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第3章 リスタート
044 やりすぎました
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これで2グループ目が終了。
気配探知に反応していたモンスターは、残り4グループ。
戦闘内容や時間を考えると、やはり皆強くなり過ぎたのかもしれない。
いや、慢心はいけない。
いつ『イレギュラー』が現れるか分かったもんじゃないからな。
「皆お疲れ様。アスカ、後ろから見て今回の戦闘はどうだった?」
「そうですねぇ~。やっぱりまだ調整不足ですかねぇ~。もう何段階かに調整できれば、無駄を省けるかと思いましたよぉ~。特に、カレンちゃんとカイリちゃん。オーバーキルじゃないけど、栄次郎さんもケントさんもいるんだから、一撃で倒さなくてもいいと思うよ?」
確かにその通りなんだよな。
アスカはよく見ている。
あの時俺と谷浦は、スライムをうまく抑え込んでいた。
二人に適度な援護射撃をしてもらえれば、十分対応が可能だったのだ。
むしろ牽制射撃をした後に、どちらか一人が周辺警戒のフォローをしてもらった方が安全策を取れたのかもしれない。
「私からも一言。栄次郎……飛び出しがワンテンポ遅い。ケントさんと合わせる場面で出遅れるなんて、何を考えているの?特にあなたは盾役。つまりこのパーティーの要です。そのあなたが遅れてしまっては意味がないでしょう?」
「なな姉ちゃんが容赦ない……」
これについては、俺も反省しなくてはいけなかった。
谷浦は重装備なので、どうしてもワンテンポ反応が遅れてしまう。
今回の場合は、俺が谷浦に合わせる事で連携を調整する必要があった。
それがズレたということは、意思疎通と連携力不足が表に出て来たということだろう。
「谷浦、飛び出しについて、後でもう一度打ち合わせをしよう。このまま下層まで潜ったら、おそらくケガでは済まなくなるかもしれないしな。」
「確かに先輩の言う通りっすね。了解っす。」
アスカや虹花さんについては特に反省すべき点はなく、さすがだなと思えた。
各々の反省を洗い出ししつつ休憩を挟み、再度探索を開始した。
またしばらくすると、スライムの集団を発見。
俺には見えないけど、虹花さんは識別ができたみたいだ。
今回は、
回復役の白色スライムが2匹。
黄土色の土属性スライムが1匹。
水色の水属性スライムが1匹。
緑色の風属性スライムが1匹。
計5匹だった。
とりわけ回復役が2匹は厄介だった。
2匹ともすぐに倒さないと、残りのスライムが随時回復してしまうことになる。
そうなると戦闘が長期化してしまい、下手をすると周囲からさらに仲間を集められてしまう可能性が高い。
それとこれはダンジョンに潜る前に聞いた話なんだけど、どうやら仲間を集めようとすると、どこからともなく〝湧き出る〟ようだと噂されているようだった。
斥候役で気配察知を使える探索者が、いないはずの通路から突然モンスター現れて対応に追われる事態が発生していた。
ただ最初は、確認ミスだったのでは?という話が上がっていたが、そういった事例が増えつつあると言われていた。
最悪の事態を想定するなら、そういったモンスターの突然の〝湧き出る〟を常に意識しておいた方が良いかもしれないという結論に至っていた。
そこで、今回の戦闘はカイリとカレンからスタートすることにした。
二人ともバレット系の魔法で回復薬の白スライムの核を撃ち抜く作戦だ。
その後、俺と谷浦が一気に前に出てのころの属性スライムをスライムを押さえる。
あとは後衛アタッカーで残りを殲滅する。
そういった流れにした。
カイリ達からの戦闘の入りは、あまりパターンとして練習はしてこなかった。
なので、今回はぶっつけ本番に近い形となった。
が、それは杞憂に終わってしまったのだ……
カイリが放った火属性魔法が……
