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その日の夕方、響さんから電話が来た
凄く心配してくれていて胸が熱くなる
永倉さんが言うように、響さんは仕事を調整したようだ
そこまでしなくても大丈夫と言ったが、志野さんが自発的にスケジュール調整しているらしく、既に記者会見の日のみ、休みにしたらしい
今は韓国に滞在中なので、数時間で帰って来れる距離ではあるが、なかなかハードではある
ありがとうとごめんなさいを伝えると、自分が傍に居たいだけだからと言われた
本当にもう…僕は響さんがいないとやっていけないんじゃないだろうか
今日の夜は頼さんと永倉さんと一緒に、事務所で例の特番を見て、そのまま泊まる予定だ
響さんと志野さんも帰国後、直接事務所に来る事になっている
頼さんがお泊まりセットを取りに行ってくれている間に、役者仲間からのメールに返信した
テーブルの上にはピザとジュース、唐揚げに焼き肉弁当、お酒に刺身の盛り合わせとチーズ
永倉さんが買い物に行ってくると言ったのは、響さんと電話をしている時だった
戻ってきた永倉さんの手には、沢山の食べ物
頼さんに、今から映画鑑賞会でもする気?とツッこまれていた
僕達はそれぞれ好きなものを食べながら、特番を見た
『こんばんわ。今日は緊急特番を放送してまいります。今朝、大きなニュースが飛び込んで来ました。
細井容疑者が逮捕された。私共はその逮捕に至るまでの経過を独自取材しておりました。
まず、細井容疑者が起こした事件を振り返ります。』
アナウンサーの神妙な面持ちでスタートした番組は、画面の下の方に視聴者のコメントが流れるようになっている
VTRがスタートした
僕の記者会見の映像だ
映像が終わるとまたスタジオに戻る
『この記者会見は本来、叶響さんと相田彼方さんの熱愛報道への記者会見だったのですが、我々は予想だにしない事件が起こっていたことを、この時知りました。
相田さんとお会いしたのは、事務所が主催する舞台の公開オーディションで、少しお話させていただいたのが最初だったのですが、足を怪我されていて松葉杖を使用されていました。
その時のVTR がありますのでご覧ください。』
次のVTRはオーディションが始まる前~挨拶までと、カットがかかる直前~僕が退場するまでに編集されていた
『この時、相田彼方さんは靭帯損傷しておりました。本当なら絶対安静だったそうですが、無理をしない、足を使わないとの約束で演技指導や発声練習など、出来ることをされていたそうです。
ただオーディションの時は役に入りきった為痛みを忘れ無茶をされました。
あの後、事務所の方や役者仲間、マスコミにまで怒られていました。』
アナウンサーの方がそう言うとスタジオから笑いが漏れる
このアナウンサーの人、どこかで見たと思ったらオーディションの時と、記者会見の時に居た人だと思い出した
じゃあ、この人が有志に参加して東井の上の人に直談判してくれたのか…
『あの時は、まさか彼の身にあんな恐ろしい事が起こっていたとは、我々は思いもしませんでした。相田彼方さんを知る方は、彼の事を、礼儀正しく、仕事熱心で努力家、細やかな気配りのできる青年だと話します。
では何故、彼は細井容疑者の標的となったのでしょうか。こちらをご覧ください。』
ガラガラと大きなボードが出てくる
『まず事件の発端です。
相田さんの事務所では、役者はS~Fまでのランク分けがされます。実力主義の為、日々の活動や仕事に応じて2年間毎にランクが変わるそうです。』
ボードには事務所の体制や細井達の関係性が書かれていた
『細井容疑者はEとFランクのマネージャーをしていました。
相田さんは入所したばかりで、まずは演技指導等の基礎勉強をしながら映画の撮影に参加されていました。
その為、レッスン場ではE ・Fランクの役者達と顔を合わす事も多かったようです。
こちらの調べによりますと、細井容疑者は1年程前に逮捕された、当時事務所に所属していた生田一樹、高松健二と共謀し、同じランクの役者に嫌がらせを行い、無理矢理お酒の席へ連れていき、他の事務所へ引き抜こうとしていました。この3人はそれ以外にも、事務所のマニュアルや役者の育て方等の企業秘密を横流ししていました。
彼らが横流ししていた人物は、大手芸能事務所の社長で、こちらも既に逮捕されています。
事務所ぐるみではなく、社長の独断で行っていた事は既に、警察の捜査で明らかとなっています。
