【完結】貴方の愛は信じても良いのでしょうか?【大正恋愛奇譚】

白井ライス

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結婚

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私達は紆余曲折ありましたが結婚することになりました。
私の妹は有名な文豪との結婚にとても憤慨していました。

「御姉様ばかりズルい!ズルい!」

と言って騒いでいました。
自分がもう既に既婚者であるにも関わらずです。
それを許してくれる妹の旦那様には頭が上がりません。
私の両親はと言うと「玉の輿に乗ったな。やったな」と褒めて下さいました。
結局はお金目当ての二人なのでいずれは距離を置こうと思います。
そして、先生の御両親はというともうかなり前に既に二人とも亡くなっていたそうです。先生は天涯孤独だったのです。
私は先生があんなに女性に溺れたのは幼い頃に御両親にあまり甘えられなかったからではないかと思いました。

今日は結婚式です。
神前式ですが先生が晴れの日だから大勢呼ぼうと言って沢山の参列者を呼びました。
私は白無垢を着て髪を結い上げ、化粧を施されました。
先生は紋付き袴に七三分けと畏まった装いでした。
そして、神様の前でお互いの愛を誓い合いました。
披露宴では場所を私達の屋敷に移し、飲めや唄えやの騒ぎをしてもてなしをしてもらいました。
こうして先生と正式に夫婦になった訳ですが私には実感が沸きませんでした。
未だに「洋介さん」と呼ばずに「先生」と言ってしまう次第ですし、夫婦の寝室にも慣れません。
ただ一つ唯一慣れたのは先生が「咲子」と呼ぶようになったことです。
夫婦には色んな形がありますが、私達はお互いを尊重して居続ける存在でありたいと思っています。
そして、その夜。
初夜となった訳ですが先生は疲れているのにも関わらず、ずっと起きていました。
そして、私を抱き潰したのです。

一年後。
私達に赤ちゃんが産まれました。
元気な男の子です。
洋介さんの名前から字取り『修介しゅうすけ』と名付けました。
修介は甘えん坊でよく泣きました。お乳が好きで寝る時には必ず添い乳をしないと寝ない子です。
そんな時は洋介さんは嫉妬しているようで後ろから抱き付いてきます。
少し面倒ですが可愛い所だと思います。
そして、修介が寝静まった後は二人で風呂に入るのが日課となっています。
裸の男女が居てなにも起こらないはずがなく……

「ああんっ洋介さん」

「咲子っ咲子っ」

風呂の中は狭いので後背位ですることが殆どです。
このままだと二人目が出来るのも時間の問題だと思われます。

そして、その後ですが洋介さんの作品に大きな変化が現れました。
あれだけ破天荒な恋愛小説ばかりを書いていたのが本格的なミステリー小説を書くようになったのです。
本はシリーズ化し、活動写真化もされ、現在も第一線で売れっ子作家の一員として活躍しています。
編集の担当は相変わらず吉田さんですが、話を聞いた所、二階堂さんは病気が悪化したそうで今は入院加療中だそうです。
吉田さんは「恐らくもう二度と出てこられないだろう」と仰っていました。
更には「人を呪わば穴二つ」とも。
もしかしたら、私は二階堂さんから恨まれていたのかもしれません。
一時期、洋介さんからの愛情を信じられず怯えていたことがありました。
原因を辿ると二階堂さんに行き着くのでもしかしたら、と思うのですがあまり気にしない方が良いと思いました。

そして、今日ですが洋介さんの執筆活動をお休みして行く場所があります。
活動写真館です。
洋介さんの書いた私がヒロインである『初恋』を観に行くのです。
字の読めない私は詳しい内容を知りません。
なので洋介さんが直々に脚本を監修して原作を忠実に再現したということでした。

こうして私達は幸せに暮らしていくのでした。


おしまい


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