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一線を越えて
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一線を越えて思い出したのが、キヌさんとの念書です。
二千圓を支払うことを約束したあの念書です。
私は、余韻を楽しむことなく服を着始めました。
「さきちゃんどうしたの?」
裸のままの先生が言います。
「申し訳御座いません。私は此処に居てはいけないのです」
「えっなんで?」
私は正直に話しました。
「それはキヌさんとの念書がありまして、それは先生と一線を越えてはならぬというもので」
「なんだいそれは」
「二千圓支払うことを約束した紙です」
「なんだ。そんな物か。そんなの無効に決まっているだろう。そんなのに怯えているなんてさきちゃんは純粋だなぁ~」
「無効、ですか?」
「弁護士を交えた念書なら信頼できるけど、そんなものがない紙ならただの口約束と一緒さ。安心して」
「そうなんですか?」
「そうだよ。大丈夫、大丈夫」
私はホッとした後、ドッと疲れを感じました。
初めて男性と性行為をしたのです。疲れを感じるのは当然でした。
「先生、ありがとうございました。私、なんだか眠くなってしまいました」
「良いよ。此処で寝ていくがいい」
「良いんですか?」
「どうぞどうぞ」
「では、そうさせていただきますね」
そして、私は自分でも驚くくらいすぐに寝てしまいました。
そこで夢を見ました。
懐かしい夢です。
私は冬の津軽の雪の中で幼き日の先生と遊んでいました。
かまくらを作り、七輪を持ち込み、一緒にお餅を食べて居ました。
とても美味しい楽しい夢でした。
私は夕方まで寝ており、目を覚ますと先生が文机で原稿を書いていました。
その横顔は真剣その物で邪魔してはいけないと思い、そろりそろりと私は部屋から出ていきました。
女中の部屋に戻る途中、キヌさんと室淵さんを中庭で見掛けました。
二人はこそこそ周りを気にしているようでした。
おや?と思ってこっそりと見ていると二人は接吻をしました。
私は驚きました。でも、同時にホッと胸を撫で下ろしました。
キヌさんにも恋人が出来れば落ち着くと思ったからです。
女中の部屋に戻るとなんだかまた眠くなってしまいました。
私は布団を敷き、早めに寝ることにしました。
そして、見た夢は悪夢だったのです。
夢の中で私はお腹が大きくなっていました。
ドクンドクンとお腹で何か蠢いています。
私はそれを感じると喜びよりも恐怖を感じました。
すると何処からともなく二階堂さんが現れました。
そして、私に言うのです。
「あんたが孕んでいるのは虫の子だよ」
「えっ?」
私は虫が生まれつき大嫌いでした。
すると腹がうねうねと動きます。
「ほらもうすぐ産まれるよ。見てごらん」
私は出てきたものを見て叫びました。
「キッ!キャーーー!」
それは幾つもの虫達だったのです。
「あはは!!良い気味!!」
「うわっうわぁぁーーー!!」
バッ!
私は飛び起きました。そして、冬だというのに脂汗をかいていました。
「ゆっ夢か~はっはぁ~良かった」
すると下半身からドロリとした感触を感じました。私はビクッとします。
恐る恐る右手で確認するとただのベトベトする液体でした。
「虫じゃない……良かった」
そして、その時、昼間先生と愛し合ったことを思い出します。
ただ子宮に溜まっていた体液が溢れ出しただけでした。
私はまた寝付こうとしてみましたが、見た夢が気味が悪くて結局朝まで眠れなかったのでした。
二千圓を支払うことを約束したあの念書です。
私は、余韻を楽しむことなく服を着始めました。
「さきちゃんどうしたの?」
裸のままの先生が言います。
「申し訳御座いません。私は此処に居てはいけないのです」
「えっなんで?」
私は正直に話しました。
「それはキヌさんとの念書がありまして、それは先生と一線を越えてはならぬというもので」
「なんだいそれは」
「二千圓支払うことを約束した紙です」
「なんだ。そんな物か。そんなの無効に決まっているだろう。そんなのに怯えているなんてさきちゃんは純粋だなぁ~」
「無効、ですか?」
「弁護士を交えた念書なら信頼できるけど、そんなものがない紙ならただの口約束と一緒さ。安心して」
「そうなんですか?」
「そうだよ。大丈夫、大丈夫」
私はホッとした後、ドッと疲れを感じました。
初めて男性と性行為をしたのです。疲れを感じるのは当然でした。
「先生、ありがとうございました。私、なんだか眠くなってしまいました」
「良いよ。此処で寝ていくがいい」
「良いんですか?」
「どうぞどうぞ」
「では、そうさせていただきますね」
そして、私は自分でも驚くくらいすぐに寝てしまいました。
そこで夢を見ました。
懐かしい夢です。
私は冬の津軽の雪の中で幼き日の先生と遊んでいました。
かまくらを作り、七輪を持ち込み、一緒にお餅を食べて居ました。
とても美味しい楽しい夢でした。
私は夕方まで寝ており、目を覚ますと先生が文机で原稿を書いていました。
その横顔は真剣その物で邪魔してはいけないと思い、そろりそろりと私は部屋から出ていきました。
女中の部屋に戻る途中、キヌさんと室淵さんを中庭で見掛けました。
二人はこそこそ周りを気にしているようでした。
おや?と思ってこっそりと見ていると二人は接吻をしました。
私は驚きました。でも、同時にホッと胸を撫で下ろしました。
キヌさんにも恋人が出来れば落ち着くと思ったからです。
女中の部屋に戻るとなんだかまた眠くなってしまいました。
私は布団を敷き、早めに寝ることにしました。
そして、見た夢は悪夢だったのです。
夢の中で私はお腹が大きくなっていました。
ドクンドクンとお腹で何か蠢いています。
私はそれを感じると喜びよりも恐怖を感じました。
すると何処からともなく二階堂さんが現れました。
そして、私に言うのです。
「あんたが孕んでいるのは虫の子だよ」
「えっ?」
私は虫が生まれつき大嫌いでした。
すると腹がうねうねと動きます。
「ほらもうすぐ産まれるよ。見てごらん」
私は出てきたものを見て叫びました。
「キッ!キャーーー!」
それは幾つもの虫達だったのです。
「あはは!!良い気味!!」
「うわっうわぁぁーーー!!」
バッ!
私は飛び起きました。そして、冬だというのに脂汗をかいていました。
「ゆっ夢か~はっはぁ~良かった」
すると下半身からドロリとした感触を感じました。私はビクッとします。
恐る恐る右手で確認するとただのベトベトする液体でした。
「虫じゃない……良かった」
そして、その時、昼間先生と愛し合ったことを思い出します。
ただ子宮に溜まっていた体液が溢れ出しただけでした。
私はまた寝付こうとしてみましたが、見た夢が気味が悪くて結局朝まで眠れなかったのでした。
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