61 / 61
従兄弟と元親戚
しおりを挟む
私の名前は安藤桜。
私には武志という幼馴染みがいる。
武志の家はお金持ちだ。
武志の祖母が地主だったから、遺産は沢山あるらしい。
でも近所の人達はみんな知ってる。
その祖母も祖父も、ずっと武志の家族とは疎遠だった事を。
祖父は東京の病院に入院していて、祖母は東京に住んでいる長男夫婦と共に暮らしている。
生前贈与で今住んでいる家や他の土地を貰ったにすぎないこともだ。
しかし、東京に住んでいた長男夫婦が事故で亡くなったらしく、高校生になる息子と祖母の二人暮らしになったと噂になった。
けど武志の家族は二人を引き取ることはしなかった。
「心配じゃないの?」って聞けば「従兄弟の事好きじゃないんだよ。あいつ頭のできがよくて、昔から親戚が集まれば比べられてたんだぜ。
それに母さんがばあちゃんと折り合いが悪いから絶対引き取らねぇって言ってたし。
子供の俺が何を言っても無駄だよ。」と言っていた。
武志の母親は都会から嫁に来た人で、田舎の暮らしは好きじゃなく、よく愚痴を言っているのを近所の人は聞いている。
お金に執着していて農業の作業中も、家畜の世話の時も上等な服を着ている。そんな嫁を武志の祖母は嫌っていた事も有名だ。
長男夫婦が亡くなってから4年、祖母が亡くなったらしい。
「父さんは、じいちゃんをこっちの老人ホームに引き取りたいって言ってるんだけど、母さんが絶対に嫌だって。
父さんは自分がじいちゃんの面倒はみるって言ってるんだけど、金がかかるから母さんは嫌がってるんだ。」
武志は毎日両親が喧嘩していて、家に居たくないと私の家に避難してくる。
田舎だから、すでにこの事は広まってしまっていた。
武志の家に親戚一同が集まって話し合いが行われたと噂になった。
そしてまた武志が家に来たが、思い詰めたような顔をしていた。
「…どうしたの?」
「…じいちゃんを引き取ることになった。」
武志はそう言うと泣き出した。
「え?ちょっと……何があったのよ?」
「久々に会った従兄弟…すげぇ痩せてて……俺バカだった…両親が死んで、何もしてやらなかった…俺と同い年なのにばぁちゃんを支えて、ばあちゃんが病気になっても、一人で看病して介護してきたって遺言書に書かれてて…」
「…そっか」
「なのに母さんが親戚の皆の前で、従兄弟と遺言書に書かれていた相続人全員が、ばあちゃんの遺産の相続を放棄するなら、じいちゃんを引き取るって!従兄弟には、二度と関わりを持たない赤の他人になる、縁を切るって一筆書けって!」
武志は自分の太股に何度も拳を打ち付けている。
「…そんな酷いことを…?遺言書があるのに?」
「遺言書は絶対じゃないんだって…相続人が相続放棄することができるって…」
「だからって…」
「うちは生前贈与されてるから、現金を少し残すって書かれていて、母さんはそれが気にくわなかったんだ……。従兄弟も他の親戚も母さんに呆れてて、従兄弟だけじゃなく他の親戚も縁を切る事に同意した…。」
「おじさんは!?何も言わなかったの!?」
「何も言わなかった…ってか、従兄弟の相続額を聞いて母さん側についた…。マジで情けねぇよ…。」
「お金は人を変えてしまうっていうものね。」
「…俺、家と縁を切るよ。」
「は?」
「従兄弟と少し話したんだ。親の遺産で生活して、バイトして、大学は成績優秀者が受けれる奨学金を受けて通っているらしい。
俺も成績は上位だし来年申請する。大学の寮なら安くで入れるし、俺もばあちゃんが生前贈与してくれたお金があるから、やりくりしていく。」
「…そんな簡単なことじゃないよ?成績をキープしながらバイトして一人暮らしなんて…」
「分かってる。でもアイツはもっと大変な生活をしてたんだ。そんな時、俺はちっぽけな嫉妬心からアイツを気にかけることもしなかった。俺がこんな事しても意味がないってわかってるけど、俺は両親みたいになりたくない。だから家と縁を切るよ。」
「……武志。」
それからすぐに、私と武志は大学の近くで同棲を開始した。
武志の事情を聞いたうちの両親が「私を将来嫁にするなら家賃だけ援助してやる」と言い出したからだ。
付き合っていた訳じゃないけど、私は子供の時から武志が好きだった。
武志も子供の時から私を好きだったらしく、うちの両親は私達の気持ちを知っていたみたい。
武志は将来、結婚はしたいが今私の両親に頼るのは…と言ったが、私の父が結婚前に同棲することで見えてくる部分がある、自分達も学生時代同棲してたから、娘には同じように経験してから結婚して欲しいと押しに押して、同棲が決まった。
そしてあの事件が報道された。
その日はお互いバイトがなく、家でのんびりしていた。
「え…彼方!?」
武志の声に振り返ると、見覚えのある人がテレビに映っていた。
どうやら武志の従兄弟は俳優になったらしい。
武志と私はその生中継の会見を見た。
彼方君が殺されかけていた事には衝撃を受けた。
「何で……何で彼方ばっか…何でだよ…」
武志は辛そうな顔で最後まで会見を見ていた。
それでも武志は彼方君と連絡を取ったりはしなかった。
自分が関わればきっと両親が関わって来るからと。
武志が両親と縁を切った時は壮絶だった。
武志のお母さんは怒り狂って、武志に手当たり次第物を投げつけ、武志のお父さんは武志に殴りかかった。
私のお父さんが止めに入って、近所の人も駆けつけて、大騒ぎとなった。
そのお陰でって言うのはおかしいけど、武志は両親と縁を切った。
そんな中、大学の友達からある誘いを受けた。
それは彼方君を殺そうとした犯人を探す有志に参加しないかというものだった。
その友人は武志と彼方君の関係を知らないから、本当にたまたまだったのだ。
武志はすぐにその有志に参加した。
元々武志は頭が良いから、有志の中でもリーダー的存在になっていった。
仲間はどんどん増えていき、最終的に犯人を捕まえる事ができた。
彼方君が会見を開いた時、私達は有志の代表とリーダー達と一緒にその会見を見ていた。
武志は彼方君の笑顔を見て安心した顔をしていた。
「なぁなぁ、前から思ってたんだけどさ。武志って彼方君と似てない?」
代表の言葉にドキッとする。
「そうか?俺はこんな中性的じゃないと思うけど。」
武志は冷静にそう返していた。
私達は、大学を卒業する少し前から、代表達と起業した。
彼方君の事件がきっかけだったその会社は、探偵事務所。
大学卒業と共に私達は結婚し、二人とも探偵事務所に就職した。
「何だって?」
彼方と響が事務所へ来ると、社長室へ通された。
本来休みのこの日、ここに来たのも大野さんから呼ばれたからだ。
「相手は彼方の叔父と叔母って名乗ってるんだけどさぁ。その人達って、彼方に縁切りを迫った人達でしょ?」
永倉がプリプリしている。
「本当に叔父さん達なんですか?」
