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第5章 首都圏解放戦線
083 多田野の成長と暴走と無双
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「いやぁ~【経験値上昇】って反則クラスに狡いですね。」
今にもスキップしそうなほど浮かれまくっているのは、タケシ君だ。
【スキルコンバート】で【経験値上昇】を習得してからというもの、モンスター狩りにハマってしまったみたいだ。
しかも、スキルレベルが上がればその分取得経験値も増えると解ると、速攻でレベルをスキルに全振りする暴挙にまで出たのだ。
まあ、その結果、とっても有益な情報を得ることができた。
なんと、自力で覚えたスキルは自分のレベルが下がっても問題なく使用が可能だった。
さすがに【スキルクリエイター】で創造した【魔銃作成】と【魔弾作成】はレベル25まで上げないと使用できなかった。
そこで【魔道具師】で魔石(小)を使って爆発物の魔道具を作成して戦っていた。
魔石はいわばマナというエネルギーの塊。
そこであえて衝撃を与えることで爆発する魔導具を作成していた。
それを【投擲】と【投擲術】のスキルを用いて投げることで、戦闘を続けていったのだ。
おかげで魔石はほとんど手元に残らなかったけど、余裕を持ってタケシ君は25レベルまで上げることができた。
さらにその副産物というわけではないが、ボーナスポイントがどんどん増えていった。
嬉々としてそのポイントを振り分けては、感触を確かめるタケシ君。
ボーナスポイントの恩恵も相まって、ステータスがうなぎ上りとなっていた。
ただ少し気になる点も出てきた……
「タケシ君……少しいいかい?」
「なんですか改まって。」
俺が呼び止めると、きょとんと小首を傾げた。
俺は、その気になった点をそのままにしようかとも考えたけど、この先を考えると伝えざるを得なかった。
さらにいうなれば、このままでは自称神の思うつぼになる事が癪に障った。
「タケシ君。君に一つ伝えなければいけないことがあるんだ。」
「なんでしょう?」
「ステータス・スキルを”過信してはいけない〟よ。それは自称神から与えられた紛い物だから。自分の地力を高めることを疎かにしないようにね。」
だけど、タケシ君にはあまり響かなかったみたいだ。
あまり納得がいっていないという表情を浮かべていた。
それはそうだ、ステータス・スキルだって自分の努力で手に入れた力には変わりはないから。
だけどそれが自称神の罠だと知らないで……俺は一度それで痛い目にあっていた。
俺はカイリ達と別れてから、ソロでレベル上げを行っていた。
次第に強敵が強敵でなくなっていき、徐々に万能感に包まれていった。
俺は強い……俺は最強だ……
戦闘方法はどんどん雑になり、力任せの戦術なんて気にしない戦い方になっていった。
それでもステータスやスキルによって補正された戦闘力は、どこまでもその強さを発揮した。
そしてそれは訪れるべくして訪れた。
とあるダンジョンボスと対峙した際に、己の馬鹿さ加減を思い知らされたのだ。
〝フィールドトラップ【スキル封印】〟
俺は一気にその戦力を失い、自力のステータスのみでの戦闘を強いられた。
幸い、ステータスはボーナスポイントのお陰でかなりブーストされており、どうにかこうにか勝利することができた。
しかし、スキルに頼らない戦闘を覚えないと、この先必ず命を落とすことに直結すると感じたのだった。
俺の昔話を聞いたタケシ君は、少し考えこんでしまった。
今の自分と重ね合わせていたのかもしれない。
タケシ君もまた、今は上昇したステータスにものを言わせて戦ってるに過ぎない状況だった。
レベル25を超えてからは、またスキル【魔銃作成】とスキル【魔弾作成】が使えるようになった。
そして、さらにステータスが上昇したことで、本来であればより戦術が広がっていくはずだった。
しかし無駄にSPも潤沢にあることから、狙いを付けずに飽和攻撃を好んでするようになっていた。
それでもモンスターの強さを凌駕する威力を出すことができたので、問題無くここまで来ることが出来た。
今現在も第16層まで進むことが出来ていた。
