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第7章:彼女の幸福
第63話 幻の友情
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「まぁ! 今回のドレスも素敵ね!」
お母様が私を見て喜びの声を上げた。
姿見の前で、私は新しいドレスを確認している。
もう慣れたけど、相変わらず私の身体を魅力的に見せつけるマーメイドドレスだ。
十四歳になった今も、私の身体は成長を続けている。
こんな妹に毎日添い寝をされ続け、未だに手を出さないアンリ兄様の自制心はどうなってるんだろう?
社交界は嫌いだけど、今日はバルベーロ伯爵家が開く夜会だ。
マリアに会いたかったので、招待状を手配してもらっていた。
廊下に出ると、通りかかったレナートが真っ赤な顔で私を見ていた。
「そんな恰好で夜会に出るのですか?!」
「文句はミケレットさんに言ってくれないかしら。
私はいつも控えめにしてくれとお願いするのに、毎回こんなドレスばかり作るのよ? あの人」
さすがに主役ではないので、目立たないように厚手のショールを被ってる。
それでも私のボディラインを隠しきれてはいない。
ハイティーンでも私ほどの体つきは珍しい方らしい。
通りかかる男性の従者や使用人たちが私の身体を食い入るように見ている――ほんとうにめんどくさい身体だ。
これってもしかして、平民だったら身の危険があるんじゃない?
最近では自分でも、この重たい身体で立ち回りをする自信はなかった。
ウェストは細いままだから太ってはいないはずだけど、体重は増える一方だ。
なんでこう極端な部位に肉が付くのかなぁ?
アンリ兄様にエスコートされながら、バルベーロ伯爵邸のホールに入っていく。
私たちは、社交界で美男美女の兄妹として名を馳せているらしい。
男性の視線をくぎ付けにし、アンリ兄様を独り占めしている私に対して、女子の視線は厳しい。
その気持ちはわからなくもない。こんなドレスを着ていたら悪目立ちして当然だ。
夜会に来ている男性を落とそうとしても、相手の視線を奪ってしまう私なんて邪魔にしか感じないだろう。
そして私以外が眼中にないアンリ兄様を狙う令嬢にとって、私は目の上の瘤にしか見えないはずだ。
かといって私と張り合う自信がない令嬢は、遠くから私を睨み付けるだけになる。
男性の視線も、女性の視線も鬱陶しい。
ほんと、もうミケレットさん以外の仕立師にドレスを発注するかな。
心の中でため息をつきながら、私は貴族の微笑みを張り付けて歩いて行く。
「おお! シトラス様! よくぞいらっしゃいました!」
「お招きありがとうございます、バルベーロ伯爵」
二言、三言の言葉を交わし、私はマリアを探し出す。
マリアも同年代の中では身体に恵まれている女性だ。
上品なAラインドレスを着こなすマリアは、貴族令嬢として輝いていた。
……私もそういう大人しいドレスがよかった。
「マリア、久しぶりですわね」
「シトラス様、ごきげんよう」
マリアの雰囲気が堅いな。どうしたんだろう?
「どうなさったの? なんだか緊張してらっしゃらない?」
「いえ、なんでもありませんわ。
どうぞ夜会を楽しんでいってくださいませ」
マリアがチラチラと誰かを見ている――視線の先を探ると、一人の貴族青年が居た。
もしかしてこの夜会でお近づきになりたかったのかな?
