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5.南海の秘宝
36.出港準備中です
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「はぁ、やっぱり見物人が多いですね~」
僕のため息交じりの言葉に、艦内医療担当として乗艦しているイリスさんが、肩をすくめます。
「しかたないですわね。そもそも、示威の為に持ち出したんですもの。目立つのも仕事ですわよ」
イリスさんの言葉に僕も頷くしかありません。まだ、21世紀の日本じゃないだけましですね。日本でしたら、報道関係に対して記者会見を開けとかいわれますし。
「食料等の積み込みは予定通りに進んでいます。飛行艇部隊は間もなく到着予定です。艦の周囲50m以内への接近は、搭載艦の小型艇で警告を発しています」
今回ユイは艦内の総務関係をお願いして務めています。傍らには、海軍の士官が就いていて、この艦特有の項目をメモしながら、進言してくれます。
「航海予定は2週間ですので、全乗員の食料を倍の1か月分収納しました。真水は1週間分ですが、本当に宜しいのですか? 魔法で水が出せるとは言え、嵐や想定外の事象があるかも知れない事を考慮すれば、魔力の温存は必要と思われます」
魔力以外にも、電気分解で真水を作ったりする魔道具も搭載しています。その事を説明して、ユイに後ほど造水機の部屋に案内してもらうことにします。
『クイーンアレキサンドリア』の白く塗装された船体は、地球でいえば斜め甲板を有した空母を小型化したような形しています。小型な分、搭載される飛行艇は、DM2とワイアット指揮下の輸送用飛行艇が1機、小回りの利く2名乗りの戦闘向けの飛行艇が5機だけです。
他にも小型の動力艇が5隻に、潜水艇が3隻だけ。燃料や爆弾なんかも魔法ですので、地球の軍艦に比べれば燃料庫も弾薬庫も小スペースですみます。
艦内はその分、普通の軍艦よりも広めに居住スペースがとられています。海軍は男性が圧倒的に多い(帆船にはお風呂はないですもんね)のですが、クイーンの名を冠しているこの艦は、乗員の2割が女性です。士官は個室を与えられていますし、一般の兵士でも2人部屋です。私物はあまり持ち込めないのは一緒ですけど。居住区画は男女で分かれていますし、海軍の男性は紳士ですから不埒なことを考える人はいないでしょう。
「あぁ、赤・黄ピーマンは艦内の調理場でカットして冷凍保存にするように、頼んでおいてね。柚子とレモンはとりあえず1個ずつ包んで、保存袋に入れておいてね。後で菓汁を絞って凍結させておけばいいかな。ハムとベーコンも十分積んでおいてね」
ユイの傍らに控えていた士官さんが、ここで口を挟んできました。
「特に果物等が多いようですが、何か意図があるのでしょうか?」
単純に女性が多いから、女性好みの食材が多いと思われていそうですね。僕はイリスさんの顔を見つめます。ここは、僕が説明するよりは、説得力がありますからね。イリスさんが肩をすくめてから説明します。
「壊血病の予防の為の施策よ。調理道具も、銅鍋じゃなくて新金属の鍋を使うわ」
士官さんは驚きの表情を浮かべていますね。壊血病は、ビタミンCの不足で起きる病気です。陸上で生活しているうちからビタミンCが不足気味な生活をしていた船員が、長期の洋上生活で更に症状が進むと発症します。脱力や体重減少、筋肉痛や関節への鈍痛などの他に、皮膚や粘膜、歯肉からの出血を伴うなどの症状がでます。
鉄鍋で調理すると2割程度減少するビタミンCですが、銅鍋で調理すると2/3が壊れるという説もありますからね。でも、鉄鍋は重量がかさみますので、調理担当の負担となりますので、新金属(アルミ)製の鍋を導入しています。もちろん新金属(アルミ)は鍋以外にも、飛空艇や動力艇などにも使われていますよ。
「そのような効果が……。この件は軍の上層部も承知しているのですね」
一人頷く士官さんですが他にも仕事が待っているので、そちらはユイにお願いしてしまいます。跳ね橋を超えるために小振りに作られている艦橋ですが、その窓の外に、着艦する飛行艇の姿が見えたからです。
「飛行艇部隊が着いたようね。言っておくけど、今度はお互いにそれなりの立場があるんだから、噛みつかないでよ?」
はぁ、信頼がありませんね。とはいえそれも仕方ありませんか。やがて艦橋内に数人の人影が現れます。イリスさんが僕に釘をさした要因さんたちがやってきましたよ……
「飛空艇隊士官ワイアット・フィッシャー以下20名、クイーンアレキサンドリアに到着しました。着任の許可を願います」