タケシ君のレベル上げをしつつだったので、進行速度が少し低下したが、おおむね予定通りの流れとなっていた。
しばらく考え込んだタケシ君は、自分の中でおおむね消化できたらしい。
その顔には先ほどまであった慢心がすこし薄らいで見えた。
まだまだ実感は出来ていないのか、まだ少しの慢心が見られたが、先ほどまでに比べたら天と地との差くらいありそうな感じだ。
俺もその変化に気が付き胸をなでおろした。
「それじゃあ、先へ進もうか。」
「はい!!」
それからと言うと、戦闘はとてもスムーズで、連携を確認しながら探索を進めていく。
第11層を過ぎてからは各種武器を持ったゴブリンではなく、ゴブリンの上位種がメインとなって襲い掛かってきていた。
——————
ハイゴブリン:ゴブリン上位種。生命力が格段に上がっており、ホブゴブリンがかわいく見えるほど強化されている。通常個体は棍棒を装備しているが、各種武器を装備している個体がいる。
ハイゴブリンメイジ:攻撃系魔法を習得したハイゴブリン。手に杖を装備していることが特徴。耐久度は低いが、知能が格段に上昇している。
ハイゴブリンヒーラー:回復魔法を習得したハイゴブリン。ローブの様な装備が特徴。耐久度は低いが、頻繁に回復を行うので要注意。
——————
これらのハイゴブリンが、集団で襲い掛かってきている。
第11層はハイゴブリンだけだったので、タケシ君のレベル低下状態でも、俺が凌ぐことが出来た。
しかし第13層からは、各種武器を携えたハイゴブリンが現れたので、一度撤退したほどだった。
それから第11層12層でレベルを上げて、タケシ君のレベルが25を超えたことを期に、第16層まで進むことが出来たのだ。
第17層以降、タケシ君の戦力上昇に伴って、サクサクと進むようになってきた。
タケシ君も思うところがあったのか、【魔銃作成】の使い方が少し変わってきたのだ。
当初の戦闘スタイルは、どこぞのニュータイプかって感じの戦い方だった。
砲身を作り出して、中に浮かべそれを操作する。
自分はほとんど動かずに戦っていたので、いわゆる砲台としての役割しか果たしていなかった。
今試している戦い方は、両手に拳銃を装備し、かつ空中に数門砲身を浮かべて戦っていたのだ。
浮かべてある砲身も種類を変えている。
接近戦ではショットガン2門。
近距離戦はガトリング1門。
遠距離戦はライフル2門。
砲撃戦は10連装ミサイルランチャーが1門。
これだけ聞けば、歩く要塞としか思えない。
そして両手にしているのは、24発装填のハンドガン2丁だ。
タケシ君は、このハンドガン2丁を主軸に戦闘を組み立てるようにしたようだった。
空中に浮かべてある砲身はあくまでも補助用で、ハンドガンでの戦闘がメイン戦術として訓練を積んでいた。
ちなみに、このハンドガン自体のベースは自衛隊支給品で、弾丸は魔弾を使用できない為、タケシ君のお手製の弾丸を使用している。
タケシ君は〝使えないならば作り直してしまえばいいじゃん?〟的な発想で、【魔道具師】を利用して、支給品のハンドガン2丁を魔道具にしてしまったのだ。
文字通り〝魔改造〟だ。
お陰で、魔石を用いて弾を撃ち出すことができるようになり、かつ、弾頭も魔道具として作成している。
本来、銃火器の製造は【ブラックスミス】の領域だ。
しかし、タケシ君と話しているうちに、その垣根を超えられるのではないかと考えたのだ。
その仮説は成功で、魔道具としての認識であれば【魔道具師】で対応可能だったのだ。
そして、タケシ君がハンドガンを〝魔改造〟するに至ったのだった。
そのお陰かどうかは分からないが、戦闘の姿も大分様になってきていた。
時折ハイゴブリンメイジからの魔法攻撃で苦戦はするものの、かなりの殲滅力を誇るワンマンアーミーと化してしまっていた。
その様子を見ていた俺も、その戦いっぷりに舌を巻くばかりだった。
さらにタケシ君んは、俺の戦闘スタイルも取り入れ始めたのだ。
俺が足場用に使っている【結界】の創造をお願いされた。
しかもこの使い方がまた面白かった。
足場というよりは〝跳弾用の壁〟という意味合いが強かったのだ。
どうしても弾丸は直線にしか飛ばせないという欠点が存在していた。
そこでタケシ君は、弾丸を跳弾させることにしたのだ。
