最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓

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第1章 進化の始まり

009 運動が苦手な僕はついていけない……

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 昼休憩を挟み、午後の講習の時間となった。
 訓練場に全員集まったのを確認した一ノ瀬さんは、更衣室へ行くように促した。

「皆さんにはこれから戦闘訓練を受けていただくにあたって、こちらで用意した装備を着用してもらいます。後ろに有りますロッカールームに準備しましたので、着用をお願いします。今から30分時間を取ります。始めてください。」

 僕たちが更衣室へ行くと、各人のロッカーがあり、そこの中にはプロテクターなどの防具が入っていた。
 サイズは事前申請した通りのものが用意されており、スムーズに着用ができた。
 それにしても、だいぶ凝った造りになっていた。
 装備してみたけど、若干の重みを感じるけど、動きを阻害するとかは特に感じられなかった。

 プロテクターを着用後訓練場に戻ると、訓練場中央付近にはずらりと訓練用の武器が並んでいた。
 剣や大剣。刀に小刀。小剣とかもある。ほかにはなぎなた、槍、短槍、弓矢にクロスボウ。コンパウンドボウもあった。
 防具として小盾・丸盾・ラージシールド・カイトシールドなど各種取り揃えられていた。
 というよりもひと際異色を放つ武器が鎮座していた。
 革製の鞭って誰が使うの?
 しかも短いし、鞭の部分は何枚も重ねてあるし……
 絶対これ準備した人の悪ふざけだよね?

「皆さんにはこれから武器を選んでもらいます。慣れた物がある人はそれを手にしてください。ある程度の種類は揃えました。あと、特殊すぎるものについては近い武器を手にしてください。これから約1時間、時間をとりますのでいろいろ試して、吟味してください。試し撃ちしたい方は向こうの壁際に試射場もあるので使ってみてください。それと、ここにあるのはサンプル品ですので、確定後に正式な武器をお渡しします。それでは質問はありますか?」

 一ノ瀬さんがあらかた説明を終えると、一人の青年が手を挙げて質問を始めた。

「どうしてここに銃がないんですか?せっかくだし使ってみたいんですけど。」

 一ノ瀬さんは少し困った顔をして答えてくれた。
 確かに普通に考えて銃は素人考えではかなり強力な武器になる。
 だけどそれはここには並べられていなかった。

「それはですね、日本では手に入らないからです。今後手に入るかもしれませんが、今現在は入手不可能です。ご理解いただけましたか?」

 まあ、確かにそりゃそうだよね。
 つい最近法律が変わったばかりなんだし、世界でこの異変が始まった以上、輸出している場合じゃないんだから。
 自国での利用にまず回すのが普通だ。
 もし日本で出回るとしたら、自国で生産した品なんだろうなと思ってしまった。

 一時間くらいしてあらかた武器を決めて、参加者全員訓練場に集まってきた。
 僕はというと剣とラウンドシールドを選んだ。
 どれを選んでいいか分からなかった僕は一ノ瀬さんに相談し、一番無難な装備をチョイスしてみた。
 参加者全員が訓練場の真ん中に集まると、一ノ瀬さんは説明の続きをし始めた。

「では、時間となりました。皆さんしっくりくる武器は見つかりましたか?まあ、やっぱり鞭を選んだ人はいませんでしたね。前回は本気でそれを選んだ人がいたので、全力で止めさせてもらいました。」

 冗談だったのか本気だったのかは分からないけど、変に緊張した空気が一気に緩んだ気がした。
 過度な緊張は危険だと感じていたので、さすがは一ノ瀬さんだなと感心してしまった。
 
「では次に武器の扱いについて説明していきます。まずは近い各武器種ごとに分かれてもらいます。それぞれの武器種ごとにその武器種をメインとしている自衛官を教官として配置いたします。それぞれのプラカードの場所に集まってください。ではどうぞ。」