運よく3匹まとめて貫通してしまったのだ。
たまたま、回復1匹と土と風のスライムが縦に並んでしまい、回復を狙った魔法が、たまたま貫通して後ろのスライムまで到達してしまったのだ。
これには全員びっくりしてしまった。
一番驚いたのはカイリ自身だったみたいだけど……
カレンも回復役を狙っていて、きちんと1匹討伐完了していた。
残るは水スライムのみで虹花さんが狙い撃ちをして戦闘終了。
俺たち二人は、何もすることなく終わってしまった。
「なぁ、先輩……。俺たちって構えてた意味あったんすか?」
「言うな谷浦……。」
本当に強くなったよなぁ……
何て現実逃避する余裕すら生まれてしまった。
うん、年上の威厳ってどうやって手にいらたら良いんだろうな……
『……周辺の敵影ゼロ。戦闘終了です。あと、カイリちゃん……やりすぎですよぉ~。』
『ふ、不可抗力です!!』
アスカのからかいに、顔を赤らめて否定するカイリ。
その慌て方にみんながなぜか和んでしまった。
これもまたアスカの存在が大きい気がする。
戦闘終了後に周囲を確認して、ドロップアイテムを回収して歩いた。
今回はまとめて倒したこともあり、周囲に散らばることが無く、回収はいたってスムーズに行えた。
すると、地面に転がる1本の液体の入った瓶が見つかった……
おそらく形状や見た目から【ポーション】系の何かだとは思うけど。
効能・品質については鑑定してみないとわからない。
すぐに虹花さんによって物質鑑定が行われた。
予想通り【回復ポーション】で品質は〝低品質〟。
それでもここで見つかるのは珍しいというのが虹花さんの意見だ。
ただ、地上で回復ポーションの生産が徐々に始まっているので、これから先はあまり高価値になることはないのではとのことだった。
残りのドロップアイテムは、
魔石(小)が2個。
土属性の核が1つだった。
「さて、今回は……カイリの魔法に驚かされたね。」
「ケントさんまで……。あれは狙ってませんからね?」
アスカの言葉を引き継いでカイリに声をかけると、少しすねた様子を見せた。
「狙ってやってたら、すごい魔法使いだよ。」
「ううぅ~~~~~~。」
カイリは顔を真っ赤にして唸っていた。
よほどびっくりしたのと恥ずかしいので、いろいろな感情が綯交ぜになってしまっているのだろう。
そんなカイリをかわいいと思ってしまうのはダメなんだろうな。
なんていうか……。
そう、小動物的な?
まあ、そんな感じがした。
「虹花さん、あとモンスターはどのくらい残ってますか?」
「ここからだと……ちょっと待ってください……。今一つのグループの反応が消えました。おそらく近くに同業者がいる可能性が高いですね。戦闘には十二分に気を付けてください。」
時間的にはもう昼近いから、第5層をメインとしているパーティーに鉢合いになるのは当然かもしれないな。
広い広いといっても、無尽蔵に広いわけではないのだから。
「じゃあ、他のパーティーへの誤射を注意しつつ、スライム退治を進めよう。」
それから俺たちはダンジョンを探索し、2グループのスライム計8匹に遭遇した。
どれこれも問題なく戦うことが出来たので、調整としては順調に行えたと思う。
相変わらず、カイリとカレンが出力調整に苦労しているようだったが、最終的にはこれを克服。
見事に爆発四散させずにスライムを倒せるまでになっていた。
ただここでも問題だったのが、俺と谷浦がほとんど戦っていないということだった。
谷浦に至っては、まだ盾役としての仕事は全うしていた。
しかし俺は本来盾役ではなく遊撃として動くはずだったけど、それが全く機能していなかった。
動く前に後衛4人によって殲滅が完了してしまうからだ。
明らかにこの階層では、完全にオーバースペックと言わざるを得ないと感じてしまった。
これについて虹花さんも同意見で、そろそろこの階層での調整も終了に近づいてきているようだった。
そしてこれが今回の戦利品だ。
