元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私

やられたらやり返す?

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 早い時間に早退して来た私に、アリーはかなり驚いていた。今日の出来事と、今後の動きを説明し、今日は放課後に友人達が訪ねてくるから、お茶の準備をお願いしておく。アリーは、すごい計画ですねと若干引いていた。うん、しょうがない。私の友達、みんな可愛いけど腹黒だもの。
 時間が出来たので、じっくり勉強しよう。出来れば飛び級したいからね。教科書は予習復習用の書き込んで使う用として、別に一冊部屋に置いてあるから、授業で使用する教科書が破られても気にしない。しかも、転生チートなのか、貴族学園の勉強はなせが頭に入っているのだ。

 一人でのんびり勉強していると、部屋をノックされる。えっ?誰か来た?まだ学園は昼休みだよね。レジーナ達は放課後に来るはずだし、そもそも寮生以外の生徒は、寮生が同伴じゃないと寮内には入れないはずだし。あっ!家族は入れるから、もしかしてお母様?ヤバい!お母様に学園から連絡が入っちゃったかしら。顔から血の気が引く。普段は優しいけど、怒ったらこの世で一番怖いのはお母様だから。アリーにドアを開けてと目で訴える。居留守はバレバレだしね。
 アリーがドアを開けるとそこにいたのは…

「えっ、どうしてお兄様がここに?」

「マリー!大丈夫か?顔色が悪い。」

 お母様が来たかと思ったとは言えずに、言葉に詰まる私。それが、更に義兄を不安にさせたのか…

「マリー、何も話してくれないのか?アリー、少しだけ外してくれ。兄妹で話したい事があるから。」

 アリーも、義兄に言われたら嫌とは言えず、分かりましたと部屋の外へ。しっかりドアを閉めて行ったわね。義兄の恐ろしいオーラに負けて。

 義兄は2人になると、ぐいっと私を引き寄せ抱きしめる。えっ、何?どうした、義兄よ。アラサーも状況が理解できません。固まる私に、義兄は

「マリー、入学してまだ日が浅いけど、今日の他にも何か嫌なことをされたりしなかったか?この学園には、ひどいことをする令嬢がいるから、マリーが嫌な思いをする事がまたあるかもしれない。その時は俺がマリーを守るから、何かあったら正直に話をして欲しい。」

 義兄は妹思いの優しい人なのかもね。そして……、悪役令嬢様々ね。ふっふっふっ!笑いを堪えるのがつらいわ。肩が震えるし、また涙が出てきちゃう。

 悪役令嬢には、もう少しいい仕事をしてもらいたいから、今直ぐに捕まえて欲しくないのが、私達の本音なのだ。しかも、頭の切れる仲間達が今回はやる気でいるからね。ふふっ。
 でもこの義兄は真剣に心配してくれているから、申し訳ないわね。

 私は義兄をぎゅっと抱きしめ返した。たぶん優しい義兄だもんね。そして、義兄の顔を見上げて大丈夫だとアピールする為に、微笑んだ。

「お兄様が側にいてくれるから、私は平気です。だから心配しないでくださいね(私には腹黒軍団がついてますから)。」

 あざといアラサーでごめんね。許してー。

 義兄は悲痛な表情で、また私を抱きしめる。これ以上はカップルみたいになっちゃうから、そろそろおしまいね。

「お兄様、そろそろ戻らないと時間が。それとお父様達には、このことは秘密にしてくださいね。心配掛けたくないので。」

 分かったよと言って、義兄は名残惜しそうに戻って行った。

 アリーはまた若干引いていたが、私はお嬢様の味方ですからと言っていた。ありがとう。


 そして放課後…

 腹黒軍団が私の部屋にやって来た。授業ノートと私の鞄などを持って。

「はい、今日の授業ノートね。それと、あまり使ってなさそうなノート類は、机の中に(ワザと)置いて来たわよ。」

 さすが、ミッシェルね。

「机は落書きしやすいように、ペンを置いて綺麗にして来たわよ。」

 エリーゼもやる事が細かいな。

「ボロボロのノートは、一応、ルーベンス先生に見せた後にここに持って来ようかと思ったんだけど、あなたのお兄様が持って行ってしまったの。すごい殺気だったわよ。あと、ルーベンス先生も笑顔なのに、青筋が立っていたわね。そこで、色々と先生に説明するのは怖かったわよ。」

 レジーナも大変だったわね。

 私が早退したあと、聖女子メンバーで、イジメかしら、ひどいわー、怖いわー、可哀想だわーとクラスメイト達に分かりやすく騒ぎ立て、フォーレス侯爵令嬢が泣いて帰ってしまった、本当にかわいそう、こんなひどい事をするなんて、とそれぞれが言い合ったらしい。他のクラスメイト達は、同情的に見ていたようだ。とりあえず、虐められてかわいそうアピールは上手く行ったようだ。

 実は、他の聖女子メンバーにも、小さな嫌がらせが出てきているらしい。今日は、学園でランチの時に、事故に見せかけて飲みものをかけられそうになったようだが、実は聖女子メンバーには、私が保護魔法を毎日かけているので、飲み物は、かけようとした令嬢に跳ね返ったらしい。
 この保護魔法は、治癒魔法の応用でシスターが便利だからと教えてくれたのだ。ありがとう、シスター。私達、負けないからね!
 違うメンバーは、バケツの水をかけられそうになったので、瞬時にバケツの水を凍らせ、バケツの水が出てこないのを不思議に思った、令嬢がバケツを覗き込んだタイミングで、氷を水に戻して、その水が令嬢にかかるように、水を弾かせたらしい。あの子、水魔法と氷魔法が得意だもんね。

 結局、やられたらやり返す方向で話はまとまった。


 私は明日からは早退はせずに、イジメに耐え抜く可哀想な令嬢をやる事に決まりました。みんな、笑わせないように頼んだわよ。

 そして、この事件をきっかけに、義兄が恐ろしい程の過保護になるのであった。


 
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