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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私
閑話 2度目の恋? 2
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ケール男爵令嬢は、王太子殿下の介入もあってあっさりと片付いた。田舎の貧乏男爵の後妻に入ったから、もう王都に出て来ることは出来ないだろう。使用人も雇えない、名ばかりの貴族らしいから。
シールド公爵令息の他の取り巻きの令嬢にも、いい見せしめになったようで、その後、取り巻き令嬢達が彼女に絡むことがなくなったようだ。
その頃から、彼女とは距離が近づいたと思う。そして、彼女との距離が近づくにつれて、同じクラスにいるシールド公爵令息が、何か言いたげな表情をしてこっちを見ている事が多くなった。
私と彼女が親しくしているという噂も出始めたので、面白くないのだろう。しかし私がどう動こうが、そんなのはあの男には関係ないので、放置することにした。私を気にするより、彼女に歩み寄ることを考えればいいだけのことなのだから。
ある日の放課後、廊下を歩いているところに、涙を流した彼女に出くわす。彼女が泣くなんて、余程のことだと思った私は、彼女から話を聞くことにした。
予想はしていたが、シールド公爵令息のことであった。
あの男との関係改善を目指して来たが、疲れてしまったこと。実は仮婚約だったので、近々、婚約の話を白紙にする予定であったこと。あの男が政略結婚の婚約者に、何も思わないと話していた所を目撃してしまい、冷たく言い返して逃げてきたことを打ち明けてくれた。
あの男は、どこまで彼女を苦しめれば気が済むのか?そもそも、彼女との婚約だってシールド公爵令息が強く望んだと殿下が話していた。私なら、自分から望んだ婚約者にこんな顔はさせない。絶対に。
この話を聞いて、怒りが顔に出てしまうのを堪えるのに苦労したが、結果的にこの話を聞く事によって、彼女からの信頼を得る事が出来たような気がした。そして、彼女は今回の出来事がきっかけで、あの男への思いが吹っ切れたようだ。婚約の話は白紙になる。
婚約が白紙になった事で、自分の新しい目標を見つけた彼女は、生き生きしていた。彼女は早期の卒業を目指して、隣国に留学したいと言う。それなら彼女の夢が叶うように、彼女を支えたい。そう思った私は、自分の知識や情報を使って、彼女をサポートすることにした。元々、聡明であった彼女は努力して、第一の目標である卒業試験にクリアする。
その事を報告してくれた彼女に、労をねぎらうと、
『シリル様のおかげですわ。目標を決めたのは良かったですが、一人ではここまで出来ませんでした。シリル様にはいつも助けていただいてばかりで。本当にありがとうございました。シリル様がいてくれて、良かったです。』
そんな言葉を掛けてくれたのは彼女が初めてだった。
彼女は、その言葉の後にあの眩しい笑顔で微笑む。私はその笑顔が見たかったのだ…。
彼女は、卒業最後に学園主催のパーティーに出席するという。それを聞いた私は彼女に跪いて、エスコートを申し出ていた。彼女は顔を少し赤めながらも、承諾してくれた。
彼女と親しくしていると言う噂は、学園の令息や令嬢からその親達の耳に入り、更にそれが、茶会に出席した私の母にまで届いたようであった。母は嬉しそうにしていた。最近、表情が優しくなって良かったと思っていたら、恋をしているのねと。他人に興味を示さないあなたが、少しは人間らしくなってくれて、安心したと。私はそんな風に周りから思われていたのだと、その時に初めて気付いたのだった。
彼女とのパーティーで過ごす時間は、今までのパーティーとは比べられないくらい、楽しい時間になった。青空を思わせるドレスを着た彼女はとても美しく、その横に立てる事が、こんなに嬉しいことだとは。
しかしその幸せを感じた日が、彼女と過ごした最後の日になるなんて……。
彼女の死が、隣国の公爵家が絡んでいると掴んだシールド公爵令息は、彼女の無念を晴らす為に、隣国にいけるように力を貸して下さいと、王太子殿下に頭を下げたようだ。
あの男が今更?彼女の為に?あの男に対して思うところは沢山あったが、彼女の為に動くなら、私も彼女の為に出来ることをしようと思ったのであった。
そして、隣国の公爵令嬢を追い詰め、断罪し、全てが終わった。私は、彼女のいない留学生活に意味を見出す事が出来ず、2年で留学を終えて帰国する。
帰国して、王太子殿下の側近として毎日を忙しく過ごすと、あっという間に時間は過ぎていく。周りからは縁談を進められるが、今ひとつ納得のいく人に出会うことが出来ずにいた。跡取りの問題もあるが、弟達がそれなりに優秀なので、いざという時は、弟達を当てにしようと思っている。両親も最近は何も言わなくなっていた。
