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13話
~最後の崩壊と、ふたりの選択~
大陸全域で連鎖的な地殻変動が進行し、王国のみならず隣国を含む多くの領土が甚大な被害を被っている。次の大崩落がいつ、どこで起こっても不思議ではない。そんな極限状態の中、ガイア王子は王都からの大規模避難計画をひたすら推し進めていた。
王国東部の高原地帯は比較的地盤が安定しているため、そこに“最後の砦”ともいうべき巨大な避難キャンプを築くことが狙いだ。城下町の住民はもちろん、他の領地から逃れてきた難民にも呼びかけ、兵士たちが誘導している。
だが、全員を救うだけの物資や時間があるわけではない。膨大な人々が道端で倒れ、救援物資を奪い合う混沌は続いている。そんな絶望的な状況でも、王子は足を止めず、騎士団長や有志の若手貴族たちとともに被災者の先頭を行く。マリンもまた、彼の隣で献身を続けていた。
---
1.騎士団の決意と、保守派の末路
王宮内部は既に機能不全に陥り、国王は自室に籠りきりのまま意思決定を放棄している。保守派貴族の多くは王都を見限る形で勝手に脱出を図ったり、あるいは隣国へ逃げようとしたりしているという。
しかし、それらの試みが成功する保証はどこにもない。大陸の至るところで崩壊と地割れ、津波や山体崩壊が起こり、陸路も海路も安全ではないからだ。
「ライガン公爵が大金を積んで造船所を買い取り、自分だけが乗れる“専用の船”を作らせているらしい……」
そんな噂が兵士たちの間で囁かれる。私欲に走る保守派の典型と言えるだろう。だが、どれほど金を積んでも肝心の職人や材料が揃わず、船が完成する前に港ごと沈むかもしれない。
実際、別の町では既に“港が陥没し、停泊していた船もろとも海底へ消えた”という惨劇が起きている。ガイア王子も「公爵の身勝手な計画が成功するとは思えないが、放っておくしかないな」と嘆くほかない。いまや、誰もが自分の信じる道を選ぶしかなくなっている。
一方、騎士団長とロイド副長は、王都に残る兵士たちをまとめ上げながら「避難キャンプへの物資搬送」に奔走していた。崩壊前の貴族邸や倉庫から食料や薬をかき集め、略奪騒ぎを抑えつつ難民に配給している。
騎士たちの中にも故郷や家族を失った者は多いが、それでも王子の信念に共感し、“国が潰えるその日まで、民を守り抜く”という覚悟を示している者が大半だ。かつての社交界で華美を誇った騎士や貴族たちが、泥まみれで奉仕活動をする姿は、とても同じ世界とは思えないほどの変貌だった。
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1.騎士団の決意と、保守派の末路
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そんな噂が兵士たちの間で囁かれる。私欲に走る保守派の典型と言えるだろう。だが、どれほど金を積んでも肝心の職人や材料が揃わず、船が完成する前に港ごと沈むかもしれない。
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一方、騎士団長とロイド副長は、王都に残る兵士たちをまとめ上げながら「避難キャンプへの物資搬送」に奔走していた。崩壊前の貴族邸や倉庫から食料や薬をかき集め、略奪騒ぎを抑えつつ難民に配給している。
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