったのもあるけど、なにかあった時は、その方が動けると考えていたからね。

 顔を真っ赤にしながら唸る国王陛下。王妃殿下たちも私に対し、険しい目を向けている。馬鹿王子たちは「王族に対し無礼だ!!」って怒鳴ってるし、宰相様は絶望的な表情で項垂れている。

 カオスだね~。

 これが国のトップだと思うと、頭が痛いわ。マジでこの国は終わりじゃない。まぁ、私はどっちでもいいけど。その前に、きっちりとケリは付けさせてもらうわね。当然でしょ。

 先に喧嘩を吹っ掛けてきたのは、貴方たちなんだからーー。



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