時折、ふと彼女を思い出すことがある。彼女のくれたアクアマリンのブローチは、何も知らない人から見ると、水色の瞳を持つ人からのプレゼントに見えるらしい。しかし彼女は、私の髪色に似て綺麗なアクアマリンだから贈りたいと言っていた。ふっ、そんなところが彼女らしくて、愛しかった。あの時に、きちんと自分の思いを伝えていればよかったと、何度後悔したことか。
時間が経つにつれて、彼女との思い出や、顔、声が少しずつ記憶から無くなってきているような気がする。忘れたいけど、忘れたくない、そんな不思議な気持ちを何年も持ち続けているのだ。
そんな時に、ある噂を耳にする。王弟殿下のフォーレス侯爵家の御令嬢がアンネマリー様に生写しのようにそっくりだと。
王弟殿下の御息女なら、彼女の従姉妹になるのだから、似ているのも不思議ではないだろうと、特に気にせずにいた。しかし、貴族学園の中等部の入学式に参加してきた王太子殿下が、顔色を変えて戻ってくる。殿下曰く、アンが戻って来たかと思ったと。首席として新入生代表の挨拶をしたというフォーレス侯爵令嬢は、顔も背格好も、声も、カーテシーも、歩き方も、全てがアンネマリー嬢にそっくりだったと言うのだ。殿下は、私や妃殿下にフォーレス侯爵令嬢に会わせたいと思ったようで、早速、父である王弟殿下にフォーレス侯爵令嬢をお茶会に招待したいと持ちかけてたようだが、あっさりと断られたようだ。国王陛下の補佐を務める切れ者の王弟殿下も、娘は可愛いらしく、あまり人目に出したくないようだ。
殿下に依頼され、御令嬢の事を調べてみる。彼女は幼少期、体が弱かったので、ずっと領地で過ごしていたようだ。それゆえに、従兄弟である王太子殿下や他の王族と全く関わりがないまま、今まで来てしまったという。魔法や剣術、馬術を嗜み、外国語は子供の頃に三ヶ国をマスターする程の実力を持つ。聖女子学園では首席争いをする程で、治癒魔法や火や水の攻撃魔法が得意らしい。貴族学園に編入する時に初めて王都入りし、侯爵家の養子である義理の兄には、溺愛されているようだ。
これだけの情報では、何とも言えないな。そんな時に貴族学園の入学パーティーの時期がくる。入学と卒業のパーティーは、毎回王太子夫妻が参加しているが、腹黒殿下は、今回は側近として私も参加するように命令するのであった。
正直、面倒だった私は、殿下達よりも遅れて会場入りした。会場へと続く廊下を一人歩いていると、水色のドレスを着た令嬢とぶつかってしまう。慌てて、謝る御令嬢。この声は……。
そして御令嬢の顔を見て、驚愕した。そこには…、亡くなったはずの彼女がいたのだから。
シールド公爵令息の他の取り巻きの令嬢にも、いい見せしめになったようで、その後、取り巻き令嬢達が彼女に絡むことがなくなったようだ。
その頃から、彼女とは距離が近づいたと思う。そして、彼女との距離が近づくにつれて、同じクラスにいるシールド公爵令息が、何か言いたげな表情をしてこっちを見ている事が多くなった。
私と彼女が親しくしているという噂も出始めたので、面白くないのだろう。しかし私がどう動こうが、そんなのはあの男には関係ないので、放置することにした。私を気にするより、彼女に歩み寄ることを考えればいいだけのことなのだから。
ある日の放課後、廊下を歩いているところに、涙を流した彼女に出くわす。彼女が泣くなんて、余程のことだと思った私は、彼女から話を聞くことにした。
予想はしていたが、シールド公爵令息のことであった。
あの男との関係改善を目指して来たが、疲れてしまったこと。実は仮婚約だったので、近々、婚約の話を白紙にする予定であったこと。あの男が政略結婚の婚約者に、何も思わないと話していた所を目撃してしまい、冷たく言い返して逃げてきたことを打ち明けてくれた。
あの男は、どこまで彼女を苦しめれば気が済むのか?そもそも、彼女との婚約だってシールド公爵令息が強く望んだと殿下が話していた。私なら、自分から望んだ婚約者にこんな顔はさせない。絶対に。
この話を聞いて、怒りが顔に出てしまうのを堪えるのに苦労したが、結果的にこの話を聞く事によって、彼女からの信頼を得る事が出来たような気がした。そして、彼女は今回の出来事がきっかけで、あの男への思いが吹っ切れたようだ。婚約の話は白紙になる。
婚約が白紙になった事で、自分の新しい目標を見つけた彼女は、生き生きしていた。彼女は早期の卒業を目指して、隣国に留学したいと言う。それなら彼女の夢が叶うように、彼女を支えたい。そう思った私は、自分の知識や情報を使って、彼女をサポートすることにした。元々、聡明であった彼女は努力して、第一の目標である卒業試験にクリアする。
その事を報告してくれた彼女に、労をねぎらうと、
