『殺されたはずの公爵令嬢は、幽霊として王太子を断罪します』

鍛高譚

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16話

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即位宣誓式:動き出す破滅のシナリオ

 宣誓式の会場は、王宮の“玉座の間”だ。
 そこには国王陛下の玉座と、その左右に控える王族、そして列席する数多くの公爵・侯爵・伯爵などの貴族たちが集まる。騎士団や高位の神官も列席し、厳かに儀式が進められていく。

 もっとも、本来なら国王本人の体調が回復するのを待つのが通例だ。しかし今回は「王太子が国の安定を優先させるため、早急な継承宣誓を行う」という名目で強引に実施された。噂では、国王は高熱にうなされているらしいが、生死には至っていないとか。
 私は幽体化し、玉座の間の天井裏近くを静かに移動していた。巨大な柱や飾り彫りに身を隠しつつ、下で繰り広げられる儀式の様子を見下ろす。

 そこには、玉座に寄り添う形でアルファルドが立っていた。正式な戴冠式ではないが、彼はすでに周囲から“陛下の代役”として扱われている。セレスティナも後ろで控えており、鮮烈な真紅のドレスを身にまといながら周囲の目を意識しているようだ。
 最初のうちは、祝賀の言葉や儀式的な挨拶が淡々と行われていく。アルファルドが「国王陛下の病は軽微」と強調しながら、スピーチを続ける姿は、表向きは立派な王子に見えるかもしれない。

(ふざけないで……両親を殺し、この国を思うままに牛耳ろうとしているくせに……)

 私の胸には怒りが燃え盛っていた。場内に重い空気が漂い始めたころ、玉座の裏手のカーテンが引かれ、車椅子に乗った国王が案内されてきた。
 王は青白い顔をしており、とても健常とは言えない様子だが、かろうじて意識はあるのだろう。神官の支えを受けながら、玉座の右側に据えられた椅子に腰掛ける。会場全体が「おお……陛下が……」とざわめく。

 アルファルドは浅く嘆息し、父王を見下ろすように一瞥する。そして人々に向けて口を開いた。
「皆の者、陛下のお体はご覧のとおり万全ではない。しかし、我が国の安定のためには、速やかに次代の王を定める必要があるのだ。私、アルファルドが先頭に立ち、王家の権威を守り抜くことをここに誓おう」

 貴族たちからは控えめな拍手が起こる。だが、どこか微妙な空気も漂っていた。まるで、アルファルドが父王を押しのけて自分の権力を確立しようとしている――そんな印象を受ける者も少なくないのだろう。
 私は、空気の変化を肌で感じながら、そろそろ動くべき瞬間を見定める。合図はリヒトが送ってくれるはず。あらかじめ「壇上の近くで衛兵を引きつけるから、その隙に玉座の間へ降りて来い」と打ち合わせをしてあるのだ。

「王太子殿下、では次に、貴方の口から臣下への宣誓をいただきたい。貴族たちはその証人となるべく、ここに集まっております」
 神官が厳かな声で告げると、アルファルドはうなずき、壇の中央へと足を進めた。そのとき――場外のほうでなにやら人声が上がり、衛兵が走っていく音が響いた。

(きた……リヒトが動いてくれたんだわね)

 私は大きく深呼吸し、幽体化を維持したまま玉座の間の天井付近から床へと降りていく。角度を計算しながら、なるべく人目につかない空間を目指すが、この広い会場を移動するのは緊張する。
 貴族たちの視線は王太子に集まっている。私の姿は半透明だからこそ、そう簡単にはバレないはず……。

「──私は、この国を、偉大なる王家のもとにさらに繁栄させることを約束する」
 アルファルドが堂々と声を張り上げる。玉座に座る国王は、その姿を冷ややかに見つめているようにも思えた。セレスティナは緊張の面持ちで、アルファルドの背後に立っている。

 私は壇の脇まで近づき、柱の陰に隠れながら思考を巡らせる。さあ、いよいよ……。
 次の瞬間、玉座の間の扉が乱暴に開け放たれ、リヒトが走りこんできた。服装こそ控えめだが、その手には王宮所属の魔導師としての徽章を掲げており、衛兵たちを一瞬ひるませる。会場全体が「何事だ!?」と色めき立つ中、リヒトはアルファルドを指さして高らかに声を上げた。

