婚約破棄されたので、自由に生きたら王太子が失脚しましたあ

鍛高譚

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第4章:ロザリーの勝利──新たな未来へ

4. 隣国からの正式な求婚──王クラウスの到来

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4. 隣国からの正式な求婚──王クラウスの到来

 そんなある日のこと。ロザリー・フォン・アーデンのもとに、一通の書簡が届いた。差出人は隣国の王、クラウス・アレクサンドル。
 王位に就いてまだ若い彼は、以前から“名君”として評判が高く、自国の発展と国際関係の強化に力を注いでいる人物だった。これまでもアーデン公爵家とは商会を通じたやり取りがあり、ロザリーも公的な場で一度顔を合わせたことがある。彼女の外交能力や知的センスに感銘を受けたクラウスが、以前から何度か小さな接触を図っていたのは周知の事実だ。
 しかし、今回の書簡は今までのような“交易や政治の話”ではなく、はっきりとした求婚の意思を示す内容だった。

「私は貴国に深い敬意を抱く者ですが、とりわけアーデン公爵令嬢――あなたに特別な思いを抱いております。
 その聡明さ、美しさ、そして何より誇り高き魂に惹かれました。
 もしよろしければ、私の王妃として隣国を共に支え、未来を切り開いていただきたい。
 正式に求婚を申し上げたく、近くそちらへ伺う予定です。
 ――クラウス・アレクサンドル**

 読み進めるうち、ロザリーは思わず息を止めた。以前から彼が自分に好意を示しているのは薄々感じていたが、まさかここまで直接的な言葉を送ってくるとは思わなかったのだ。

「ロザリー様……もしかして、これって……。」

 侍女のリーゼルが、はしゃぎを抑えきれない様子で声をかける。ロザリーは顔をほんのりと赤くしつつ、書簡をそっと机に置いた。

「ええ……どうやら、正式な求婚みたいね。近々こちらにお越しになるとも書いてあるわ。」

「わぁ……なんだか夢みたい! クラウス王といえば、若くして隣国をしっかり治められている有能な方ですもの。王太子殿下のように軽率なところもないと聞きますし……。」

 リーゼルは興奮気味に言葉を続けるが、ロザリーはまだ落ち着かない表情だ。
 確かに、クラウス王は魅力的な人物だという話はよく耳にする。その王としての資質のみならず、人柄も温厚であり、民にも慕われている。もし彼の求婚を受ければ、ロザリーは隣国の王妃として新たな人生を歩むことになるだろう。そして、それは今の国との同盟関係を一層強固にするという政治的メリットも大きい。

(でも……わたくしは、本当に王妃として暮らしたいのかしら。再び大きな責任を背負い、婚約破棄のような悲劇を繰り返す可能性はないのか……。)

 心の奥に、ほんの少しだけ不安がよぎる。いくらクラウス王が誠実だとしても、王家という立場が彼女に与える圧力は計り知れない。前の婚約では、結局エドワードの裏切りで大きく傷ついたのだ。
 ロザリーは自室で書簡を読み返しながら、自分の心と向き合う必要を感じていた。
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