ここでもスキルに頼ることにはなるが、それでも覚えることに越したことはないと判断していた。
お陰で〝多田野無双〟にまた拍車がかかってしまった。
今にもスキップしそうなほど浮かれまくっているのは、タケシ君だ。
【スキルコンバート】で【経験値上昇】を習得してからというもの、モンスター狩りにハマってしまったみたいだ。
しかも、スキルレベルが上がればその分取得経験値も増えると解ると、速攻でレベルをスキルに全振りする暴挙にまで出たのだ。
まあ、その結果、とっても有益な情報を得ることができた。
なんと、自力で覚えたスキルは自分のレベルが下がっても問題なく使用が可能だった。
さすがに【スキルクリエイター】で創造した【魔銃作成】と【魔弾作成】はレベル25まで上げないと使用できなかった。
そこで【魔道具師】で魔石(小)を使って爆発物の魔道具を作成して戦っていた。
魔石はいわばマナというエネルギーの塊。
そこであえて衝撃を与えることで爆発する魔導具を作成していた。
それを【投擲】と【投擲術】のスキルを用いて投げることで、戦闘を続けていったのだ。
おかげで魔石はほとんど手元に残らなかったけど、余裕を持ってタケシ君は25レベルまで上げることができた。
さらにその副産物というわけではないが、ボーナスポイントがどんどん増えていった。
嬉々としてそのポイントを振り分けては、感触を確かめるタケシ君。
ボーナスポイントの恩恵も相まって、ステータスがうなぎ上りとなっていた。
ただ少し気になる点も出てきた……
「タケシ君……少しいいかい?」
「なんですか改まって。」
俺が呼び止めると、きょとんと小首を傾げた。
俺は、その気になった点をそのままにしようかとも考えたけど、この先を考えると伝えざるを得なかった。
さらにいうなれば、このままでは自称神の思うつぼになる事が癪に障った。
「タケシ君。君に一つ伝えなければいけないことがあるんだ。」
「なんでしょう?」
「ステータス・スキルを”過信してはいけない〟よ。それは自称神から与えられた紛い物だから。自分の地力を高めることを疎かにしないようにね。」
だけど、タケシ君にはあまり響かなかったみたいだ。
あまり納得がいっていないという表情を浮かべていた。
それはそうだ、ステータス・スキルだって自分の努力で手に入れた力には変わりはないから。
だけどそれが自称神の罠だと知らないで……俺は一度それで痛い目にあっていた。
俺はカイリ達と別れてから、ソロでレベル上げを行っていた。
次第に強敵が強敵でなくなっていき、徐々に万能感に包まれていった。
俺は強い……俺は最強だ……
戦闘方法はどんどん雑になり、力任せの戦術なんて気にしない戦い方になっていった。
それでもステータスやスキルによって補正された戦闘力は、どこまでもその強さを発揮した。
そしてそれは訪れるべくして訪れた。
とあるダンジョンボスと対峙した際に、己の馬鹿さ加減を思い知らされたのだ。
〝フィールドトラップ【スキル封印】〟
俺は一気にその戦力を失い、自力のステータスのみでの戦闘を強いられた。
幸い、ステータスはボーナスポイントのお陰でかなりブーストされており、どうにかこうにか勝利することができた。
しかし、スキルに頼らない戦闘を覚えないと、この先必ず命を落とすことに直結すると感じたのだった。
俺の昔話を聞いたタケシ君は、少し考えこんでしまった。
今の自分と重ね合わせていたのかもしれない。
タケシ君もまた、今は上昇したステータスにものを言わせて戦ってるに過ぎない状況だった。
レベル25を超えてからは、またスキル【魔銃作成】とスキル【魔弾作成】が使えるようになった。
そして、さらにステータスが上昇したことで、本来であればより戦術が広がっていくはずだった。
しかし無駄にSPも潤沢にあることから、狙いを付けずに飽和攻撃を好んでするようになっていた。
それでもモンスターの強さを凌駕する威力を出すことができたので、問題無くここまで来ることが出来た。
今現在も第16層まで進むことが出来ていた。
タケシ君のレベル上げをしつつだったので、進行速度が少し低下したが、おおむね予定通りの流れとなっていた。
しばらく考え込んだタケシ君は、自分の中でおおむね消化できたらしい。
その顔には先ほどまであった慢心がすこし薄らいで見えた。
