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第6章 富士攻略編
125 それぞれの戦いと【神斬りの戦剣】
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「良いでしょう……。私の手であなたの精神を肉体から解放します。そして我が主神の依り代として大事に使って差し上げます!!」
そう言うと自称神は手を前に掲げ何かを呟き始めた。
「何……これ……」
「くそ!!身体が……いうことを聞かない!!」
カレン達が急に膝を付き苦しみだした。
周りを確認すると他のみんなも同じように膝をついていた。
中にはそれすらままならず、倒れもがき苦しんでいる人もいた。
抗うようにもがいてもそれがかなわなかったのか、膝をついて首を垂れる……そう、王様への謁見の時のように見えた。
いったい何が……
「やはり耐えますか……。」
「耐える?やっぱりお前が……」
つまりは 自称神の仕業か……
俺やタケシ君たちには問題ないみたいだから、スキルか何かを使っているってことかもしれないが……あまり悠長にはしていられないな。
「素晴らしい……ますますほしいです……ね!!」
自称神が次に手を横に振ると、俺に向かって目に見える形で衝撃波が到来する。
くそ!!避けるわけにはいかないか……
俺はダメージ覚悟で身構えると、その衝撃波は俺の身体を激しく揺さぶった。
何とか耐えきったものの、さすがにヤバかったな……
みんなは……うん、大丈夫そうだ。
ラーが何とか守ってくれたみたいだ。
『ケントさん、俺たちが出ます。とどめは任せました。』
タケシ君はそう言うと、魔道具を稼働させた。
出し惜しみなしと、手持ちの魔道具全稼働で。
4基の【煉獄】は一気に飛び立っていく。
新造の【雷獄】は電気をチャージする音と共にその形を変えていく。
仮想空間を魔法で作っているかのように、バレルの様な物が創り上げられていった。
そのほかにも【守護の盾】も大量投下していた。
それは後方で跪いている者たちを守る様に空中を浮遊していた。
最後に自身のスキルで、周辺に武装砲塔を浮遊させ、手には【オルトロス】を構える。
タクマはあいも変わらず手には俺から譲り受けた魔剣【レガルド】が握られていた。
その表情は獰猛な獣を彷彿とさせるように、ぎらついていた。
ラーはさっきと同様にみんなの護衛を買って出てくれた。
ポヨンポヨン身体を震わせながらも、その防御性能の高さはさっきの衝撃波を余裕で退けるレベルに達している。
ほんと頼りになるよなみんな……
『主~、がんばってぇ~』
って、ラー……ありがとう、肩の力が抜けたよ。
——————
「本当にケントさんなの?」
私はケントさんからカイリを託されてただ見ているしかできなかった……
私の目の前で起こった戦いは簡単に表現できるようなものじゃなかった。
「カレンちゃん……」
「大丈夫よアスカ……何とか起き上がれそう……」
アスカも無事みたいで安心した。
カイリは……うん、大丈夫そうね。
ケントさんと自称神の戦いはすでに戦いの領域じゃなかった。
ぶつかり合えばその衝撃でその場所は灼熱の業火に見舞われ、離れれば急速に冷却され極寒と化して周囲が凍結する。
地面にぶつかれば大地が揺れ、大地震でも来るんじゃないかって思えるほどの衝撃が伝わってくる。
うん、私は今神話の戦いを目の前にしているんだと思う……
——————
「なかなかどうして、私についてくるとはすばらしい!!我が主神に捧げるにふさわしい肉体です!!ますますほしい!!」
素晴らしい!!
素晴らしい!!
素晴らしすぎる!!
これほどまでの器、今までかつて存在してでしょうか?
私がこれまで手掛けてきた神器の中でも、最高傑作と言っても過言ではない!!
あぁ~、早く主様のもとへ届けねば!!
それしても、周りのハエがうるさいですね!!
私の戦いの邪魔をするな!!
いくつも浮く魔導具でしょうか、本当にうざったい。
壊しても壊してもなぜかまたやってくる。
いったいいくつ壊せばいいのですか!!
——————
『このままだとじり貧ですよケントさん。』
『何を泣き言を言っておる!!これほどまでに熱い戦い体験できるものではないぞ!!何とも血が沸き上がることか!!』
『黙れ脳筋!!』
焦る僕をよそに、タクマの表情は嬉々としていた。
本当にうれしいのか、ニヤリと口角を上げて笑っていた。
これだから脳筋は嫌いだ!!
