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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
閑話 2度目の恋? 1
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最後に会った時に君は、あの誰もが見惚れる笑みを浮かべ、
『ふふっ。入学式でシリル様と再会することを楽しみにしていますわ。』
……そう私に言ったのだ。隣国への留学が楽しみだと初めて思った。これから、君と同じ時間を共に過ごすことができる。心が弾むということはこういう事なのだと、君が教えてくれたのだ。
しかし、君は留学の直前、暗殺によってこの世からいなくなった…。
私が彼女と初めて会ったのは、確か私が8歳くらいの時だったと思う。当時、第一王子殿下だった王太子殿下の側近候補として、殿下と勉学や剣術を一緒に学び始めた時だ。
彼女は元第二王女殿下の娘の侯爵令嬢として、時々、王宮に来ているようであった。殿下と過ごしている時に、近衛騎士に抱っこされて来たのは、妖精のように可愛らしい姫。まだ5、6歳位に見えた。そして、彼女は殿下に屈託のない笑顔で、
「お兄様、ご機嫌よう。今日はお兄様にプレゼントを持ってきたの。はい、どうぞ。」
あの胡散臭い笑顔しか見せない殿下が、ふっと笑う。殿下もこんな風に笑えるのだなと思った。
彼女は時々、ふらっと殿下の所に来ては、刺繍のハンカチや、手作りのクッキーを渡していく。それはとても、あんな小さな姫が作ったようには見えない、完璧なもので、それが彼女に興味を持つきっかけの一つであったと思う。
殿下は彼女をとても可愛がっているのが分かる。彼女を見る殿下の目はとても優しいのだ。そんな時、彼女は、私にも刺繍のハンカチをくれる。
「お兄様のお友達に。はい、プレゼント。いつも、お兄様と頑張っているから。」
あの、妖精のような可愛らしい姫が、満面の笑みで私に笑い掛けて、プレゼントをくれたのだ。
そんな事は初めてのことで、恥ずかしさと、驚きで何を言っていいのか分からず、結局、お礼も言えずにその時は終わった。横で殿下は笑っていた。
「シリルも、アンに骨抜きにされたね。」
王妃殿下の主催するお茶会で、高位の貴族令息に媚びてくる、残念な頭の貴族令嬢に、すでにうんざりしていた私にとって、何の打算も感じられず、ただ純粋に笑い掛けてくれる彼女の笑顔はとても眩しかった。きっと、殿下もそんな感じなのだろう。殿下の周りには、何としても取り入ってやろうとする、大人や令嬢達で溢れているのだから。
次に会ったら、絶対にお礼を伝えようと思ったのだが、その日から彼女に会うことは無くなった。殿下の婚約者と一緒にお妃教育を受けていて、忙しく過ごしていると聞いたのは、少し経ってからであった。そして、それから私が10歳になった時のお茶会で、彼女に再会する。あの時と変わらず妖精のような美しい彼女に、周りの令息が顔を赤らめていた。沢山の友人に囲まれて、誰にでも微笑みかける彼女は、やはり輝いていた。会ったらお礼を伝えようとずっと思っていたのに、あの時小さかった彼女は、私を覚えていないようで…。結局、話し掛けることは出来ずに終わる。
その日からしばらくして、彼女がシールド公爵家の嫡男と婚約したと殿下から知らされた。胸がチクっと痛むような気がしたが、気のせいだと思うことにした。
シールド公爵令息は彼女が大好きなのが、第三者の私から見ても分かりやすい。シールド公爵令息の視線の先には、必ず彼女がいたのだから。2人はとても仲が良く、理想的な婚約関係に見えた。
しかし、いつの頃からか、その関係が変わってしまったようだ。シールド公爵令息は彼女につらく当たることが多くなった。恐らく、嫉妬やヤキモチだろうと思う。お茶会で他の令息との会話の後にいつも機嫌が悪くなっているように見えたからだ。彼女は美しく、友人も多く、誰とでも上手く付き合えるタイプの令嬢に見える。それが、シールド公爵令息は面白くないのだろう。正直、バカらしいと思った。そんな下らないことで、彼女につらく当たるなんて。社交上手なことは、上位貴族に求められることなのに。私なら、そんなことはしないのに。
気がつくと、彼女から笑顔が消えていた。
そして、彼女から笑顔が消えた頃、婚約者に相手にされない可哀想な御令嬢として、シールド公爵令息の取り巻きのバカな令嬢達が、彼女に対して酷い扱いをするようになる。彼女はやり返すこともせずに、何かを諦めたような表情をしていた。私なら、婚約者にそんな事をされたら、黙ってないし、許さない。あの男は一体何なんだ?
