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1.何処かで聞いた都市国家
28.狩人(ハンター)
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エルフ族との盟約により、エルフの森と呼ばれる領域は多種族からは不可侵領域とされています。その領域の周辺は、境界を明確にするために簡易な石組みの壁が設けられていますが、高さも1m程ですので、野生動物や魔物、魔獣は壁をこえて多種族の町や村を襲うときもあるのです。
森はエルフ族に恵みを与えてくれますが、その恵みも無尽蔵ではありません。また、森を護る為に彼らは魔獣なども含めて森の生態系として捉えているので、エルフ族の領域には魔獣も魔物も存在しており、東岸地域の町や村は壁を乗り越えた魔物や魔獣に襲われます。
狩人は、それらの魔獣を狩る為に冒険者ギルドに登録を行い、間引きや討伐を行う人達のことです。彼らは主にエルフの森の周囲の、緩衝地帯である森や平原で活動しています。エルフ族の狩人は、エルフの森の中で活動し、周囲の森や平原は多種族の狩人が活動する、不文律の盟約のようなものですね。
ストッと音がして、僕が隠れた樹の幹に矢が刺さります。どうやら居場所を確定されているようですね。エマもジェシーも隠れた場所からこちらを見ています。
「やっぱりさっきの人達かなぁ。」
僕の声に、エマが答えます。
「遭遇してから攻撃を受けるまでの時間と、エルフの親子たちから我々を分断してからの攻撃ですので、彼等の可能性が高いと判断します。」
「先程の集団が襲撃者だと仮定すると、弓師2、魔術師2、槍師2の6人パーティーと考えられます。幸い森の中なので、火魔法を使用する事はないでしょうが、場所が特定されている為こちらが不利です。」
続くジェシーの分析ですが、彼らはこちらを狩ることを目的としていますので、そのうち手段を選ばなくなるかもしれません。
「エマ、ジェシー ここから退避しながら迎撃するよ。兵装は遠距離迎撃用を使用許可します。ただし、殺さないで」
「「了解しました。兵装C装備に変更し、暴徒鎮圧モードで作動します。」」
2人の声に合わせて、僕も両手にガンブレードを持ちます。
「行くよっ」
声と同時に隠れていた樹の幹から飛び出し、走り出します。矢が飛んできますが、それは自分の居場所を明らかにする行為です。
エマとジェシーが弓師が居ると思われる箇所に、手に持ったショックガンを発砲すると、小さな悲鳴が聞こえ矢が飛んでこなくなります。
「エマ、先行して。ジェシーはそのまま後方を警戒しながら背走。障害物はエマからの情報で回避」
僕は2人にそう言うと、前を向いて走り出します。エマは僕の右を並んで走り、ジェシーは1mほど後方で、背走しながらこちらについてきます。
「後方から追撃はあと1名。弓師と思われます。このまま進むと、敵の待ち構えるエリアに侵入する可能性が高いです。」
「後ろから追い込んで、魔法と槍でこちらを殲滅する方法ですか。ということは、こちらが隠れていたのは、彼らにとっていい時間稼ぎになっちゃったかなぁ」
僕は走りながら呟きますが、エマには聞こえていたようですね。
「前方50mに開けた岩場。恐らくそこで待ち構えていると思われます。」
再び飛んできた矢を叩き落したジェシーの声。
「エマ、ジェシー岩場の入り口で後方からの弓師を牽制して。僕は中央に安地を作る。」
2人は肯いて、岩場との境目にある樹の幹に隠れ、後方を警戒。時折やってくる矢を叩き落します。2人が時間を稼いでくれている間に、僕は岩場中央に立ち呪文を唱えます。
「我、クロエ・ウィンターの名の下に、四精の力封じる域を作らん。ウンディーネ・サラマンダー・シルフ・ノーム、我等を害する己が眷属の力減じたまえ、四精封印陣」
思いっきり厨二っぽい台詞に赤面しますが、うん、様式美は大事だよね。呪文を唱えると、僕を中心に約2mの範囲で、空間が球形に一瞬光ります。
「エマ、ジェシーいいよ。こっちに来て周囲を警戒。兵装は近接戦闘に変更」
2人が岩場入り口から、矢に追い立てられるようにこちらにやってくると、攻撃が止まります。
「ファイアー・ランス」
「アイス・ニードル」
2つの魔法名が聞こえ、僕達の左右から炎の槍と、氷の針(といっても、30cmくらいありますが)が空中を飛んできて、結界に当たり掻き消えます。即行の呪文とはいえ、どうやら役割は果たしているようですね。
続けて2,3魔法名が聞こえますが、全て陣により力を弱められ、中にいる僕らには影響を及ぼしません。やがて、焦れたのか周囲の木立はら、5人の人影が現われます。一人足りませんが、まだ痺れているのかな?