彼方は大野さんに再度確認する。
「一応、戸籍謄本まで持って来られてね。免許証と戸籍謄本でその叔父さん達だと判断したよ。」
「何で今さらそいつらが、彼方を訪ねてきたわけ?」
ガルガル響は、彼方を背後から抱きしめている。
「それがねぇ…お祖父さんの病院代が足らなくなったから、相談したいとか言ってたんだよねぇ…」
大野さんも、彼方の家の事情は知っているためため息を吐く。
「おかしいだろ。ばあさんの遺産を一人占めにした癖に金がねぇ?どんな使い方したらあの莫大な金がなくなんだよ。」
「こらこら、響。口調が昔の不良時代みたいになってるよ。」
ガルガル響は彼方の事になると、とても沸点が低く、言葉遣いも悪くなりがちである。
「叔父さん達は僕と会えるまでホテルに滞在するって言ってるんですか?」
彼方は響の口の悪さも気にせず、響の手を優しく撫でる程度だ。
「そうらしい。親戚が親戚に会う事に事務所は関係ない、住所を教えろって言ってきたからねぇ。彼方の家は響の家でもあるわけで、教えれないし、親戚って言うなら家くらい知ってるのが普通ではないかって志野に攻撃されて黙りこんでたがな。」
志野は「当たり前の事を言ったまでです。」とツンとしている。
「何でホテルなんだろう?僕の従兄弟がこっちに住んでるはずだけど…大学卒業後、実家に戻ったのかな?」
彼方は首をかしげる。
「どうする?会うか会わないか。」
永倉の問いに、彼方は少し考えてから「会いません。ホテルに滞在したいなら勝手にすれば良い。僕はすでに縁を切ってますから、今さら頼られても困ります。」と答えた。
そしてこの事は、大野さん達に任せることになった。
その後、彼方と響は久々に駿に会いに、駿の事務所へ訪れていた。
「はい、これお土産ね。」
彼方が海外のお土産を渡すと駿は嬉しそうに受けとる。
「俺も、はいこれ。この前北海道まで仕事で行ったから、そのお土産。二人で食べて。」
駿もご当地のお土産を渡す。
「いつもありがとうな。これ、事務所の皆で食べて。」
響も駿に手土産を渡す。
「響君もありがとう!おっ!これこの前テレビで紹介されてたやつだ!」
駿は彼方にも響にも芸能人としてではなく、友達として接する数少ない人だ。
お互いに忙しい身ではあるが、こうやって会いに来たり家に遊びに行ったり、出掛けたりする程仲が良い。
「今日は皆出払ってるの?」
「いや、全員であたっていた事件が解決したから今日は休みなんだよ。けど、提出する書類に不備があって今メンバーの一人が提出しに行ってくれてる。」
会う約束の前日、急遽待ち合わせ場所が事務所になった。
本来の待ち合わせ場所はこの事務所の最寄り駅だったが、何時までかかるかわからなかったのでここに集合場所を変更した。
正直この3人には場所など関係なく、喋り出すとずっと喋っている。この前会った時はカラオケに行ったが、少し歌った後は時間になるまでずっと喋っていたほどだ。
おかげで、現在親友と言っても過言ではない程の仲となっているし、響も駿に対しては一切嫉妬しないという貴重な人物だった。
「戻りましたー。」「春君?あれ??居ない?」
書類を提出に行っていたメンバーが帰ってきたのだが、駿は奥の応接間で彼方と響と喋っていたため、所長用の机に居なかった。
「アイツどこ行ったんだ?」
「遅くなったから、どっか出かけたとか?」
「それなら連絡してくると思うけど…」
そんなことを話していると、奥から駿が出てきた。
「ごめん二人とも。今友達が来てるんだ。書類提出ありがとね。」
そう言う駿に、二人はハッとした顔をする。
駿がここへ入れる友達は叶響と相田彼方だけなのだ。
「そういえば、二人はまだ会ったことなかったよね?これからもここで会うことがあると思うから、ついでに挨拶しとこーか。」
「え…いや…俺達はもう帰るから…」
「そっ…そうそう!お友達との時間を邪魔しちゃダメだし!」
二人が必死に拒否している声は応接間まで聞こえていた。
ここで働いてるのは、あの有志のメンバーのみなので、なぜそこまで拒否するのか気になった彼方と響は、そっとドアの隙間から覗いてみた。
「…武志!?」
彼方は驚きのあまり大きな声を出してしまっていた。
「で?誰。」
地を這うような低い声を出し、不機嫌さマックスな響に、部屋の空気は重い。
応接室のソファーでは、ガルガル響に背中から抱きしめられ、膝に座らされている彼方と、向かいに座る男性と女性、1人掛けのソファーに駿が座っている。
「響、落ち着いてね?彼は僕の従兄弟で、河崎武志。隣は…武志の幼馴染みちゃん?お久しぶりです。」
プライベートの時の彼方は、響といる際常に響の膝か、隣にベッタリひっついているので、この時も人に挨拶する格好ではない事に気づいていなかった。
「お、お久しぶりです。今は武志と結婚しまして、河崎桜になりました。」
桜が戸惑いながらも挨拶を返す。
「え!?武志、結婚したの!?」
「あ…ああ。」
「そっか、おめでとう!」
「いやいや、彼方こそ結婚おめでとう。大分前だけど、直接言えてよかったよ。」
「武志…」
「ちょいちょい!二人して何か感動の再開みたいになってるけど、俺と響君は意味わかんないからね!?」
駿が待ったをかけ、響もブスッとした顔を隠しもしない。
「えー…だから、僕の従兄弟なんだって……あれ??何で武志がここにいるの?」
彼方の言葉に、響も睨み付けるのを止め首をかしげた。
「ここって、彼方の事件解決後に有志の代表とリーダー達が始めて、メンバーはその時の有志のみしか居なかったよな?」
響が駿に確認する。
「そうだよ!ちょ、武志ってカナ君の従兄弟なの!?何で言わなかったの!?」
「そ…れは…俺の親が彼方に縁を切らせたから、彼方は頼る人もいなくなって…俺も彼方の両親が死んだ時、手を貸そうともしなかったし…。
今さら親戚だなんて顔できねぇよ。」
武志の言葉に、駿は驚いた。
「え?武志の両親が??確か、お祖父さんの面倒を見る為に、全財産を相続して、今後一切関わるなって言ったって…。」
「そう、それを言ったのが俺の母親。父親も、彼方が相続する金額を知って母親側についたんだよ。自分の親ながら情けなすぎて、あの後俺も親と縁を切って家を出たんだ。」
「ちょっ!え!?縁を切った!?」
彼方は驚きすぎて体が前のめりになり、響の膝から落ちそうになったのを、響が慌てて引き戻した。
「おいおい、膝の上に居るんだから前のめりになるなよ。危ないだろ?」
呆れ顔の武志に、「それどころじゃないよ!」と突っ込む彼方。
「あの…武志と最後に会った日の事覚えてます?」
桜がおずおずと質問する。
「うん、覚えてるよ。帰る間際だったかな。本当に相続放棄するのかって言われて、うんって答えたんだ。そしたら武志が謝ってきて…別に武志のせいじゃないし、僕は気にしてなかったんだけどね。その後少し、大学の話とかしたかな?」
