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浮気報道
しおりを挟む日本に帰国後、僕は頼さんから「ミュージカルの話が来てるから、歌えるようになれ」と言われ、ミュージカルの歌い方のレッスンに明け暮れた
普通に歌うのとは訳が違う
感情移入させ、強弱をつけ、響かせる
台詞を歌にし、歌で喜怒哀楽を表現する
凄く難しくて、舞台に立てるラインまでの道程は厳しかった
響さんが喉に良い飲み物を差し入れてくれて、家ではお風呂に入る前に浴室を湯気で満たしておいてくれた
皆がサポートしてくれたお陰で、オファーが来たミュージカルに参加した際、ミュージカル俳優の方に歌を誉めていただけた
普通の舞台と違い、動きながら歌うのは体力もいるし筋肉も要る
筋肉がないと歌声がブレてしまって、めちゃくちゃ下手に聞こえるし格好悪い
筋トレにも精を出していたら激やせしてしまって、響さん志野さん頼さんが心配して栄養があって筋肉がつきやすい食事を3食準備して食べさせてくれた
響さんは自分の仕事があるのにサポートしてくれて、この3人には本当に頭が上がらない
そんな中、また突然に夕日集間にデタラメな記事を書かれた
そう、細井事件の際、僕と響さんの熱愛を報じたあの雑誌である
今回の内容は『相田彼方、浮気発覚!』との見出しで『叶響と熱愛中だったはずの相田彼方が、8月11日の深夜、女優の充希の家から手を繋いで出てくるのを記者が発見した。(写真1)
相田彼方と充希は腕を組み手を繋いで寄り添って歩いていく。我々が後をつけると、近くの飲食店へ入っていった。
飲食店では、充希が楽しそうに笑って要る姿が見てとれた。(写真2)
その後2人は寄り添ってまた充希の家へ戻っていった。(写真3)
叶響とは別れたのか、浮気なのか、果たしてどちらなのだろうか。』
との記事だった
基本、こういった記事は事務所に事前連絡がある
こういった記事が出ますからねと一報が入るのだ
けどここの雑誌は、前の時もそうだが連絡してこない
「あの…充希って誰ですか?」
僕の言葉に、響さんも頼さんも「誰だろ?」と首を傾げる
「調べてみますね」
志野さんも知らないのか、直ぐに調べてくれた
「充希(27) 歌手・女優。出演作品は…聞いたことのない映画に数本出てますね…役名がないのでエキストラに近いのかな?
歌手活動もしてるみたいですけど、特にタイアップされた曲も無いしあまり売れてないみたいですねぇ」
志野さんの言葉に、頼さんが「売名目的か。夕日集間は前の時恥をかいたし、雑誌の売れ行きが落ちたみたいだから手当たり次第ってとこか?」って言っていた
今回はいちいち記者会見などはしないけど迷惑な話である
永倉さんが夕日集間に大激怒し抗議の連絡を入れると、充希本人が相手は相田彼方だと証言したから記事を書いたと反論してきたそうだ
それにまた怒りを爆発させた永倉さんは、充希さんの事務所へ抗議、売名行為を訴えると言えば、充希と相田彼方は付き合っていると聞いていると向こうの事務所は主張してきた
「彼方、響。事務所前にマスコミが集まってるから、ハッキリと事実無根、相手の売名行為だと言ってこい!」
本当は永倉さんがコメントする予定だったけど、僕達本人が出た方が相手に深手を負わせれると判断したようだ
僕達は永倉さんのぶちギレに苦笑いしながらマスコミに話に行った
「彼方君!変な記事が出たんだけど!」
「二人はラブラブだよね!?」
「ってか記事見た??どう見ても彼方君には見えないんだけど!」
わらわらと集まってきたマスコミの皆が口々に言う
誰もあの記事を本気にしてないようだ
「皆さんお騒がせしてすみません。あの記事は先ほど見たんですが、僕は充希さんって方を存じ上げなくて、志野さんが調べてくれたんですが、やはり面識ない人なんですよ」
