【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)

文字の大きさ
7 / 52

007

しおりを挟む
 カーテンから日差しがこぼれ、うっすらと頬に当たる。

 気だるさはいつも通りか。今は一体何時だろう。

 って、夜勤なのに、朝日で目が覚めるってマズイでしょう。

 もしかして、やっちゃったの?

 飛び起きようとした私の体を、何かが阻む。

 上手く起き上がることが出来ない。

 固い何かに、しっかりとブロックされているというか。

 掴まれているというか。

 私はわけがわからないまま、意識を浮上させて辺りを見渡す。

 すると目の前の視界いっぱいに、ルドの顔が広がった。


「やぁ、おはようアーシエ」

「お、お、お、おはようございます? ルド様……」


 この状況はなに? え、私今どうなってるの、これ。


「うん、よく寝ていたね、アーシエ。ずいぶんと疲れていたみたいだ」

「そ、そうですね。すみません。昨日は食事を取りに行っていただいたのに、私は寝てしまったのですね」

「そうだね。あのまま傍にいたら、君が眠りに落ちる瞬間も見れたのに残念だったよ。確かに君の言う通り、侍女は必要だね。君をずっと見ているためには」

「侍女、そうですね。侍女は必要です。って、それはそうなのですが、あの、これはどういう状況なのでしょうか?」


 いや、確認しなくても分かるんだよ。

 分かるんだけど、頭の中を整理するためにもこれは確認させて。

 なにがどうなったら、ルドの同じベッドで寝ているのかなぁ。しかもしっかり抱きしめられているし。

 そう。ブロックされているように思えたのは、ルドのしっかりと腕だった。

 王太子のわりにと言っては失礼かもしれないが、やや日に焼けたその腕はしっかりとしている。

 太いというわけではなく、そう筋肉がちょうどいい感じに付いているのかな。

 剣とかも使ったりするのかなぁ。

 ん-。普通の乙女ゲームだと戦闘シーンとかないんだけど、コレがどんなモノか分からないから、一概に戦闘シーンがないとは言えないのよね。

 戦闘シーンがあっても私はアーシエじゃないから何も出来ないんだけど。

 あ、でももしかして魔法とか使えたらうれしいな。って、今はそんな場合じゃない。


「どういうって? 添い寝かな」

「かな、じゃなくて……。こ、こんなことダメです」

「どうしてだい?」

「だって、まだ私たちは」

「婚約なら心配しなくていいよ。僕は君以外とするつもりはないし」

「そうだとしても、私たちはまだ婚前なのですよ」

「相変わらず、アーシエは固いなぁ」

「固いとか、固くないとかそういう問題じゃありません」

「じゃあ、どういう問題なんだい?」

「それは体裁というものもありますし、こんなことでルド様のお立場や何かあったら大変ですし」

「それだけなのかい?」


 確かに、これだけでは好きとは伝わらないわよねー。

 形式的っていうか、あくまで令嬢としての意見でしかないし。ルドは満足しないわよね。


「それに、です。ルド様の胸の中で眠るなんて、ドキドキして心臓が持ちませんし、気になって熟睡できませんから」

「あはははは。それはまた可愛いな、アーシエ」

「もう、からかわないで下さい」

「いや、からかってなどいないよ。あまりに素直な反応だったので、可愛かったんだ」


 普通に笑うルドの方がよほどかっこいいのになぁ。

 スチールとかじゃなくって、生身の殿下とか、破壊力ありすぎでしょう。

 しかも初めてちゃんと普通に笑ってくれた気がするから余計ね。

 まったくアーシエさんはルドが病んでしまうほど、何をしてくれたのかしら。

 ある意味、私にとっても本当に迷惑だわ。

 まぁ、事情があったのだとは思うけど。


「んんん?」

「どうしたんだい、急に変な声を出して」

「わ、私ってドレス着ていませんでしたっけ?」


 確かに意識を手放す前は私、ドレスを着ていた。

 薄汚れていたし、ベッドを汚さないためにも着替えなきゃって思ったけど、あまりに疲れて寝てしまったのよね。

 でも今はその時着ていたドレスではなく、ネグリジェのようなワンピースになっている。

 しかもこの部屋には侍女はいなかった。ってことは、つまり、つまりそういうことよね!