相田さんもこの2人に嫌がらせやお酒の席への参加を強要され、断ると物を盗まれたりと行為はエスカレートしていきます。
我々は以前事務所に在籍し、被害にあった方へ取材をさせていただきました。こちらをご覧ください。』
またVTR が始まった
首から下だけが映し出されている
『今日は事務所に在籍してた時の事をお聞きしたいんですが。』
『はい、俺が在籍していたのは2年前です。ちょっとづつ仕事が増え始めた頃ですね。』
『それなのにお辞めになった理由は?』
『生田と高松です。当時、自分達が上手くいかないからと、同じランクだろう人達に度々当たり散らしてました。
事務所はランクを公表しません。知っているのは自分と事務所のスタッフだけ。けど、仕事がなくてレッスンに来るメンバーって大体同じなんで、EかFかまではわからないけど、どっちかなのはわかるんです。
たまに、テレビに出てる人や舞台に出てる人、雑誌に出てる人とか叶さんとかも顔を出すんですけど、演技力とか見ても自分達よりランクが上なのは分かるじゃないですか。』
『確かに、それにちゃんとテレビや舞台、雑誌で勉強していたら分かりますね。』
リポーターが頷く
『あいつら、自分達より明らかにランクが上の人達が居る時は大人しくしてるんですけど、俺達しかいない時は酷くて。我慢できなくなって社長に状況を伝えたんです。』
『社長さんはどうされたんですか?』
『直ぐに動いてくれました。事務所のスタッフから、指導してくれる先生、俺達役者全員から聞き取りをしてくれて、あの2人は1カ月謹慎。その間の給料も無しで、その後半年は減給、もし次問題を起こしたら解雇だって皆の前で言ってくれました』
『…それなのに、何故貴方は辞めてしまったんですか?』
『あいつらの謹慎が終わった後、講師や事務所のスタッフ、マネージャーが目を光らせてくれてたんで、しばらくは平和だったんです。
けど、俺が辞める2カ月程前かな…細井がマネージャーとして入ってきてから、またあいつらから嫌がらせを受けたんです。
勿論直ぐに社長には報告したし、社長も動いてくれました。
けどあいつら、「そんな証拠、どこにあるんだ。前に嫌がらせしたことは事実だが、その仕返しをしたいからって嘘をつくな。」と言い出したんです。
確かに証拠なんて無くて…社長は直ぐに防犯カメラを付けてくれました。
でもあいつら、カメラの死角を知っていたのか、毎回カメラの死角で暴力を振るうようになって。
でもカメラには映ってないし、誰もいない隙を狙ってやるからどうしようもなくて…。
稽古の後、帰宅中に拉致られてキャバクラに連れて行かれたことも何度もあります。
そのキャバクラで、以前逮捕された社長に会わされ、移籍しろって強要されたり、無理矢理酒を飲まされたりしました。』
『そんなことがあったんですね…』
『我慢の限界で、これ以上こんなことをするなら訴えると言ったら、その社長の隣に居た若い男が、自分は弁護士の卵で、君がいくら訴えた所で証拠もない。逆に君や事務所が訴えられるって言われて…その時の俺は法の知識なんてないし、社長に迷惑がかかるって思ったら手も足もでなくて…』
青年は悔しそうに拳を握った
『これ以上は我慢の限界で、でも社長に迷惑をかけたくないから、自分が辞める事にしたんですか?』
『はい。社長に全て話しました。必ずどうにかするから、辞めないで欲しいって言ってもらったんですけど、当時の俺は限界で…
あいつら姑息だし証拠を集めるのも時間がかかるだろうって思って…
社長はそんな俺の気持ちを理解してくれて、この件が解決した時、まだ役者をやりたいと思ったら戻って来て欲しいって言ってくれて…。』
『そうなんですね。あの2人は逮捕されましたが、事務所に復帰はしないんですか?』
『今…まだ迷ってます。逃げた俺が本当に戻って良いのかどうか。
演技するのは大好きだし、戻りたい気持ちが強いですけど…細井があいつらの仲間だったって聞いた時、納得したんです。それから恐怖も感じました。』
『納得?どういう意味ですか?』
『ほら、防犯カメラの死角を何故あの2人が知ってたと思います?細井が彼らに情報を教えてたんだと思いますよ。
それに細井がマネージャーになってから嫌がらせが再開しましたし、後から気づいたんですけど、稽古終わりに拉致された時って、稽古場に細井が居た日だけなんですよ。
最初から細井も仲間だったんだと思います。