しかし当の貴族青年の視線は私――というか私の身体から目が離せないみたいだ。
思わずため息が漏れた。
男性から理性を奪う度合いは、成長するにしたがって増していった。
隣にアンリ兄様が居なかったらと思うと寒気がする。
ふと嫌な気配を感じて振り返る――マリアの視線に、嫉妬が混じっていた。
……ごめんねマリア。婚活の邪魔しちゃったね。
私はほどほどに夜会を楽しむふりをしたあと、「気分がすぐれませんので」とバルベーロ伯爵に告げて早々に夜会から帰っていった。
帰りの馬車で落ち込む私に、アンリ兄様が声をかけてくる。
「やはりドレスが悪かったな。
ミケレット氏には厳しく言っておこう」
「大人しいドレスだったとしても、男性の視線を奪うのは変わりませんわ。
やはり私が社交場に出ることが間違いなのです。今回のことでそれがよくわかりました」
私は背もたれに身体を預けながら、窓の外を眺めていた。
もうマリアと仲良くなる道はないように思える。
きっともう、彼女は貧民区画の礼拝堂にも足を運ばないだろう。
胸からコサージュをむしり取り、窓を開けて外に投げ捨てた。
マリアとの友情は幻だったと、もう忘れることにした。
****
アンリ兄様は現在十七歳、エルメーテ公爵家嫡男として、お父様から領地の仕事を引き継いでいる。
お父様は王都で忙しく国政を回しているので、領主としての仕事はお母様とアンリ兄様が二人でこなしている状態だ。
私は時折アンリ兄様の執務室に顔を見せ、こうして仕事の手伝いをしている。
「お前はどこで領主の仕事なんて覚えたんだ?」
「エリゼオ公爵が私に仕事を押し付けてきていたのですわ。
そのために必要なことは覚えさせられました」
王都に居る間、私の時間を奪っていたのがそれだった。
とっとと片付けて人々の救済活動をしたかった私は、効率よく仕事をしていく方法を身に着けていった。
おかげで十五歳の頃には、エリゼオ公爵の仕事をほとんど私が一人でやっていた気がする。
「とんでもない話だな……だがその経験が今に生きてると思えば、私が助けられているとも言えるか」
私はにっこりと微笑んだ。
「お兄様をお助けできているなら、私も嬉しく思いますわ」
私が手伝えば仕事が早く片付く。
午後三時を回る頃には、その日の仕事が終わっていた。
「最近は少し、魔物の発生件数が増えていますわね」
「聖玉の力が衰えている証拠だろうな。
どうにかあれを修復する手段があればいいんだが」
聖玉の修復か……今まで考えたことが無かったな。
「そんな方法があるのですか?」
「グレゴリオ最高司祭が調査をしているらしい。
あれが聖神様の力の結晶だとするなら、それを補充できれば修復が見込めるのかもな。
専門家のグレゴリオ最高司祭に任せておけば、なんらかの結果は出してくれるだろう」
「では今度、王都に行ったときに伺ってみましょう。
それより、お仕事が片付いたならお昼寝をしませんか?」
私がアンリ兄様の腕を取ると、アンリ兄様も渋々立ち上がった。
「シトラス、お前はあの日から随分と甘えん坊になったな」
「我慢するのをやめただけですわ。
愛する人とくっついていたいのは、当たり前の欲求ではありませんか?」
そう考えると、スキンシップを求めていたころから、私はアンリ兄様に好意を持っていたのかもしれない。
鈍い私は、自分のそんな感情に気付いていなかったのだろう。
私たちはベッドルームに行くと、抱き合ったまま倒れ込んで夕食まで微睡みを楽しんだ。
夕食の席で、お母様がため息とともに告げる。
「あなたたちの共寝が社交界で噂になってるわ」
あら、やっぱり?
いくらエルメーテ公爵家の使用人だろうと、人の口に戸は立てられない。
こぼれ話が伝わって、社交界に広まったのだろう。
「貴族たちはどういう反応をしてらっしゃるのかしら」
「あなたたちは血のつながりがない義理の兄妹、婚姻する事も問題はないわ。
でも王統をエルメーテ公爵家が継ぐんじゃないかと囁かれてもいるの」
私はきょとんとしてお母様に尋ねる。
「ですが私は以前、王統は要らないと宣言しましたわよ?」
「それはダヴィデ殿下が立派な王になれば、という条件付きよ。
現在のところ、殿下は勉学に勤しんでらっしゃるけど、結果が出るのはだいぶあとね。
それに、あなたに執心している殿下は、その噂を良く思ってないみたいなの。
このままだと焦って危険な賭けに出かねないわ」
アンリ兄様が険しい顔つきになった。
「まさか、陛下の暗殺を?」
お母様が頷いた。
「陛下さえいなくなれば、ダヴィデ殿下が王位を継ぐわ。
そしてシトラスが王家に近づかない理由もなくなる。
そうなってから改めてシトラスに婚姻を申し込むつもりかもしれない。
ヴァレンティーノも充分に警戒しているはずだけれど、油断は出来ないわ」
陛下の命かー。
正直、居なくなってくれると助かる人だけど。
殺されるのを見過ごすのは、聖女失格な気がする。
私の毒殺を共謀した人ではあるけど、あれ以来悪いことはしてないし。
「お母様、今の陛下はどのように暮らしてらっしゃるのかしら」
「宮廷で好きにしてるみたいよ。
王の執務はヴァレンティーノが全て執り行ってる。
署名すらヴァレンティーノが代筆で済ませてるわ。
シトラスを恨んではいるみたいだけど、実行力は全て奪って何もできなくされてるもの。
日々を退屈に、女性を侍らせて暮らしてるんじゃないかしら」
うわぁ退廃的ぃ。
でもあの王様、女性さえ与えられれば満足して大人しくしてそうではある。
お父様がその見極めを間違うとも思えないし、無力化は続くんだろうな。
王妃様を早くに失くした陛下は、前回の人生でも女性をよく連れ回してた気がする。
今の私が近寄るのは、いろんな意味で危険な人だ。
そんな人でも、救えるなら救わないといけないなぁ。
気が重いけど、仕方がない。
「お母様、ダヴィデ殿下に会う段取りを整えて頂けますか」
お母様が私を見て喜びの声を上げた。
姿見の前で、私は新しいドレスを確認している。
もう慣れたけど、相変わらず私の身体を魅力的に見せつけるマーメイドドレスだ。
十四歳になった今も、私の身体は成長を続けている。
こんな妹に毎日添い寝をされ続け、未だに手を出さないアンリ兄様の自制心はどうなってるんだろう?