「ちっ、人間の使う魔法結界程度を壊せないのかよ。エルフの名が泣くぜ」
背の高い30代前半に見える男性エルフが、魔術師っぽい2人の女性エルフにそういうと、一人がむきになって言い返します。
「これ以上大きな魔法を使うと、流石に位置がばれるでしょ。」
「ばれてもいいんじゃない? 着た奴らも全部まとめて倒せばいいんだし。」
「おいおい、さすがに同族殺しはヤバイだろ。下等種族なら問題はないだろうがな」
そう言いながら、品無くギャハハとか笑っています。何が楽しいのでしょうね。
「今さらですが、何か御用ですか? 僕達はあなた方に害されるような理由はないはずですが。」
僕がそう尋ねると、最初に話した男性エルフが答えます。
「俺達は狩人さ。今日は兎狩りをしようと思ってね。」
はぁ、こいつらも馬鹿の仲間でしょうか? 僕はエマとジェシーの2人にだけ聞こえるような声で伝えました。
「僕から2m以内は魔法が通じないから、その中に入ってきた敵の武器を破壊するだけに留めて。僕達以外の証人がいないと、きっと僕らが悪いという結果になるから。」
僕の言葉に、2人は軽く肯いて武器を構えました。僕は弓師と魔法使いを行動不能にするとしますか。構えると、狙いが気付かれるので、矢を放つか、詠唱を始めるのを待ちます。
「あいにくと、僕らは兎ではありませんよ。狩る対象とは異なるはずですが……」
言った途端に、後方から矢が放たれるので、弓師をまずは狙い撃ちます。銃対銃を想定して、抜き打ちの練習をしているのが早速役に立ちますね。弓師は僕に右腕を撃たれて、二の矢は放てません。初弾は土魔法の衝撃弾で打ち落とします。
矢と取り落とした弓師は、風魔法を詠唱しているようですね。武器を破壊しても諦めないのであれば、詠唱を封じましょう。僕はヒップホルスターのポケットから、真っ白な紙を取り出し、掌ではさんで詠唱します。
「風よ、彼の者の放つ魔法の言葉を掻き消す力となれ。風振相殺呪」
掌に挟んだ紙には、鏡文字で書かれた呪文が浮き出していますので、手首のスナップを利かせて、投げ付けました。呪符は風にあおられ、上空高く舞いますが、彼等の死角から背中へと張り付きます。
「転写!」
僕の詠唱とともに、呪符に書かれた文字が、背中へと転写されます。直後に呪符は効力を失ってはがれますが、効果は彼等の背中に転写された呪文に現われます。
「なっ、詠唱が出来ない!」
「なんだと!」
彼等の怒鳴り声が聞こえますが、無視します。口から発する呪文を掻き消すだけなので、無詠唱魔法は使えるんですけどね。使えたところで、四精封印陣を抜く事は出来ないでしょうが、エマとジェシーが陣から外に出ちゃうと困りますしね。
エマは既に槍師の槍を中ほどから切断し、武器を封じています。ジェシーの相手はそれを見ているので、鋭く連続で刺突を繰り返しています。ジェシーの標準武装は投げナイフですからね。槍相手では間合いが違いすぎて苦労していますね。
槍をエマに切り落とされた男は、それでもエマを陣から引きずり出そうとしていますので、脚を銃で狙い撃ちし、一瞬動きを止めてあげます。
「エマ、スイッチ」
僕の言葉で、エマとジェシーが入れ替わり、陣の内に進入した男の背後に回りこんだジェシーが、首に軽く手刀をいれると、あっけなく倒れこみました。エマは槍の刺突を大剣の腹で受けて、刺突を回避すると懐に潜り込んで、槍の柄えを両断すると同時に、お腹を蹴って相手を突き飛ばしました。
あれ? 突き飛ばされた相手が悶絶していますね。どうやら、少し狙いがずれて、股間を蹴られたようです。自業自得ですから、暫く悶絶しててもらいましょう。
「さて、どうします。呪文は詠唱できない、武器は無い。まだやりますか? 言っておきますが、詠唱は封じていますので、僕が解除しない限りはそのままです。どうします?」