「それです。武志は両親に対して失望し、大学を成績優秀者が受けれる奨学金で通う事に決めて、家を出て大学の寮に入ってバイトしながら生活費を稼ぐ事にしたんです。」
「えぇ!?」
武志の無茶ぶりに、駿も彼方も驚く。
「いや、でも結局桜の親父が、桜と同棲するなら家賃を援助するから一緒に住めって言ってくれて。生活費はバイトで稼いで、大学は全額免除で卒業まで行けたから。」
「全額免除って君、凄く優秀なんだね?」
警戒心が解けたらしい響も流石に驚いている。
「いえ、彼方に比べたら全然ですよ。俺昔から親や親戚に彼方と比べられてて、ここの跡継ぎなんだからもっと頑張れって言われてたんで。」
「そんな事言われてたの?まず土台が違うじゃん。僕は偏差値も普通の学校だったけど、武志は偏差値70超えの学校だったでしょ?」
「そうだけど、学年で1位の彼方と学年10位の俺ってしか見られてなかったからな。
あの時は彼方の事逆恨みしてた、ごめん。」
「いやいや、武志が謝る事じゃないからね!?さっきから謝ったり懺悔みたいになってるけどさぁ……え、もしかして、有志に参加してた理由ってそれ?!」
彼方は武志が自分の親の仕出かした事や中学生の時に何もしなかった事を後悔し、贖罪として参加していたのだと気づいた。
「それもあるけど…彼方の会見を家で見てたんだ。何で彼方ばかりこんな目に遭わなければいけないのかって……両親が死んで、ばあちゃんの面倒を一人で見て支えて、挙げ句の果てには相続放棄させられて縁切られて…今度は殺されかけるなんてあんまりだ。
友達から有志の話が来た時、絶対に犯人を捕まえるって決めたんだ。
彼方が今まで苦労してきた分、これからは信頼できる人の隣で幸せになれるように、俺にできる事をしたいって思っただけだよ。」
「なるほど。それで駿にも彼方の従兄弟だってことは伏せて、有志で活動してたのか。」
この時すでに響は武志の本質を見抜いていた。
「何で…連絡の一つでもしてくれたら…」
「できるわけないだろ?彼方に不義理をしたのは俺の元家族なんだから。それに、俺が彼方と連絡をとっていることがアイツらに知られたら、それこそ金をせびってくるだろう。」
武志の言葉に、響と彼方は顔を見合わせる。
「………おい、なんだその反応は…まさか……本当に金をせびられたのか!?」
武志はガタンと立ち上がった。
「えーっと……」
彼方は武志の気迫に、「これは下手なことを言えないぞ…」と思い言葉を探す。
「ここに来る前に、俺達の事務所から呼び出しを受けたんだ。彼方の叔父と叔母が会いたいと押し掛けてきてるってね。なんでも、お祖父さんの入院費が足りなくて相談したいらしい。」
言葉を探している隙に、響が言葉を選ばず喋ってしまった。
「あのクソ野郎共!入院費が足りない!?一億相続しただろうが!どうやったら数年で使い切んだよ!」
鬼の形相とはこの事か。
駿はドン引きしている。
「一億も相続したの?でもほら、相続税とかで半分以上持っていかれるって言うし…武志の家って、家畜もいるし、畑もしてるって言ってたから、どっか壊れたりしてお金が嵩んだとか……」
駿が落ち着かせるため言った言葉に、武志は首を振る。
「相続税とか引いて、手元に残ったのが一億だ。ちなみに実家は生前贈与の際新築に建て直し済みだし、ついでとばかりに鶏小屋を増築して、その時リフォームも済んでる。畑もビニールハウスを新しくしてたから、金を使うところなんてないはずだ。」
こればかりは駿も口を閉ざすしかなかった。
別に武志の親を庇おうとしたわけではない。
ただ、武志の顔が今にも人を殺しそうな程怒り狂っているので、どうにか宥めようとした結果である。
「それで?奴らはどこにいるんですか?」
武志は響に尋ねる。
「それを知ってどうするの?」
響はニヤニヤ笑い始めた。
この顔をする時は、ろくでもない事を考えている顔だと知っている彼方と駿は焦る。
「社会的に抹殺してきます。」
「そう。なら俺に協力してくれるかな?」
「ちょっと響!何する気!?」
彼方は響の方へ体を向け胸元を掴む。
「奥さんには内緒。奥さんの周りを飛び回るハエを駆除するのは旦那の仕事だからね?」
響はニッコリ笑って、彼方の頬にキスをした。
「ほわぁ~、本当にラブラブなんだぁ」
マイペースな桜がポツリと溢すと、彼方は冷静になり、顔を真っ赤にさせた。
明くる日、響と武志は、武志の両親が滞在中のホテルへ来ていた。
すでに大野さんから武志の両親には彼方の意向は伝えてあるが、諦めることなく滞在中である。
響と武志はあの初対面後、彼方について話したり、桜の話しをしたり、武志の両親について話したりと意気投合していた。
この二人根本的な所がよく似ていた。
敵と見なせば容赦なく、自分が守ると決めた者には全力で守り抜く。
頭も良い所が厄介で、二人揃うとこういう時止めれる人がいない。
二人で両親をどうするか話し合いが行われ、蚊帳の外になった彼方と駿と桜は三人で喋っていた。
彼方と駿は、桜から武志の家の事や武志のこれまでの事を聞いていた。
その一つ一つに、駿も彼方も驚いていた。
さて、そんな最強の二人が両親と対面しているわけだが、両親は縁を切った息子まで登場するとは思っておらず、動揺していた。
「彼方に金をせびりに来たそうだが、どういうつもりだ?」
息子にそう言われ唇を噛む。
彼方と響だけなら、家の事情を知らない二人を丸め込めると思っていたのに、息子が出てくると話は変わってくる。
「そんなことより、何で貴方がいるの?私達と縁を切った親不孝ものが、のこのこやって来るなんて。」
母親は武志を睨み付けた。
「親不孝?笑わせんな。お前達こそ、よくのこのこと彼方に会いに来られたな?自分達から二度と関わるなと言っておきながら、金の無心とは厚かましいにも程がある。」
武志にそう言われ、母親は余計怒り出した。
「あのじじいの入院費がどれだけかかると思ってるの!?」
「ずっと入院してる訳じゃないだろう。本来なら家からデイサービスに行くくらいで問題なかったはずだ。
どうせ自宅に居られるのが嫌で、入居型介護施設も近くに無いから、無理やり入院させたんだろ?
病院からは何度も退院するよう言われてるのに。」
「な…なんで貴方がそんな事を知ってるのよ…」
「嫁のお義母さんから聞いた。看護師だからな、桜のお義母さん。」
「ちょっと待ちなさい…嫁って…お前結婚したのか?」
今まで黙っていた父親が驚きの表情で武志を見る。
「そうだけど?」
「俺達は何も聞いていない!うちの嫁になるのに挨拶もないなんて、一体何を考えてるんだ!」
この父親の言葉に、武志も響も呆れていた。
「あのさ、俺とあんた達は縁を切ったんだぞ?その事ちゃんと理解してるか??
