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028 そうだ、お外へ行こう
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翌日、ふと思い立った私は朝食の際に公爵へ外出の許可を取った。
ルカのあの部屋は、私の指示で買ったものが一気に増えていたが、ルカ自身が選んだものではない。
あの時期の子どもって、自分で選ぶことが楽しかったりするし、聞けば今までルカは屋敷から外に出たこともないという。
初めてのお散歩をかねて、ルカの好きなものを買いに行こうと計画したのだ。
そして身支度を侍女たちに任せルカを迎えに行き、手を引きながら玄関へ向かうと屋敷の前には馬車が横付けされていた。
白を基調としつつ、赤い装飾が施され扉には大きく公爵家の紋章である獅子が金で描かれている。
いやぁ、すごく立派な馬車ね。
それを引く馬も大きいし。
初めて乗るけど、これって酔わないかしら。
車とか結構昔は酔って大変だったのよね。
「あの、これ大丈夫でしゅか?」
馬車を前に、ルカは楽しさよりも不安げな表情を浮かべる。
初めての外出なら、馬車酔いが心配って話ではないわよね。
それなら初めての外出が怖いのかしら。
もしかして乳母に何か吹き込まれていたとか?
「ええ。大丈夫よ。ルカは何か怖いの?」
「えっと……」
手を繋いだまま、ルカはまた下を向く。
私はその場にしゃがみ込み視線を合わせ、ルカの頬に触れた。
するとやっとルカは私の顔を見る。
「お外はおばけとか怖い人いるでしゅよね?」
「んと、そう言われたの?」
誰がとは聞かなくともわかる。
ルカは視線をきょろきょろとさせながら、小さくうなずいた。
「そうね。お外には怖い人もいるわ。だけど怖くない人も、楽しいところもあるの。それに何があっても私がルカのことを守るから大丈夫よ」
「でもそしたらビオラが……」
「まぁ、私のことを心配してくれるの? 嬉しい。ルカは本当に優しいのね。でもアッシュ……お父様が護衛を付けるって言っていたから大丈夫よ」
私は辺りを見渡す。
この場にいるのは今ここまで見送ってくれた侍女と、馬車を引く御者だけ。
あれ、おかしいわね。
さっき街へ行くなら護衛がいないとなんて、ふてくされながら返事していたくせに。
公爵家の私設騎士団を護衛に貸してくれると思ったのだけど、違うのかしら。
やっぱり気が変わっちゃったとか?
そんなことを思い辺りを見渡せば、再び玄関の扉が開く。
「ん?」
中から出てきたのは、秘書を連れた公爵だった。
心なしかいつものカッチリとした服装ではなく、私たちに近いようなラフな格好だ。
もっとも顔が派手だから、平民には見えないだろうけど。
「あっ」
私の手をルカは急に離し、私の後ろに回り込む。
そしてしゃがんだままの私の背に、顔を埋めていた。
もしかして怖いのかな。
その行動を見た公爵が眉をしかめる。
言っておくけどねぇ、今まで親らしいことしてこなかったからこんな反応されるのよ!
しかめるんじゃなくて、むしろちょっとはショックでも受けたらどうなの?
今にも口から出そうな言葉を抑え込みつつ、私は無言のまま公爵を威嚇した。
するとなぜか、どこがツボだったのか分からないが『ふっ』と声を漏らし、公爵は笑った。
ルカのあの部屋は、私の指示で買ったものが一気に増えていたが、ルカ自身が選んだものではない。
あの時期の子どもって、自分で選ぶことが楽しかったりするし、聞けば今までルカは屋敷から外に出たこともないという。
初めてのお散歩をかねて、ルカの好きなものを買いに行こうと計画したのだ。
そして身支度を侍女たちに任せルカを迎えに行き、手を引きながら玄関へ向かうと屋敷の前には馬車が横付けされていた。
白を基調としつつ、赤い装飾が施され扉には大きく公爵家の紋章である獅子が金で描かれている。
いやぁ、すごく立派な馬車ね。
それを引く馬も大きいし。
初めて乗るけど、これって酔わないかしら。
車とか結構昔は酔って大変だったのよね。
「あの、これ大丈夫でしゅか?」
馬車を前に、ルカは楽しさよりも不安げな表情を浮かべる。
初めての外出なら、馬車酔いが心配って話ではないわよね。
それなら初めての外出が怖いのかしら。
もしかして乳母に何か吹き込まれていたとか?
「ええ。大丈夫よ。ルカは何か怖いの?」
「えっと……」
手を繋いだまま、ルカはまた下を向く。
私はその場にしゃがみ込み視線を合わせ、ルカの頬に触れた。
するとやっとルカは私の顔を見る。
「お外はおばけとか怖い人いるでしゅよね?」
「んと、そう言われたの?」
誰がとは聞かなくともわかる。
ルカは視線をきょろきょろとさせながら、小さくうなずいた。
「そうね。お外には怖い人もいるわ。だけど怖くない人も、楽しいところもあるの。それに何があっても私がルカのことを守るから大丈夫よ」
「でもそしたらビオラが……」
「まぁ、私のことを心配してくれるの? 嬉しい。ルカは本当に優しいのね。でもアッシュ……お父様が護衛を付けるって言っていたから大丈夫よ」
私は辺りを見渡す。
この場にいるのは今ここまで見送ってくれた侍女と、馬車を引く御者だけ。
あれ、おかしいわね。
さっき街へ行くなら護衛がいないとなんて、ふてくされながら返事していたくせに。
公爵家の私設騎士団を護衛に貸してくれると思ったのだけど、違うのかしら。
やっぱり気が変わっちゃったとか?
そんなことを思い辺りを見渡せば、再び玄関の扉が開く。
「ん?」
中から出てきたのは、秘書を連れた公爵だった。
心なしかいつものカッチリとした服装ではなく、私たちに近いようなラフな格好だ。
もっとも顔が派手だから、平民には見えないだろうけど。
「あっ」
私の手をルカは急に離し、私の後ろに回り込む。
そしてしゃがんだままの私の背に、顔を埋めていた。
もしかして怖いのかな。
その行動を見た公爵が眉をしかめる。
言っておくけどねぇ、今まで親らしいことしてこなかったからこんな反応されるのよ!
しかめるんじゃなくて、むしろちょっとはショックでも受けたらどうなの?
今にも口から出そうな言葉を抑え込みつつ、私は無言のまま公爵を威嚇した。
するとなぜか、どこがツボだったのか分からないが『ふっ』と声を漏らし、公爵は笑った。
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