勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します

華音 楓

文字の大きさ
54 / 246
第3章 ここから始まる転換点?

三十四日目③ 轟く雷鳴。漂う香り。

しおりを挟む
「ブブ!!ブブヒ?!」
「ブヒ!!ブヒ!!」

 これがオークの鳴き声か?どう聞いても豚じゃんよ。
 オークたちは俺たちが近づくと、こちらの気配に気が付いたのか、怒りを顕わに騒ぎ出した。
 ポールは構わず盾を構えた状態で突進していく。

「スキル【シールドチャージ】!!」

 ちょっと待って!!あんた盾役のディフェンダーじゃないの?!
 盾役が前に出たら……ってあれ?

 ポールの【シールドチャージ】で2匹のオークは体勢を大きく崩すことになったってより吹っ飛んだぞ?
 ポールはさらにヘイトコントロールをしていく。
 普通の盾職だったらここでスキル【ウォークライ】を発動させるらしいんだろうけど、それに近いことを技術としてこなしていく。
 この辺はムーさんから教えてもらってことが役に立っているみたいだ。
 大きなタワーシールドで俺をオークたちの視界から遮っている。
 おかげで俺はオークから標的にされずにいた。
 俺はポールの陰でエルダの準備が終わるのを静かに待った。

 俺たちの後方ではエルダが【魔光陣】の準備を始めていた。
 まだ実践的に使うには難しいようで、補助としてレンさんから譲り受けた【魔導書】を開き、雷撃の【魔光陣】を上空に展開していく。

ガンガン!!
ドガン!!
ガギン!!

 次々と繰り出されるオークからの斬撃やら打撃やらを、ポールはタワーシールドを巧みに操り受け止め、いなしていく。
 オークの表情からは、思い通りにいかないためか苛立ちの感情が伝わってくる。
 ってよりもさ、オークにも〝感情〟があるんじゃないかとさえ思えてしまった……
 そのおかげで、上空への注意がおろそかになっていた。

 

 そして上空には光の魔方陣が形成れていく。
 次の瞬間。

ピカ!!

「雷鳴!!」

ゴロゴロゴロゴロ~~~!!

 エルダの声が聞こえるよりも先に、光の柱が目の前に落ちる。
 遅れて爆音が俺たちを襲った。

「ぐわ!?」
「ぐッ!!」

 俺とポールは視覚と聴覚を一気にやられてしまった。
 これでも一番簡単な魔方陣だっていうんだからやばいよな。

 徐々に視覚が回復していき、状況がわかってきた。

 目の前には焦げた豚の丸焼きが2匹転がっていた。
 一瞬いい匂いだと思ったのは内緒だ。

 南無さんいただきます
 違った……
 
 それにしても、いまだに耳が聞こえないので、かなり困った状態だ。

 後ろを振り向くとエルダが慌てた様子で駆け寄ってきた。
 その顔には焦りが浮かんでいた。
 そして何か話しているんだけど、何言ってるかよくわからなかった。
 とりあえず謝罪の気持ちは伝わってきた。
 だって涙目なんだもの。



 少しして、聴覚も回復してきた。
 その間に【職業:解体業】に変更するのは忘れていなかった。
 ドロップアイテムはオーク3匹で

・魔石(小)が1つ
・オークの外皮が1枚
・オークの肉(500g)が1つ

 だった。

ピコン

「ごめんなさい!!出力調整を間違えました!!」

 エルダは全力で謝り倒した。
 実はこれは由々しき事態でもある。
 今回は運よくオークを倒せたからよかった。
 しかし、俺とポールは五感のうち2つをつぶされた状態になってしまったのだ。
 それほどまでにエルダの【魔光陣】の威力がすさまじかったのだ。
 予定では1匹をしびれさせる程度にとどめるつもりだった。
 だが、蓋を開けたら2匹を丸焼きにするほどの威力になってしまったのだ。