子供が言う絶交を意味する、縁を切るじゃなく、法的に縁を切ってるんだよ、俺も彼方も。」
「それがどうした!」
武志も響も「こいつ理解してねぇ」と思った。
「いいですか、法的に縁を切る場合は本当に赤の他人になるということです。
血縁関係にあったとしても、遺産の相続はできなくなるし、何かあったとしても連絡する義務もない。ましてや介護だとか、代々受け継がれてきた生業を継げなんてもってのほか。
この意味が理解できますか?武志が結婚したとして、赤の他人に報告する義務はないんですよ?
同性婚が法律で可能になった時に、絶縁の法律もできたんですよ?
彼方の時も武志の時も書類を書いたでしょう?そんなことも忘れたんですか?」
響は見惚れるような笑顔で言ってのける。
顔と話す内容が乖離しすぎている。
「だ…だが、縁を切ったと言っても親なわけだし…」
「縁を切りたいと思うような親なんですから、報告する訳がないでしょう?
彼方にしてもそうです。
貴方達は、彼方が大変な時に一度も手を差しのべなかった。それどころか、祖母が亡くなったとたんに彼方に残された遺産を奪い、縁を切った。
それなのに彼方に会いに来るとは、本当に困った人達だ。
それに貴方達にお金がないのは、投資詐欺に引っ掛かったからでしょう?お祖母さんがお祖父さんの為に残した遺産さえ勝手に使ったそうじゃないですか。痴呆症なのを良いことに、書類にサインさせたそうですね?」
「なっ…!!」
昨日の内に、武志と桜は地元へ戻り情報収集をしていた。
すると出るわ出るわ、元両親のやらかしが。
地元は田舎の為、大抵の事は皆が知っている。
団結力もあるし、余所者には厳しいけど身内にはとても良くしてくれる。
まぁ、たまに行きすぎな所もあるけるど、田舎とはそういうものだ。
ちなみに、武志の地元は昔ながらの考え方の人が多く、子は宝。不義理は許さない。
武志が縁を切った時、近所の人も駆けつけた事により武志の元両親は近所の人から見限られ、武志は皆から「縁を切るべきだ」と後押しされた経緯がある。
「全部調べはついてるよ。俺と桜が現地で情報収集と証拠を集めて来たから、出るところに出たら、あんた達は捕まるよ?」
「それから、彼方に対しても付き纏いや金銭の要求をしてますね。彼方の撮影現場に行ったり、手紙をスタッフ経由で渡したりしているのも調べはついてますし、証拠もあります。
俳優相田彼方へのストーカー行為、手紙の内容によっては脅迫罪で訴えますよ。」
武志と響に睨み付けられ、武志の元両親は震え上がった。
「まぁ、彼方への行為はすでに事務所に動いてもらったので、容疑が固まり次第警察に捕まるでしょうね。」
響は目を細めニヒルな笑みを浮かべる。
「じいちゃんの事も問題ないから。じいちゃんの方の親戚が面倒みてくれる事になったし。家とか土地を、じいちゃんの名前に変更しといて良かったよ。」
「「は??」」
武志の元両親は武志の言葉にポカンとしている。
「やっぱり気づいてなかった?生前贈与の時に、ばあちゃんにアドバイスしたんだよ。
『田舎の土地は、田舎を大切にする人に譲れるように今はじいちゃんの名義にしといた方がいい』って。『河崎家の嫁は金遣いが粗いから、借金の担保にされたら困るだろう?』って他の親戚もばあちゃんを説得してくれたんだよ。
ばあちゃんもその事に思い当たったのか、新築の家や鶏小屋、ビニールハウスについてはあんた達の意見を取り入れた。
けど、名義はじいちゃんに変更したんだ。」
「で…でも、生前贈与したって!」
「うん、じいちゃんにね。あのさぁ…あんた達は贈与税納めた?」
「…贈与税……?」
元父親はポカンとした顔をする。
「生前贈与してもらったら、貰った側に税金がかかるわけ。そんなことも知らないの?」
「武志、この人達が知ってるわけないじゃないか。縁を切ると言うことがどんなことかも知らなかったんだ。
それに、贈与税を知ってて払おうとすれば、自分達に贈与されてないことが分かるし、逆にわざと払わなかったのなら脱税している事になって罪が増える。
無知って怖いね。
武志はこの人達と縁を切って正解だよ。ここまで馬鹿な親ならいない方がいい。」
「ヒッ!!」
響に、まるで殺人鬼のような目で見られ、元両親はすくみあがった。
「とにかくさっさと帰って、警察が来るまでに身辺整理でもしとけよ。」
武志にまで冷たい目で見られ、元両親はもう何も言えなかった。
その後桜の父から、あの二人が相田彼方へのストーカー行為と脅迫、父親に対しての詐欺罪や殺人未遂罪(入院させるために、農薬を薄めたものを無理やり飲ませていた事が判明した。)、他にもなにやら母親の方がやらかしていたみたいで、複数の罪状で逮捕されたと武志に連絡があり、武志はすぐに響に連絡をいれた。
響と武志はあの件以降仲良くなり、響は彼方の小さい頃の話を聞かせて貰ったり、武志は桜へのプレゼントの相談や、普段からどうやったら喜ばせれるかなどの相談を響にしている。
初対面の時は、自分の知らない彼方を知っている従兄弟に対して警戒していたが、桜を見る目が自分が彼方を見る目に似ている事に気付き、彼方に対しては尊敬とか、憧れを宿した目で見ている事に気づいた為、警戒心や敵対心が消えた。
武志は武志で響を兄のように慕っていて、彼方に連絡するより響に連絡する方が多い。
そんな二人に、彼方はたまにヤキモチを妬く事になる。
私には武志という幼馴染みがいる。
武志の家はお金持ちだ。
武志の祖母が地主だったから、遺産は沢山あるらしい。
でも近所の人達はみんな知ってる。
その祖母も祖父も、ずっと武志の家族とは疎遠だった事を。
祖父は東京の病院に入院していて、祖母は東京に住んでいる長男夫婦と共に暮らしている。
生前贈与で今住んでいる家や他の土地を貰ったにすぎないこともだ。
しかし、東京に住んでいた長男夫婦が事故で亡くなったらしく、高校生になる息子と祖母の二人暮らしになったと噂になった。
けど武志の家族は二人を引き取ることはしなかった。
「心配じゃないの?」って聞けば「従兄弟の事好きじゃないんだよ。あいつ頭のできがよくて、昔から親戚が集まれば比べられてたんだぜ。
それに母さんがばあちゃんと折り合いが悪いから絶対引き取らねぇって言ってたし。
子供の俺が何を言っても無駄だよ。」と言っていた。
武志の母親は都会から嫁に来た人で、田舎の暮らしは好きじゃなく、よく愚痴を言っているのを近所の人は聞いている。
お金に執着していて農業の作業中も、家畜の世話の時も上等な服を着ている。そんな嫁を武志の祖母は嫌っていた事も有名だ。
長男夫婦が亡くなってから4年、祖母が亡くなったらしい。
