言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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成り立てほやほや王女殿下の初仕事

01 独立しても困らないわね

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 元々、ベルケイド伯爵領は王都からかなり離れた場所、王国の端の端にあるど田舎の領地だったからね、必然的に、ほぼ独立していた状態と言っても大袈裟ではないわね。

 だから、独立を宣言しても特に困らない。

 だって、自国の民を潤すだけの食糧は常に備蓄してあるし、魔物討伐に関しても、王国に力を借りなくても自分たちで対処できるしね。反対に王国の奴らが来ても全く役に立たない。かえってお金を要求されるだけ。ほんと、邪魔。

 外貨に関しては、魔物討伐でゲットした魔物の牙や革、臓物、それに豊富にある鉱物の加工品を売れば十分得られる。

 なので、独立しようがしまいが、生活自体は全然変わらない。かえって、王国に献上しないだけ潤うわ、懐が。お金をドブに捨てなくていいんだもの。

 困らないとはいえ、やるべきことはたくさんあるわよね。まず最初にやるべきことは、

「……とりあえず、結界を張り直さないといけませんわね」

 ベルケイド王国の国旗を見上げながら私は、声を弾ませながら言った。だって、これから新しい時代が始まるのよ、興奮するに決まってるじゃない。

「そうだな、間違いなく王国の貴族たちが我先に押し寄せて来るな。面倒くさい」

 ベルケイド辺境卿からベルケイド王国国王になったお父様は、口では面倒くさいと言いながらも、声は私と同じで弾んでいた。王太子であるお兄様は、今、魔物の討伐に出ている。

「普通に結界を張るだけじゃ駄目だろ? どんな結界がいいんだ?」

 私がご機嫌なのが嬉しいのか、イシリス様はニコニコ微笑みながら訊いてきた。

「そうですね……ベルケイド王国に悪意を持つ者は入れないような結界がいいですわね。それを、国全体に張ってくださいませ。まぁこれで、あの王国の貴族たちのほとんどが排除できると思いますわ」

 下手したら、難民たちもね。別に難民を受け入れるのは構わないけど、ベルケイドに害意を持つ者はいれたくないからね。見た目だけで判別するのも難しいし、なら、始めから結界を張って判別した方が効率的でいいでしょ。

 入れないものは入れない。シンプル イズ ザ ベスト。

「わかった!!」

 そう言うと、イシリス様は本来の姿に戻り遠吠えをする。声は振動となり、ベルケイド王国全体に広がっていった。

 これで結界は張れたわね。いつ見ても圧巻よね。

 さて、どれくらいの人間が結界を超えられるかな。それはそれで楽しみよね。ほんと、私っていい性格してるわ。

「……ミネリア様」

 荷物の整理ができたのか、リアス様と元宰相様が声を掛けてきた。

「リアス様、元宰相様、ベルケイド王国はどうですか? 田舎でしょ」

 王都にあったような、洒落た建物や公園なんてないからね。

「良い国ですね……道が整備され、生活水準も高い。なにより、民が笑っています。それが一番だと思います」

 元宰相様の台詞に、私は満面な笑みを浮かべた。やっぱり、彼を連れて来て正解だと確信した。それはお父様も同じのようで、嬉しそうに頷いていた。

「嬉しいことを言ってくれるな、元宰相殿。これからは、我がベルケイド王国を支えてくれ」

 お父様がガハガハと笑いながら、元宰相様の肩を叩く。すっごく痛そう。

「お父様、力加減を考えてください」

「悪い、悪い」

 注意して、やっとお父様は叩く手を止めた。絶対、痣になってるよね。

「豪快な人間ばかりですから、早く慣れてくださいね」

「「畏まりました」」

 リアス様と元宰相様は頭を下げる。

「元宰相様はお父様の下に。リアス様は、私の教育係をお願いしたいですわ」

「私が教育係ですか?」

「ええ。一応、独立したわけですし、そうなると、私は王女になるわけでしょ。他国との付き合いもありますしね、リアス様の力を借りたいの。お願いできるかしら?」

 リアス様なら安心して任せられる。

「畏まりました。ミネリア様を立派な王女にしてみせますわ!!」

 リアス様の目がキラリンと光った気がする。ちょっとはやまったって思ったのは内緒。



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