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聖国の大神官長様、今度は遊びに来る
06 二人の関係性
しおりを挟む食事を終え店を出た後、ユーリ様が背伸びしながら言った。そりゃあもう、満足そうな笑顔で。
「魔物肉堪能しました。ありがとうございます、ミネリア様。やっぱり、魔物肉を食べるのはベルケイド王国にかぎりますね。……後は、元王都の状況確認ですね」
褒められるのは嬉しいけど、あれだけ食べれば、普通堪能するわよ。しっかり、デザートまで頼んで、こっちは、反対に胸焼け起こしてたんだから。まぁそれはいいわ。それよりも、
「本当に、確認するつもりですか?」
食後に見る映像じゃないけど。できれば、空腹な時に見た方がいいと思う。色んな意味で。
「見られて困るものでもあるのですか?」
質問を質問で返された。
なに、目を光らせてるのよ。後ろめたいことなんて何もないわよ。
「いえ……それは、ありませんが、食後に見る映像ではありませんよ」
できれば、止めてほしい。心の中で祈る。
「それなら、心配はいりません。慣れてますから」
満面な笑顔で、ユーリ様は答える。やっぱり、祈りは通じませんでした。
ん? 慣れてる? 今、慣れてるって言った!? 聖国怖い!! 宗教の裏側は血みどろって聞いたことがあったけど、あれマジだったのね。うん……ここは、さらりと流そう。
「わかりました。城に戻って確認いたしましょう」
そう告げ、帰ろうとする私とイシリス様。その時、またしてもユーリ様は爆弾発言をかましてくれた。
「その前に、お菓子を買っていきましょう」
観劇かっ!!
つい、突っ込みそうになったよ。想像したくないのに想像してしまったわ。胃から酸っぱいものが込みあがってきた。まだ、食べるんかい!?
「そうだな、さっきはクリーム系だったから、焼き菓子はどうだ?」
えっ!! 番の私が気持ち悪くなってるのに、なんでユーリ様に乗っかってるのよ!!
声を出さずに文句を言った。
すると、イシリス様は優しく抱き上げてくれた。抱き上げてくれることは嫌ではないけど、今は正直止めてほしい。細かい振動が……
「あっ、抱き上げないでください!! 本気で酔いますから!!」
私の声がよほど切羽詰まってたのか、イシリス様は下ろしてくれた。
よ、よかった……これで、最悪なことには、ならなくてすむわ。でも、買いには行くのね。
前から思ってたけど、イシリス様にとって、ユーリ様は群れの一員なんだ。ユーリ様自身、それをきちんと理解している。
私とは違う関係性。
でも、嫌じゃないわ。それは、相手がユーリ様だからね。
「ミネリア様、行きますよ。聖獣様、美味しい焼き菓子店はどこですか?」
「こっちだ」
ユーリ様はイシリス様にそう尋ねると、私の手を掴み、元気よく屋台通りに向かって歩き出した。走り出さないだけマシかな。
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