「父さんは、じいちゃんをこっちの老人ホームに引き取りたいって言ってるんだけど、母さんが絶対に嫌だって。
父さんは自分がじいちゃんの面倒はみるって言ってるんだけど、金がかかるから母さんは嫌がってるんだ。」
武志は毎日両親が喧嘩していて、家に居たくないと私の家に避難してくる。
田舎だから、すでにこの事は広まってしまっていた。
武志の家に親戚一同が集まって話し合いが行われたと噂になった。
そしてまた武志が家に来たが、思い詰めたような顔をしていた。
「…どうしたの?」
「…じいちゃんを引き取ることになった。」
武志はそう言うと泣き出した。
「え?ちょっと……何があったのよ?」
「久々に会った従兄弟…すげぇ痩せてて……俺バカだった…両親が死んで、何もしてやらなかった…俺と同い年なのにばぁちゃんを支えて、ばあちゃんが病気になっても、一人で看病して介護してきたって遺言書に書かれてて…」
「…そっか」
「なのに母さんが親戚の皆の前で、従兄弟と遺言書に書かれていた相続人全員が、ばあちゃんの遺産の相続を放棄するなら、じいちゃんを引き取るって!従兄弟には、二度と関わりを持たない赤の他人になる、縁を切るって一筆書けって!」
武志は自分の太股に何度も拳を打ち付けている。
「…そんな酷いことを…?遺言書があるのに?」
「遺言書は絶対じゃないんだって…相続人が相続放棄することができるって…」
「だからって…」
「うちは生前贈与されてるから、現金を少し残すって書かれていて、母さんはそれが気にくわなかったんだ……。従兄弟も他の親戚も母さんに呆れてて、従兄弟だけじゃなく他の親戚も縁を切る事に同意した…。」
「おじさんは!?何も言わなかったの!?」
「何も言わなかった…ってか、従兄弟の相続額を聞いて母さん側についた…。マジで情けねぇよ…。」
「お金は人を変えてしまうっていうものね。」
「…俺、家と縁を切るよ。」
「は?」
「従兄弟と少し話したんだ。親の遺産で生活して、バイトして、大学は成績優秀者が受けれる奨学金を受けて通っているらしい。
俺も成績は上位だし来年申請する。大学の寮なら安くで入れるし、俺もばあちゃんが生前贈与してくれたお金があるから、やりくりしていく。」
「…そんな簡単なことじゃないよ?成績をキープしながらバイトして一人暮らしなんて…」
「分かってる。でもアイツはもっと大変な生活をしてたんだ。そんな時、俺はちっぽけな嫉妬心からアイツを気にかけることもしなかった。俺がこんな事しても意味がないってわかってるけど、俺は両親みたいになりたくない。だから家と縁を切るよ。」
「……武志。」
それからすぐに、私と武志は大学の近くで同棲を開始した。
武志の事情を聞いたうちの両親が「私を将来嫁にするなら家賃だけ援助してやる」と言い出したからだ。
付き合っていた訳じゃないけど、私は子供の時から武志が好きだった。
武志も子供の時から私を好きだったらしく、うちの両親は私達の気持ちを知っていたみたい。
武志は将来、結婚はしたいが今私の両親に頼るのは…と言ったが、私の父が結婚前に同棲することで見えてくる部分がある、自分達も学生時代同棲してたから、娘には同じように経験してから結婚して欲しいと押しに押して、同棲が決まった。
そしてあの事件が報道された。
その日はお互いバイトがなく、家でのんびりしていた。
「え…彼方!?」
武志の声に振り返ると、見覚えのある人がテレビに映っていた。
どうやら武志の従兄弟は俳優になったらしい。
武志と私はその生中継の会見を見た。
彼方君が殺されかけていた事には衝撃を受けた。
「何で……何で彼方ばっか…何でだよ…」
武志は辛そうな顔で最後まで会見を見ていた。
それでも武志は彼方君と連絡を取ったりはしなかった。
自分が関わればきっと両親が関わって来るからと。
武志が両親と縁を切った時は壮絶だった。
武志のお母さんは怒り狂って、武志に手当たり次第物を投げつけ、武志のお父さんは武志に殴りかかった。
私のお父さんが止めに入って、近所の人も駆けつけて、大騒ぎとなった。
そのお陰でって言うのはおかしいけど、武志は両親と縁を切った。
そんな中、大学の友達からある誘いを受けた。
それは彼方君を殺そうとした犯人を探す有志に参加しないかというものだった。
その友人は武志と彼方君の関係を知らないから、本当にたまたまだったのだ。
武志はすぐにその有志に参加した。
元々武志は頭が良いから、有志の中でもリーダー的存在になっていった。
仲間はどんどん増えていき、最終的に犯人を捕まえる事ができた。
彼方君が会見を開いた時、私達は有志の代表とリーダー達と一緒にその会見を見ていた。
武志は彼方君の笑顔を見て安心した顔をしていた。
「なぁなぁ、前から思ってたんだけどさ。武志って彼方君と似てない?」
代表の言葉にドキッとする。
「そうか?俺はこんな中性的じゃないと思うけど。」
武志は冷静にそう返していた。
私達は、大学を卒業する少し前から、代表達と起業した。
彼方君の事件がきっかけだったその会社は、探偵事務所。
大学卒業と共に私達は結婚し、二人とも探偵事務所に就職した。
「何だって?」
彼方と響が事務所へ来ると、社長室へ通された。
本来休みのこの日、ここに来たのも大野さんから呼ばれたからだ。
「相手は彼方の叔父と叔母って名乗ってるんだけどさぁ。その人達って、彼方に縁切りを迫った人達でしょ?」
永倉がプリプリしている。
「本当に叔父さん達なんですか?」
彼方は大野さんに再度確認する。
「一応、戸籍謄本まで持って来られてね。免許証と戸籍謄本でその叔父さん達だと判断したよ。」
「何で今さらそいつらが、彼方を訪ねてきたわけ?」
ガルガル響は、彼方を背後から抱きしめている。
「それがねぇ…お祖父さんの病院代が足らなくなったから、相談したいとか言ってたんだよねぇ…」
大野さんも、彼方の家の事情は知っているためため息を吐く。
「おかしいだろ。ばあさんの遺産を一人占めにした癖に金がねぇ?どんな使い方したらあの莫大な金がなくなんだよ。」
「こらこら、響。口調が昔の不良時代みたいになってるよ。」
ガルガル響は彼方の事になると、とても沸点が低く、言葉遣いも悪くなりがちである。
「叔父さん達は僕と会えるまでホテルに滞在するって言ってるんですか?」
彼方は響の口の悪さも気にせず、響の手を優しく撫でる程度だ。
「そうらしい。親戚が親戚に会う事に事務所は関係ない、住所を教えろって言ってきたからねぇ。彼方の家は響の家でもあるわけで、教えれないし、親戚って言うなら家くらい知ってるのが普通ではないかって志野に攻撃されて黙りこんでたがな。」
志野は「当たり前の事を言ったまでです。」とツンとしている。
