10 / 21
10 賭ける男
しおりを挟む
「お兄さん、ここいい?」
ここはフーゴが最近通い詰めてるカジノの最奥。
高額をかけまくっている男は高級ワイン飲み放題のVIPルームでルーレットに興じていた。
そこに現れたいかにも金持ちのお嬢様っぽい女。
凹凸はいまいちだが、若くてみずみずしい肌と世間知らずなくせに大人ぶっているところがたまらなくいい。
前の商家の女を捨ててから数か月後。
あれもなかなか良い稼ぎだった。
金を持ち出させるのに苦労はしたがいい女だった。
今頃森の中で骨になっていることだろう。
男の名はフーゴという。
もっとも、今はフーゴと名乗っているだけで、本当の名前が何だったかなんてもう男にもわからない。
「ええどうぞ。こんな美しいお嬢さんと遊べるなんて今日の幸運は使い果たしてしまったかな。」
フーゴは人のよさそうな笑みを浮かべて胸のうちで舌なめずりをする。
お嬢様はまだ遊び慣れていないようで、時折フーゴの顔や周囲を確かめるように見る。
その様子はフーゴだけでなく遊びに飽きた客たちの何かを刺激した。
それは苦労を知らず世間知らずなお嬢様が落ちるところが見たいという下種な心理。
実際にギャンブルにのめり込んで身を持ち崩したものはあまたいる。
若い女なら落ちていく先はひとつだ。
「お嬢さんやりますな。」
「今日は全部このお嬢さんに持っていかれてしまいそうだ。」
たまにお嬢様が勝てば周囲がおだてあげお嬢様をいい気にさせる。
だが、ルーレットは世間知らずなお嬢様が勝ち続けられるほど甘くはない。
お嬢様の負けが込んできた。
さすがにまずいと焦り始めるお嬢様だが、周囲がやめる事を許さない。
やんわりと逃げられない雰囲気を作られてしまう。
「さあ。よろしいですか?」
表面上は楽しげな、しかし押さえつけた異様な興奮状態の中、大勝負が始まった。
お嬢様とフーゴ。
2人ともにすべてのチップをベットしている。
負ければよっぽどの富豪でない限り破産しかあるまい。
カラカラカラ…
ディーラーがルーレットに投げ入れたボールがおどる。
「…赤の24。
ストレートでウィナーはこちらのお嬢様ッ!」
一拍の間をおいて大歓声が沸き上がり椅子から崩れ落ちるフーゴ。
まず浮かんだのは逃げる事だった。
金ならまた女を騙して巻き上げればいい。
周囲の興奮に紛れて四つ這いで進もうとした時、その手の甲にざっくりと何かが刺さった。
「いっ!。」
痛みに驚くと手の甲に刺さっているのは女のハイヒールの踵だった。
淡いピンクのドレスを見上げていくとそこには先ほどまでの物慣れなさとはうって変わった表情でフーゴを虫けらのように見下すお嬢様。
「どちらへ?」
「み、見逃してくれないかい?」
この場さえ切り抜ければなんとかなる。
このお嬢様さえ騙せればどうにかなる。
フーゴはその一心でお嬢様に笑いかける。
「家で母が待っているんだよ。早く帰らないと。母は具合があま…「すみませーん!この人逃げようとしてますよー。」
必至ででたらめをまくしたてるフーゴを遮ってお嬢様が満面の笑みで叫ぶとすぐにカジノの制服を着た男たちが駆け寄ってフーゴの両腕をがっちりとつかんで引きずっていった。
「まて。待ってくれ、金ならあるんだ。」
フーゴはカジノの制服を着てるのが冗談にしか見えないような悪人面の男たちにカジノの裏でボコボコにされた後、衛兵に突き出された。
衛兵に引き渡された時には殺されずにすんだとホッとするほどだったという。
*ギルドにて*
「っていうことがあったらしいんだが、ルチア何か知らないか?」
いつものようにギルドにむかうと、お久しぶりのジルが会うなり私をギルドのはじに引っ張っていって、壁にどんっ手をついて聞いてきた。
はわわ。壁どんじゃありませんか!
