異世界ニートを生贄に。

ハマハマ

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78「ロップスvsアンテオ」

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「待て! 慌てるな!」

 イギーさんが大声で待ったを掛けました。

 が、間に合いませんでした。

「どりぁぁ! 烈火十山斬れっかじゅうざんざん!」

 ロップス殿のチュウニ技・・・・・が炸裂してしまいました。

 命名はタロウですよ、僕じゃないですからね。
 意味はちょっと分かりませんが。

「……な!?」

 アンテオ様の右首筋を狙ったロップス殿の棒が直撃しましたが、防ぐ素振りも見せず、首筋でそのまま受け止められました。

「……貧弱な攻撃だな、ロップスよ」
「叔父上!? 意識があるのか?」

 棒を霧散させたロップス殿がアンテオ様の胸を軽く蹴ってこちらへ跳んで戻ります。

「叔父上! 意識があるのか!?」
「ある」
「なら何故そんな奴と一緒に居るのだ!」
「居たいから居るのだ」

 アンテオ様の意思だと言うことでしょうか。

「無駄だぞ。ボクの左腕を触媒にした魔術は完璧さ。コイツは自分の意思でボクと居ると思ってるんだぞ」
「何故そんな手間を掛けるんです? 操るのに不便でしょう?」
 自我を奪った方が操るのは容易いはずです。

「さすがヴァン、良いとこに気づくね」

 パチパチと手を叩いて褒めてくれました。

「この前もイマイチだっただろ? 自我を奪うと弱いんだ、コイツ」

 確かに、あの時のアンテオ様なら一対一でも僕が勝てたでしょう。イギーさんの命令に反応するのが遅いせいか、チグハグでしたからね。
 対して今のアンテオ様は……、分かりません。一種異様な雰囲気を醸し出しているのは感じますが……。

「そんな事はどうでも良い! 叔父上を解放してくれ!」
「バッカだなー。する訳ないじゃん。ボク左腕まで犠牲にしてんだぞ。はーぃ、って解放すると思うの?」
「黙れ!」

 今度はイギーさんへと突進するロップス殿。

 が、いけません。
 アンテオ様に阻まれました。

「叔父上、邪魔しないでくれ」
「お前こそイギーの話の邪魔をするな」
「なんだと!?」
「はははははっ! 助けようとしてる相手に言われてやんの!」

 ロップス殿の気持ちも分かりますが、イギーさんの話を聞きたい気持ちも僕にはあります。

「今日はさ、戦いに来たんじゃないんだぞ。だからトカゲ人間も大人しくしててくれ」
「お主ら、どいつもこいつも私の事をトカゲ人間だのトカゲマンだのと! 私は竜人族だ!」

 ……トカゲマン呼ばわりはタロウでしたけどね。

「とにかく! 力づくでも叔父上を返して頂く!」

 ロップス殿が魔力を全身に漲らせました。

「私の新たな力を見よ!」

 シッ、と音がしたと共に、ロップス殿の姿が消え、アンテオ様の背後から棒を振り下ろしましたが振り上げた腕で防がれました。

「やはり貧弱な攻撃だ。だが動きは悪くない」
「これならどうだ!」
「ぐは!」

 棒を消し、同時にしゃがみ込んで腹部に掌底を叩き込みました。
 吹き飛ばされるアンテオ様を追うロップス殿が、また棒を作り出します。

「はぁぁぁ! 九棒連撃きゅうぼうれんげき!」

 両足で踏み止まったアンテオ様をロップス殿の奥義が襲いますが、アンテオ様も魔力を解放、魔力を籠めた腕や足で全ての攻撃が防がれました。

「やってくれるじゃないか。こちらからも行くぞ」

 アンテオ様が全身に魔力を漲らせ、ロップス殿の棒に対して魔力を籠めた拳を振るい攻防を繰り広げます。


「そこっす! いけ! ちょ、危な――、ふー危なかったっす!」
 タロウの声援が響き渡る中、二人は戦い続けています。

 アンテオ様の強力な攻撃を巧みに往なし、躱し、棒を出しては引っ込め、時には腰の刀を抜き、アンテオ様を翻弄しています。

「ちっ、何やってるんだ。アンテオのバカ」

「ねぇねぇヴァンさん、ロップスさんてなんであんなに強くなったんすか?」

 小声でタロウが聞きます。

「恐らくですが、本当はそれほど変わってないんですよ。強さという点では」
「どうゆうことっすか?」
「まぁ、その話は後で」

 イギーさんへ向き直ります。

「どうでしょう。今のうちにお話しませんか?」
「ちょ、ヴァンさん、ロップスさんほっとくんすか?」
「大丈夫、今のロップス殿なら、勝てなかったとしても負けませんよ」
「ほんとすかー? また、僕としたことが、とか止めて下さっすよ~」

 それも大丈夫、父の呪い解けましたから。

「イギーさん、どうでしょうか?」
「そうだな。アンテオもまさか負けはしないだろ」

「今日はどのような御用で?」
「そうそれそれ。この前アギーとウギーに会ったんだよ」
「アギーさんとウギーさんと」

 なんだか嫌な予感がしますね。

「アギーから聞いたんだよ。新しい生贄、ヴァンじゃなくてそっちの人間だって」

 当たっちゃいましたね。
 嫌な予感。
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