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第4章:ロザリーの勝利──新たな未来へ
2. 社交界での“ロザリー・フォン・アーデン”コール
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2. 社交界での“ロザリー・フォン・アーデン”コール
そんな空気を反映するかのように、ロザリーのもとには連日、様々な貴族からの招待状や訪問が絶えなかった。これまでも公爵令嬢としての地位と名声は高かったが、“婚約破棄された被害者”という同情にとどまらず、“国を救ったヒロイン”としての評価を得たことで、さらに一目置かれる存在になっていたのである。
王都の豪奢な屋敷では、次々と夜会や昼餐会が催され、そのたびにロザリーは華やかなドレスを纏って姿を現す。もちろん、彼女自身は騒ぎ立てられることにあまり興味はない。だが、アーデン家の令嬢として社交界に顔を出し、時には政治的な話題にも触れる必要があるとわきまえていた。
ある日の午後、ラトレイン子爵夫人主催のお茶会に招かれたロザリーは、周囲の貴婦人たちから矢継ぎ早に声をかけられた。
「ロザリー様、このたびの件は本当にご苦労なさったでしょうね。まさか王太子殿下があんな醜聞を……。」
「婚約破棄のこと、私たちも本当に驚きました。最初は同情いたしましたが、今やロザリー様のほうこそ被害者というより“救世主”ではありませんか?」
多くの婦人たちが口々にロザリーを称賛する。その言葉にロザリーは苦笑しながらも、柔らかな微笑で応じる。
「皆さま、お気遣いありがとうございます。わたくしはただ、国王陛下と重臣の皆さまに正しい情報をお伝えしただけですわ。偽りの神託で国が乱れるのを見過ごすわけにはいきませんでしたので。」
そう言うと、一部の淑女たちは感嘆の溜息をつくように頷く。
「やはり、あのロザリー様。王太子妃に相応しいご器量とご見識をお持ちだわ……。」
「ええ、そうよね。今回の一件で改めてわかったの。ロザリー様こそ、真の王妃にふさわしいのではないかしら。いえ、それこそ“女王”とお呼びしたいくらい……。」
冗談半分の言葉ながら、その場にいた人々は頷き合う。エドワードの破滅ぶりとセシリアの醜聞を知る今、誰もがロザリーなら国を滅ぼすまいと思っているのだ。こうした世論や社交界の噂話が、巡り巡ってさらにロザリーの評価を押し上げている。
ロザリーはそんな会話を耳にしながらも、決して威圧的になったり高飛車になったりはしない。常に落ち着いた態度で、必要なときには微笑み、必要なときには毅然とした意見を述べる。それこそが、彼女がアーデン家の令嬢として長年にわたって磨いてきた高貴さであり、“エドワードに捨てられた被害者”などというイメージとは無縁の姿だった。
(こんなに多くの方から評価されるなんて、以前なら想像もしていなかったわ。婚約破棄された直後は、まさかここまで状況が変わるなんて……。)
ロザリー自身、心の中で小さく驚きを覚える。だが、同時に改めて思うのだ。誰かに寄りかかって生きるのではなく、自分の力と意思で道を切り開いてこそ、本当の自由や尊厳が得られるのだと。
王太子という存在に縛られ、将来を決められていた日々。それを脱却した今のロザリーは、広い視野を得ている。だからこそ、彼女のもとには新たな選択肢と出会いが次々と舞い込んでくるのだろう。
そんな空気を反映するかのように、ロザリーのもとには連日、様々な貴族からの招待状や訪問が絶えなかった。これまでも公爵令嬢としての地位と名声は高かったが、“婚約破棄された被害者”という同情にとどまらず、“国を救ったヒロイン”としての評価を得たことで、さらに一目置かれる存在になっていたのである。
王都の豪奢な屋敷では、次々と夜会や昼餐会が催され、そのたびにロザリーは華やかなドレスを纏って姿を現す。もちろん、彼女自身は騒ぎ立てられることにあまり興味はない。だが、アーデン家の令嬢として社交界に顔を出し、時には政治的な話題にも触れる必要があるとわきまえていた。
ある日の午後、ラトレイン子爵夫人主催のお茶会に招かれたロザリーは、周囲の貴婦人たちから矢継ぎ早に声をかけられた。
「ロザリー様、このたびの件は本当にご苦労なさったでしょうね。まさか王太子殿下があんな醜聞を……。」
「婚約破棄のこと、私たちも本当に驚きました。最初は同情いたしましたが、今やロザリー様のほうこそ被害者というより“救世主”ではありませんか?」
多くの婦人たちが口々にロザリーを称賛する。その言葉にロザリーは苦笑しながらも、柔らかな微笑で応じる。
「皆さま、お気遣いありがとうございます。わたくしはただ、国王陛下と重臣の皆さまに正しい情報をお伝えしただけですわ。偽りの神託で国が乱れるのを見過ごすわけにはいきませんでしたので。」
そう言うと、一部の淑女たちは感嘆の溜息をつくように頷く。
「やはり、あのロザリー様。王太子妃に相応しいご器量とご見識をお持ちだわ……。」
「ええ、そうよね。今回の一件で改めてわかったの。ロザリー様こそ、真の王妃にふさわしいのではないかしら。いえ、それこそ“女王”とお呼びしたいくらい……。」
冗談半分の言葉ながら、その場にいた人々は頷き合う。エドワードの破滅ぶりとセシリアの醜聞を知る今、誰もがロザリーなら国を滅ぼすまいと思っているのだ。こうした世論や社交界の噂話が、巡り巡ってさらにロザリーの評価を押し上げている。
ロザリーはそんな会話を耳にしながらも、決して威圧的になったり高飛車になったりはしない。常に落ち着いた態度で、必要なときには微笑み、必要なときには毅然とした意見を述べる。それこそが、彼女がアーデン家の令嬢として長年にわたって磨いてきた高貴さであり、“エドワードに捨てられた被害者”などというイメージとは無縁の姿だった。
(こんなに多くの方から評価されるなんて、以前なら想像もしていなかったわ。婚約破棄された直後は、まさかここまで状況が変わるなんて……。)
ロザリー自身、心の中で小さく驚きを覚える。だが、同時に改めて思うのだ。誰かに寄りかかって生きるのではなく、自分の力と意思で道を切り開いてこそ、本当の自由や尊厳が得られるのだと。
王太子という存在に縛られ、将来を決められていた日々。それを脱却した今のロザリーは、広い視野を得ている。だからこそ、彼女のもとには新たな選択肢と出会いが次々と舞い込んでくるのだろう。
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