『シリル様のおかげですわ。目標を決めたのは良かったですが、一人ではここまで出来ませんでした。シリル様にはいつも助けていただいてばかりで。本当にありがとうございました。シリル様がいてくれて、良かったです。』
そんな言葉を掛けてくれたのは彼女が初めてだった。
彼女は、その言葉の後にあの眩しい笑顔で微笑む。私はその笑顔が見たかったのだ…。
彼女は、卒業最後に学園主催のパーティーに出席するという。それを聞いた私は彼女に跪いて、エスコートを申し出ていた。彼女は顔を少し赤めながらも、承諾してくれた。
彼女と親しくしていると言う噂は、学園の令息や令嬢からその親達の耳に入り、更にそれが、茶会に出席した私の母にまで届いたようであった。母は嬉しそうにしていた。最近、表情が優しくなって良かったと思っていたら、恋をしているのねと。他人に興味を示さないあなたが、少しは人間らしくなってくれて、安心したと。私はそんな風に周りから思われていたのだと、その時に初めて気付いたのだった。
彼女とのパーティーで過ごす時間は、今までのパーティーとは比べられないくらい、楽しい時間になった。青空を思わせるドレスを着た彼女はとても美しく、その横に立てる事が、こんなに嬉しいことだとは。
しかしその幸せを感じた日が、彼女と過ごした最後の日になるなんて……。
彼女の死が、隣国の公爵家が絡んでいると掴んだシールド公爵令息は、彼女の無念を晴らす為に、隣国にいけるように力を貸して下さいと、王太子殿下に頭を下げたようだ。
あの男が今更?彼女の為に?あの男に対して思うところは沢山あったが、彼女の為に動くなら、私も彼女の為に出来ることをしようと思ったのであった。
そして、隣国の公爵令嬢を追い詰め、断罪し、全てが終わった。私は、彼女のいない留学生活に意味を見出す事が出来ず、2年で留学を終えて帰国する。
帰国して、王太子殿下の側近として毎日を忙しく過ごすと、あっという間に時間は過ぎていく。周りからは縁談を進められるが、今ひとつ納得のいく人に出会うことが出来ずにいた。跡取りの問題もあるが、弟達がそれなりに優秀なので、いざという時は、弟達を当てにしようと思っている。両親も最近は何も言わなくなっていた。
時折、ふと彼女を思い出すことがある。彼女のくれたアクアマリンのブローチは、何も知らない人から見ると、水色の瞳を持つ人からのプレゼントに見えるらしい。しかし彼女は、私の髪色に似て綺麗なアクアマリンだから贈りたいと言っていた。ふっ、そんなところが彼女らしくて、愛しかった。あの時に、きちんと自分の思いを伝えていればよかったと、何度後悔したことか。
時間が経つにつれて、彼女との思い出や、顔、声が少しずつ記憶から無くなってきているような気がする。忘れたいけど、忘れたくない、そんな不思議な気持ちを何年も持ち続けているのだ。
そんな時に、ある噂を耳にする。王弟殿下のフォーレス侯爵家の御令嬢がアンネマリー様に生写しのようにそっくりだと。
王弟殿下の御息女なら、彼女の従姉妹になるのだから、似ているのも不思議ではないだろうと、特に気にせずにいた。しかし、貴族学園の中等部の入学式に参加してきた王太子殿下が、顔色を変えて戻ってくる。殿下曰く、アンが戻って来たかと思ったと。首席として新入生代表の挨拶をしたというフォーレス侯爵令嬢は、顔も背格好も、声も、カーテシーも、歩き方も、全てがアンネマリー嬢にそっくりだったと言うのだ。殿下は、私や妃殿下にフォーレス侯爵令嬢に会わせたいと思ったようで、早速、父である王弟殿下にフォーレス侯爵令嬢をお茶会に招待したいと持ちかけてたようだが、あっさりと断られたようだ。国王陛下の補佐を務める切れ者の王弟殿下も、娘は可愛いらしく、あまり人目に出したくないようだ。
殿下に依頼され、御令嬢の事を調べてみる。彼女は幼少期、体が弱かったので、ずっと領地で過ごしていたようだ。それゆえに、従兄弟である王太子殿下や他の王族と全く関わりがないまま、今まで来てしまったという。魔法や剣術、馬術を嗜み、外国語は子供の頃に三ヶ国をマスターする程の実力を持つ。聖女子学園では首席争いをする程で、治癒魔法や火や水の攻撃魔法が得意らしい。貴族学園に編入する時に初めて王都入りし、侯爵家の養子である義理の兄には、溺愛されているようだ。
これだけの情報では、何とも言えないな。そんな時に貴族学園の入学パーティーの時期がくる。入学と卒業のパーティーは、毎回王太子夫妻が参加しているが、腹黒殿下は、今回は側近として私も参加するように命令するのであった。
正直、面倒だった私は、殿下達よりも遅れて会場入りした。会場へと続く廊下を一人歩いていると、水色のドレスを着た令嬢とぶつかってしまう。慌てて、謝る御令嬢。この声は……。
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