タクマは手にした魔剣【レガルド】をカチャリと自称神に向けまたも駆け出す。
何度この光景が繰り返されていた事か。
これぞまさにゾンビアタックって……笑えないからな⁈
タクマはこんなに突貫を来る返している理由は簡単だ。
僕たち【召喚獣】は死ぬことはない。
ケントさんさえ生きていれば、何度だって復活できる。
だからって痛みが無いわけじゃない。
切られれば血も出るし、痛みだってある。
正直怖いよ……だけど俺にしかできない仕事がある……
だから俺は何度だって立ち上がるし、吠えてやる!!
『スキル【魔導具複製】!!行ってこい!!【煉獄】!!【雷獄】!!』
——————
『なんとも血沸き肉躍る状況よな……産まれてこの方、久しく味わっておらん状況だ!!』
吾が右手に携えしは、主より賜りし魔剣。
幾度となく振り下ろし、神を切り裂いてきた。
だがそれでも神は倒れることはなかった。
やはり吾が剣では神には届かぬということか……
『だが、実際に打つ手なしは変わりがないのは事実かの。主よ、どうするのだ?』
吾は何度目かの打ち合いの後、一度仕切り直しとその場を引いた。
主神は楽しんでいるかのように、吾の後退をわざと見逃したようだ。
それにしてもなんとも不思議なものよ……
吾の世界において絶対神であった主神と剣を構える。
今にして思えば、これも運命なのやもしれぬな。
あの時主と出会っていなければ、これほど楽しいことには出会えんであったろうな。
吾は幸せ者よ……なぁ、お前たち……
——————
「糸口なら既に見つけてあるよ。それに自称神との差はさほど感じられない。あいつは余裕かましているけど、内心は焦ってるはずだ。」
俺はそう確信していた。
俺たちが……タクマたちが責めれば責めるほど、奴の表情が一瞬曇っていた。
そしてゾンビアタックよろしく、タクマは斬られても斬られても、構うことなく突貫していく。
それを嫌がるように、自称神はタクマと距離を話そうとしていた。
だけどそれをタケシ君は許さずに、また追い詰めている。
うん、これだったら時間が稼げそうだ……
「というわけで皆、力を貸してほしい……。違うな……力を分けてほしい。皆のこれまでの経験を俺に……。」
俺は皆に頭を下げた。
本当はこんなことしたくはなかった。
皆がこれまで積み上げてきた経験値を分けてほしいと願っているんだから。
断られるのは覚悟の上だ。
その時は俺が悪者になればいい。
「「「任せた!!」」」
皆の声が一つになって聞こえた。
しかもここにいる人だけじゃなく、世界中から響いてくるような。
でもなんで?
「お兄ちゃん!!」
「え⁈美鈴⁈どうしてここに⁈」
いるはずのない美鈴の姿が見えた。
そっか、一ノ瀬さんが……よくよく美鈴の手を見ると、一台のタブレットが握られていた。
手にしたタブレットの画面には細かくいろいろな人が映し出されていた。
「お兄ちゃんの声が世界に届いてる!!だからがんばれ!!」
そっか……さすがは美鈴だ。
それじゃあ遠慮なく……
「【レベルドレイン】!!」
——————
その時世界は一つになった……
高らかに宣言されたスキルは、地球全土にわたって発動された。
人々は徐々に体が重くなっていくのを感じていた。
そしてそれは目に見える形で人々に影響を及ぼしていく。
自分が今まで蓄えてきた経験値が、抜け落ちていくのを感じたからだ。
中には拒絶して者もいたが、強制ではないためその者は特に変化は見られなかった。
後の人々はこう語る……
誤った時代の終焉の始まりの福音だと……
——————
俺の周りに光の玉が集まり始める。
それは人々がダンジョンが出来てから経験してきたあらゆる経験の塊。
それが一つ……また一つ俺の中に集まっていく。
自称神はそれが危険と判断したのか、俺に対して猛攻を仕掛ける。
だけど、タケシ君とタクマがその攻撃をことごとく退けてくれた。
二人の息は熟練と言ってもいいかもしれないな。
そう言ったら二人とも怒るかもしれないけど。
タケシ君が自称神の攻撃の起点をつぶして、タクマがそれを足掛かりに自称神を抑え込む。