彼らは目に見えて動揺していますね。僕らを意図的に襲ったのがわかれば、いくら彼らがエルフ族だからといってお咎めなしとは行きません。まして、弱者と馬鹿にしていた相手に魔法を封じられた状態です。これが、エルフ領でなければ、ギルドの登録抹消の上、犯罪奴隷なのですけどね。余罪もかなりありそうですし。
痺れさせている弓師の男が喚きますが、完全に負け犬の遠吠えですよ。
「無抵抗の俺達を捕らえて、武器を壊したりしたのはお前らだ。この件は族長に報告してしかるべき処置をとらせるぞ。それが嫌なら、さっさと放せ。」
はぁ、この期に及んでまだいいますか。
「お好きにどうぞ? 人間に魔法を封じられ解除できない恥を、全てのエルフの方々の前でさらしてみますか? 散々馬鹿にしていた他種族に、ご自慢の魔法を封じられたエルフとして、その名が残るでしょうね。」
僕の言葉に絶句している男を無視して、魔法使いの女性二人をみると、ばつが悪そうに俯きます。連れ帰るのも面倒なので、迎えに来てもらいましょうかね。シリンダーを光属性に合わせて、頭上に撃ちます。50mほどの高さで、光り輝く玉が出現し、ゆっくりと明るさを減じながら降下してきます。これで、誰かがここに来るでしょう。
まあ、難癖をつけてきたら、風振相殺呪は解除しないでおきましょうかね。優れた彼らの事ですから、きっと直ぐ解呪できるでしょうしね。
やがて、エルフの村から、子供達のお母さんの連絡を受けて、やってきたエルフの方々と、僕達は町へと引き返しました。
森はエルフ族に恵みを与えてくれますが、その恵みも無尽蔵ではありません。また、森を護る為に彼らは魔獣なども含めて森の生態系として捉えているので、エルフ族の領域には魔獣も魔物も存在しており、東岸地域の町や村は壁を乗り越えた魔物や魔獣に襲われます。
狩人は、それらの魔獣を狩る為に冒険者ギルドに登録を行い、間引きや討伐を行う人達のことです。彼らは主にエルフの森の周囲の、緩衝地帯である森や平原で活動しています。エルフ族の狩人は、エルフの森の中で活動し、周囲の森や平原は多種族の狩人が活動する、不文律の盟約のようなものですね。
ストッと音がして、僕が隠れた樹の幹に矢が刺さります。どうやら居場所を確定されているようですね。エマもジェシーも隠れた場所からこちらを見ています。
「やっぱりさっきの人達かなぁ。」
僕の声に、エマが答えます。
「遭遇してから攻撃を受けるまでの時間と、エルフの親子たちから我々を分断してからの攻撃ですので、彼等の可能性が高いと判断します。」
「先程の集団が襲撃者だと仮定すると、弓師2、魔術師2、槍師2の6人パーティーと考えられます。幸い森の中なので、火魔法を使用する事はないでしょうが、場所が特定されている為こちらが不利です。」
続くジェシーの分析ですが、彼らはこちらを狩ることを目的としていますので、そのうち手段を選ばなくなるかもしれません。
「エマ、ジェシー ここから退避しながら迎撃するよ。兵装は遠距離迎撃用を使用許可します。ただし、殺さないで」
「「了解しました。兵装C装備に変更し、暴徒鎮圧モードで作動します。」」
2人の声に合わせて、僕も両手にガンブレードを持ちます。
「行くよっ」
声と同時に隠れていた樹の幹から飛び出し、走り出します。矢が飛んできますが、それは自分の居場所を明らかにする行為です。
エマとジェシーが弓師が居ると思われる箇所に、手に持ったショックガンを発砲すると、小さな悲鳴が聞こえ矢が飛んでこなくなります。
「エマ、先行して。ジェシーはそのまま後方を警戒しながら背走。障害物はエマからの情報で回避」