社交界は嫌いだけど、今日はバルベーロ伯爵家が開く夜会だ。
マリアに会いたかったので、招待状を手配してもらっていた。
廊下に出ると、通りかかったレナートが真っ赤な顔で私を見ていた。
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「文句はミケレットさんに言ってくれないかしら。
私はいつも控えめにしてくれとお願いするのに、毎回こんなドレスばかり作るのよ? あの人」
さすがに主役ではないので、目立たないように厚手のショールを被ってる。
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これってもしかして、平民だったら身の危険があるんじゃない?
最近では自分でも、この重たい身体で立ち回りをする自信はなかった。
ウェストは細いままだから太ってはいないはずだけど、体重は増える一方だ。
なんでこう極端な部位に肉が付くのかなぁ?
アンリ兄様にエスコートされながら、バルベーロ伯爵邸のホールに入っていく。
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夜会に来ている男性を落とそうとしても、相手の視線を奪ってしまう私なんて邪魔にしか感じないだろう。
そして私以外が眼中にないアンリ兄様を狙う令嬢にとって、私は目の上の瘤にしか見えないはずだ。
かといって私と張り合う自信がない令嬢は、遠くから私を睨み付けるだけになる。
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ほんと、もうミケレットさん以外の仕立師にドレスを発注するかな。
心の中でため息をつきながら、私は貴族の微笑みを張り付けて歩いて行く。
「おお! シトラス様! よくぞいらっしゃいました!」
「お招きありがとうございます、バルベーロ伯爵」
二言、三言の言葉を交わし、私はマリアを探し出す。
マリアも同年代の中では身体に恵まれている女性だ。
上品なAラインドレスを着こなすマリアは、貴族令嬢として輝いていた。
……私もそういう大人しいドレスがよかった。
「マリア、久しぶりですわね」
「シトラス様、ごきげんよう」
マリアの雰囲気が堅いな。どうしたんだろう?
「どうなさったの? なんだか緊張してらっしゃらない?」
「いえ、なんでもありませんわ。
どうぞ夜会を楽しんでいってくださいませ」
マリアがチラチラと誰かを見ている――視線の先を探ると、一人の貴族青年が居た。
もしかしてこの夜会でお近づきになりたかったのかな?
