最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓

文字の大きさ
36 / 131
第3章 リスタート

036 自己紹介とトンデモスキル

しおりを挟む
 二人と別れてからも、嫌な考えを拭い去ることはできなかった。
 こうなることは予測で来ていた。
 正直、常識的に考えて行動できればやらないはずだ。
 だが、常識外に行ってしまったら。
 精神的に蝕まれていたら……

 やめよう。
 これ以上考えても意味がない。
 外道に落ちた人がいないことを今は祈ろう。

 
 それからしばらくして、カイリ達が待合室にやってきた。

「ケントさん、お久しぶりです。待ちましたか?」
「いや、待ってないよ。カレンもアスカも元気そうでなによりだ。」
「はい。アスカはいつでもげんきですよ~。」

 うん、アスカは相変わらずだな。

「ほら、アスカさん。挨拶はきちんとっていつも言ってるでしょ?ケントさんすいません。アスカには言い聞かせますので。」

 カレンはいつも通り、アスカのオカンだった。
 3人とも変わらないみたいで安心した。

「じゃあ、ちょっと早いけどブリーフィングルームに向かおうか。これまでの事を聞かせてほしいし。」

 僕たちは受付でブリーフィングルームのカギを預かり、指定された部屋へと移動した。

 カイリ達は、今は元出版会社のビルにあるダンジョンに潜っているそうだ。
 中はスライムオンリーで、意外なことにスキル【製薬】でポーションを作る際にスライムから出るスライムゼリーが材料に使われるのだとか。
 おかげで、スライムゼリーが高騰して、大分稼ぐことができたそうな。
 装備を見せてもらったら、支給品から既製品に変わっていた。
 僕は……変わってないんだよね~。
 なんでだろうか……

 そして、彼女たちはあと少しでレベルが15になるそうだ。
 スキルレベルも大分上がってきて、魔法の扱いも前よりうまくなったと自慢していた。

 3人と近況報告をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。

「失礼します。」

 入ってきたのは谷浦達だ。

「いらっしゃい。まあ座って。」

 僕の言葉に従い、谷浦達はカイリ達の前の席に腰を下ろした。

「じゃあ、まずは集まってくれたことに感謝します。とりあえず、ここに集まってもらった理由はカイリに話した通りなんだけど、自己紹介しようか?」
「では、私から。谷浦 虹花です。アーチャーでポジションは中衛。斥候もこなせます。」
「俺は谷浦 栄次郎。中村先輩の元後輩です。ポジションはタンク。」

 谷浦達が緊張しているカイリ達に気を利かせて、先に自己紹介をしてくれた。
 カイリ達も少し気が楽になったのか、緊張感が少し薄れたみたいだ。

「鈴木 海莉です。魔法職で、主に火属性と土属性を使って足止めなんかします。」
「赤羽根 花怜です。魔法職で、主に風属性使いです。+-属性です。範囲殲滅などを主に行います。」
「わたしは~、街田 明日架で~す。聖属性で、回復と補助をやってま~す。あ、あとは後方警戒と戦闘指揮もやってますよ~。そうだ、ケントさん。この前スキル【指揮者】を覚えたんですよ~。」

 ほんとアスカは飽きさせないなぁ。
 ここにきて知らないスキルが出てきた。

「アスカ。そのスキルの効果を聞いていいかい?無理にとは言わないから。」
「大丈夫ですよ~。メンバー間の通信と一時的なバフですね~。正直バフはあまり効果がなかったです~。通信はかなり便利でしたよ~。ただ、ダンジョン内みたいにパーティー登録されないといけないみたいですけど。」

 これまたすごいスキルがきたもんだ。
 ダンジョン内で通信する方法は、自衛隊みたいに通信士を隊において無線機を使うしかなかった。
 それをスキルでこなせるって、かなり大きいことかもしれない。
 たとえば、このスキルを6人取得した場合、まず6人でパーティーを組む。
 その後ダンジョンで別のパーティーに補助として随行すれば、パーティー同士での疑似的な連携が可能になる。
 この場合、通信役は経験値の恩恵が無いから現実的ではないかな。

「アスカ……、またすごいスキル覚えたね。あまり人に話さない方がいいかもしれない。正直引く手あまたのスキルだよそれ。」
「やっぱりですか~。カレンちゃんにも同じこと言われました~。」