僕は2人にそう言うと、前を向いて走り出します。エマは僕の右を並んで走り、ジェシーは1mほど後方で、背走しながらこちらについてきます。
「後方から追撃はあと1名。弓師と思われます。このまま進むと、敵の待ち構えるエリアに侵入する可能性が高いです。」
「後ろから追い込んで、魔法と槍でこちらを殲滅する方法ですか。ということは、こちらが隠れていたのは、彼らにとっていい時間稼ぎになっちゃったかなぁ」
僕は走りながら呟きますが、エマには聞こえていたようですね。
「前方50mに開けた岩場。恐らくそこで待ち構えていると思われます。」
再び飛んできた矢を叩き落したジェシーの声。
「エマ、ジェシー岩場の入り口で後方からの弓師を牽制して。僕は中央に安地を作る。」
2人は肯いて、岩場との境目にある樹の幹に隠れ、後方を警戒。時折やってくる矢を叩き落します。2人が時間を稼いでくれている間に、僕は岩場中央に立ち呪文を唱えます。
「我、クロエ・ウィンターの名の下に、四精の力封じる域を作らん。ウンディーネ・サラマンダー・シルフ・ノーム、我等を害する己が眷属の力減じたまえ、四精封印陣」
思いっきり厨二っぽい台詞に赤面しますが、うん、様式美は大事だよね。呪文を唱えると、僕を中心に約2mの範囲で、空間が球形に一瞬光ります。
「エマ、ジェシーいいよ。こっちに来て周囲を警戒。兵装は近接戦闘に変更」
2人が岩場入り口から、矢に追い立てられるようにこちらにやってくると、攻撃が止まります。
「ファイアー・ランス」
「アイス・ニードル」
2つの魔法名が聞こえ、僕達の左右から炎の槍と、氷の針(といっても、30cmくらいありますが)が空中を飛んできて、結界に当たり掻き消えます。即行の呪文とはいえ、どうやら役割は果たしているようですね。
続けて2,3魔法名が聞こえますが、全て陣により力を弱められ、中にいる僕らには影響を及ぼしません。やがて、焦れたのか周囲の木立はら、5人の人影が現われます。一人足りませんが、まだ痺れているのかな?
「ちっ、人間の使う魔法結界程度を壊せないのかよ。エルフの名が泣くぜ」
背の高い30代前半に見える男性エルフが、魔術師っぽい2人の女性エルフにそういうと、一人がむきになって言い返します。
「これ以上大きな魔法を使うと、流石に位置がばれるでしょ。」
「ばれてもいいんじゃない? 着た奴らも全部まとめて倒せばいいんだし。」
「おいおい、さすがに同族殺しはヤバイだろ。下等種族なら問題はないだろうがな」
そう言いながら、品無くギャハハとか笑っています。何が楽しいのでしょうね。
「今さらですが、何か御用ですか? 僕達はあなた方に害されるような理由はないはずですが。」
僕がそう尋ねると、最初に話した男性エルフが答えます。
「俺達は狩人さ。今日は兎狩りをしようと思ってね。」
はぁ、こいつらも馬鹿の仲間でしょうか? 僕はエマとジェシーの2人にだけ聞こえるような声で伝えました。
「僕から2m以内は魔法が通じないから、その中に入ってきた敵の武器を破壊するだけに留めて。僕達以外の証人がいないと、きっと僕らが悪いという結果になるから。」
僕の言葉に、2人は軽く肯いて武器を構えました。僕は弓師と魔法使いを行動不能にするとしますか。構えると、狙いが気付かれるので、矢を放つか、詠唱を始めるのを待ちます。
「あいにくと、僕らは兎ではありませんよ。狩る対象とは異なるはずですが……」
言った途端に、後方から矢が放たれるので、弓師をまずは狙い撃ちます。銃対銃を想定して、抜き打ちの練習をしているのが早速役に立ちますね。弓師は僕に右腕を撃たれて、二の矢は放てません。初弾は土魔法の衝撃弾で打ち落とします。