「殿下、重大なご報告があります。…国王陛下の急病と、ここ最近の騒動、そしてアストラル公爵家の“事故死”が、すべて殿下の指示によるものだという証拠が手に入りました!」

 ざわめき、騒然。アルファルドはもちろん、セレスティナも「な、なにを言うの!?」と叫び、貴族たちも「まさか」「陰謀か?」と口々に疑念をぶつけ始める。
 国王は小さく息を呑むようにして、リヒトをまっすぐ見つめていた。だが、体が弱っているせいでうまく声を出せないのだろう。

「ふざけるな! 貴様は宮廷魔導師だろう。いったい誰に唆された!?」
 アルファルドが憤然と叫ぶが、リヒトは臆さず言い返す。
「唆されたわけではありません。私は、何人もの証言者と、これらの書類を握っている。公爵夫妻の死を事故に見せかける計画書、闇ギルドとの契約記録、それにロゼリア家から隠されていた資金の流れ──すべてです!」

 そう言いながら、リヒトは懐から書類の束を取り出して掲げる。貴族たちは「これは一大事だ」「本物か?」とさらに騒ぎを増す。
 アルファルドの顔が青ざめ、セレスティナも唇を震わせている。

「……貴様、よくもそんな茶番を。偽造書類で俺を貶めるつもりか!」
「偽造かどうか、この場で検証しましょう。裁判でもいい。ですが、その前にもう一人、証人が現れるはずです」

 リヒトがそう言った瞬間、場内のあちこちが「証人? 誰だ?」とざわつく。アルファルドは「余計な真似を……!」と苛立ちを隠せない。
 そして私は、柱の陰からそっと姿を表した。もちろん幽体化のままで、ほとんどの人には見えないはず。それでも一部の感知能力を持つ者は「……なにかいる?」と怪訝な顔をするかもしれない。

 私の胸は早鐘のように脈打っていた。何か、冷たい汗が背中を流れる。このまま近づけば、アルファルドの護衛兵に見つかるかもしれないが……やるしかない。
 意を決して、私はアルファルドのすぐ背後に回りこむ。彼はリヒトと口論を続けているため、今が好機だ。

(死んだふりを続けてきた私の“真の力”──《憑依》、今こそ発動させる!)

 私はアルファルドの背中にそっと手を伸ばす。幽体化している腕が、相手の体へじわりと入り込むように侵入していく。頭がズキリと痛むと同時に、視界が混濁するような感覚に襲われた。
 ほどなくして、アルファルドの口から聞こえてくる声が微妙に変化する。――いいえ、正確には私の意識が、彼の言葉を支配し始めたのだ。

「……貴様ら……何を騒いでいる……。そうだ、俺が……俺がユウナを殺したんだ……」
 その瞬間、場内が水を打ったように静まり返った。アルファルドの顔は、自分自身でも驚いているかのように歪み、青ざめている。しかし、口から出る言葉は止まらない。

「……アストラル家は邪魔だったんだよ。財産も権力も、すべて利用してやろうと思ったのに、伯爵夫妻は従わなかった。ならば排除するしかなかった。それだけの話だ。……そうだ、両親を殺して、ユウナもついでに始末してやった……」

 貴族たちから悲鳴や怒声が上がる。セレスティナが「ちょっと……殿下、何を……!?」とパニックになっているが、私の支配が優勢なうちは止められない。
 王太子の身体がガクガクと震え、顔の表情は半狂乱のようになっている。しかし言葉だけははっきりと響き渡る。

「はは、国王だっていつまでも王位にしがみついているから悪いんだ。老いぼれがくたばれば、俺がこの国を支配する……それの何が悪い……!?」

 ああ、この声は間違いなくアルファルド本人のもの。それでも、私の意志が彼の舌を支配している。さらけ出した醜悪な本音に、会場は怒号と悲鳴で混乱に陥った。
 私の頭の中にはキンキンと耳鳴りが響き、視界がチカチカと白む。もう限界かもしれない。あと少しだけ……あと少しだけ、言わせたい。

