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成り立てほやほや王女殿下の初外交
12 突撃されました
しおりを挟むエンドキサン王国の王都からベルケイド王国までは、馬車で有に一か月は掛かる。
まぁ、魔馬を使ったら二週間で来れるけどね。
それは、エンドキサン王国の連中では無理だと思うの。騎士団長あたりなら可能かもしれないけど、王族を連れてとなると、まず無理。あの細腕じゃあね。手綱握れないんじゃない。魔馬に馬車を引かせるのなら、かなり強固な素材を使わないとすぐに破損するわよ。
なので、こちらに脅しを掛けようと国境沿いに着いた時点で、彼らは現状を知ることになるのよね。ちなみに、公布してから一週間はとうに過ぎてるわ。
無駄足よね。着いてみたら、国境を閉鎖しているんだから。
そもそも、結界は目には見えないからね。入ろうとして入れないし。
正確に言えば、エンドキサン王国の人間は国境を越えれないけど、私たちベルケイド王国の人間は自由に行き来はできるんだけどね。
つまり、ベルケイド王国はエンドキサン王国を、完全に見限っているのよ。話し合うよちなんてどこにもないわ。こんな風にね。
「なぜだ!? なぜ、入れない!?」
国境沿いで何日も騒いでいる人がいるって、兵士から報告を受けてラリーお兄様と一緒に来てみれば、見たことがある顔がいたわ。もちろん、イシリス様も一緒よ。
「騒がしいですわね。国境沿いで騒がないでくれます。エンドキサン王国王太子殿下」
まさか、王太子自ら来るとはね。暇なこと。
「ミネリア王女殿下!! これは、どういうことだ!?」
結界があってよかったわ。こっちまで、唾が飛んで来そうな勢いだもの。汚い。
「どういうことって、わかりませんか?」
いや、普通わかるでしょ。それに、お父様が書簡を送ったはずよね。知らないの!? っていうか、読んでないの? まさか、行き違いになった? ……彼がここにいる時点で、十分、可能性はあるわね。
「わからないから訊いているんだ!! なぜ、エンドキサン王国を拒絶する!?」
捲し立てる王太子殿下。
「……あれ、本気で言ってるのか?」
ラリーお兄様が呆れた声で私に訊いてきた。声が大きいから、王太子殿下にも聞こえたみたい。
「私を馬鹿にするのか!?」
いちいち、噛み付いてくるのは止めてよ。大きな声を上げて、マウントを取りたいの? それって、小物がよくする手じゃない。
「馬鹿にはしてませんよ。ただ、エンドキサン王国と友好関係を築くことは、これから先、ないってことを明確に表しているだけですわ」
「なぜだ!?」
「さっから、同じ台詞ばかり、いい加減になさいませ。先に、ベルケイド王国に喧嘩を売ったのはそちらでしょう」
うんざりしながら私は答えた。
「その件については、きちんと処罰した旨を報告したはずだ」
胸を張って言うけど、バレてないと思ってるの? 理解不可能だわ。それとも、まだ騙せるとでも思ってるの?
「嘘ばっかりの報告でしたけどね」
「嘘……だと?」
王太子殿下はショックを受けた顔をしている。
「あら? ご存知ないのですか? 全て嘘ですわよ。第一王女殿下を北の塔に幽閉したと記していましたが、王都で豪遊しているみたいですね。他の方々も全て嘘。我がベルケイド王国をここまで貶したのは、エンドキサン王国側ですよ」
「……まさか。陛下は確かに……」
さらにショックを受けたようで、ちいさな声で王太子殿下はそう呟くと、下げていた視線を私たちに向けた。
その様子じゃあ、本当に知らなかったようね……
王太子殿下がエンドキサン国王代行として、ベルケイド王国に向かってから、方向転換したのかもしれない。一人娘可愛さにね。
「信じられないようなら、ご自身の目で確かめてみればよろしいのでは?」
私がそう告げると、王太子殿下は姿勢を正し一歩下がると私たちに深々と頭を下げ謝罪した。
「申し訳ない。取り乱してしまい、すまなかった。それが本当なら、我々は選択を完全に間違った。間違った選択は正さなければ」
彼はそこまで馬鹿ではなかったようね。でも、甘過ぎだけど。
「だとしても、変わらないかもしれませんが」
「そうだとしても、このままにすませるわけにはいかない」
王太子殿下はそう告げると、私たちに深々と頭を下げ帰って行った。
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