 参加者はそれぞれの武器のプラカードのところに集まっていく。
 僕は剣とランドシールドなので、西洋剣のプラカードに集まった。
 数は意外と多く、みんな迷った挙句無難を選んだらしい。
 うん、シンプルイズベストだよね。



 それから、それぞれの武器種に分かれて訓練が始まった。
 経験者は経験者同士で組手を行っている。

 僕は初心者ということで、剣の振り方から教えてもらった。
 なかなか慣れずに手が痛くなってきた。
 手を見たら速攻で皮がむけそうになっていた。
 どれだけ貧弱なんだよ僕の皮膚は。

「はい皆さんいい調子ですよ。そのまま剣の素振りを続けてください。〝剣を振る〟という行為を体に染み込ませてください。」

 西洋剣種は一ノ瀬さんが教官をしてくれているが、僕は今現在約30分以上剣を振り続けている。
 中にはすでに体力が切れて、へたり込んでいたりする。
 僕はと言うと意外と平気に剣を振ることができた。



「うわ!!びっくりした~~~!!」

 ある程度練習してると、いきなり声をあげる人が現れ始めた。
 最初は少し離れたところからだったので、何なのかわからなかった。
 しかし、声を上げた男性は【剣術 レベル1】を覚えたと言い出したのだ。
 そう、スキルが発現したのだ。
 僕は一ノ瀬さんに視線を向けると、一ノ瀬さんはニヤリと笑っていた。
 動揺を隠せないその男性に、一ノ瀬さんは優しく声をかける。

「おめでとうございます。待望のスキル獲得ですね。これは人にもよりますが、頑張って剣を振り続けたり使い続けたりすると、【剣術】や【剣】といったスキルが発現するようなんです。これについてのメカニズムは解明されておりません。どうやったら覚えられるかと質問が毎度ありますので、先にお答えします。努力です。正直今はそれしか答えようがないんですよ。」

 どうやら同じ行動を繰り返すと、その行動に沿ったスキルが発現することがあるようだ。
 これについては事前の仮説通りだったので、別段驚くほどの事ではなかった。
 それがどれくらい必要なのかについてはいまだ不明事項だったらしい。
 
 ただ、スキルが発現した人には変化が現れ始めた。
 武器の扱いが段違いにうまくなっていくのだ。
 最初はイーブンだった組手だったけど、最終的には男性が他を圧倒している状況になっていた。
 それに触発されて僕も2時間ほどまじめに剣を振り続けていると、念願のスキルが発現した。
 【剣 レベル1】と【盾 レベル1】だ。
 僕はてっきりレベルで覚えるのだと思っていたが、そうではないようだ。
 ただ、剣ってスキルは【剣術】とは違うのだろうか。
 あとで、ステータスボードの確認が必要そうだね。

 そして訓練が終わるころ、大体の人がスキル習得を終えていた。
 まだ数人習得に至らなかったらしいが、今後ダンジョンにけば習得できるし、講習終了後もここを使ってもいいそうだ。

 最終的に習得に至ったスキルは【剣レベル1】【盾レベル1】【剣術レベル1】の三つだった。
 これをもとにダンジョンに入っていくことになると、なんだか感慨深いものがある。

 夕食を済ませ自室に戻ると、スキルについてステータスボードで確認してみた。
 剣レベル1は、剣を使った攻撃が強くなるのと、扱いがうまくなる。
 盾レベル1は、盾の防御力が上がるのと、扱いがうまくなる。
 剣術レベル1は、ダメージ増加と使用SPの減少が主らしい。

 後は使っていけば徐々に上がると、一ノ瀬さんが教えてくれた。
 問題は【スキルクリエイターレベル1】だ。
 とりあえず使ってみよう。

『スキル【スキルクリエイターレベル1】を使用しますか?』

 お、画面に何か出てきたな。はいっと。

『規定レベル以下のため使用できません。』

 使えないのかよ!!
 まあ、想定の範囲内なんだけどね……
 だって、僕のレベルは1だからね。
 だけど、想定通りとはいえちょっと腹が立った。

 もういいや、ねよ。
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