まだまだ実感は出来ていないのか、まだ少しの慢心が見られたが、先ほどまでに比べたら天と地との差くらいありそうな感じだ。
俺もその変化に気が付き胸をなでおろした。
「それじゃあ、先へ進もうか。」
「はい!!」
それからと言うと、戦闘はとてもスムーズで、連携を確認しながら探索を進めていく。
第11層を過ぎてからは各種武器を持ったゴブリンではなく、ゴブリンの上位種がメインとなって襲い掛かってきていた。
——————
ハイゴブリン:ゴブリン上位種。生命力が格段に上がっており、ホブゴブリンがかわいく見えるほど強化されている。通常個体は棍棒を装備しているが、各種武器を装備している個体がいる。
ハイゴブリンメイジ:攻撃系魔法を習得したハイゴブリン。手に杖を装備していることが特徴。耐久度は低いが、知能が格段に上昇している。
ハイゴブリンヒーラー:回復魔法を習得したハイゴブリン。ローブの様な装備が特徴。耐久度は低いが、頻繁に回復を行うので要注意。
——————
これらのハイゴブリンが、集団で襲い掛かってきている。
第11層はハイゴブリンだけだったので、タケシ君のレベル低下状態でも、俺が凌ぐことが出来た。
しかし第13層からは、各種武器を携えたハイゴブリンが現れたので、一度撤退したほどだった。
それから第11層12層でレベルを上げて、タケシ君のレベルが25を超えたことを期に、第16層まで進むことが出来たのだ。
第17層以降、タケシ君の戦力上昇に伴って、サクサクと進むようになってきた。
タケシ君も思うところがあったのか、【魔銃作成】の使い方が少し変わってきたのだ。
当初の戦闘スタイルは、どこぞのニュータイプかって感じの戦い方だった。
砲身を作り出して、中に浮かべそれを操作する。
自分はほとんど動かずに戦っていたので、いわゆる砲台としての役割しか果たしていなかった。
今試している戦い方は、両手に拳銃を装備し、かつ空中に数門砲身を浮かべて戦っていたのだ。
浮かべてある砲身も種類を変えている。
接近戦ではショットガン2門。
近距離戦はガトリング1門。
遠距離戦はライフル2門。
砲撃戦は10連装ミサイルランチャーが1門。
これだけ聞けば、歩く要塞としか思えない。
そして両手にしているのは、24発装填のハンドガン2丁だ。
タケシ君は、このハンドガン2丁を主軸に戦闘を組み立てるようにしたようだった。
空中に浮かべてある砲身はあくまでも補助用で、ハンドガンでの戦闘がメイン戦術として訓練を積んでいた。
ちなみに、このハンドガン自体のベースは自衛隊支給品で、弾丸は魔弾を使用できない為、タケシ君のお手製の弾丸を使用している。
タケシ君は〝使えないならば作り直してしまえばいいじゃん?〟的な発想で、【魔道具師】を利用して、支給品のハンドガン2丁を魔道具にしてしまったのだ。
文字通り〝魔改造〟だ。
お陰で、魔石を用いて弾を撃ち出すことができるようになり、かつ、弾頭も魔道具として作成している。
本来、銃火器の製造は【ブラックスミス】の領域だ。
しかし、タケシ君と話しているうちに、その垣根を超えられるのではないかと考えたのだ。
その仮説は成功で、魔道具としての認識であれば【魔道具師】で対応可能だったのだ。
そして、タケシ君がハンドガンを〝魔改造〟するに至ったのだった。
そのお陰かどうかは分からないが、戦闘の姿も大分様になってきていた。
時折ハイゴブリンメイジからの魔法攻撃で苦戦はするものの、かなりの殲滅力を誇るワンマンアーミーと化してしまっていた。
その様子を見ていた俺も、その戦いっぷりに舌を巻くばかりだった。
さらにタケシ君んは、俺の戦闘スタイルも取り入れ始めたのだ。
俺が足場用に使っている【結界】の創造をお願いされた。
しかもこの使い方がまた面白かった。
足場というよりは〝跳弾用の壁〟という意味合いが強かったのだ。
どうしても弾丸は直線にしか飛ばせないという欠点が存在していた。
そこでタケシ君は、弾丸を跳弾させることにしたのだ。
ここでもスキルに頼ることにはなるが、それでも覚えることに越したことはないと判断していた。
お陰で〝多田野無双〟にまた拍車がかかってしまった。
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