「何でホテルなんだろう?僕の従兄弟がこっちに住んでるはずだけど…大学卒業後、実家に戻ったのかな?」
彼方は首をかしげる。
「どうする?会うか会わないか。」
永倉の問いに、彼方は少し考えてから「会いません。ホテルに滞在したいなら勝手にすれば良い。僕はすでに縁を切ってますから、今さら頼られても困ります。」と答えた。
そしてこの事は、大野さん達に任せることになった。
その後、彼方と響は久々に駿に会いに、駿の事務所へ訪れていた。
「はい、これお土産ね。」
彼方が海外のお土産を渡すと駿は嬉しそうに受けとる。
「俺も、はいこれ。この前北海道まで仕事で行ったから、そのお土産。二人で食べて。」
駿もご当地のお土産を渡す。
「いつもありがとうな。これ、事務所の皆で食べて。」
響も駿に手土産を渡す。
「響君もありがとう!おっ!これこの前テレビで紹介されてたやつだ!」
駿は彼方にも響にも芸能人としてではなく、友達として接する数少ない人だ。
お互いに忙しい身ではあるが、こうやって会いに来たり家に遊びに行ったり、出掛けたりする程仲が良い。
「今日は皆出払ってるの?」
「いや、全員であたっていた事件が解決したから今日は休みなんだよ。けど、提出する書類に不備があって今メンバーの一人が提出しに行ってくれてる。」
会う約束の前日、急遽待ち合わせ場所が事務所になった。
本来の待ち合わせ場所はこの事務所の最寄り駅だったが、何時までかかるかわからなかったのでここに集合場所を変更した。
正直この3人には場所など関係なく、喋り出すとずっと喋っている。この前会った時はカラオケに行ったが、少し歌った後は時間になるまでずっと喋っていたほどだ。
おかげで、現在親友と言っても過言ではない程の仲となっているし、響も駿に対しては一切嫉妬しないという貴重な人物だった。
「戻りましたー。」「春君?あれ??居ない?」
書類を提出に行っていたメンバーが帰ってきたのだが、駿は奥の応接間で彼方と響と喋っていたため、所長用の机に居なかった。
「アイツどこ行ったんだ?」
「遅くなったから、どっか出かけたとか?」
「それなら連絡してくると思うけど…」
そんなことを話していると、奥から駿が出てきた。
「ごめん二人とも。今友達が来てるんだ。書類提出ありがとね。」
そう言う駿に、二人はハッとした顔をする。
駿がここへ入れる友達は叶響と相田彼方だけなのだ。
「そういえば、二人はまだ会ったことなかったよね?これからもここで会うことがあると思うから、ついでに挨拶しとこーか。」
「え…いや…俺達はもう帰るから…」
「そっ…そうそう!お友達との時間を邪魔しちゃダメだし!」
二人が必死に拒否している声は応接間まで聞こえていた。
ここで働いてるのは、あの有志のメンバーのみなので、なぜそこまで拒否するのか気になった彼方と響は、そっとドアの隙間から覗いてみた。
「…武志!?」
彼方は驚きのあまり大きな声を出してしまっていた。
「で?誰。」
地を這うような低い声を出し、不機嫌さマックスな響に、部屋の空気は重い。
応接室のソファーでは、ガルガル響に背中から抱きしめられ、膝に座らされている彼方と、向かいに座る男性と女性、1人掛けのソファーに駿が座っている。
「響、落ち着いてね?彼は僕の従兄弟で、河崎武志。隣は…武志の幼馴染みちゃん?お久しぶりです。」
プライベートの時の彼方は、響といる際常に響の膝か、隣にベッタリひっついているので、この時も人に挨拶する格好ではない事に気づいていなかった。
「お、お久しぶりです。今は武志と結婚しまして、河崎桜になりました。」
桜が戸惑いながらも挨拶を返す。
「え!?武志、結婚したの!?」
「あ…ああ。」
「そっか、おめでとう!」
「いやいや、彼方こそ結婚おめでとう。大分前だけど、直接言えてよかったよ。」
「武志…」
「ちょいちょい!二人して何か感動の再開みたいになってるけど、俺と響君は意味わかんないからね!?」
駿が待ったをかけ、響もブスッとした顔を隠しもしない。
「えー…だから、僕の従兄弟なんだって……あれ??何で武志がここにいるの?」
彼方の言葉に、響も睨み付けるのを止め首をかしげた。
「ここって、彼方の事件解決後に有志の代表とリーダー達が始めて、メンバーはその時の有志のみしか居なかったよな?」
響が駿に確認する。
「そうだよ!ちょ、武志ってカナ君の従兄弟なの!?何で言わなかったの!?」
「そ…れは…俺の親が彼方に縁を切らせたから、彼方は頼る人もいなくなって…俺も彼方の両親が死んだ時、手を貸そうともしなかったし…。
今さら親戚だなんて顔できねぇよ。」
武志の言葉に、駿は驚いた。
「え?武志の両親が??確か、お祖父さんの面倒を見る為に、全財産を相続して、今後一切関わるなって言ったって…。」
「そう、それを言ったのが俺の母親。父親も、彼方が相続する金額を知って母親側についたんだよ。自分の親ながら情けなすぎて、あの後俺も親と縁を切って家を出たんだ。」
「ちょっ!え!?縁を切った!?」
彼方は驚きすぎて体が前のめりになり、響の膝から落ちそうになったのを、響が慌てて引き戻した。
「おいおい、膝の上に居るんだから前のめりになるなよ。危ないだろ?」
呆れ顔の武志に、「それどころじゃないよ!」と突っ込む彼方。
「あの…武志と最後に会った日の事覚えてます?」
桜がおずおずと質問する。
「うん、覚えてるよ。帰る間際だったかな。本当に相続放棄するのかって言われて、うんって答えたんだ。そしたら武志が謝ってきて…別に武志のせいじゃないし、僕は気にしてなかったんだけどね。その後少し、大学の話とかしたかな?」
「それです。武志は両親に対して失望し、大学を成績優秀者が受けれる奨学金で通う事に決めて、家を出て大学の寮に入ってバイトしながら生活費を稼ぐ事にしたんです。」
「えぇ!?」
武志の無茶ぶりに、駿も彼方も驚く。
「いや、でも結局桜の親父が、桜と同棲するなら家賃を援助するから一緒に住めって言ってくれて。生活費はバイトで稼いで、大学は全額免除で卒業まで行けたから。」
「全額免除って君、凄く優秀なんだね?」
警戒心が解けたらしい響も流石に驚いている。
「いえ、彼方に比べたら全然ですよ。俺昔から親や親戚に彼方と比べられてて、ここの跡継ぎなんだからもっと頑張れって言われてたんで。」
「そんな事言われてたの?まず土台が違うじゃん。僕は偏差値も普通の学校だったけど、武志は偏差値70超えの学校だったでしょ?」
「そうだけど、学年で1位の彼方と学年10位の俺ってしか見られてなかったからな。
あの時は彼方の事逆恨みしてた、ごめん。」
