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成り立てほやほや王女殿下の初外交
11 舐め腐ってました
しおりを挟むまぁ、ラリーお兄様の顔を見て、だいたいの予想は立ててたけどさぁ……これって、あんまりじゃない。
「完全に、ベルケイド王国を舐め腐ってますね、あいつらは」
報告書を呼んだ感想がこれ。うん、淑女の仮面は今はちょっと横に置いてるかな。
「バレないって考えてるあたり、馬鹿っていうか……バレてもどうにかなるって、考えなのか……まぁ、舐め腐ってることには違いないな」
怒気だだ漏れ状態で、ラリーお兄様は答える。
「まったく!! 何が、北の塔に幽閉よ!! 幽閉どころか、貴族牢にさえ放り込まれないじゃないの!! 自室に形だけ謹慎状態って、完全に舐めてるわ!! ましてや、お茶会は開いてないけど王都で豪遊って、なに!? あの時の映像を貼付したのにこれって、ことの重大さ、ちっともわかってないようね」
よくそれで、大国と名乗ってたわね!!
ほんと、ありえないわ。
第一王女の処分がそれですんだから、他の四名はあってないようなものよ。修道院? なにそれ? だよ。ただ、噂が消えるまで領地に戻っただけ。噂が消えれば、何食わぬ顔で王都に戻って来るつもり満々じゃないの!!
ましてや、リアスを虐めていた侍女も、見て見ぬ振りをした近衛騎士も、王城を追い出されただけで、たいした罰も受けていない。鞭打ちなんてされてないし、騎士職も剥奪されていない。侍女と騎士は、腰巾着の公爵令嬢と一緒に領地でいるらしいわ。
そう。何から何まで嘘だったのよ!!
「陛下、如何しますか?」
刀の柄に手を掛けたまま、ラリーお兄様は尋ねた。
ラリーお兄様、開戦するき満々ね。
元々、ラリーお兄様は戦闘狂よりだけど、それをなくしても今回は我慢できないわ。私も開戦するき満々だもの。ここまで、私の愛する国を馬鹿にされたのよ!! 当然だわ。
とはいえ、民のことを考えると、そう簡単に開戦なんてできないんだけどね。ラリーお兄様もそのことはわかってる。わかっているからこそ、とっても歯痒いの。私もラリーお兄様も。
「決別に決まってるだろ。今後一切、エンドキサン王国の者を我が国に入れぬ。未来永劫な」
完全に国交を断絶するーー。
それが、初代ベルケイド王国の国王が下した決断だった。
お父様は立ち上がると、イシリス様の元へと向かう。
「俺に何かして欲しいのか?」
さっきまで、ク~ンと鳴いていたのとは違い、キリッとした顔でイシリス様はお父様に尋ねた。
「はい。エンドキサン王国の者が入れないように結界を張ってほしいのです」
お父様がイシリス様に頭を下げ頼む姿を見たのは、これが初めてだった。普段から、頼みごとなんて全くしないから。
「それくらいなら、容易いことだ。今するか?」
イシリス様は私の方をチラチラと見ながら言っている。褒めてほしいみたい。それは後で。
「いえ、今は。その前に、エンドキサン王国に返信し、国中に知らせを配布します。エンドキサン王国の者がいるなら、さっさと国を出て行くようにと。出て行かぬなら、二度とエンドキサン王国の土は踏めぬと思えと記載して」
一切の感情のこもらない声で、淡々と答えるお父様。お父様が声を発するごとに、張り詰める空気のピリピリ度が増していく。私とラリーお兄様は冷や汗をかきながら、黙って立っている。
完全にお父様を怒らせたようね。
「なら、国境沿いはどうする?」
「そこだけは、先に張っていただくと助かります」
お父様はそう答えた。
一時間もしないうちに、王都には張り紙が貼られ、把握している村や町にも伝令が走った。
猶予は一週間。
一週間後の同時刻、ベルケイド王国に張り巡らされた結界に新たな制約が加わる。
これは決定事項だ。
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