元アラサー転生令嬢と拗らせた貴公子たち

せいめ

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マリーベル編〜楽しく長生きしたい私

私達の獲物

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 次の日登校すると、義兄が校舎入り口で待っていてくれた。

「マリー、待ってたよ。」

 ん?機嫌がいいような気がするわね。義兄は当たり前のように、私の手を恋人繋ぎして歩きだす。最近、私の感覚もおかしな方向に慣れてしまっているのか、この恋人繋ぎをされても、何とも思わなくなってしまっているのが悩みだ。

「お兄様、今日は何だかいつもと違うように見えますわ。何かおありになりました?」

「ああ。前から捕まえようと思っていたネズミを、やっと捕まえることが出来たからね。やっとぐっすり眠れるようになって嬉しくてね。」

「…ネズミですか。」

 知ってはいけないことかもしれないから、これ以上聞くのはやめておこう。まだ消されたくないし。

 朝のホームルームの時間になるが、あの男爵令嬢がまだ来ていない。お休みかしら?
 ルーベンス先生も、いつもより素敵な笑顔で機嫌が良さそうだ。そしてホームルームが始まると、ルーベンス先生から、あの男爵令嬢が退学した事が告げられる。はい?クラスがざわっとする。みんな驚いたようだ。
 貴族は必ずこの学園を卒業しなければならないので、退学というのはよっぽどのこと。少し前までは、女生徒は婚姻での退学が認められていたらしいが、今は認められていない。急に何があったのー?ルーベンス先生は、詳しくは話すことは出来ない決まりだが、反逆罪に問われることを行った為、修道院行きになったと話してくれた。
 男爵令嬢が反逆罪って!!モヤモヤして授業を受け、あっという間に昼休みになっていた。あの男爵令嬢のことは、学園内でかなり噂になってしまっている。そんな時、義兄にルーベンス先生が呼んでいるから、一緒に行こうと誘われる。すると、何故か学園長室にドナドナされる私。うわー!嫌な予感……。

 学園長室に入ると、学園長とルーベンス先生と学年付きの先生方、生徒会長のファーエル公爵令息がいる。嫌なメンバーだわ。
 私が入室すると、ルーベンス先生が最近、私に起こっていた嫌がらせの内容を大まかに説明。そして、義兄がボロボロのノートや教科書を見せる。更に、私の机の落書きを映像記憶魔法で見せてくれた。あの『学園辞めろ、死ね、いなくなれ』と書かれていたものも。義兄は高度な映像記憶魔法が使えるのー?マジすごいな!

 ルーベンス先生の報告は続く。
 犯人を探すために、学園の影とフォーレス侯爵家の影で教室や怪しい人物を監視したところ、例の男爵令嬢を現行犯で拘束したそうだ。学園にも影がいるの?悪いことは出来ないわね。
 しかし現行犯ですか!それは言い逃れ出来ないわ。一応、誰か他の人物も関わっていないか確認する為に、自白剤を飲ませたが、彼女が単独で行っていたと話したらしい。えっ?学園内の、ちょっとした嫌がらせを吐かせる為に自白剤を使うの?それはきちんとした犯罪者に使うやつだよね?
 なぜ反逆罪なのでしょうかと聞いてみましたよ!そしたら、義兄が

「マリーは国王陛下の姪で王族でしょ。王族のマリーに『死ね』なんてメッセージは、立派な反逆だよ。」

 ひぃー、義兄の笑顔が今日も怖すぎるわ。

「王太子殿下と妃殿下はこの事件の報告を受けると、大変激怒されて、男爵家の取り潰しまで口にされていたが、そこは私が止めておいたよ。そんなことまではマリーベル嬢は望まないだろうって言ってね。」

 はぁ?王太子夫妻が激怒したの?こんな事で?こんなレベルの事件まで報告されているの?
 ああ、生徒会長様がまともに見えてきたわ。今まで突き放してゴメンね。これからは、先輩としてリスペクトして、それなりに仲良くしますね。

「お聞きしたいのですが、なぜ彼女はそんなことをしたのでしょうか?」

「…………。」
「……。」
「……。」

 えっ?何でみんな黙るの?

「マリーが可愛すぎるのが悪いんだよ。」

 はぁ?じゃなくて。義兄が好きだから、私に嫉妬したんでしょ。アナタが私にベタベタしなければ嫉妬されなかったかもしれないのに。

「ルーベンス先生、今回は先生が裏で色々と動いてくれて、ありがとうございました。義妹も、先生が担任で心強いようです。これからも、よろしくお願いします。」

 義兄はルーベンス先生を信頼しているのね。まるで私の保護者になったような話ぶりだし。

「こちらこそ。マリーベル様が子供の頃から知っている者の一人として、お役に立てて、嬉しく思いますよ。」

 こんな時でも、ルーベンス先生のブレない笑顔はすごいわね。

 結局、義兄とルーベンス先生が犯人探しをしてくれたのね。後できちんとお礼を言わないとなぁ。
 義兄とルーベンス先生は怒ると怖いというのが、疑惑から確信に変わったわ。なるべく怒らせないように気を付けよう。長生きしたいもの。

 そう言えば、義兄も始めは悪役令嬢が犯人だと思っていたよね?あの悪役令嬢へ投げかけた言葉は「またお前か!」って感じだったもんね。今までの行いが悪いからしょうがないけど、あの義兄からの言われようは可哀想だったわね。あれでは更生しようとしても、またグレてしまうわ。
 悪役令嬢さんがいるから、私は悪役にならずに済んでいるのかもしれないから、これからは少しだけ、彼女に優しくしてあげよう。

 しかし、腹黒軍団が聞いたらガッカリ?するだろうなぁ。義兄とルーベンス先生がサラッと片付けてしまったなんて。


 そして放課後、聖女子メンバーみんなで、私の部屋で反省会をしている。腹黒軍団たちは、学園と侯爵家の影が現行犯で捕まえたことをビックリしていた。腹黒軍団の誰かが、舌打ちをしたようだ。他の誰かもため息をついている。分かってますって。獲物を取られた気分なんでしょ。
 くだらない嫉妬で、いちいち細かい嫌がらせをする令嬢達に牽制と見せしめをする為に、誰かをガツンとやっつけたい腹黒軍団。今回の結末は物足りないようだ。
 今まで個別に小さな嫌がらせを仕掛けて来た令嬢達には、すぐにやり返し、やり返された令嬢達は目も合わせられないくらいになったけど、学年の違うお姉様方の中に、まだまだ面倒な人がいるみたい。もう私達に絡むと面倒なのが分かるように、思いっきり報復したいようだ。
 生粋の貴族学園の令嬢達はやたらマウント取りたがるし、私達、聖女子出身者は存在が面白くないようだからね。早速、腹黒たちは次の獲物探しをするつもりのようだ。

 それと、ユーリアからの影の報告。昨日、放課後の遅い時間、暗くなってから図書室から戻って来た男爵令嬢が、私の机に落書きしようとしているところで、現行犯で学園と侯爵家の影に捕まり、そのまま、学園の警備騎士に連行されて行ったそうだ。
 なんか、呆気なくて寂しい気もする。ユーリアには、影にありがとうと伝えておいてねと、頼んでおいた。
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