「エルダ……、さすがにやり過ぎよ。」
「ごめん……」

 デイジーは後方警戒を兼ねてエルダより後方に陣取っていた。
 そのおかげで、災難に巻き込まれずに済んだのだ。

「でもどうしてこんな威力になったの?」

 俺はエルダに問題を確認した。
 それによっては【魔光陣】のテストはこれで終了せざる得ないのだ。

「それが……。初めての実践投入で気合を入れ過ぎました。」

 つまり、気合を入れ過ぎて、MPを注ぎ過ぎたと?
 魔力調整をもう少しうまくしてもらわないといけないかもしれないな。
 エルダも反省しているようで、今回は不問としたが、次使う時は威力を上げ過ぎないようにと釘は刺しておいた。
 それにしても【魔光陣】……すさまじい威力だな。
 これがスキルじゃなくて〝技術〟だっていうんだから、かなりばかげた性能だよな。

「エルダ、さすがに目と耳をやられるとは思わなかった。」
「ごめんポール。」

 ポールはもろにその光を直視してしまい、今もまだ完全に視界が回復していなかった。
 俺はダメもとで回復ポーション(低)を取り出し、ポールと一緒に飲み干した。
 するとどうだろうか。
 いまだに見辛かった視界がクリアになっていったのだ。
 ポールもその性能に驚き、二人で目を見合わせてしまったほどだ。

「とりあえず、これで大丈夫そうだね。ポールも大丈夫そうか?」
「あぁ、何とか元に戻った。しかし、まさか閃光による目つぶしにも効くとはな。」

 確かに俺もそう思う。
 普通こういったのって違う回復系ポーションがお約束なはずなんだけど……
 これも俺のポーションが異常なせいなのかもしれない。
 あとでちゃんと検証しないとな。
 
「おそらく、目にダメージを負ったって判定で、ポーションが作用したのかもしれないな。」
「なるほどな。」

 俺とポールはそう納得することにした。
 俺の作るポーションは、考えるだけ無駄なような気がしたからだ。

 そして俺はシステム音を聞き逃していたのだった。
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーから「足手まとい」と捨てられた荷物持ちのベルク。しかし、彼が持つ外れスキル【分解】と【再構築】は、万物を意のままに創り変える「神の御業」だった! 覚醒した彼は、虐げられていた聖女ルナを救い、辺境で悠々自適なスローライフを開始する。壊れた伝説の剣を直し、ゴミから最強装備を量産し、やがて彼は世界を救う英雄へ。 一方、彼を捨てた勇者たちは没落の一途を辿り……。 最強の職人が送る、痛快な大逆転&ざまぁファンタジー!

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

追放された荷物持ち、スキル【アイテムボックス・無限】で辺境スローライフを始めます

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーで「荷物持ち」として蔑まれ、全ての責任を押し付けられて追放された青年レオ。彼が持つスキル【アイテムボックス】は、誰もが「ゴミスキル」と笑うものだった。 しかし、そのスキルには「容量無限」「時間停止」「解析・分解」「合成・創造」というとんでもない力が秘められていたのだ。 全てを失い、流れ着いた辺境の村。そこで彼は、自分を犠牲にする生き方をやめ、自らの力で幸せなスローライフを掴み取ることを決意する。 超高品質なポーション、快適な家具、美味しい料理、果ては巨大な井戸や城壁まで!? 万能すぎる生産スキルで、心優しい仲間たちと共に寂れた村を豊かに発展させていく。 一方、彼を追放した勇者パーティーは、荷物持ちを失ったことで急速に崩壊していく。 「今からでもレオを連れ戻すべきだ!」 ――もう遅い。彼はもう、君たちのための便利な道具じゃない。 これは、不遇だった青年が最高の仲間たちと出会い、世界一の生産職として成り上がり、幸せなスローライフを手に入れる物語。そして、傲慢な勇者たちが自業自得の末路を辿る、痛快な「ざまぁ」ストーリー!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。