矢と取り落とした弓師は、風魔法を詠唱しているようですね。武器を破壊しても諦めないのであれば、詠唱を封じましょう。僕はヒップホルスターのポケットから、真っ白な紙を取り出し、掌ではさんで詠唱します。
「風よ、彼の者の放つ魔法の言葉を掻き消す力となれ。風振相殺呪」
掌に挟んだ紙には、鏡文字で書かれた呪文が浮き出していますので、手首のスナップを利かせて、投げ付けました。呪符は風にあおられ、上空高く舞いますが、彼等の死角から背中へと張り付きます。
「転写!」
僕の詠唱とともに、呪符に書かれた文字が、背中へと転写されます。直後に呪符は効力を失ってはがれますが、効果は彼等の背中に転写された呪文に現われます。
「なっ、詠唱が出来ない!」
「なんだと!」
彼等の怒鳴り声が聞こえますが、無視します。口から発する呪文を掻き消すだけなので、無詠唱魔法は使えるんですけどね。使えたところで、四精封印陣を抜く事は出来ないでしょうが、エマとジェシーが陣から外に出ちゃうと困りますしね。
エマは既に槍師の槍を中ほどから切断し、武器を封じています。ジェシーの相手はそれを見ているので、鋭く連続で刺突を繰り返しています。ジェシーの標準武装は投げナイフですからね。槍相手では間合いが違いすぎて苦労していますね。
槍をエマに切り落とされた男は、それでもエマを陣から引きずり出そうとしていますので、脚を銃で狙い撃ちし、一瞬動きを止めてあげます。
「エマ、スイッチ」
僕の言葉で、エマとジェシーが入れ替わり、陣の内に進入した男の背後に回りこんだジェシーが、首に軽く手刀をいれると、あっけなく倒れこみました。エマは槍の刺突を大剣の腹で受けて、刺突を回避すると懐に潜り込んで、槍の柄えを両断すると同時に、お腹を蹴って相手を突き飛ばしました。
あれ? 突き飛ばされた相手が悶絶していますね。どうやら、少し狙いがずれて、股間を蹴られたようです。自業自得ですから、暫く悶絶しててもらいましょう。
「さて、どうします。呪文は詠唱できない、武器は無い。まだやりますか? 言っておきますが、詠唱は封じていますので、僕が解除しない限りはそのままです。どうします?」
彼らは目に見えて動揺していますね。僕らを意図的に襲ったのがわかれば、いくら彼らがエルフ族だからといってお咎めなしとは行きません。まして、弱者と馬鹿にしていた相手に魔法を封じられた状態です。これが、エルフ領でなければ、ギルドの登録抹消の上、犯罪奴隷なのですけどね。余罪もかなりありそうですし。
痺れさせている弓師の男が喚きますが、完全に負け犬の遠吠えですよ。
「無抵抗の俺達を捕らえて、武器を壊したりしたのはお前らだ。この件は族長に報告してしかるべき処置をとらせるぞ。それが嫌なら、さっさと放せ。」
はぁ、この期に及んでまだいいますか。
「お好きにどうぞ? 人間に魔法を封じられ解除できない恥を、全てのエルフの方々の前でさらしてみますか? 散々馬鹿にしていた他種族に、ご自慢の魔法を封じられたエルフとして、その名が残るでしょうね。」
僕の言葉に絶句している男を無視して、魔法使いの女性二人をみると、ばつが悪そうに俯きます。連れ帰るのも面倒なので、迎えに来てもらいましょうかね。シリンダーを光属性に合わせて、頭上に撃ちます。50mほどの高さで、光り輝く玉が出現し、ゆっくりと明るさを減じながら降下してきます。これで、誰かがここに来るでしょう。
まあ、難癖をつけてきたら、風振相殺呪は解除しないでおきましょうかね。優れた彼らの事ですから、きっと直ぐ解呪できるでしょうしね。
やがて、エルフの村から、子供達のお母さんの連絡を受けて、やってきたエルフの方々と、僕達は町へと引き返しました。
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