「魔導機関担当士官リアン・スミス以下25名、クイーンアレキサンドリアに到着しました。着任の許可を願います」
僕はげんなりしましたが、腋をイリスさんに肘撃ちされて、仕方なく許可します。
「……着任を許可します。艦長のクロエ・ウィンターです。現在本艦は処女航海に向けての出港準備中です。私室へ荷物を収納後、各士官の指示に従い、艦内状況把握と出港準備願います」
「「Yes Ma'am!」」
そういって出ていく彼らを、僕は見送ります。
「そもそも、貴女の実力をそれなりにでも把握しているのは、学院の同期生が多いのだから、仕方ありませんでしょ。普通は金属の塊が水上に浮いているなんて信じませんわよ?」
そうなのです。クイーンアレキサンドリアに乗艦する乗組員の大半は、学院で顔を合わせたことのある若い人達がおおいのですよね。勿論、それなりの年配の方もいますが、極僅かです。
僕とイリスさんは、そのまま艦橋内で出港準備が進むのを見ていましたが、信号員(他の船と手旗信号で連絡を取り合う担当)から、連絡が入ります。
「アルべニア王国ロンタノ辺境伯爵が乗船した連絡艇が、本艦に接近しております。乗艦を求めていますが、いかがしましょう?」
僕は、傍らに佇む壮年の紳士の顔を見ます。彼が頷くので、僕は信号員に許可をだしました。
「乗艦を許可します。タラップ(船梯子)を下ろしてください。エマ&ジェシーはお出迎えと彼らが迷わないように、ご案内してください」
「「「Yes Ma'am!」」」
艦橋入り口に控えていたエマとジェシーは、答礼後艦橋を出ていき、信号員はやはり舷側に向かい、手旗信号で接舷の許可を出しています。
「良かったのですか? オスカー副長」
彼の名前は、オスカー・エアリー。そう、リリー・エアリーの旦那様で、イリスの父親ですね。彼が『クイーンアレキサンドリア』の実質的な艦長ですが、あくまでも自分は副長という態度を崩しません。
イリスのお父さんが乗艦している船は、定期点検や補修などの為にドック入りしています。僕たちのお目付け役として、乗艦しているわけですね。
「艦長は嫌がりますが、本艦はあくまでもアレキサンドリアの武威を周辺国に知らしめるための広報艦でもあります。全てを知らしめる必要はありませんが、隣国に対しては正しく理解していただく必要がありますからな」
政治的な事は苦手なんですがね。とはいえ、今回は仕方ありませんね。イリスさんと僕は肩をすくめるしかありませんでした。
僕のため息交じりの言葉に、艦内医療担当として乗艦しているイリスさんが、肩をすくめます。
「しかたないですわね。そもそも、示威の為に持ち出したんですもの。目立つのも仕事ですわよ」
イリスさんの言葉に僕も頷くしかありません。まだ、21世紀の日本じゃないだけましですね。日本でしたら、報道関係に対して記者会見を開けとかいわれますし。
「食料等の積み込みは予定通りに進んでいます。飛行艇部隊は間もなく到着予定です。艦の周囲50m以内への接近は、搭載艦の小型艇で警告を発しています」
今回ユイは艦内の総務関係をお願いして務めています。傍らには、海軍の士官が就いていて、この艦特有の項目をメモしながら、進言してくれます。
「航海予定は2週間ですので、全乗員の食料を倍の1か月分収納しました。真水は1週間分ですが、本当に宜しいのですか? 魔法で水が出せるとは言え、嵐や想定外の事象があるかも知れない事を考慮すれば、魔力の温存は必要と思われます」
魔力以外にも、電気分解で真水を作ったりする魔道具も搭載しています。その事を説明して、ユイに後ほど造水機の部屋に案内してもらうことにします。
『クイーンアレキサンドリア』の白く塗装された船体は、地球でいえば斜め甲板を有した空母を小型化したような形しています。小型な分、搭載される飛行艇は、DM2とワイアット指揮下の輸送用飛行艇が1機、小回りの利く2名乗りの戦闘向けの飛行艇が5機だけです。
他にも小型の動力艇が5隻に、潜水艇が3隻だけ。燃料や爆弾なんかも魔法ですので、地球の軍艦に比べれば燃料庫も弾薬庫も小スペースですみます。
艦内はその分、普通の軍艦よりも広めに居住スペースがとられています。海軍は男性が圧倒的に多い(帆船にはお風呂はないですもんね)のですが、クイーンの名を冠しているこの艦は、乗員の2割が女性です。士官は個室を与えられていますし、一般の兵士でも2人部屋です。私物はあまり持ち込めないのは一緒ですけど。居住区画は男女で分かれていますし、海軍の男性は紳士ですから不埒なことを考える人はいないでしょう。