相田さんが被害にあう前に気づけてたら、相田さんが被害にあう事もなかったのに…』
VTRはここで終わり一旦CMに切り替わった
VTRの途中から鼻をすする音が聞こえていた
隣を見ると永倉さんが悔しそうに泣いていた
僕達は何も言わず、そっとタオルを渡し続きを見た
『VTRで分かったように、細井は裏で才能ある人達を強制移籍させる為、行動していたんです。
けどそれを拒否すると、精神的に追い詰めて芸能界から追放していった。
被害にあった他の方からもお話を聞きましたが、皆さん移籍を強要された時に、警察沙汰にするだとか、弁護士に相談すると言ったらしいんですが、弁護士の卵と名乗る男に「証拠がない、こっちが訴えても良いんだぞ。そうすれば迷惑がかかるのは、お前達の事務所や社長だ」と脅されたらしいんです。』
アナウンサーのアップからスタジオ全体の映像に切り替わる
コメンテーターの人と他のアナウンサー、東井テレビの会長まで出演していた
『その自称弁護士の卵は移籍強要した社長が逮捕された時、逮捕されてないですよね?その男は一体誰なんですか?』
東井テレビの会長が質問する
『はい、実は私共は相田さんの会見後から独自に細井容疑者を探していたんです。
会見の時に、叶さんが仰ってた事ですが、警察がなかなか動かなかった・捜査をしなかった等問題があったと。』
『覚えてますよ。記者会見を見ていた視聴者からも警察に苦情の電話が殺到しましたよね。』
女性のコメンテーターの方が頷く
『我々も、今回の事件には疑問を持ち、役員に掛け合って独自に捜査を開始しました。
しばらくして、あの会見を見ていた一般市民の方が有志で事件の捜査をしている事を知ったんです。
我々はその代表の方と連絡をとり、一緒に捜査する事になりました。
これから見ていただくのは、我々と有志の方達との細井容疑者逮捕までのドキュメンタリーとなります。
先にお伝えさせてください。細井容疑者を見つけ出したのは警察ではなく、我々と有志の方達でした。それではご覧ください。』
アナウンサーの言葉に、視聴者のツイートがすごい早さで書き込まれていく
『え?どゆこと?』
『はーーーー?!!』
など一言二言の文字が高速で流れていた
凄く心配してくれていて胸が熱くなる
永倉さんが言うように、響さんは仕事を調整したようだ
そこまでしなくても大丈夫と言ったが、志野さんが自発的にスケジュール調整しているらしく、既に記者会見の日のみ、休みにしたらしい
今は韓国に滞在中なので、数時間で帰って来れる距離ではあるが、なかなかハードではある
ありがとうとごめんなさいを伝えると、自分が傍に居たいだけだからと言われた
本当にもう…僕は響さんがいないとやっていけないんじゃないだろうか
今日の夜は頼さんと永倉さんと一緒に、事務所で例の特番を見て、そのまま泊まる予定だ
響さんと志野さんも帰国後、直接事務所に来る事になっている
頼さんがお泊まりセットを取りに行ってくれている間に、役者仲間からのメールに返信した
テーブルの上にはピザとジュース、唐揚げに焼き肉弁当、お酒に刺身の盛り合わせとチーズ
永倉さんが買い物に行ってくると言ったのは、響さんと電話をしている時だった
戻ってきた永倉さんの手には、沢山の食べ物
頼さんに、今から映画鑑賞会でもする気?とツッこまれていた
僕達はそれぞれ好きなものを食べながら、特番を見た
『こんばんわ。今日は緊急特番を放送してまいります。今朝、大きなニュースが飛び込んで来ました。
細井容疑者が逮捕された。私共はその逮捕に至るまでの経過を独自取材しておりました。
まず、細井容疑者が起こした事件を振り返ります。』
アナウンサーの神妙な面持ちでスタートした番組は、画面の下の方に視聴者のコメントが流れるようになっている
VTRがスタートした
僕の記者会見の映像だ
映像が終わるとまたスタジオに戻る
『この記者会見は本来、叶響さんと相田彼方さんの熱愛報道への記者会見だったのですが、我々は予想だにしない事件が起こっていたことを、この時知りました。
相田さんとお会いしたのは、事務所が主催する舞台の公開オーディションで、少しお話させていただいたのが最初だったのですが、足を怪我されていて松葉杖を使用されていました。
その時のVTR がありますのでご覧ください。』
次のVTRはオーディションが始まる前~挨拶までと、カットがかかる直前~僕が退場するまでに編集されていた