ドロップアイテム
・魔石(小)3個
・水属性の核(低品質)1個
・スライムゼリー1個
気配探知に反応していたモンスターは、残り4グループ。
戦闘内容や時間を考えると、やはり皆強くなり過ぎたのかもしれない。
いや、慢心はいけない。
いつ『イレギュラー』が現れるか分かったもんじゃないからな。
「皆お疲れ様。アスカ、後ろから見て今回の戦闘はどうだった?」
「そうですねぇ~。やっぱりまだ調整不足ですかねぇ~。もう何段階かに調整できれば、無駄を省けるかと思いましたよぉ~。特に、カレンちゃんとカイリちゃん。オーバーキルじゃないけど、栄次郎さんもケントさんもいるんだから、一撃で倒さなくてもいいと思うよ?」
確かにその通りなんだよな。
アスカはよく見ている。
あの時俺と谷浦は、スライムをうまく抑え込んでいた。
二人に適度な援護射撃をしてもらえれば、十分対応が可能だったのだ。
むしろ牽制射撃をした後に、どちらか一人が周辺警戒のフォローをしてもらった方が安全策を取れたのかもしれない。
「私からも一言。栄次郎……飛び出しがワンテンポ遅い。ケントさんと合わせる場面で出遅れるなんて、何を考えているの?特にあなたは盾役。つまりこのパーティーの要です。そのあなたが遅れてしまっては意味がないでしょう?」
「なな姉ちゃんが容赦ない……」
これについては、俺も反省しなくてはいけなかった。
谷浦は重装備なので、どうしてもワンテンポ反応が遅れてしまう。
今回の場合は、俺が谷浦に合わせる事で連携を調整する必要があった。
それがズレたということは、意思疎通と連携力不足が表に出て来たということだろう。
「谷浦、飛び出しについて、後でもう一度打ち合わせをしよう。このまま下層まで潜ったら、おそらくケガでは済まなくなるかもしれないしな。」
「確かに先輩の言う通りっすね。了解っす。」
アスカや虹花さんについては特に反省すべき点はなく、さすがだなと思えた。
各々の反省を洗い出ししつつ休憩を挟み、再度探索を開始した。
またしばらくすると、スライムの集団を発見。
俺には見えないけど、虹花さんは識別ができたみたいだ。
今回は、
回復役の白色スライムが2匹。
黄土色の土属性スライムが1匹。
水色の水属性スライムが1匹。
緑色の風属性スライムが1匹。
計5匹だった。
とりわけ回復役が2匹は厄介だった。
2匹ともすぐに倒さないと、残りのスライムが随時回復してしまうことになる。
そうなると戦闘が長期化してしまい、下手をすると周囲からさらに仲間を集められてしまう可能性が高い。
それとこれはダンジョンに潜る前に聞いた話なんだけど、どうやら仲間を集めようとすると、どこからともなく〝湧き出る〟ようだと噂されているようだった。
斥候役で気配察知を使える探索者が、いないはずの通路から突然モンスター現れて対応に追われる事態が発生していた。
ただ最初は、確認ミスだったのでは?という話が上がっていたが、そういった事例が増えつつあると言われていた。
最悪の事態を想定するなら、そういったモンスターの突然の〝湧き出る〟を常に意識しておいた方が良いかもしれないという結論に至っていた。
そこで、今回の戦闘はカイリとカレンからスタートすることにした。
二人ともバレット系の魔法で回復薬の白スライムの核を撃ち抜く作戦だ。
その後、俺と谷浦が一気に前に出てのころの属性スライムをスライムを押さえる。
あとは後衛アタッカーで残りを殲滅する。
そういった流れにした。
カイリ達からの戦闘の入りは、あまりパターンとして練習はしてこなかった。
なので、今回はぶっつけ本番に近い形となった。
が、それは杞憂に終わってしまったのだ……
カイリが放った火属性魔法が……
運よく3匹まとめて貫通してしまったのだ。
たまたま、回復1匹と土と風のスライムが縦に並んでしまい、回復を狙った魔法が、たまたま貫通して後ろのスライムまで到達してしまったのだ。