「……セレスティナ、貴様もだ……あの女の親を馬車事故に見せかけるよう手を回したのは……そうだろうが……」
「殿下……やめてください……私を巻き込まないで……ッ!」

 セレスティナの絶叫に、貴族たちがさらに動揺する。護衛兵が一斉にアルファルドへと駆け寄り、リヒトも「ユウナ、もう十分だ。離れろ!」と念を送ってくる。
 私は意識が千切れるような痛みに耐えながら、彼の身体から離脱する。瞬間、アルファルドは「はっ……!」と大きく息を吸い込み、膝をついて崩れ落ちた。

 私の幽体は床に転げるように抜け出し、半透明の姿でそこにしゃがみ込む。周囲の貴族や兵士たちは、その奇妙な光景に言葉を失っている。
 このままでは捕まるかもしれない。それでも十分。“王太子アルファルド自身の口”から、両親殺害と簒奪計画を白状させることができた。もう否定しようがないだろう。

「アルファルド……本当なのか……?」
 国王が蒼白な顔で、か細い声を出す。アルファルドは茫然自失で、「い、今のは……何だ……」と頭を抱えているが、会場の空気は圧倒的に“彼を有罪”と断じようとしている。

「こんなの嘘よ! 亡霊の仕業だわ!」
 セレスティナが泣き叫ぶが、その言い訳はかえって効果がない。何しろ、アルファルド自身が全て白状したのだから。
 やがて、騎士団長が大声で「王太子殿下を拘束せよ!」と命令を下した。衛兵たちが躊躇いがちに、しかし明確な手つきでアルファルドの両腕を掴む。同様に、セレスティナも取り押さえられる。

「離せ、貴様ら! 王になる俺に手を……!」
 アルファルドが叫ぶが、もはや誰も聞く耳を持たない。その姿はまるで落ちぶれた亡霊のようで、かつての堂々たる王太子の面影は欠片もない。

 私は、床に膝をついたまま肩で息をしていた。頭痛がひどく、視界は二重にブレている。憑依を解いた反動が想像以上に大きい……。
 それでも、この目で見届けた。彼らが破滅へと転落する瞬間を。

(お父様……お母様……やったわ。私、仇を取ったのよ……)

 そう心の中で呟いたとき、視界の端に見慣れた黒髪が映った。リヒトが騎士団や貴族たちの目を避けるように走り寄ってきて、私の身体を支えてくれる。
「ユウナ、しっかりしろ……!」

「……だ、大丈夫……。でも……私、どうなるの……?」
 私が霞む意識で問いかけると、彼は思わず笑ってしまったようだ。
「心配するな。今や王太子殿下は自白し、セレスティナも捕縛された。貴族たちの前で公に罪が立証されたんだ。お前も“亡霊”のままじゃなく、ちゃんと生きていることを名乗り出たって問題ないはずだ」

 そう、それが理屈だが、今の私はまともに立つことすら困難だった。憑依の反動だけではない。もともと瀕死の状態から無理を重ねてきた私の身体は、限界が近いのだろう。

 ――すると、その場にいた神官のひとりが駆け寄ってきた。
「そ、その方は……まさか……アストラル公爵令嬢なのですか? もし本当に生きておられるのならば、我々が癒しの魔法を試してみますが……」
 リヒトは「頼む」と一言だけ告げ、神官が光の魔法で私を包み込む。だが、なぜか不思議と完全には癒えない。体は透き通ったまま、死と生の境界線で揺れているかのようだった。

「ユウナ……っ!」
「……リヒト、ありがとう。あなたのおかげでここまで来れた。もう……何も後悔はないわ」

 意識が遠のく。幽体化が解け切らず、体がフワフワと宙に浮いている感覚。私が死者なのか生者なのか、自分でもわからなくなってきた。
 だけど、両親の仇を取った今、心はとても穏やかだった。あと少しだけ……生きていたい。できることなら、リヒトと共に……。

「諦めるな、ユウナ……お前はまだ死なせない!」

 リヒトの声が遠く聞こえ、私はそのまま意識を手放した――。
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