「ルド様が着替えさせたのですか!」

「あのまま寝かせるわけにもいかなかったからねぇ。寝苦しそうで可哀想だったし」

「えーーーーーー」

「大丈夫だよ、ちゃんと全部は見てないから」

「ちゃんと全部は、って。でも全部じゃなければ見たってことですよね?」

「それはほらねぇ、今後の楽しみにとっておかないと」

「んんんんん」


 私は自分でも見なくても分かるくらいに赤くなった顔を、両手で覆い隠した。

 あああああ、ルドに見られた。

 だからちゃんと着替えなきゃって思っていたのに。

 ううううう、もうお嫁に行けない。本当に行けないよーーーー。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった私は、全力で死亡フラグを回避したいのに、なぜか空回りしてしまうんです(涙)

藤原 柚月
恋愛
(週一更新になります。楽しみにしてくださる方々、申し訳ありません。) この物語の主人公、ソフィアは五歳の時にデメトリアス公爵家の養女として迎えられた。 両親の不幸で令嬢になったソフィアは、両親が亡くなった時の記憶と引き替えに前世の記憶を思い出してしまった。 この世界が乙女ゲームの世界だと気付くのに時間がかからなかった。 自分が悪役令嬢と知ったソフィア。 婚約者となるのはアレン・ミットライト王太子殿下。なんとしても婚約破棄、もしくは婚約しないように計画していた矢先、突然の訪問が! 驚いたソフィアは何も考えず、「婚約破棄したい!」と、言ってしまう。 死亡フラグが立ってしまったーー!!?  早速フラグを回収してしまって内心穏やかではいられなかった。 そんなソフィアに殿下から「婚約破棄はしない」と衝撃な言葉が……。 しかも、正式に求婚されてしまう!? これはどういうこと!? ソフィアは混乱しつつもストーリーは進んでいく。 なんとしてても、ゲーム本作の学園入学までには婚約を破棄したい。 攻略対象者ともできるなら関わりたくない。そう思っているのになぜか関わってしまう。 中世ヨーロッパのような世界。だけど、中世ヨーロッパとはわずかに違う。 ファンタジーのふんわりとした世界で、彼女は婚約破棄、そして死亡フラグを回避出来るのか!? ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体などに一切関係ありません。 誤字脱字、感想を受け付けております。 HOT ランキング 4位にランクイン 第1回 一二三書房WEB小説大賞 一次選考通過作品 この作品は、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<死のループから抜け出す為、今から貴方を攻略させて頂きます。> 全く気乗りがしないのに王子の婚約者候補として城に招かれた私。気づけば鐘の音色と共に、花畑の中で彼の『護衛騎士』に剣で胸を貫かれていた。薄れゆく意識の中・・これが12回目の死であることに気づきながら死んでいく私。けれど次の瞬間何故かベッドの中で目が覚めた。そして時間が戻っている事を知る。そこで今度は殺されない為に、私は彼を『攻略』することを心に決めた―。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

悪役令嬢の生産ライフ

星宮歌
恋愛
コツコツとレベルを上げて、生産していくゲームが好きなしがない女子大生、田中雪は、その日、妹に頼まれて手に入れたゲームを片手に通り魔に刺される。 女神『はい、あなた、転生ね』 雪『へっ?』 これは、生産ゲームの世界に転生したかった雪が、別のゲーム世界に転生して、コツコツと生産するお話である。 雪『世界観が壊れる? 知ったこっちゃないわっ!』 無事に完結しました! 続編は『悪役令嬢の神様ライフ』です。 よければ、そちらもよろしくお願いしますm(_ _)m

処理中です...