11 / 19
妻を助けてくれた人
しおりを挟む
結婚して1年以上経ち、私は爵位を継承して侯爵となる。
侯爵夫人となったオリビアに対して、相変わらず失礼な物言いをする者は沢山いるようだが、彼女なりに苦手な社交を頑張ってくれているようだ。
真面目で頑張り屋の彼女を妻に迎えて良かったと思う。愛だとか恋だとかはないが、最近は少しずつ信頼関係を築けていると感じるのだ。
ある日、茶会から帰ってきたオリビアが嬉しそうな表情をしていた。
今日は王妃殿下主催の茶会に行っていたようだが、いつもなら茶会から帰った後は、疲れたようにグッタリしていることが多いのに、珍しいこともある。
「オリビア、茶会はどうだった?疲れてないか?」
「王妃殿下のお茶会でしたから、気疲れはありましたが、今日は素敵なご夫人と同じテーブルでしたので、いつもより楽しい時間が過ごせましたわ。」
貴族がみんなキツい性格なのではないのは知っているし、素晴らしい人が沢山いることも知っている。
しかしオリビアが、学生時代に醜態を晒した私の妻だということと、気が弱い元子爵令嬢ということで、性格の良くない者達から攻撃をされやすいだけなのだ。
「そうか。楽しめたようで良かったな。素敵なご夫人とはどちらの夫人だ?」
「サンチェス公爵夫人ですわ。まだ新婚らしくて、初めてお話しをさせて頂きましたが、お美しいだけでなく、物腰が柔らかくて、お優しい方でした。お茶会が苦手な私に色々と気を遣ってくださって、沢山話しかけてくださったのです。」
「サンチェス公爵夫人?」
「ええ。私に嫌味を言ってくる夫人方を、笑顔で追い払って下さいましたし、今日はサンチェス公爵夫人に沢山助けて頂きました。
さすが名門公爵家のご夫人ですわね。私よりも年下でお若いのに、尊敬に値するお方ですわ。」
サンチェス公爵夫人…。アリー…か。
アリーは、オリビアが私の妻であることを知りながらも親切にしてくれたのか…。
アリー……。
「………。」
「…旦那様?」
「…あっ。親切なご夫人と知り合えて良かったな。」
慌てて平静を装う。
「旦那様。侯爵夫人として私もお茶会を開かなければならないと考えておりましたが、サンチェス公爵夫人を招待しても大丈夫でしょうか?」
婚約者だった頃に、この邸によく遊びに来ていたアリーを招待…?そんなの無理に決まっている。アリーは不愉快かもしれないし、サンチェス公爵だって良くは思わないだろう。
「…オリビア。お茶会に慣れないうちは、爵位の低い方を招待した方がいいかもしれない。身分の高い方を招待すると、それなりのものを求められるだろうから。」
それっぽい理由をつけて、遠回しにやめた方がいいことを伝えてみる。
「…そうですわね。名門の公爵夫人を招待して、粗相は出来ませんもの。
まずは何度かお茶会を開いてみて、慣れるようにしたいと思いますわ。」
「そうだな。準備で何かあれば、何でも言ってくれ。」
「はい。ありがとうございます。」
オリビアには、いつか本当のことを話そうと思った。
しかし、社交の場で私以外の第三者から、私の捨てた元婚約者がサンチェス公爵夫人だと知らされ、オリビアが傷つくことになろうとは、その時の私は気付かなかった。
侯爵夫人となったオリビアに対して、相変わらず失礼な物言いをする者は沢山いるようだが、彼女なりに苦手な社交を頑張ってくれているようだ。
真面目で頑張り屋の彼女を妻に迎えて良かったと思う。愛だとか恋だとかはないが、最近は少しずつ信頼関係を築けていると感じるのだ。
ある日、茶会から帰ってきたオリビアが嬉しそうな表情をしていた。
今日は王妃殿下主催の茶会に行っていたようだが、いつもなら茶会から帰った後は、疲れたようにグッタリしていることが多いのに、珍しいこともある。
「オリビア、茶会はどうだった?疲れてないか?」
「王妃殿下のお茶会でしたから、気疲れはありましたが、今日は素敵なご夫人と同じテーブルでしたので、いつもより楽しい時間が過ごせましたわ。」
貴族がみんなキツい性格なのではないのは知っているし、素晴らしい人が沢山いることも知っている。
しかしオリビアが、学生時代に醜態を晒した私の妻だということと、気が弱い元子爵令嬢ということで、性格の良くない者達から攻撃をされやすいだけなのだ。
「そうか。楽しめたようで良かったな。素敵なご夫人とはどちらの夫人だ?」
「サンチェス公爵夫人ですわ。まだ新婚らしくて、初めてお話しをさせて頂きましたが、お美しいだけでなく、物腰が柔らかくて、お優しい方でした。お茶会が苦手な私に色々と気を遣ってくださって、沢山話しかけてくださったのです。」
「サンチェス公爵夫人?」
「ええ。私に嫌味を言ってくる夫人方を、笑顔で追い払って下さいましたし、今日はサンチェス公爵夫人に沢山助けて頂きました。
さすが名門公爵家のご夫人ですわね。私よりも年下でお若いのに、尊敬に値するお方ですわ。」
サンチェス公爵夫人…。アリー…か。
アリーは、オリビアが私の妻であることを知りながらも親切にしてくれたのか…。
アリー……。
「………。」
「…旦那様?」
「…あっ。親切なご夫人と知り合えて良かったな。」
慌てて平静を装う。
「旦那様。侯爵夫人として私もお茶会を開かなければならないと考えておりましたが、サンチェス公爵夫人を招待しても大丈夫でしょうか?」
婚約者だった頃に、この邸によく遊びに来ていたアリーを招待…?そんなの無理に決まっている。アリーは不愉快かもしれないし、サンチェス公爵だって良くは思わないだろう。
「…オリビア。お茶会に慣れないうちは、爵位の低い方を招待した方がいいかもしれない。身分の高い方を招待すると、それなりのものを求められるだろうから。」
それっぽい理由をつけて、遠回しにやめた方がいいことを伝えてみる。
「…そうですわね。名門の公爵夫人を招待して、粗相は出来ませんもの。
まずは何度かお茶会を開いてみて、慣れるようにしたいと思いますわ。」
「そうだな。準備で何かあれば、何でも言ってくれ。」
「はい。ありがとうございます。」
オリビアには、いつか本当のことを話そうと思った。
しかし、社交の場で私以外の第三者から、私の捨てた元婚約者がサンチェス公爵夫人だと知らされ、オリビアが傷つくことになろうとは、その時の私は気付かなかった。
733
あなたにおすすめの小説
二度目の恋
豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。
王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。
満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。
※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。
──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
あなたの仰ってる事は全くわかりません
しげむろ ゆうき
恋愛
ある日、婚約者と友人が抱擁してキスをしていた。
しかも、私の父親の仕事場から見えるところでだ。
だから、あっという間に婚約解消になったが、婚約者はなぜか私がまだ婚約者を好きだと思い込んでいるらしく迫ってくる……。
全三話
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
【完結】愛されない令嬢は全てを諦めた
ツカノ
恋愛
繰り返し夢を見る。それは男爵令嬢と真実の愛を見つけた婚約者に婚約破棄された挙げ句に処刑される夢。
夢を見る度に、婚約者との顔合わせの当日に巻き戻ってしまう。
令嬢が諦めの境地に至った時、いつもとは違う展開になったのだった。
三話完結予定。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる