白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇

鍛高譚

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第26話 リオナ失踪?/カイルの焦燥

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第26話 リオナ失踪?/カイルの焦燥

翌朝。

学院の門をくぐったカイルは、まず最初にリオナの姿を探した。
昨日、彼女が“泣きそうになりながら帰った”と聞いたきり、連絡も取れない。

(……リオナ。
昨日、一体何があったんだ)

胸の奥がざわつき、落ち着かない。

リオナはいつも早く登校する。
それなのに──

「……いない」

校舎内を見回しても、リオナの姿はどこにもなかった。


---

 教室にリオナの姿が無い

始業の鐘が鳴り、授業が始まる。

それでも、リオナの席は空席のままだった。

「リオナ、休みか?」
「珍しいね……皆勤賞だったのに」
「やっぱり噂がこたえたのかな」

周囲の生徒たちの噂が耳に入るたびに、
カイルの胸の不安が増していった。

(こんな時に……
僕は何をしてるんだ)

自責の念が力いっぱい胸に刺さる。

昨日、リオナは一人で教室の嫌がらせを受け、
それでも笑おうとしていた。

気づけなかった自分を、カイルは心底悔やんでいた。


---

 ミレイナの“勝ち誇り”

休み時間。

ミレイナが周囲の取り巻きとともに教室へ入ってきた。

「あら、リオナさん……今日はいないのかしら?」

わざとらしい声。
しかしその口元は、押し隠しきれない笑みに歪んでいる。

「昨日のことで、心が折れたのでしょうね」
「身の程を知ったのかも」
「もう来なければいいのに」

取り巻きたちがくすくす笑う。

カイルはゆっくりとミレイナへ歩み寄った。

「ミレイナ。
君は何か知らないか?」

ミレイナは優雅に首をかしげる。

「知りませんわ。
でも──庶民の子は繊細ですものね」

「……」

カイルの瞳が冷たく光る。

「これ以上、リオナのことで軽々しく口を開くな」

ミレイナは一瞬、息を呑んだ。

(カイル様……こんな目で私を……)

嫉妬と恐れが入り混じったような表情で彼を見つめるが──
笑顔はすぐに戻った。

「ご心配なく。
私は“何もしておりませんわ”。
噂が広まったのは、皆さまが“面白がっただけ”ですもの」

カイルはその言葉に、胸の奥がざらつくのを感じた。

(ミレイナ……君はまだ、何か隠している)


---

 リオナの家へ

授業を数分だけ早退し、カイルは学院を飛び出した。
正門前で馬車を捕まえて行き先を告げる。

「ウィンナ街区、リオナ・ベイルの家まで!」

馬車が勢いよく走り出す。

(心配するなと言っても……できるわけがないだろ)

昨日のリオナの怯えた表情──
震える声。
机の中のメモを必死に隠した姿。

(あんなの……放っておけるわけない)

数分後、リオナの家の前に到着した。

カイルは急いで玄関へ向かい、扉をノックした。

コン、コン。

「リオナ! 僕だ、カイルだ!
いるなら返事を──」

だが、返事はない。

コンコンッ!
少し強めに叩いても、沈黙だけが返ってくる。

近くの住人が声をかけてきた。

「ベイルさんなら……今朝、家を出ていくのが見えたよ。
でも方向がいつもと違っていてね」

いつもと違う──?

「どっちの方向へ?」

「学院とは逆の……裏道の方へ行ってたけど」

胸が跳ねる。

(どういうことだ……?
学院に行かないつもりだったのか?
まさか──何かに巻き込まれた……?)

悪い予感が、カイルの背筋に冷たいものを走らせた。


---

◆学院に戻るカイルの焦燥

学院に戻ったカイルは、廊下の途中で教師の一人に呼び止められた。

「ノーグレイ君、少しいいかね」

「今、急いでいるんです」

「それは分かっているが……リオナ・ベイル君についてだ」

カイルは足を止めた。

「リオナが……何か?」

教師は顔を曇らせた。

「朝、学院の裏庭付近で落とし物が見つかってね。
どうもリオナ君のものらしい」

手渡されたのは──
昨日、リオナが教室でずっと大事そうに握りしめていた
薄い青色のハンカチ。

胸の奥が、強く締めつけられた。

「裏庭……?
裏庭で……?」

教師は言った。

「学院裏の森に続く道の近くで落ちていたんだ。
あの辺りは……あまり生徒が近づかない場所だ」

その言葉は、カイルを凍らせるに十分だった。

(裏庭の奥……森……
なんであんな危険な場所へ……)

そこは学院でも“立ち入り禁止に近いエリア”だ。

リオナが自ら行く理由なんて、あるはずがない。

「……誰かに連れていかれた可能性がある」

カイルは声を震わせながら呟いた。

次の瞬間──カイルは走り出した。

「ノーグレイ君!? どこへ行く!」

「リオナを探しに行きます!!」

カイルは裏庭へと駆け、森の入口へ飛び込んだ。

その胸にはただ一つの思い。

(どうか……どうか無事でいてくれ、リオナ……!)

その時、森の奥から聞こえた微かな金属音に──
カイルはさらに全力で走る。

リオナを確実に狙う“何者か”の影が、
確実に動いていた。


---
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