最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓

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第3章 リスタート

040 新たなる挑戦の準備

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 昨日は家族とキチンと話ができた。
 これまでつっかえていたものがウソのようになくなり、家族の関係がさらに良くなった気がする。
 父さんと母さんから「どんなことが有ろうともお前は俺たちの息子だ」そう言ってもらえた。
 とてもうれしかった。

 そして今日から、パーティーでダンジョン攻略を始める。
 正直緊張していた。
 これから始まる探索は、今まで通りとはいかないからだ。
 そこに懸けるチップは自分の命だけじゃなく、仲間の命もかけるのだから。



 昨日寝る前に全員で、今後について改めて話し合った。
 そして、第5層を一つの目標として据えることにした。
 そのためには全員レベル10へ到達することが条件となる。

 まず基本的育成方針の設定だ。
 現在のパーティー編成としては。

前衛:谷浦(タンク)
中衛:俺(遊撃)
中後衛:虹花さん(物理系アタッカー・斥候)
後衛:カイリ・カレン(魔法系アタッカー)
最後衛:アスカ(回復・司令塔・後方警戒)

 となる。
 見る限り偏りもなく、バランスの取れている編成だと思う。

 そして、各々の育成方針はこうなった。

谷浦……耐久力の向上。
俺……一撃離脱、第二タンク。
虹花さん……機動力、隠密力、周辺警戒。
カイリ……妨害、速攻性。
カレン……大火力。
アスカ……回復・補助特化、危機管理。

 大体今まで通りの方向性で進むことになる。
 特に谷浦にとってHPの上昇はスキル【シールドクリエイト】の生命線となるステータスだ。
 まずは優先的にHPを伸ばして、あとは体力等の地力を上げてもらうこととなる。

 俺に至っては遊撃手となるので、速度がメインだ。
 スキルやステータスで底上げを行い、一撃離脱を繰り返してダメージを稼ぐことになる。
 あとは、魔法での嫌がらせ。

 虹花さんは、物理系遠距離でダメージを稼いでもらうダメージディーラーだ。
 ただし、敵からの攻撃を食らうとまずいので、機動性隠密性を上げることにした。
 そのついでではないけど、隠密性を生かして簡単な斥候役もこなしてもらえたらという話になった。
 ただこれは余裕が出来たらという注釈付きだ。

 カイリとカレンは今まで通り、魔法系一辺倒で問題ないだろう。

 一番の問題がアスカだ。
 どうしても回復特化で回復役として活躍してもらわないといけない、このパーティーの生命線だ。
 アスカが崩れると一瞬で崩壊しかねない立ち位置となる。

 なので、いつでも俺がカバーに行けるように動く必要がある。



 次に攻略についての確認を行った。

第一段階 第1層・第2層でスキルレベルとレベル上げ
第二段階 第3層・第4層で連携確認
第三段階 第5層への到達
第四段階 第6層以降への進出
最終段階 第10層…ボスとの対決。

 第一段階は基礎作りだ。
 この時点でかなりの時間がかかることが予想された。
 その辺は皆了承してくれており、場合によっては狩場をカイリ達の潜っていたダンジョンに変えてもいいと思っている。

 第二段階は連帯攻撃の確認作業だ。
 いくらステータスを底上げしようとも、烏合の衆では意味がない。
 そこで、ホブゴブリンやフォレストウルフの群れで対応を確認することにした。

 第三段階はついに第5層……第一目標の到達だ。
 谷浦達は第6層までは到達しているとのことだったので、あまり心配はしていなかったりする。
 第4目標以降は先の話になると思う。

 最後に第5層の攻略について話し合った。
 谷浦達もある程度は情報を持っており、とりあえずいろいろな種類のスライムが現れるそうだ。
 出現する種類も豊富で、一番つらいのは状態異常だそうだ。

 今現在、HP回復ポーションがスキル【製薬】によって製作が開始されている。
 しかし、今だ状態異常回復の安定生産までは至っていない。
 つまり、状態異常回復ポーションはダンジョン産の物と変わらないほど高値で取引されているのだった。

 そうなってくると第5層はかなりつらくなってくる。

 詳しく調べたほうが安全と考えた俺たちは、明日一番で訓練施設に集合し、まずは資料室で資料を確認。
 そして再度行動計画を立てようということになったのだった。



 俺は早くに目が覚めてしまい、どうせなら訓練施設でみんなを待っていようと思い市役所前バス停へと向かった。
 市役所前バス停にはまだ誰も来ておらず、始発のバスが運行準備を始めていた。

「あ!!ケントさんだ!!」

 しばらくすると、アスカの元気な声が聞こえてきた。

「ケントさんおはようございます。」
「おはよう、カレン。よく眠れたかい?」
「もちろんです。カイリはそうではなかったみたいですけど。」

 カレンはいたずらっ子のような笑顔で、カイリを見つめていた。
 カイリは顔を赤くしてカレンに抗議を始めた。

「カレン!!変なこと言わないでよ!!ケントさんに心配かけちゃうじゃないの!!」
「ん?カイリはねむれなかったのかい?」
「カイリちゃんは……ケントさんと探索できるのがうれしかったみたいです~。」