「いやいや、武志が謝る事じゃないからね!?さっきから謝ったり懺悔みたいになってるけどさぁ……え、もしかして、有志に参加してた理由ってそれ?!」
彼方は武志が自分の親の仕出かした事や中学生の時に何もしなかった事を後悔し、贖罪として参加していたのだと気づいた。
「それもあるけど…彼方の会見を家で見てたんだ。何で彼方ばかりこんな目に遭わなければいけないのかって……両親が死んで、ばあちゃんの面倒を一人で見て支えて、挙げ句の果てには相続放棄させられて縁切られて…今度は殺されかけるなんてあんまりだ。
友達から有志の話が来た時、絶対に犯人を捕まえるって決めたんだ。
彼方が今まで苦労してきた分、これからは信頼できる人の隣で幸せになれるように、俺にできる事をしたいって思っただけだよ。」
「なるほど。それで駿にも彼方の従兄弟だってことは伏せて、有志で活動してたのか。」
この時すでに響は武志の本質を見抜いていた。
「何で…連絡の一つでもしてくれたら…」
「できるわけないだろ?彼方に不義理をしたのは俺の元家族なんだから。それに、俺が彼方と連絡をとっていることがアイツらに知られたら、それこそ金をせびってくるだろう。」
武志の言葉に、響と彼方は顔を見合わせる。
「………おい、なんだその反応は…まさか……本当に金をせびられたのか!?」
武志はガタンと立ち上がった。
「えーっと……」
彼方は武志の気迫に、「これは下手なことを言えないぞ…」と思い言葉を探す。
「ここに来る前に、俺達の事務所から呼び出しを受けたんだ。彼方の叔父と叔母が会いたいと押し掛けてきてるってね。なんでも、お祖父さんの入院費が足りなくて相談したいらしい。」
言葉を探している隙に、響が言葉を選ばず喋ってしまった。
「あのクソ野郎共!入院費が足りない!?一億相続しただろうが!どうやったら数年で使い切んだよ!」
鬼の形相とはこの事か。
駿はドン引きしている。
「一億も相続したの?でもほら、相続税とかで半分以上持っていかれるって言うし…武志の家って、家畜もいるし、畑もしてるって言ってたから、どっか壊れたりしてお金が嵩んだとか……」
駿が落ち着かせるため言った言葉に、武志は首を振る。
「相続税とか引いて、手元に残ったのが一億だ。ちなみに実家は生前贈与の際新築に建て直し済みだし、ついでとばかりに鶏小屋を増築して、その時リフォームも済んでる。畑もビニールハウスを新しくしてたから、金を使うところなんてないはずだ。」
こればかりは駿も口を閉ざすしかなかった。
別に武志の親を庇おうとしたわけではない。
ただ、武志の顔が今にも人を殺しそうな程怒り狂っているので、どうにか宥めようとした結果である。
「それで?奴らはどこにいるんですか?」
武志は響に尋ねる。
「それを知ってどうするの?」
響はニヤニヤ笑い始めた。
この顔をする時は、ろくでもない事を考えている顔だと知っている彼方と駿は焦る。
「社会的に抹殺してきます。」
「そう。なら俺に協力してくれるかな?」
「ちょっと響!何する気!?」
彼方は響の方へ体を向け胸元を掴む。
「奥さんには内緒。奥さんの周りを飛び回るハエを駆除するのは旦那の仕事だからね?」
響はニッコリ笑って、彼方の頬にキスをした。
「ほわぁ~、本当にラブラブなんだぁ」
マイペースな桜がポツリと溢すと、彼方は冷静になり、顔を真っ赤にさせた。
明くる日、響と武志は、武志の両親が滞在中のホテルへ来ていた。
すでに大野さんから武志の両親には彼方の意向は伝えてあるが、諦めることなく滞在中である。
響と武志はあの初対面後、彼方について話したり、桜の話しをしたり、武志の両親について話したりと意気投合していた。
この二人根本的な所がよく似ていた。
敵と見なせば容赦なく、自分が守ると決めた者には全力で守り抜く。
頭も良い所が厄介で、二人揃うとこういう時止めれる人がいない。
二人で両親をどうするか話し合いが行われ、蚊帳の外になった彼方と駿と桜は三人で喋っていた。
彼方と駿は、桜から武志の家の事や武志のこれまでの事を聞いていた。
その一つ一つに、駿も彼方も驚いていた。
さて、そんな最強の二人が両親と対面しているわけだが、両親は縁を切った息子まで登場するとは思っておらず、動揺していた。
「彼方に金をせびりに来たそうだが、どういうつもりだ?」
息子にそう言われ唇を噛む。
彼方と響だけなら、家の事情を知らない二人を丸め込めると思っていたのに、息子が出てくると話は変わってくる。
「そんなことより、何で貴方がいるの?私達と縁を切った親不孝ものが、のこのこやって来るなんて。」
母親は武志を睨み付けた。
「親不孝?笑わせんな。お前達こそ、よくのこのこと彼方に会いに来られたな?自分達から二度と関わるなと言っておきながら、金の無心とは厚かましいにも程がある。」
武志にそう言われ、母親は余計怒り出した。
「あのじじいの入院費がどれだけかかると思ってるの!?」
「ずっと入院してる訳じゃないだろう。本来なら家からデイサービスに行くくらいで問題なかったはずだ。
どうせ自宅に居られるのが嫌で、入居型介護施設も近くに無いから、無理やり入院させたんだろ?
病院からは何度も退院するよう言われてるのに。」
「な…なんで貴方がそんな事を知ってるのよ…」
「嫁のお義母さんから聞いた。看護師だからな、桜のお義母さん。」
「ちょっと待ちなさい…嫁って…お前結婚したのか?」
今まで黙っていた父親が驚きの表情で武志を見る。
「そうだけど?」
「俺達は何も聞いていない!うちの嫁になるのに挨拶もないなんて、一体何を考えてるんだ!」
この父親の言葉に、武志も響も呆れていた。
「あのさ、俺とあんた達は縁を切ったんだぞ?その事ちゃんと理解してるか??
子供が言う絶交を意味する、縁を切るじゃなく、法的に縁を切ってるんだよ、俺も彼方も。」
「それがどうした!」
武志も響も「こいつ理解してねぇ」と思った。
「いいですか、法的に縁を切る場合は本当に赤の他人になるということです。
血縁関係にあったとしても、遺産の相続はできなくなるし、何かあったとしても連絡する義務もない。ましてや介護だとか、代々受け継がれてきた生業を継げなんてもってのほか。
この意味が理解できますか?武志が結婚したとして、赤の他人に報告する義務はないんですよ?
同性婚が法律で可能になった時に、絶縁の法律もできたんですよ?
彼方の時も武志の時も書類を書いたでしょう?そんなことも忘れたんですか?」
響は見惚れるような笑顔で言ってのける。
顔と話す内容が乖離しすぎている。
「だ…だが、縁を切ったと言っても親なわけだし…」
「縁を切りたいと思うような親なんですから、報告する訳がないでしょう?
