言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

井藤 美樹

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成り立てほやほや王女殿下の初外交

09 信用度マイナスだからね

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「陛下にとりつぎを」

 執務室の扉の脇に立っている近衛騎士に、私は声を掛けた。

 近衛騎士は「畏まりました」と答えると、扉をノックしお父様に伺う。

「入れ。……ミネリアか?」

「はい。陛下に面会を申し込まれておりますが」

「構わん、通せ」

「畏まりました」

 近衛騎士はそう返事をすると、一歩横にずれ私を通してくれた。

「仕事中、申し訳ありません、陛下。ダラキューロ様も、お邪魔しますわ」

「早いな」

 苦笑しながらお父様は言った。

 二人とも、私が来ることがわかっていたみたい。

 ダラキューロ様は机の端に移動する。言葉は交わさないが、お互い頷き合う。私はお父様に視線を戻すと答えた。

「薬草畑で作業をしていたら、空を飛ぶ魔鷹を見ましたの。エンドキサン王国からですね。さては、もう一度、会いたいとでも言ってきましたか?」

 会う前にすべきことがあると思うけどね。まさか、順番間違えてないでしょうね。

「……ああ。全く、面倒くさい奴らだ」

 やっぱり、そうだったのね。

 お父様は心底そう思っているみたいで、一方的に送られてきた書簡を乱暴に机に放り投げる。まるで、私に読めと言っているみたい。でも、何も言われていないのに手を伸ばすわけにはいかないわ。

「会う前に、リアスのことに関して、エンドキサン王国はどう言っているのです? きちんと、処罰してますよね。まさか、何の処罰せずに会いたいとは言ってきてませんよね」

 もしそうなら、会う必要はないわ。これから先、未来永劫ね。当然、国境の封鎖も解く必要もないわ。私はそう考える。

「エンドキサン王国は、第一王女を北の塔に幽閉。同席していた腰巾着たちは、それぞれ家を追い出され、僻地にある修道院に送ったそうだ。直接、虐めに関与した侍女は、鞭打ち十回の後王都を追われ、見て見ぬ振りをした近衛騎士は、騎士職を剥奪したらしい」

 ほ~~それが事実なら、まぁ……ギリギリ会ってもいいんじゃない。サインするかしないかは別にしても。会う場所にもよるけどね。でもね、どうしても、素直に受け取れないのよのね……

「それ、事実ですか? 書くだけなら、いくらでも書けますからね」

 信用度マイナスだからね。

「それに関しては、残っている影と暗部たちが調べておりますのでご安心を」

 お父様に変わって、ダラキューロ様が答えた。彼も疑っているようね。まぁ、あの第一王女を知ってれば普通そう考えるわね。

「……念のために残して来た者が頑張ってくれてるようね。その報告を聞いてからでも、遅くはありませんよね、陛下。とことん、焦らしてやりましょうよ」

 ニヤリと笑いながら、私はそうお父様に進言した。


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