『この時、相田彼方さんは靭帯損傷しておりました。本当なら絶対安静だったそうですが、無理をしない、足を使わないとの約束で演技指導や発声練習など、出来ることをされていたそうです。
ただオーディションの時は役に入りきった為痛みを忘れ無茶をされました。
あの後、事務所の方や役者仲間、マスコミにまで怒られていました。』
アナウンサーの方がそう言うとスタジオから笑いが漏れる
このアナウンサーの人、どこかで見たと思ったらオーディションの時と、記者会見の時に居た人だと思い出した
じゃあ、この人が有志に参加して東井の上の人に直談判してくれたのか…
『あの時は、まさか彼の身にあんな恐ろしい事が起こっていたとは、我々は思いもしませんでした。相田彼方さんを知る方は、彼の事を、礼儀正しく、仕事熱心で努力家、細やかな気配りのできる青年だと話します。
では何故、彼は細井容疑者の標的となったのでしょうか。こちらをご覧ください。』
ガラガラと大きなボードが出てくる
『まず事件の発端です。
相田さんの事務所では、役者はS~Fまでのランク分けがされます。実力主義の為、日々の活動や仕事に応じて2年間毎にランクが変わるそうです。』
ボードには事務所の体制や細井達の関係性が書かれていた
『細井容疑者はEとFランクのマネージャーをしていました。
相田さんは入所したばかりで、まずは演技指導等の基礎勉強をしながら映画の撮影に参加されていました。
その為、レッスン場ではE ・Fランクの役者達と顔を合わす事も多かったようです。
こちらの調べによりますと、細井容疑者は1年程前に逮捕された、当時事務所に所属していた生田一樹、高松健二と共謀し、同じランクの役者に嫌がらせを行い、無理矢理お酒の席へ連れていき、他の事務所へ引き抜こうとしていました。この3人はそれ以外にも、事務所のマニュアルや役者の育て方等の企業秘密を横流ししていました。
彼らが横流ししていた人物は、大手芸能事務所の社長で、こちらも既に逮捕されています。
事務所ぐるみではなく、社長の独断で行っていた事は既に、警察の捜査で明らかとなっています。
相田さんもこの2人に嫌がらせやお酒の席への参加を強要され、断ると物を盗まれたりと行為はエスカレートしていきます。
我々は以前事務所に在籍し、被害にあった方へ取材をさせていただきました。こちらをご覧ください。』
またVTR が始まった
首から下だけが映し出されている
『今日は事務所に在籍してた時の事をお聞きしたいんですが。』
『はい、俺が在籍していたのは2年前です。ちょっとづつ仕事が増え始めた頃ですね。』
『それなのにお辞めになった理由は?』
『生田と高松です。当時、自分達が上手くいかないからと、同じランクだろう人達に度々当たり散らしてました。
事務所はランクを公表しません。知っているのは自分と事務所のスタッフだけ。けど、仕事がなくてレッスンに来るメンバーって大体同じなんで、EかFかまではわからないけど、どっちかなのはわかるんです。
たまに、テレビに出てる人や舞台に出てる人、雑誌に出てる人とか叶さんとかも顔を出すんですけど、演技力とか見ても自分達よりランクが上なのは分かるじゃないですか。』
『確かに、それにちゃんとテレビや舞台、雑誌で勉強していたら分かりますね。』
リポーターが頷く
『あいつら、自分達より明らかにランクが上の人達が居る時は大人しくしてるんですけど、俺達しかいない時は酷くて。我慢できなくなって社長に状況を伝えたんです。』
『社長さんはどうされたんですか?』
『直ぐに動いてくれました。事務所のスタッフから、指導してくれる先生、俺達役者全員から聞き取りをしてくれて、あの2人は1カ月謹慎。その間の給料も無しで、その後半年は減給、もし次問題を起こしたら解雇だって皆の前で言ってくれました』
『…それなのに、何故貴方は辞めてしまったんですか?』
『あいつらの謹慎が終わった後、講師や事務所のスタッフ、マネージャーが目を光らせてくれてたんで、しばらくは平和だったんです。
けど、俺が辞める2カ月程前かな…細井がマネージャーとして入ってきてから、またあいつらから嫌がらせを受けたんです。
勿論直ぐに社長には報告したし、社長も動いてくれました。
けどあいつら、「そんな証拠、どこにあるんだ。前に嫌がらせしたことは事実だが、その仕返しをしたいからって嘘をつくな。」と言い出したんです。
確かに証拠なんて無くて…社長は直ぐに防犯カメラを付けてくれました。