彼方にしてもそうです。
貴方達は、彼方が大変な時に一度も手を差しのべなかった。それどころか、祖母が亡くなったとたんに彼方に残された遺産を奪い、縁を切った。
それなのに彼方に会いに来るとは、本当に困った人達だ。
それに貴方達にお金がないのは、投資詐欺に引っ掛かったからでしょう?お祖母さんがお祖父さんの為に残した遺産さえ勝手に使ったそうじゃないですか。痴呆症なのを良いことに、書類にサインさせたそうですね?」
「なっ…!!」
昨日の内に、武志と桜は地元へ戻り情報収集をしていた。
すると出るわ出るわ、元両親のやらかしが。
地元は田舎の為、大抵の事は皆が知っている。
団結力もあるし、余所者には厳しいけど身内にはとても良くしてくれる。
まぁ、たまに行きすぎな所もあるけるど、田舎とはそういうものだ。
ちなみに、武志の地元は昔ながらの考え方の人が多く、子は宝。不義理は許さない。
武志が縁を切った時、近所の人も駆けつけた事により武志の元両親は近所の人から見限られ、武志は皆から「縁を切るべきだ」と後押しされた経緯がある。
「全部調べはついてるよ。俺と桜が現地で情報収集と証拠を集めて来たから、出るところに出たら、あんた達は捕まるよ?」
「それから、彼方に対しても付き纏いや金銭の要求をしてますね。彼方の撮影現場に行ったり、手紙をスタッフ経由で渡したりしているのも調べはついてますし、証拠もあります。
俳優相田彼方へのストーカー行為、手紙の内容によっては脅迫罪で訴えますよ。」
武志と響に睨み付けられ、武志の元両親は震え上がった。
「まぁ、彼方への行為はすでに事務所に動いてもらったので、容疑が固まり次第警察に捕まるでしょうね。」
響は目を細めニヒルな笑みを浮かべる。
「じいちゃんの事も問題ないから。じいちゃんの方の親戚が面倒みてくれる事になったし。家とか土地を、じいちゃんの名前に変更しといて良かったよ。」
「「は??」」
武志の元両親は武志の言葉にポカンとしている。
「やっぱり気づいてなかった?生前贈与の時に、ばあちゃんにアドバイスしたんだよ。
『田舎の土地は、田舎を大切にする人に譲れるように今はじいちゃんの名義にしといた方がいい』って。『河崎家の嫁は金遣いが粗いから、借金の担保にされたら困るだろう?』って他の親戚もばあちゃんを説得してくれたんだよ。
ばあちゃんもその事に思い当たったのか、新築の家や鶏小屋、ビニールハウスについてはあんた達の意見を取り入れた。
けど、名義はじいちゃんに変更したんだ。」
「で…でも、生前贈与したって!」
「うん、じいちゃんにね。あのさぁ…あんた達は贈与税納めた?」
「…贈与税……?」
元父親はポカンとした顔をする。
「生前贈与してもらったら、貰った側に税金がかかるわけ。そんなことも知らないの?」
「武志、この人達が知ってるわけないじゃないか。縁を切ると言うことがどんなことかも知らなかったんだ。
それに、贈与税を知ってて払おうとすれば、自分達に贈与されてないことが分かるし、逆にわざと払わなかったのなら脱税している事になって罪が増える。
無知って怖いね。
武志はこの人達と縁を切って正解だよ。ここまで馬鹿な親ならいない方がいい。」
「ヒッ!!」
響に、まるで殺人鬼のような目で見られ、元両親はすくみあがった。
「とにかくさっさと帰って、警察が来るまでに身辺整理でもしとけよ。」
武志にまで冷たい目で見られ、元両親はもう何も言えなかった。
その後桜の父から、あの二人が相田彼方へのストーカー行為と脅迫、父親に対しての詐欺罪や殺人未遂罪(入院させるために、農薬を薄めたものを無理やり飲ませていた事が判明した。)、他にもなにやら母親の方がやらかしていたみたいで、複数の罪状で逮捕されたと武志に連絡があり、武志はすぐに響に連絡をいれた。
響と武志はあの件以降仲良くなり、響は彼方の小さい頃の話を聞かせて貰ったり、武志は桜へのプレゼントの相談や、普段からどうやったら喜ばせれるかなどの相談を響にしている。
初対面の時は、自分の知らない彼方を知っている従兄弟に対して警戒していたが、桜を見る目が自分が彼方を見る目に似ている事に気付き、彼方に対しては尊敬とか、憧れを宿した目で見ている事に気づいた為、警戒心や敵対心が消えた。
武志は武志で響を兄のように慕っていて、彼方に連絡するより響に連絡する方が多い。
そんな二人に、彼方はたまにヤキモチを妬く事になる。
83
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説
Sランク冒険者クロードは吸血鬼に愛される
あさざきゆずき
BL
ダンジョンで僕は死にかけていた。傷口から大量に出血していて、もう助かりそうにない。そんなとき、人間とは思えないほど美しくて強い男性が現れた。
結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった
釦
BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。
にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。
使用人と家族たちが過大評価しすぎて神認定されていた。
ふわりんしず。
BL
ちょっと勘とタイミングがいい主人公と
主人公を崇拝する使用人(人外)達の物語り
狂いに狂ったダンスを踊ろう。
▲▲▲
なんでも許せる方向けの物語り
人外(悪魔)たちが登場予定。モブ殺害あり、人間を悪魔に変える表現あり。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
【完結】幸せしかないオメガバース
回路メグル
BL
オメガバースが当たり前に存在する現代で、
アルファらしいアルファのアキヤさんと、オメガらしいオメガのミチくんが、
「運命の相手」として出会った瞬間に大好きになって、めちゃくちゃハッピーな番になる話です。
お互いがお互いを好きすぎて、ただただずっとハッピーでラブラブなオメガバースです。
※性描写は予告なくちょこちょこ入ります。
「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜
鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。
そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。
あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。
そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。
「お前がずっと、好きだ」
甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。
※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
完結おめでとうございます。
久しぶりにどハマりした作品で、毎回更新を楽しみにしていました。
キャラクターも魅力的で、文章も読みやすくて面白かったです。
出来たら続編も期待しています。
○番外編リクエスト
彼方の絶縁した親戚が彼方に擦り寄って、響に返り討ちに合う話。
彼方がAD時代の同僚と俳優として一緒に仕事をする話。
立川さん目線の彼方との出会いの話。
ファンから見た、響が彼方に会うまでと会った後の変化の話。
また2人の話を読みたいです!
リクエストありがとうございます(*・ω・)
書いてアップしていきますね!
ゆこさんへのお年玉になれるよう頑張ります(・∀・)ノ”
え?終わり?終わりですか?
まだまだラブラブを見せつけてくれると
期待しておりましたので、めちゃ悲しい😭
続編、番外編、期待しております。
完結おめでとうございます!!
連載再開が嬉しくて嬉しくて、また最初から読み直してました。
事件が一気に動いたときはドキドキしましたが、これでやっと助けてくれたお爺さんたちに会いに行けますね(◍•ᴗ•◍)
細井が他の人達と違って彼方くんにだけ強硬手段に出たのは、今後の成長が誰よりも期待できたから、なのでしょうね。
続編映画での日本警察の役どころは、ある意味あの事件での意趣返しだったのかな、と思うほど皮肉が効いててスカっとしました!
あの映画の仲間たちは、彼方くんが俳優の道に一歩踏み出したときの仲間ですもんね。
ファンからひびかなが愛されていて嬉しい!
無自覚にいちゃいちゃする二人にマスコミもホッコリする場面がとても好きです。
番外編も楽しみにしてます!
(女装彼方くんの再登場もこっそり期待してます😊)