 カイリの顔がますます赤くなっていく。
 うん、なんか小動物を見てるみたいだった。

 三人と話をしていると、そこに谷浦達の到着した。
 結局バス停に集合してしまった。
 どうやらみんな考えていることは一緒だったらしいな。

「じゃあいこっか。」

 俺たちはバスに乗り込み、訓練施設へと移動したのだった。


 
 訓練施設に着いた俺たちは、さっそく資料室へと足を運んだ。

 そこには自衛隊が集めた情報が無料で公開されている。
 さすがに機密事項については一般公開されていないけど、それでもインターネットで調べるよりは正確な情報が集まっている。
 おそらく俺が提出した情報も掲載されるんだろうな。

「この中から第5層関連の資料を探すんすか……」

 さっそく谷浦は、この資料の数に圧倒されていた。
 所狭しと並べられた資料はそれはそれで壮観だったりする。
 ちなみに、この中にはここのダンジョン以外の情報も集められており、狙った情報を探すには何度か通う必要がありそうだ。

「でもでも~、今時紙製ってめずらしい~よねぇ~。」
「そうだね。てっきりパソコンで見られるかと思ってた。」

 アスカとカイリはその数に呆けていた。

「二人とも、この端末から検索はできるみたいですから、さっさと探すわよ?」

 やはりカレン。
 頼りになりますね~。
 カレンがおおよその場所を探してくれたおかげで、何とか資料を集めることができた。
 その数13冊……
 多いんだか少ないんだか良く分からなかった。
 
 手分けして読んでいくと面白いことが書いてあった。
 
 どうやら、第5層以降の宝箱のリポップ時間がおおよそ8時間だそうだ。
 つまり朝に急いで探せば、帰りの時にまた見つかる可能性があるということだ。

 他にもモンスターの情報やトラップ。
 ダンジョンのマップ情報までそろっていた。

 おそらく第5層以降は情報を多く集めないと、危険な目にあう可能性が高い。
 俺もであったが、『イレギュラー』の存在は大きい。
 第5層の『イレギュラー』についても情報が載っている。

 しばらく読みふけっていると、みんながあらかた資料を読み終わったみたいだ。

 調べた情報を整理すると次のようになった。

①第5層は第4層とはうって変わって、洞窟型ダンジョン。
②出現モンスターは、ほぼスライム。
③スライムは『属性型スライム』と『状態異常型スライム』がいる。
④弱点は第1層のスライムと同じ。※耐久度・素早さ等上昇がみられる。
⑤単独・群れともに存在し、どちらもピンチになるとほかのスライムを呼び寄せる。
⑥『イレギュラー』のスライムが存在する。群れで行動しているため注意が必要。※確認されている『イレギュラー』型スライム』は、防御型・回復型・魔法攻撃型・迷彩型の4種。

 つまり、第5層の肝は『属性攻撃』と『状態異常攻撃』の2種類ということだ。
 こちらとしては『属性耐性』と『状態異常耐性』が必要になるけど、それのすべてを習得しようとしたら時間がいくらあっても足りなくなる。
 むしろ自然発生させた方が効率がいい可能性だってある。
 その代替案として谷浦には盾の作成をしてもらうことになった。

 盾の性能は『属性耐性』と『状態異常耐性』が発揮されるものだ。

 メリット:『属性耐性』・『状態異常耐性』と『リキャストタイムの減少』。
 デメリット:耐久度激減。

 何故リキャストタイムの減少をメリットに入れるかというと、壊れた際にすぐ復帰してくれないと困るからだ。
 リキャスト中に『属性攻撃』と『状態異常攻撃』を受けてしまったら目も当てられなくなるからだ。

 一応谷浦に確認して貰たところ、作成は可能だった。
 盾の名前は「オブストラクションシールド」。
 ただし、消費レベルは10とのことだったので、いったん11レベルまで上げたのちに作成することになった。

 俺たちは自分たちが目指す道のりを確定した。
 おそらくこれはものすごく時間がかかる作業かもしれない。
 でも、この先の6人で進んでいくのであれば、必要となってくる作業だ。

「みんな、俺の為に時間を無駄に使わせてしまって申し訳ない。だからこそ、必ずこのダンジョンを攻略しよう。だから頼む、俺に力を貸してくれ。」

 俺は突然立ち上がると、みんなに頭を下げた。
 おそらくだけど、俺の【スキルアップグレード】が無ければもっと先に進めたと思う。
 それでもともに歩いてくれるという仲間ができたことが嬉しかった。



 そして僕たちの新たな挑戦は、ここから始まったのだった。
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