「あぁ、赤・黄ピーマンは艦内の調理場でカットして冷凍保存にするように、頼んでおいてね。柚子とレモンはとりあえず1個ずつ包んで、保存袋に入れておいてね。後で菓汁を絞って凍結させておけばいいかな。ハムとベーコンも十分積んでおいてね」
ユイの傍らに控えていた士官さんが、ここで口を挟んできました。
「特に果物等が多いようですが、何か意図があるのでしょうか?」
単純に女性が多いから、女性好みの食材が多いと思われていそうですね。僕はイリスさんの顔を見つめます。ここは、僕が説明するよりは、説得力がありますからね。イリスさんが肩をすくめてから説明します。
「壊血病の予防の為の施策よ。調理道具も、銅鍋じゃなくて新金属の鍋を使うわ」
士官さんは驚きの表情を浮かべていますね。壊血病は、ビタミンCの不足で起きる病気です。陸上で生活しているうちからビタミンCが不足気味な生活をしていた船員が、長期の洋上生活で更に症状が進むと発症します。脱力や体重減少、筋肉痛や関節への鈍痛などの他に、皮膚や粘膜、歯肉からの出血を伴うなどの症状がでます。
鉄鍋で調理すると2割程度減少するビタミンCですが、銅鍋で調理すると2/3が壊れるという説もありますからね。でも、鉄鍋は重量がかさみますので、調理担当の負担となりますので、新金属(アルミ)製の鍋を導入しています。もちろん新金属(アルミ)は鍋以外にも、飛空艇や動力艇などにも使われていますよ。
「そのような効果が……。この件は軍の上層部も承知しているのですね」
一人頷く士官さんですが他にも仕事が待っているので、そちらはユイにお願いしてしまいます。跳ね橋を超えるために小振りに作られている艦橋ですが、その窓の外に、着艦する飛行艇の姿が見えたからです。
「飛行艇部隊が着いたようね。言っておくけど、今度はお互いにそれなりの立場があるんだから、噛みつかないでよ?」
はぁ、信頼がありませんね。とはいえそれも仕方ありませんか。やがて艦橋内に数人の人影が現れます。イリスさんが僕に釘をさした要因さんたちがやってきましたよ……
「飛空艇隊士官ワイアット・フィッシャー以下20名、クイーンアレキサンドリアに到着しました。着任の許可を願います」
「魔導機関担当士官リアン・スミス以下25名、クイーンアレキサンドリアに到着しました。着任の許可を願います」
僕はげんなりしましたが、腋をイリスさんに肘撃ちされて、仕方なく許可します。
「……着任を許可します。艦長のクロエ・ウィンターです。現在本艦は処女航海に向けての出港準備中です。私室へ荷物を収納後、各士官の指示に従い、艦内状況把握と出港準備願います」
「「Yes Ma'am!」」
そういって出ていく彼らを、僕は見送ります。
「そもそも、貴女の実力をそれなりにでも把握しているのは、学院の同期生が多いのだから、仕方ありませんでしょ。普通は金属の塊が水上に浮いているなんて信じませんわよ?」
そうなのです。クイーンアレキサンドリアに乗艦する乗組員の大半は、学院で顔を合わせたことのある若い人達がおおいのですよね。勿論、それなりの年配の方もいますが、極僅かです。
僕とイリスさんは、そのまま艦橋内で出港準備が進むのを見ていましたが、信号員(他の船と手旗信号で連絡を取り合う担当)から、連絡が入ります。
「アルべニア王国ロンタノ辺境伯爵が乗船した連絡艇が、本艦に接近しております。乗艦を求めていますが、いかがしましょう?」
僕は、傍らに佇む壮年の紳士の顔を見ます。彼が頷くので、僕は信号員に許可をだしました。
「乗艦を許可します。タラップ(船梯子)を下ろしてください。エマ&ジェシーはお出迎えと彼らが迷わないように、ご案内してください」
「「「Yes Ma'am!」」」
艦橋入り口に控えていたエマとジェシーは、答礼後艦橋を出ていき、信号員はやはり舷側に向かい、手旗信号で接舷の許可を出しています。
「良かったのですか? オスカー副長」
彼の名前は、オスカー・エアリー。そう、リリー・エアリーの旦那様で、イリスの父親ですね。彼が『クイーンアレキサンドリア』の実質的な艦長ですが、あくまでも自分は副長という態度を崩しません。
イリスのお父さんが乗艦している船は、定期点検や補修などの為にドック入りしています。僕たちのお目付け役として、乗艦しているわけですね。
「艦長は嫌がりますが、本艦はあくまでもアレキサンドリアの武威を周辺国に知らしめるための広報艦でもあります。全てを知らしめる必要はありませんが、隣国に対しては正しく理解していただく必要がありますからな」
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