【完結】ただのADだった僕が俳優になった話

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細井はがむしゃらに自転車を漕いで、休憩を挟みつつ神奈川までやって来た
大分疲れたのか、駅近くのネットカフェに入ったのを確認し神奈川警察へ連絡する

すぐに警察がかけつけ、細井は逮捕された

店から出てくる所やパトカーに乗せられるところも全てカメラで撮影した

細井は取材班の姿を見つけると、驚愕の表情をしたまま連行されて行った

時刻は調度7時前、局にゴーサインを出し速報として用意していた原稿を読んでもらった

車の中で撮ったばかりの映像を直ぐスタジオへ送信、放送してもらった






これは我々有志で集まった者達の記録である

ここに、嘘や偽りは一切なく、証拠となる映像や証言を記した書類等を、今後の警察の捜査状況によっては提出するつもりである

しかし、この期に及んで警察の面子を守ろうだとか、庇いだて、隠蔽をするのならば、提出はせず、裁判で争うこととする

有志一同





VTRが終わり、スタジオのコメンテーターも僕達視聴者も言葉が出なかった


『見ていただいた通り、細井容疑者は警視正の息子と懇意にしており、細井容疑者が関わった可能性があると判断されたからこそ、相田さんが行方不明になっていた際、圧力がかかり捜査が難航。勿論、必死に捜査をしようとした警察官もいるのでしょう。
ですがこのご時世になっても、警察は縦社会のまま、下が声をあげても握りつぶされる。
視聴者の皆さん、我々と共に声をあげてください。
警察官本人やその家族が関わる事件を隠蔽されないように。
次の被害者は貴方本人かもしれない、貴方の家族、恋人、友人かもしれないのです。』


アナウンサーの言葉に、止まっていたツイートが復活する

物凄い早さで流れるそれを目で追うことができなかった


あんなに沢山の人が、僕のために動いてくれていた
僕の不安を、会ったこともないのに理解してくれていた

僕が不安を背負ったまま過ごさないようにと、あんな危険な事までして真実を明らかにしてくれた


涙は止まることなく流れ続けた

永倉さんも泣いてたし、頼さんも目を潤ませ鼻をすすっていた








次の日、朝から各テレビ局は大々的にこの事件を取り扱う特別ニュース番組に変わっていた

警察にも抗議の電話が鳴りやまないらしい

ニュース番組では、今この瞬間、犯罪被害にあわれた方のSOSが届かなくなるので、電話ではなくメールや手紙での抗議をするよう異例の呼び掛けもされた

逐一警察の動きは報道され、まず始めに警視正と息子が逮捕された

お昼頃になって、僕の事件の管轄だった警察署の幹部と事件の捜査をした警察官への取り調べが始まったと報道された

その後、赤坂のクラブに強制捜査が入った

SNSでも、この話題で持ちきりになっている

特に有志の代表である青年を褒め称えているツイートがよく流れてくる


お昼過ぎに、響さんと志野さんが到着した

響さんに抱き締められて、ホッとして、またいっぱい泣いた

志野さんも目が真っ赤で、昨日韓国で響さんと一緒に特番を見たらしい

響さん曰くずっと泣いてたそうだ

頼さんに抱き締められて志野さんもまた泣いていた

あの時、志野さんはずっと心配しながら警察へ再三抗議し、僕を探すよう動いてくれていた人だから、余計思うことが有ったんだと思う

「私と同じように彼方君を想って行動してくれる人達があんなに…!」と凄く感動したらしい


そして夕方から、僕達は会見に挑む

前の会見では、まだ味方とか敵とかそんなものに振り回されていた

けど、ただ見えないだけで、僕を支えようと思ってくれている人達がこの世界には沢山居るのだと知った

だから大丈夫

右を見れば響さんが優しい眼差しで僕を見ててくれる

前を向けば、常に全力で僕を守り助けてくれる志野さん、頼さん、永倉さんがいる。
後ろを向けば、縁の下の力持ち、事務所の人達がいる


左を向けば、心配して集まってくれた役者仲間や監督がいる


祖母が死んで、この世界に入るまでは、僕は独りぼっちだと思ってた

けどこの世界に入って独りぼっちじゃないって知った

だからもう、大丈夫







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