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清く、正しく、尊い絆(1)
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会場に近づくにつれて、胸の鼓動が少しずつ早くなっていく。駅の改札を抜けた瞬間から、可愛く着飾り、多くの応援グッズを持った人たちが目に入る。
今日は、成瀬さんの所属するOrionの初ライブ。
あの日、ベランダで交わした約束から、数ヶ月が経った。Orionがグループデビューを果たしてから、まだ一年と経っていない。それなのに、もうライブをするのかと内心驚いた。それだけ、事務所に期待されているのだろう。とはいえ、ライブ会場はScorpioのキャパと比べるとまだまだ小さい。
それでも、ファンはみんなこの日を心待ちにしていた。その証拠に、開場までまだ少し時間があると言うのに、すでに多くの人が会場周りに集まっている。
ファンたちのお目当ては、もちろん現地で販売されるライブグッズだ。最近は、事前にオンラインストアでグッズの購入が出来るようになったけれど、やはりライブ当日に現地でグッズを物色する方が気分が高揚する。
物販用テントには、たくさんのライブグッズが並んでいた。Tシャツやタオルなどの定番物から、アクリルスタンドやキーホルダーなどの雑貨。もちろんペンライトも。そのどれもに目を奪われるけれど、私はお目当てのものを求めて足早に歩みを進めた。
お目当てはもちろん、推しの写真が大きくプリントされたうちわ。季節は巡り、街には冬の気配が漂っている。だけど、季節に関係なく推しを応援するためには必須のアイテムだ。私は成瀬さんの写真がプリントされたうちわと、もう一人のメンバーのうちわをそれぞれ一枚ずつ購入した。
それから待ち合わせ場所へ行くと、すでに由紀さんが待っていた。私の姿を見つけた由紀さんがブンブンと大きく手を振ってくる。
「千紘ちゃーん。こっちこっち」
私は、由紀さんに駆け寄る。
「お待たせしました。これ、啓太のうちわです」
神村啓太のうちわを差し出すと、由紀さんは嬉しそうにうちわを受け取った。
「うわっありがと~。やっぱ良いわ。啓太。この角度最高!」
推しのうちわを高く掲げて、じぃっと眺める。その目は完全にハートマークになっている。私はそんな由紀さんを見て、思わず苦笑いしてしまった。
「樹もそうでしたけど、由紀さんってクール系が好きですよね」
「好きなタイプはそうそう変わらないわよぉ。……って、千紘ちゃんは違うか。蓮となるちゃんだもんね。真逆のタイプっていうか」
そんな指摘に、私はチッチッチと人差し指を振ってみせる。
今日は、成瀬さんの所属するOrionの初ライブ。
あの日、ベランダで交わした約束から、数ヶ月が経った。Orionがグループデビューを果たしてから、まだ一年と経っていない。それなのに、もうライブをするのかと内心驚いた。それだけ、事務所に期待されているのだろう。とはいえ、ライブ会場はScorpioのキャパと比べるとまだまだ小さい。
それでも、ファンはみんなこの日を心待ちにしていた。その証拠に、開場までまだ少し時間があると言うのに、すでに多くの人が会場周りに集まっている。
ファンたちのお目当ては、もちろん現地で販売されるライブグッズだ。最近は、事前にオンラインストアでグッズの購入が出来るようになったけれど、やはりライブ当日に現地でグッズを物色する方が気分が高揚する。
物販用テントには、たくさんのライブグッズが並んでいた。Tシャツやタオルなどの定番物から、アクリルスタンドやキーホルダーなどの雑貨。もちろんペンライトも。そのどれもに目を奪われるけれど、私はお目当てのものを求めて足早に歩みを進めた。
お目当てはもちろん、推しの写真が大きくプリントされたうちわ。季節は巡り、街には冬の気配が漂っている。だけど、季節に関係なく推しを応援するためには必須のアイテムだ。私は成瀬さんの写真がプリントされたうちわと、もう一人のメンバーのうちわをそれぞれ一枚ずつ購入した。
それから待ち合わせ場所へ行くと、すでに由紀さんが待っていた。私の姿を見つけた由紀さんがブンブンと大きく手を振ってくる。
「千紘ちゃーん。こっちこっち」
私は、由紀さんに駆け寄る。
「お待たせしました。これ、啓太のうちわです」
神村啓太のうちわを差し出すと、由紀さんは嬉しそうにうちわを受け取った。
「うわっありがと~。やっぱ良いわ。啓太。この角度最高!」
推しのうちわを高く掲げて、じぃっと眺める。その目は完全にハートマークになっている。私はそんな由紀さんを見て、思わず苦笑いしてしまった。
「樹もそうでしたけど、由紀さんってクール系が好きですよね」
「好きなタイプはそうそう変わらないわよぉ。……って、千紘ちゃんは違うか。蓮となるちゃんだもんね。真逆のタイプっていうか」
そんな指摘に、私はチッチッチと人差し指を振ってみせる。
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