その頃になると、王太子殿下やファーエル公爵令嬢が彼女を心配し、2人の婚約は何とかならないのかと模索しているようであった。特に王太子殿下の怒りは凄まじく、シールド公爵令息を見る目は恐ろしいものがあった。
そんな時だ。彼女が婚約者の取り巻きの1人のケール男爵令嬢を、言い負かしたのは。
ケール男爵令嬢は、王太子殿下に付き纏い、ファーエル公爵令嬢に敵対して、一度、王家から注意を受けているにも関わらず、全く反省する様子が見られなかった。そして王太子殿下が卒業したあとは、シールド公爵令息に付き纏い、婚約者だった彼女に攻撃するどうしようもない令嬢だ。そんなケール男爵令嬢が、彼女に絡んでる姿を見たとき、この令嬢を消すにはどうすればいいかを、無意識に考えていた自分がいた。
しかし、彼女は絡んできたケール男爵令嬢を友人達と返り討ちにしたのだ。それは、今までの何かを諦めた彼女とは違う彼女の姿。彼女は変わろうとしているのか?だったら、私のすべきことは…。周りにどう思われようとも関係ない。変わろうとしている彼女の背中を押してあげたい。シールド公爵令息が出来ないやり方で、彼女を助けたいと思ったのだ。
気付くと私は、彼女とケール男爵令嬢に話し掛けていた。
『面白そうだ。私がやろうか?』と…
公爵家と侯爵家の縁談に、男爵令嬢ごときの分際で、彼がかわいそうだから解放してあげてと口を挟んだ、身の程知らずのバカな令嬢を潰してやろう。
『ふふっ。入学式でシリル様と再会することを楽しみにしていますわ。』
……そう私に言ったのだ。隣国への留学が楽しみだと初めて思った。これから、君と同じ時間を共に過ごすことができる。心が弾むということはこういう事なのだと、君が教えてくれたのだ。
しかし、君は留学の直前、暗殺によってこの世からいなくなった…。
私が彼女と初めて会ったのは、確か私が8歳くらいの時だったと思う。当時、第一王子殿下だった王太子殿下の側近候補として、殿下と勉学や剣術を一緒に学び始めた時だ。
彼女は元第二王女殿下の娘の侯爵令嬢として、時々、王宮に来ているようであった。殿下と過ごしている時に、近衛騎士に抱っこされて来たのは、妖精のように可愛らしい姫。まだ5、6歳位に見えた。そして、彼女は殿下に屈託のない笑顔で、
「お兄様、ご機嫌よう。今日はお兄様にプレゼントを持ってきたの。はい、どうぞ。」
あの胡散臭い笑顔しか見せない殿下が、ふっと笑う。殿下もこんな風に笑えるのだなと思った。
彼女は時々、ふらっと殿下の所に来ては、刺繍のハンカチや、手作りのクッキーを渡していく。それはとても、あんな小さな姫が作ったようには見えない、完璧なもので、それが彼女に興味を持つきっかけの一つであったと思う。
殿下は彼女をとても可愛がっているのが分かる。彼女を見る殿下の目はとても優しいのだ。そんな時、彼女は、私にも刺繍のハンカチをくれる。
「お兄様のお友達に。はい、プレゼント。いつも、お兄様と頑張っているから。」
あの、妖精のような可愛らしい姫が、満面の笑みで私に笑い掛けて、プレゼントをくれたのだ。
そんな事は初めてのことで、恥ずかしさと、驚きで何を言っていいのか分からず、結局、お礼も言えずにその時は終わった。横で殿下は笑っていた。
「シリルも、アンに骨抜きにされたね。」
王妃殿下の主催するお茶会で、高位の貴族令息に媚びてくる、残念な頭の貴族令嬢に、すでにうんざりしていた私にとって、何の打算も感じられず、ただ純粋に笑い掛けてくれる彼女の笑顔はとても眩しかった。きっと、殿下もそんな感じなのだろう。殿下の周りには、何としても取り入ってやろうとする、大人や令嬢達で溢れているのだから。
次に会ったら、絶対にお礼を伝えようと思ったのだが、その日から彼女に会うことは無くなった。殿下の婚約者と一緒にお妃教育を受けていて、忙しく過ごしていると聞いたのは、少し経ってからであった。そして、それから私が10歳になった時のお茶会で、彼女に再会する。あの時と変わらず妖精のような美しい彼女に、周りの令息が顔を赤らめていた。沢山の友人に囲まれて、誰にでも微笑みかける彼女は、やはり輝いていた。会ったらお礼を伝えようとずっと思っていたのに、あの時小さかった彼女は、私を覚えていないようで…。結局、話し掛けることは出来ずに終わる。
その日からしばらくして、彼女がシールド公爵家の嫡男と婚約したと殿下から知らされた。胸がチクっと痛むような気がしたが、気のせいだと思うことにした。
シールド公爵令息は彼女が大好きなのが、第三者の私から見ても分かりやすい。シールド公爵令息の視線の先には、必ず彼女がいたのだから。2人はとても仲が良く、理想的な婚約関係に見えた。
しかし、いつの頃からか、その関係が変わってしまったようだ。シールド公爵令息は彼女につらく当たることが多くなった。恐らく、嫉妬やヤキモチだろうと思う。お茶会で他の令息との会話の後にいつも機嫌が悪くなっているように見えたからだ。彼女は美しく、友人も多く、誰とでも上手く付き合えるタイプの令嬢に見える。それが、シールド公爵令息は面白くないのだろう。正直、バカらしいと思った。そんな下らないことで、彼女につらく当たるなんて。社交上手なことは、上位貴族に求められることなのに。私なら、そんなことはしないのに。
気がつくと、彼女から笑顔が消えていた。
そして、彼女から笑顔が消えた頃、婚約者に相手にされない可哀想な御令嬢として、シールド公爵令息の取り巻きのバカな令嬢達が、彼女に対して酷い扱いをするようになる。彼女はやり返すこともせずに、何かを諦めたような表情をしていた。私なら、婚約者にそんな事をされたら、黙ってないし、許さない。あの男は一体何なんだ?
その頃になると、王太子殿下やファーエル公爵令嬢が彼女を心配し、2人の婚約は何とかならないのかと模索しているようであった。特に王太子殿下の怒りは凄まじく、シールド公爵令息を見る目は恐ろしいものがあった。
そんな時だ。彼女が婚約者の取り巻きの1人のケール男爵令嬢を、言い負かしたのは。
ケール男爵令嬢は、王太子殿下に付き纏い、ファーエル公爵令嬢に敵対して、一度、王家から注意を受けているにも関わらず、全く反省する様子が見られなかった。そして王太子殿下が卒業したあとは、シールド公爵令息に付き纏い、婚約者だった彼女に攻撃するどうしようもない令嬢だ。そんなケール男爵令嬢が、彼女に絡んでる姿を見たとき、この令嬢を消すにはどうすればいいかを、無意識に考えていた自分がいた。
しかし、彼女は絡んできたケール男爵令嬢を友人達と返り討ちにしたのだ。それは、今までの何かを諦めた彼女とは違う彼女の姿。彼女は変わろうとしているのか?だったら、私のすべきことは…。周りにどう思われようとも関係ない。変わろうとしている彼女の背中を押してあげたい。シールド公爵令息が出来ないやり方で、彼女を助けたいと思ったのだ。
気付くと私は、彼女とケール男爵令嬢に話し掛けていた。
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