駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……

猫缶@睦月

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1.何処かで聞いた都市国家

6.肉体言語はとりあえず無しでお願いします

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 お腹が空いた……
 心からそう思った僕は、ベットサイドにあるテーブルから食べ物を取ろうとした。
しかし、先回りされて皿ごと食べ物は遠ざけられる。

 「……お腹空いたんですけど……」

 皿を遠ざけた犯人を僕はジト目で見つめる。

 「お腹に大穴開いた人が何を言ってるんですか。お母さまとアレクシア様が帰ってくるまでは、勝手なことは許しませんわよ。」

 そういう彼女の名前はイリス・エアリーという。年齢は8歳。明るい金髪にサファイア色の瞳は、リリーさんにそっくりで、娘さんである。彼女は、僕が目覚めた翌日、現れた。リアンとワイアットを伴って。
 僕の部屋に入ってきたのは、幸いイリスだけだったけど(全裸で円筒容器に入れられた標本状態だった)、女の子にも姿をさらすのは勘弁してほしい。まして、男子なんて余計無理って、なんかこの辺の感覚は女性の体に馴染んできてるせいか、女性化がいちじるしい。
 とにかく、何をしに来たのか疑問に思ったんだけど、さすがに都市防衛機能が作動するような大騒ぎになったことで、僕が地下に潜った経緯を詳細に調べられたらしい。で、リアンとワイアットの二人と話した後、僕が通路に入っていくのを見ていた女の子達が、イリスに真相を話したらしい。そこで、イリスが二人を問い詰めて事が大きくなる前に自首させたようだ。
 言われてみれば、僕がワイアット達と話しているのを、階段のところから見ていた女の子達がいたことを思い出した。おかげで、僕自体はあまり非難の対象にならなかったけど、リアンとワイアットの二人は大目玉を喰らったらしい。彼らは魔法学校の生徒なんだけど、そのせいで1か月の自宅謹慎が決まったらしいが、自宅謹慎の前に直接謝りたいとのことで、やってきたらしい。
 けど、僕の状態をみてイリスが謝罪の言葉を代弁し、二人は帰ってくれた。だけどその後、イリスはなんだかんだといっては、リリーさんやアレクシアさんが居ない時間の僕の監視役を務めている。

 円筒容器から出るのに2週間かかり、今日からようやくベットの上の生活に戻れたけど、食事制限は暫く続くらしい。イリスがいうには、ようやく傷が塞がったところで、無理はまだできないのだから、おとなしくしておけと、完全に下っ端扱いです。
 幸い、後遺症も傷も残らないらしいけど、脚は長期の容器生活で萎えきっているし、大穴があいた身体のせいで、食べ物を取れず最低限の栄養剤と回復魔法の併用が続いたせいで、固形物を入れると吐きそうになるし、この点だけは二人に文句を言いたくもなっている。

 そして、アイオライトに転生してからベットの上の生活のほうが長いことに気付く僕だった。ちなみに、リアンとワイアットのお母さんは、即日きて謝ってくれたよ?エリックさんも直接謝るって言ってたらしいけど、僕の状況は殿方に見せることができない状態だったので、アレクシアさんに謝罪してもらっておしまいとしている。

*****

 ベットの上に僕が戻れたことで、疲れない程度に面会が可能となったので、ついに僕に対するお話合いが行われるようです。肉体言語を使うのは、現状禁止ということでリリーさんとイリスが付いている。

 「まずは、うちの馬鹿息子がきっかけで、クロエには大怪我をさせてしまった事に、正式に謝罪させてほしい。」

 エリックさんのこの言葉で、お話合いは開始された。

 「だが、今日はアレキサンドリアの都市防衛機構管理者として、この場に来ている。アレクシアとリリーも同じ立場だ。
 クロエ自身に非が無い事は承知しているが、高価なオートマタ3体と、施設の一部が破壊されたことに対しては、正式な報告書が必要だ。協和国家である以上、他の部族や街・村などの代表者にも正式に報告しなければならないのでね。
 個人的に秘密にすべき情報があることも承知しているが、ここではそれは認められない。全てを話してもらい、三人で相談の上報告の必要がないことに対しては、この三人とイリスの胸の内だけで留めると約束しよう。」

 エリックさんの発言にうなづく三人。

 「事前に言っておくけど、嘘だと分かった場合、肉体言語を使うことになりますよ。わかりやすく言えば、拷問も選択肢に入っています。本当のことを言っているのか、嘘をついているかは、私には判断できることはあらかじめ言っておきますね。」

 にっこり笑うリリーさんの発言内容も恐怖を誘います。

 「じゃあ、まずはクロエ?貴女は3体のオートマタと戦闘を行ったのは事実だよね?」

 アレクシアさんの質問から始まり、僕はアリアに制限されていると思われる事以外は全て吐かされました。ただ、エリックさんが【緋の双姫】とよんだオートマタとの戦闘で使った魔法については、とりあえず秘密にした。アイオライトにある魔法じゃないと、説明しても解らないだろうし、信じてももらえないよね。

 「では、まとめるとクロエ君は魔法を使えるが、身体の外に魔力が漏れない特異体質ということで合っているかい?身体強化系の魔法を使って、最初のオートマタ【ハンター】を倒し、【緋の双姫】とは善戦するも力及ばす倒れたと?」

 「……はい。その通りです……」

 僕の言葉に、イリスが驚きに固まっていますね。

 「で?どこから来たかは相変わらず不明?」

 アレクシアさんの言葉に、僕は答えます。

 「ここじゃない遠いところとしか言えませんが、僕はこの国の敵にはなりません。これは誓ってもいいですよ」

 エリックさんはリリーさんを見て、僕の言葉に嘘はないということを信じてくれたようだ。とりあえず、僕の答えには納得してくれたようだ。

 「判った。その言葉を信じさせてもらうよ。では、僕たちは今後の相談をさせてもらうが、クロエもベットから動けなくて退屈だろう。少し私の仕事を手伝ってくれないか?リアンにいつも手伝わせているんだが、今は謹慎中なんでね。」

 そういうと、ベットサイドに大量の書類と、参考文献をドサドサと置いていく。その量をみて僕は顔をひきつらせたが、大人三人は当然といった様子で意に介していない。

 「あっ、そうそう。夕飯からはスープ位なら食べてもいいけど、固形物は禁止ね。イリスは、クロエの監視をお願い。余計なものを食べたり飲んだりさせないでね」

 リリーさんの指示に、イリスは頷くと僕の方をみて笑いかけてきました。

 「それとね? 一つ確認しておくけど、私は8歳でクロエより年上なんだからね。私の事はイリスさんと呼ぶようにお願いいたしますわ」

 ……僕はいつ8歳以下になったんだろう?確かに僕の伸長はイリスより低い。
 でも今更ながら僕の言動は7歳児の者ではないかとおもう。だけど、イリスやリアン、ワイアットだって、8歳や10歳の子供の言動じゃないから、浮いてないよね? ね?
 どうせ、その辺の設定を報告したのはアレクシアさん以外考えられないし、0歳とは言えないんだからあきらめるしかないか。

 エリックさんが置いていった書類や本は、幸い中学生レベルの問題が多かったこともあって問題なく終わらせることができた。てか、リアンのやつ10歳でこんな問題解いているのかよ……。下手すれば有名な高校の入学試験なみの問題もあったぞ。アレキサンドリアの子供恐るべし。
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