しかし当の貴族青年の視線は私――というか私の身体から目が離せないみたいだ。
思わずため息が漏れた。
男性から理性を奪う度合いは、成長するにしたがって増していった。
隣にアンリ兄様が居なかったらと思うと寒気がする。
ふと嫌な気配を感じて振り返る――マリアの視線に、嫉妬が混じっていた。
……ごめんねマリア。婚活の邪魔しちゃったね。
私はほどほどに夜会を楽しむふりをしたあと、「気分がすぐれませんので」とバルベーロ伯爵に告げて早々に夜会から帰っていった。
帰りの馬車で落ち込む私に、アンリ兄様が声をかけてくる。
「やはりドレスが悪かったな。
ミケレット氏には厳しく言っておこう」
「大人しいドレスだったとしても、男性の視線を奪うのは変わりませんわ。
やはり私が社交場に出ることが間違いなのです。今回のことでそれがよくわかりました」
私は背もたれに身体を預けながら、窓の外を眺めていた。
もうマリアと仲良くなる道はないように思える。
きっともう、彼女は貧民区画の礼拝堂にも足を運ばないだろう。
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アンリ兄様は現在十七歳、エルメーテ公爵家嫡男として、お父様から領地の仕事を引き継いでいる。
お父様は王都で忙しく国政を回しているので、領主としての仕事はお母様とアンリ兄様が二人でこなしている状態だ。
私は時折アンリ兄様の執務室に顔を見せ、こうして仕事の手伝いをしている。
「お前はどこで領主の仕事なんて覚えたんだ?」
「エリゼオ公爵が私に仕事を押し付けてきていたのですわ。
そのために必要なことは覚えさせられました」
王都に居る間、私の時間を奪っていたのがそれだった。
とっとと片付けて人々の救済活動をしたかった私は、効率よく仕事をしていく方法を身に着けていった。
おかげで十五歳の頃には、エリゼオ公爵の仕事をほとんど私が一人でやっていた気がする。
「とんでもない話だな……だがその経験が今に生きてると思えば、私が助けられているとも言えるか」
私はにっこりと微笑んだ。
「お兄様をお助けできているなら、私も嬉しく思いますわ」
私が手伝えば仕事が早く片付く。
午後三時を回る頃には、その日の仕事が終わっていた。
「最近は少し、魔物の発生件数が増えていますわね」
「聖玉の力が衰えている証拠だろうな。
どうにかあれを修復する手段があればいいんだが」
聖玉の修復か……今まで考えたことが無かったな。
「そんな方法があるのですか?」
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専門家のグレゴリオ最高司祭に任せておけば、なんらかの結果は出してくれるだろう」
「では今度、王都に行ったときに伺ってみましょう。
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「シトラス、お前はあの日から随分と甘えん坊になったな」
「我慢するのをやめただけですわ。
愛する人とくっついていたいのは、当たり前の欲求ではありませんか?」
そう考えると、スキンシップを求めていたころから、私はアンリ兄様に好意を持っていたのかもしれない。
鈍い私は、自分のそんな感情に気付いていなかったのだろう。
私たちはベッドルームに行くと、抱き合ったまま倒れ込んで夕食まで微睡みを楽しんだ。
夕食の席で、お母様がため息とともに告げる。
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あら、やっぱり?
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こぼれ話が伝わって、社交界に広まったのだろう。
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でも王統をエルメーテ公爵家が継ぐんじゃないかと囁かれてもいるの」
私はきょとんとしてお母様に尋ねる。
「ですが私は以前、王統は要らないと宣言しましたわよ?」
「それはダヴィデ殿下が立派な王になれば、という条件付きよ。
現在のところ、殿下は勉学に勤しんでらっしゃるけど、結果が出るのはだいぶあとね。
それに、あなたに執心している殿下は、その噂を良く思ってないみたいなの。
このままだと焦って危険な賭けに出かねないわ」
アンリ兄様が険しい顔つきになった。
「まさか、陛下の暗殺を?」
お母様が頷いた。
「陛下さえいなくなれば、ダヴィデ殿下が王位を継ぐわ。
そしてシトラスが王家に近づかない理由もなくなる。
そうなってから改めてシトラスに婚姻を申し込むつもりかもしれない。
ヴァレンティーノも充分に警戒しているはずだけれど、油断は出来ないわ」
陛下の命かー。
正直、居なくなってくれると助かる人だけど。
殺されるのを見過ごすのは、聖女失格な気がする。
私の毒殺を共謀した人ではあるけど、あれ以来悪いことはしてないし。
「お母様、今の陛下はどのように暮らしてらっしゃるのかしら」
「宮廷で好きにしてるみたいよ。
王の執務はヴァレンティーノが全て執り行ってる。
署名すらヴァレンティーノが代筆で済ませてるわ。
シトラスを恨んではいるみたいだけど、実行力は全て奪って何もできなくされてるもの。
日々を退屈に、女性を侍らせて暮らしてるんじゃないかしら」
うわぁ退廃的ぃ。
でもあの王様、女性さえ与えられれば満足して大人しくしてそうではある。
お父様がその見極めを間違うとも思えないし、無力化は続くんだろうな。
王妃様を早くに失くした陛下は、前回の人生でも女性をよく連れ回してた気がする。
今の私が近寄るのは、いろんな意味で危険な人だ。
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