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成り立てほやほや王女殿下の初仕事
02 姿勢は基礎中の基礎です
しおりを挟む少し動く度に、全身にピシッと痛みが走る。
原因はわかってるわ。
全身筋肉痛よ!! たいして動いてないのに!!
魔物討伐の時に使う筋肉とは違うみたい。リアス様、優しい顔をして超スパルタなんだから。キラリンと光った目は見間違いじゃなかったみたい。それにしても、一切の妥協なしって……まぁ、妥協されて、ベルケイド王国の恥になるのは嫌だけどさぁ。
もう、唸り声しか出てこない。
「……大丈夫か?」
ソファーから動けないでいると、イシリス様が心配そうに尋ねてきた。
「大丈夫ですわ……」
本当は全然大丈夫じゃないけどね。
「リアス!! やり過ぎではないのか!?」
イシリス様がリアス様に詰め寄る。
「やり過ぎではありませんわ。聖獣様は、ミネリア様が馬鹿にされてもよろしいのですか? ミネリア様が愛する、ベルケイド王国が馬鹿にされてもよろしいのですか?」
リアス様も負けてはいない。イシリス様相手に正論を畳み掛けてくる。
そうでなくちゃあ、頼んだ意味ないよ。イシリス様や私を時には諌める人が必要だもの。肉親以外にね。どうも、お父様もお兄様も私に甘いのよね。だから、リアス様のような人は私にとって、とても大切なの。
「私がいれば、ミネリアが馬鹿にされることはない」
イシリス様も負けてはいない。
「確かにそうでしょう。聖獣様が傍にいれば、ミネリア様のことを悪し様に言う者はいないでしょう。でも、それは表面上だけ。その代わり、影で囁かれることになります。色々と……それでもよろしいのですか?」
それは嫌ね。
「それはそうだが!!」
これはリアス様の勝ちかな。
「イシリス様、私を心配してくださるのは嬉しいのですが、ここはリアス様の仰る通りですわ」
イシリス様はなおも文句を言おうとするのを、私は止めた。そんな顔をなさらなくても。私に止められてシュンとするイシリス様。とても可愛らしいですわ。
私は撫でられるのが好きなイシリス様の頭を撫でながら、言葉を続ける。
「イシリス様、私はイシリス様の隣にいても恥じない私でいたいのです。もちろん、ベルケイド王国の王女としても」
微笑みながら、本心を口にする。だって、イシリス様に嘘は通じないもの。その効く鼻で嗅ぎ取ってしまうから。ましてや、心の声も筒抜けだし。
「では、休憩の後、レッスンを再開しましょうね」
リアス様はにっこりと微笑みながら言った。マジで鬼です。
まず、基本姿勢の基礎として、頭に分厚い本を三冊乗せて落とさずに動くことから始まったんだけど、そこから行き詰まってるの。少し動く度に落としてしまうんだよね。合格点は、軽く礼ができるまで。できっこないって思ったけど、リアス様は難なくこなして見せたよ。さすがだよね。
少しでも休憩をのばしたい私は、いい機会だし、ちょっとした提案をしてみた。少し前倒しだけど。いずれは、見てもらうつもりだったからね。
「その前に、リアス様、今の王国の様子気になりませんか?」
「それは……」
そんなことを訊かれるとは思っていなかったみたいね。戸惑う、リアス様。面倒向かって気になりますとは言えないしね。決別したわけだし。
「戸惑って当たり前ですわ。完全に決別したとしても、生まれ育った地ですもの、気になって当然ですわ。王国を愛していらっしゃったもの。責めてるわけではありませんわ。ただ……難民が押し寄せて来たら、その凄惨な姿にショックを受けると思うのです。だから、その前に、王国の今の様子を見といた方がいいと思ったの。どうかしら?」
もう、箱入り娘じゃないんだから。
「……わかりました」
少し思案した後、私の提案にリアス様は小さな声で、でもはっきりとそう答えた。
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