でもあいつら、カメラの死角を知っていたのか、毎回カメラの死角で暴力を振るうようになって。
でもカメラには映ってないし、誰もいない隙を狙ってやるからどうしようもなくて…。
稽古の後、帰宅中に拉致られてキャバクラに連れて行かれたことも何度もあります。
そのキャバクラで、以前逮捕された社長に会わされ、移籍しろって強要されたり、無理矢理酒を飲まされたりしました。』
『そんなことがあったんですね…』
『我慢の限界で、これ以上こんなことをするなら訴えると言ったら、その社長の隣に居た若い男が、自分は弁護士の卵で、君がいくら訴えた所で証拠もない。逆に君や事務所が訴えられるって言われて…その時の俺は法の知識なんてないし、社長に迷惑がかかるって思ったら手も足もでなくて…』
青年は悔しそうに拳を握った
『これ以上は我慢の限界で、でも社長に迷惑をかけたくないから、自分が辞める事にしたんですか?』
『はい。社長に全て話しました。必ずどうにかするから、辞めないで欲しいって言ってもらったんですけど、当時の俺は限界で…
あいつら姑息だし証拠を集めるのも時間がかかるだろうって思って…
社長はそんな俺の気持ちを理解してくれて、この件が解決した時、まだ役者をやりたいと思ったら戻って来て欲しいって言ってくれて…。』
『そうなんですね。あの2人は逮捕されましたが、事務所に復帰はしないんですか?』
『今…まだ迷ってます。逃げた俺が本当に戻って良いのかどうか。
演技するのは大好きだし、戻りたい気持ちが強いですけど…細井があいつらの仲間だったって聞いた時、納得したんです。それから恐怖も感じました。』
『納得?どういう意味ですか?』
『ほら、防犯カメラの死角を何故あの2人が知ってたと思います?細井が彼らに情報を教えてたんだと思いますよ。
それに細井がマネージャーになってから嫌がらせが再開しましたし、後から気づいたんですけど、稽古終わりに拉致された時って、稽古場に細井が居た日だけなんですよ。
最初から細井も仲間だったんだと思います。
相田さんが被害にあう前に気づけてたら、相田さんが被害にあう事もなかったのに…』
VTRはここで終わり一旦CMに切り替わった
VTRの途中から鼻をすする音が聞こえていた
隣を見ると永倉さんが悔しそうに泣いていた
僕達は何も言わず、そっとタオルを渡し続きを見た
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けどそれを拒否すると、精神的に追い詰めて芸能界から追放していった。
被害にあった他の方からもお話を聞きましたが、皆さん移籍を強要された時に、警察沙汰にするだとか、弁護士に相談すると言ったらしいんですが、弁護士の卵と名乗る男に「証拠がない、こっちが訴えても良いんだぞ。そうすれば迷惑がかかるのは、お前達の事務所や社長だ」と脅されたらしいんです。』
アナウンサーのアップからスタジオ全体の映像に切り替わる
コメンテーターの人と他のアナウンサー、東井テレビの会長まで出演していた
『その自称弁護士の卵は移籍強要した社長が逮捕された時、逮捕されてないですよね?その男は一体誰なんですか?』
東井テレビの会長が質問する
『はい、実は私共は相田さんの会見後から独自に細井容疑者を探していたんです。
会見の時に、叶さんが仰ってた事ですが、警察がなかなか動かなかった・捜査をしなかった等問題があったと。』
『覚えてますよ。記者会見を見ていた視聴者からも警察に苦情の電話が殺到しましたよね。』
女性のコメンテーターの方が頷く
『我々も、今回の事件には疑問を持ち、役員に掛け合って独自に捜査を開始しました。
しばらくして、あの会見を見ていた一般市民の方が有志で事件の捜査をしている事を知ったんです。
我々はその代表の方と連絡をとり、一緒に捜査する事になりました。
これから見ていただくのは、我々と有志の方達との細井容疑者逮捕までのドキュメンタリーとなります。
先にお伝えさせてください。細井容疑者を見つけ出したのは警察ではなく、我々と有志の方達でした。それではご覧ください。』
アナウンサーの言葉に、視聴者のツイートがすごい早さで書き込まれていく
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『はーーーー?!!』
など一言二言の文字が高速で流れていた
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