僕が困ったように眉を下げると「やっぱりかー」とか「だよねぇ?」とか返ってくる
「それから、記事に書かれた日ですが、私と彼方とマネージャー達はカナダで撮影してまして日本に居ません。これは撮影現場に居た赤松監督や、渡辺さんや佐藤君が証言してくれると思います。」
響さんがそう言うと「『涙の花束を』の撮影か!」「ならどうしてこんな記事が?」とか声が上がる
「先程うちの社長が、夕日集間へ抗議したら充希さんって方が相手は彼方だと言ったらしいんです。彼女の事務所へ抗議すれば充希さんからは彼方と付き合ってると聞いていると言われまして…」
「僕の恋人は響さんだけです。見ず知らずの人に勝手に恋人扱いされて気持ち悪い…」
わざと響さんの腕にしがみついて顔を擦り寄せる
響さんも僕の頭をナデナデして優しく笑ってくれた
僕達ラブラブですよと見せつけておいた
マスコミの人達は「アイツら強いてくるから大丈夫だよ!」「売名行為は許さん!」「売名行為女として有名にしてやろうじゃないか」「同じ記者として恥ずかしいから、そろそろ引退してもらわないとねぇ…」なんて言いながら帰っていった
「やっぱりマスコミに可愛がられてる彼方は凄いな!誰もあの記事を信用してないどころか、敵討ちしに行ったぞ」
永倉さんが楽しそうにゲラゲラ笑ってる
きっと窓から、僕達とマスコミのやり取りを見ていたのだろう
その後、マスコミは夕日集間と充希さんの事務所と本人を追いかけ回し、双方からあの記事がデタラメで、一緒に写っていたのは事務所の人で恋人に見えるよう写真を撮っただけと白状させていた
夕日集間は僕の名を落とさせるのが目的で、充希さんって人は僕の名を使って有名になる為、双方の利害が一致した結果、今回の記事になったそうだ
とんでもなく迷惑だった
「…浮気かぁ」
仕事が終わり家で寛いでいる時にポツリと呟く
「何…?浮気が気になるの?」
隣に居た響さんがすぐ反応した
「いや…世の中の人はさ、実際のところ別れなくても浮気されたとか、浮気した人って多いんだろうなぁって思って。」
「まぁ、そうだな……」
「響さんは浮気されたり、浮気したことあるの?」
「ないよ。彼方と付き合うまで、付き合った経験がない」
「は……?いやいや…それはないでしょ…?」
このスペックの男を世の女性がほっとくはずない
「15でこの世界に入っただろ?永のガードがキツくて異性と連絡先を交換することさえ許されなかったから。この世界に入るまでは喧嘩三昧の日々だったし。」
「そうなんだ…」
てっきり取っ替え引っ替えしてたのかと思ってた
「でも永には感謝してる。あんだけ厳しかったから、変にスキャンダルとか騒がれなかったし、彼方を恋人だって宣言した時もすんなり受け入れてもらえた。もし俺が遊び人だったら、永も許さなかっただろうし、世間からも批判の嵐だっただろうから。」
「あぁ……この前のアイドル君みたいに?」
「そうそう」
この間、人気急上昇のアイドルの1人が女性アイドルと匂わせをして現在叩かれてるんだよね
アイドル君の女性経歴まで取り上げられて、それがまたエゲつなかった為、終息はまだ先じゃないかなぁ…
「それにさ、浮気って結局、愛されたい症候群の人がやるんだと思うよ。常に誰かに愛情表現して欲しいって。」
「愛されたい症候群か…」
「うん、だから俺は絶対に浮気しないな。彼方が常に愛情表現してくれてるから。愛されてるって常に感じてる」
ヒョイッと膝に乗せられてキスが降ってくる
「それは僕も同じだよ。毎日響さんに愛されてるって思うもん」
僕からも響さんへキスを返した
今回の件は、ただただ僕達の愛を確かめるための物へとなったのでした
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