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第4章:ロザリーの勝利──新たな未来へ
9. 邂逅とエドワードの幻影
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9. 邂逅とエドワードの幻影
ロザリーが隣国の王との文通を始めてから、さらに数週間が過ぎたころ。彼女は王宮近くを通りかかった際、ふと昔の記憶が蘇る。ここは、かつて王太子エドワードに初めて“婚約者”として正式に紹介された場所──王立庭園へ続く道だ。
今はもう、あの人はここにいない。国外追放され、二度と戻らない。ロザリーは庭園の入り口に立ち止まり、しばし遠くを見つめる。
(そういえば、あの日もこんな風に晴れやかな空だった。王太子殿下は“君とならきっと素晴らしい未来が築ける”なんて口にして……結局、約束は破られてしまったけれど。)
嘆きや後悔はない。ただ、微かな郷愁のような感情が胸をくすぐる。あの頃は若く、婚約者という肩書きに期待もしていたし、多少なりとも好意のようなものが芽生えかけていたのかもしれない。それが今や“破棄ざまぁ”の結末を迎え、自分はまったく別の道を歩いている。
そこへ不意に声がかかった。
「ロザリー様……。珍しいところにいらっしゃいますね。」
振り向くと、王宮の近衛騎士の一人が敬礼していた。彼はエドワードがまだ王太子だったころ、宮廷警護に就いていた人物だ。今は国王の直轄部隊に配属されている。
「おや、あなたは確か……王太子殿下を護衛されていた?」
「ええ、そうでした。でも、今は国王陛下の近衛騎士として働いています。……先日の一件では、ロザリー様には頭が上がりません。私たちも殿下のことをもっと早く気づかせるべきだったのかもしれません。あのセシリアという女性に、殿下があそこまで振り回されるとは……。」
騎士は苦い表情で言葉を続ける。ロザリーは小さく首を振った。
「いいのです。どのみち、彼があのような行動をとったのは自分の選択ですから。誰のせいでもありません。」
「ロザリー様は、お強いんですね……。私たち騎士の間でも“ロザリー様は偽りを暴いた英雄”だと噂されています。次の王妃は、ああいう方が相応しいだろうと、みんな口を揃えて言っていますよ。」
彼の言葉に、ロザリーは微笑み返すしかなかった。もう王妃にはならない──そう思っていた時期があったが、今や隣国王から求婚を受けている立場だ。世の中はわからないものだと、改めて実感させられる。
騎士は一礼し、王宮のほうへ戻っていく。ロザリーは再び、静かな庭園の方角へ視線を向けた後、踵を返した。
(わたくしはもう、過去を振り返ることはしない。エドワード殿下と、偽の聖女セシリアの幻影はここに置いていくわ。わたくしの道は、この先にある……。)
ロザリーが隣国の王との文通を始めてから、さらに数週間が過ぎたころ。彼女は王宮近くを通りかかった際、ふと昔の記憶が蘇る。ここは、かつて王太子エドワードに初めて“婚約者”として正式に紹介された場所──王立庭園へ続く道だ。
今はもう、あの人はここにいない。国外追放され、二度と戻らない。ロザリーは庭園の入り口に立ち止まり、しばし遠くを見つめる。
(そういえば、あの日もこんな風に晴れやかな空だった。王太子殿下は“君とならきっと素晴らしい未来が築ける”なんて口にして……結局、約束は破られてしまったけれど。)
嘆きや後悔はない。ただ、微かな郷愁のような感情が胸をくすぐる。あの頃は若く、婚約者という肩書きに期待もしていたし、多少なりとも好意のようなものが芽生えかけていたのかもしれない。それが今や“破棄ざまぁ”の結末を迎え、自分はまったく別の道を歩いている。
そこへ不意に声がかかった。
「ロザリー様……。珍しいところにいらっしゃいますね。」
振り向くと、王宮の近衛騎士の一人が敬礼していた。彼はエドワードがまだ王太子だったころ、宮廷警護に就いていた人物だ。今は国王の直轄部隊に配属されている。
「おや、あなたは確か……王太子殿下を護衛されていた?」
「ええ、そうでした。でも、今は国王陛下の近衛騎士として働いています。……先日の一件では、ロザリー様には頭が上がりません。私たちも殿下のことをもっと早く気づかせるべきだったのかもしれません。あのセシリアという女性に、殿下があそこまで振り回されるとは……。」
騎士は苦い表情で言葉を続ける。ロザリーは小さく首を振った。
「いいのです。どのみち、彼があのような行動をとったのは自分の選択ですから。誰のせいでもありません。」
「ロザリー様は、お強いんですね……。私たち騎士の間でも“ロザリー様は偽りを暴いた英雄”だと噂されています。次の王妃は、ああいう方が相応しいだろうと、みんな口を揃えて言っていますよ。」
彼の言葉に、ロザリーは微笑み返すしかなかった。もう王妃にはならない──そう思っていた時期があったが、今や隣国王から求婚を受けている立場だ。世の中はわからないものだと、改めて実感させられる。
騎士は一礼し、王宮のほうへ戻っていく。ロザリーは再び、静かな庭園の方角へ視線を向けた後、踵を返した。
(わたくしはもう、過去を振り返ることはしない。エドワード殿下と、偽の聖女セシリアの幻影はここに置いていくわ。わたくしの道は、この先にある……。)
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