 さすがカレンってところだろうか。

「僕は自己紹介する必要なないよね。自己紹介が済んだところで、改めて僕からのお願いだ。この5人でパーティーを組んでみないかい?おそらく今お互いに不足している部分を補えると思う。どうかな?」
「え?ケントさんは参加しないんですか?」
「そうですよ、言い出しっぺの先輩が入らないってどういうことですか!!」

 声を上げたのはカイリと谷浦だった。
 まあ、そうだよね。
 そう思うのも当たり前か。

 どっから話すべきだろうか……

 とりあえず、話せる範囲で話をすることにした。

「う~ん。何から話せばいいか……。僕がパーティーに入らないっていうか、入れないっていうか……。一応理由があるんだ。正直かなり致命的な状況なんだ。だから他言無用でお願いしたい。実は、僕はスキルレベルが経験で上がったりしないんだ。今いる低級ダンジョンだと、何とかやっていけるけど、上位ダンジョンだと足手まといというよりも、メンバーの命を危険にさらす可能性すら出てくる。だから組めないんだ。」

 皆の表情が一気に暗くなってしまった。
 やっぱり話すべきじゃなかったかな?
 最初に声を出したのはカイリだった。

「ケントさん……なんて言っていいかわからないけど……、無理はしないでくださいね?」
「そのつもりはないよ。僕は僕なりにできることをしていくだけだから。」

「先輩……。俺よりもかなりまずい状況なんですね。うん、俺もこの子たちを信用します。」

 そういうと谷浦はカイリ達に、自分のスキルについて話始めた。
 始めはカイリ達も戸惑ったが、そのスキルの有用性を考えるとアドバンテージの方が大きいと感じたらしい。

「ケントさん、私たちを虹花さんたちに引き合わせてくれてありがとうございます。私たちにとっても願ってもないお誘いです。」

 カレンはそう言うと、虹花さんたちの向き直り頭を下げた。

「虹花さん。この申し出を受けさせてください。それで、できれば早めにダンジョンで連携確認をさせてください。」
「こちらこそよろしくお願いします。こんな弟ですが、こき使ってくださいね?」
「なな姉ちゃん、それ酷くない?!まあ、よろしく!!」

 どうやら話はまとまったようだった。
 ふと、カイリを見ると僕を見つめていた。

「カイリどうしたの?何か他に聞きたいこととかあった?」
「………。ケントさん……。まだ隠していることありませんか?」

 一瞬ドキッとしてしまった。
 どこか僕の中身を見透かすような、そんな瞳だった。

「どうしてそう思うんだい?特にないとは思うけど。」
「……勘……ですかね?そんな感じです。で、どうなんですか?」

 カイリに表情からどんどんハイライトが消えていっている気がする。
 どうしたものか……。
 別に隠す必要もないんだけど、なぜだか話すべきではないと考えていた。

「ケントさん。栄次郎さんも自分の秘密を打ち明けてくれました。私たちはそんなに信用がないですか?」

 あぁ、こう言われたら言わないって選択肢は取れないよなぁ。
 言わないってことは、彼女たちを……彼女を信じていないってことになるから。

「本当にカイリには敵わないな。わかった、話すよ。でも、ここで聞いた話は他言無用でお願いするね。」

 結局カイリに押し負けるようにスキル【スキルクリエイター】について話をした。
 このスキルは谷浦と似たような仕様であること。
 ボーナスポイントは消滅しないこと。
 すでに何度も繰り返してステータス強化してきたこと。
 少し話すと、気持ちが楽になった。
 別に無理に隠す必要なんてなかったんだ。
 あれ?でもどうして隠しておこうと思ったんだ?

 なんだか心に靄みたいなのがかかっている気がする。

「ケントさん。私たちは気にしません!!ケントさんには何度も助けてもらいました。今度は私たちが……私が助けます!!」
「いやいや。だからね、デメリットも説明したでしょ?レベル低下のせいでランクが下がる危険性もあるんだって。だから、メンバーを巻き込めないから一緒には行けないんだって。」

 カイリは真剣な目で僕を見つめてきた。
 それも、僕の中を見据えるように。

「先輩……それって俺と同じじゃないですか?だったら問題ないですって。俺も結果そうなるんですから。ピンチだったら、仲間を助けるためだったら躊躇せずに使いますよ。だから一緒に行きましょう。」

 谷浦まで……
 ほんと、なんでこんなことになるかな……
 どうして「僕」を見つめてくるんだよ。

ピコン

『一定条件を達成しました。スキル【スキルクリエイター】の権限を一部解除します。』

 ここでなんか、いきなり来たんですけど!?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...