ピンクさんに壁どん。…ピンドン。なんてね。
じゃなーい。背中に冷たい汗が流れるのを感じながら棒読みで答えた。
「へ、へーそうなんですね。犯人捕まってよかったー。」
ジルさんは前髪に隠れた私の瞳を探るように見てから「ふーん。」と片眉をくいっと上げて行ってしまった。
「はー、危なかった。」
どうにかごまかせたようだ。さすが私の演技力。
レベルが7まで上がったら「俊足」が使えるようになったんだよね。
これは風のように速足で移動できるっていう魔法。
ピンクのもやは人探しもできるからね。
思ったより近くにいてくれてよかった。
私ったら、カジノで一財産稼げそうだね。
…だってどれを「選択」すればいいか分かるんだから。
いやー、ホントにさ、前世女の園にいたからいろんなことを見聞きしてるわけよ。
やっぱりクズな男っていうのはいて、何度デス〇ートが欲しいと思ったことか。
ここはフーゴが最近通い詰めてるカジノの最奥。
高額をかけまくっている男は高級ワイン飲み放題のVIPルームでルーレットに興じていた。
そこに現れたいかにも金持ちのお嬢様っぽい女。
凹凸はいまいちだが、若くてみずみずしい肌と世間知らずなくせに大人ぶっているところがたまらなくいい。
前の商家の女を捨ててから数か月後。
あれもなかなか良い稼ぎだった。
金を持ち出させるのに苦労はしたがいい女だった。
今頃森の中で骨になっていることだろう。
男の名はフーゴという。
もっとも、今はフーゴと名乗っているだけで、本当の名前が何だったかなんてもう男にもわからない。
「ええどうぞ。こんな美しいお嬢さんと遊べるなんて今日の幸運は使い果たしてしまったかな。」
フーゴは人のよさそうな笑みを浮かべて胸のうちで舌なめずりをする。
お嬢様はまだ遊び慣れていないようで、時折フーゴの顔や周囲を確かめるように見る。
その様子はフーゴだけでなく遊びに飽きた客たちの何かを刺激した。
それは苦労を知らず世間知らずなお嬢様が落ちるところが見たいという下種な心理。
実際にギャンブルにのめり込んで身を持ち崩したものはあまたいる。
若い女なら落ちていく先はひとつだ。
「お嬢さんやりますな。」
「今日は全部このお嬢さんに持っていかれてしまいそうだ。」
たまにお嬢様が勝てば周囲がおだてあげお嬢様をいい気にさせる。
だが、ルーレットは世間知らずなお嬢様が勝ち続けられるほど甘くはない。
お嬢様の負けが込んできた。
さすがにまずいと焦り始めるお嬢様だが、周囲がやめる事を許さない。
やんわりと逃げられない雰囲気を作られてしまう。
「さあ。よろしいですか?」
表面上は楽しげな、しかし押さえつけた異様な興奮状態の中、大勝負が始まった。
お嬢様とフーゴ。
2人ともにすべてのチップをベットしている。
負ければよっぽどの富豪でない限り破産しかあるまい。
カラカラカラ…
ディーラーがルーレットに投げ入れたボールがおどる。
「…赤の24。
ストレートでウィナーはこちらのお嬢様ッ!」
一拍の間をおいて大歓声が沸き上がり椅子から崩れ落ちるフーゴ。
まず浮かんだのは逃げる事だった。
金ならまた女を騙して巻き上げればいい。
周囲の興奮に紛れて四つ這いで進もうとした時、その手の甲にざっくりと何かが刺さった。
「いっ!。」
痛みに驚くと手の甲に刺さっているのは女のハイヒールの踵だった。
淡いピンクのドレスを見上げていくとそこには先ほどまでの物慣れなさとはうって変わった表情でフーゴを虫けらのように見下すお嬢様。
「どちらへ?」
「み、見逃してくれないかい?」
この場さえ切り抜ければなんとかなる。
このお嬢様さえ騙せればどうにかなる。
フーゴはその一心でお嬢様に笑いかける。
「家で母が待っているんだよ。早く帰らないと。母は具合があま…「すみませーん!この人逃げようとしてますよー。」
必至ででたらめをまくしたてるフーゴを遮ってお嬢様が満面の笑みで叫ぶとすぐにカジノの制服を着た男たちが駆け寄ってフーゴの両腕をがっちりとつかんで引きずっていった。
「まて。待ってくれ、金ならあるんだ。」
フーゴはカジノの制服を着てるのが冗談にしか見えないような悪人面の男たちにカジノの裏でボコボコにされた後、衛兵に突き出された。
衛兵に引き渡された時には殺されずにすんだとホッとするほどだったという。
*ギルドにて*
「っていうことがあったらしいんだが、ルチア何か知らないか?」
いつものようにギルドにむかうと、お久しぶりのジルが会うなり私をギルドのはじに引っ張っていって、壁にどんっ手をついて聞いてきた。
はわわ。壁どんじゃありませんか!
ピンクさんに壁どん。…ピンドン。なんてね。
じゃなーい。背中に冷たい汗が流れるのを感じながら棒読みで答えた。
「へ、へーそうなんですね。犯人捕まってよかったー。」
ジルさんは前髪に隠れた私の瞳を探るように見てから「ふーん。」と片眉をくいっと上げて行ってしまった。
「はー、危なかった。」
どうにかごまかせたようだ。さすが私の演技力。
レベルが7まで上がったら「俊足」が使えるようになったんだよね。
これは風のように速足で移動できるっていう魔法。
ピンクのもやは人探しもできるからね。
思ったより近くにいてくれてよかった。
私ったら、カジノで一財産稼げそうだね。
…だってどれを「選択」すればいいか分かるんだから。
いやー、ホントにさ、前世女の園にいたからいろんなことを見聞きしてるわけよ。
やっぱりクズな男っていうのはいて、何度デス〇ートが欲しいと思ったことか。
45
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~
結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』
『小さいな』
『…やっと…逢えた』
『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』
『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』
地球とは別の世界、異世界“パレス”。
ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。
しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。
神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。
しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。
原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。
その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。
生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。
初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。
阿鼻叫喚のパレスの神界。
次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。
これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。
家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待!
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
小説家になろう様でも連載中です。
第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます!
よろしくお願い致します( . .)"
*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる