婚約解消したら後悔しました

せいめ

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プロローグ

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「アリー。君のことは好きだったし、今も大切な人であることに変わりない。でも別に愛する人ができた…。
 私は自分の気持ちに嘘はつけない。アリーをこのまま婚約者として縛り付けておきたくないと思っている。
 婚約を解消してもらえないか?」

 別に好きな人ができた私は、幼い頃からの婚約者のアリスを放課後に呼び出して、婚約解消の話をした。

「……分かりました。今までありがとうございました。どうかお幸せになって下さいませ。」

 アリーは大きな瞳に涙を潤ませながら、笑顔で婚約解消を認めてくれた。

 ズキンと胸が痛むような気がした…。
 
 嫌いになって別れる訳ではない。婚約者としてずっと仲良く過ごしてきたのだから、胸が痛むのは当然だ。

「アリー、傷付けてしまって申し訳ないと思っている。私が全て悪いから、後日、君に慰謝料を支払いたい。
 君の幸せを私も祈っている。」

「…失礼いたします。」

 アリーは下を向いたまま、すぐにその場から離れて行ってしまった。





 私はなんてことをしてしまったのだろう…。
 何度その日に戻りたいと思ったことか。

 その日のことを、何度も思い出しては後悔することになるとは。その時の私は分かっていなかったのだ。

 

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