これには全員びっくりしてしまった。
一番驚いたのはカイリ自身だったみたいだけど……
カレンも回復役を狙っていて、きちんと1匹討伐完了していた。
残るは水スライムのみで虹花さんが狙い撃ちをして戦闘終了。
俺たち二人は、何もすることなく終わってしまった。
「なぁ、先輩……。俺たちって構えてた意味あったんすか?」
「言うな谷浦……。」
本当に強くなったよなぁ……
何て現実逃避する余裕すら生まれてしまった。
うん、年上の威厳ってどうやって手にいらたら良いんだろうな……
『……周辺の敵影ゼロ。戦闘終了です。あと、カイリちゃん……やりすぎですよぉ~。』
『ふ、不可抗力です!!』
アスカのからかいに、顔を赤らめて否定するカイリ。
その慌て方にみんながなぜか和んでしまった。
これもまたアスカの存在が大きい気がする。
戦闘終了後に周囲を確認して、ドロップアイテムを回収して歩いた。
今回はまとめて倒したこともあり、周囲に散らばることが無く、回収はいたってスムーズに行えた。
すると、地面に転がる1本の液体の入った瓶が見つかった……
おそらく形状や見た目から【ポーション】系の何かだとは思うけど。
効能・品質については鑑定してみないとわからない。
すぐに虹花さんによって物質鑑定が行われた。
予想通り【回復ポーション】で品質は〝低品質〟。
それでもここで見つかるのは珍しいというのが虹花さんの意見だ。
ただ、地上で回復ポーションの生産が徐々に始まっているので、これから先はあまり高価値になることはないのではとのことだった。
残りのドロップアイテムは、
魔石(小)が2個。
土属性の核が1つだった。
「さて、今回は……カイリの魔法に驚かされたね。」
「ケントさんまで……。あれは狙ってませんからね?」
アスカの言葉を引き継いでカイリに声をかけると、少しすねた様子を見せた。
「狙ってやってたら、すごい魔法使いだよ。」
「ううぅ~~~~~~。」
カイリは顔を真っ赤にして唸っていた。
よほどびっくりしたのと恥ずかしいので、いろいろな感情が綯交ぜになってしまっているのだろう。
そんなカイリをかわいいと思ってしまうのはダメなんだろうな。
なんていうか……。
そう、小動物的な?
まあ、そんな感じがした。
「虹花さん、あとモンスターはどのくらい残ってますか?」
「ここからだと……ちょっと待ってください……。今一つのグループの反応が消えました。おそらく近くに同業者がいる可能性が高いですね。戦闘には十二分に気を付けてください。」
時間的にはもう昼近いから、第5層をメインとしているパーティーに鉢合いになるのは当然かもしれないな。
広い広いといっても、無尽蔵に広いわけではないのだから。
「じゃあ、他のパーティーへの誤射を注意しつつ、スライム退治を進めよう。」
それから俺たちはダンジョンを探索し、2グループのスライム計8匹に遭遇した。
どれこれも問題なく戦うことが出来たので、調整としては順調に行えたと思う。
相変わらず、カイリとカレンが出力調整に苦労しているようだったが、最終的にはこれを克服。
見事に爆発四散させずにスライムを倒せるまでになっていた。
ただここでも問題だったのが、俺と谷浦がほとんど戦っていないということだった。
谷浦に至っては、まだ盾役としての仕事は全うしていた。
しかし俺は本来盾役ではなく遊撃として動くはずだったけど、それが全く機能していなかった。
動く前に後衛4人によって殲滅が完了してしまうからだ。
明らかにこの階層では、完全にオーバースペックと言わざるを得ないと感じてしまった。
これについて虹花さんも同意見で、そろそろこの階層での調整も終了に近づいてきているようだった。
そしてこれが今回の戦利品だ。
ドロップアイテム
・魔石(小)3個
・水属性の核(低品質)1個
・スライムゼリー1個
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