したい事が出来ない自称神は、怒りと焦りを募らせているだろうな。
「えぇい!!鬱陶しい!!あなた方は退場願おう!!」
するとついにイライラの限界を超えたのか、自称神《【プロメテウス】》の全力の攻撃が始まった。
タケシ君でもさすがにこの猛攻は捌き切れないみたいで、徐々に押され始めていた。
宙に浮く【煉獄】や【雷獄】に【守護の盾】。
幾度となく壊されては新たに創り出されてまた守りを固める。
それでも押されるということはそれだけ自称神がすごいということだろうな。
『多田野よ!!これぞまさに神話大戦!!心躍るのぉ~!!』
『うるさい筋肉だるま!!さっさと攻撃を仕掛けろ馬鹿!!』
口が悪いのもお構いなしにタケシ君は自称神も攻撃を捌き続ける。
どのくらいこのこの攻防が続いたのであろうか……
ついにその時が来た。
「待たせた。ありがとう、もう終わりにしよう……」
俺がそう言うと、すべてが終わることを確信したタケシ君たちは、ついに力尽き黒き靄となり、その場から消え去ってしまった。
ありがとう二人とも……
「終わりにしよう自称神。この物語はここで終わりだ。」
俺は一振りの剣を創造する。
「スキル【神器創造】。」
その剣は禍々しい黒いオーラと、神聖を思わせる白いオーラに包まれていた。
ふわりふわりと俺の手の中に納まると、一層そのオーラが強さを増していった。
「【神斬りの戦剣】それがこの剣の名前だ。この戦いにお似合いの剣だろ?」
俺は縦に一振り……ブオンと音を立てさせて自称神へ向けて振りぬいた。
「威嚇……ですか?なるほど、しかし僕には関係が無い。さあ、これで終わり……に………………!!」
力なく崩れ落ちる自称神。
がくりと膝をつき、その万能感の喪失に混乱を示していた。
何があったのか分からないと、体中をまさぐるも、傷らしい傷は全く見当たらなかった。
「何をしたのです!!私の!!私の力をどうした!!」
叫ぶ自称神をよそに、さらに一振り……。
俺の行動は、奴にとって不可解極まりなかったと思う。
【神斬りの戦剣】の届かない距離を保っていたはずなのにも関わらず、自称神がダメージを負い続けるのだから。
俺は幾度となく、【神斬りの戦剣】で虚空を切り刻む。
自称神はその度に弱弱しくなっていき、ついには膝立ちすらできなくなり、うつぶせに地面に倒れ込んでしまった。
「な、なぜ……。私は神だ……。神の私がなぜひれ伏さねばならないのだ……」
そう言うと自称神は手を前に掲げ何かを呟き始めた。
「何……これ……」
「くそ!!身体が……いうことを聞かない!!」
カレン達が急に膝を付き苦しみだした。
周りを確認すると他のみんなも同じように膝をついていた。
中にはそれすらままならず、倒れもがき苦しんでいる人もいた。
抗うようにもがいてもそれがかなわなかったのか、膝をついて首を垂れる……そう、王様への謁見の時のように見えた。
いったい何が……
「やはり耐えますか……。」
「耐える?やっぱりお前が……」
つまりは 自称神の仕業か……
俺やタケシ君たちには問題ないみたいだから、スキルか何かを使っているってことかもしれないが……あまり悠長にはしていられないな。
「素晴らしい……ますますほしいです……ね!!」
自称神が次に手を横に振ると、俺に向かって目に見える形で衝撃波が到来する。
くそ!!避けるわけにはいかないか……
俺はダメージ覚悟で身構えると、その衝撃波は俺の身体を激しく揺さぶった。
何とか耐えきったものの、さすがにヤバかったな……
みんなは……うん、大丈夫そうだ。
ラーが何とか守ってくれたみたいだ。
『ケントさん、俺たちが出ます。とどめは任せました。』
タケシ君はそう言うと、魔道具を稼働させた。
出し惜しみなしと、手持ちの魔道具全稼働で。
4基の【煉獄】は一気に飛び立っていく。
新造の【雷獄】は電気をチャージする音と共にその形を変えていく。
仮想空間を魔法で作っているかのように、バレルの様な物が創り上げられていった。
そのほかにも【守護の盾】も大量投下していた。
それは後方で跪いている者たちを守る様に空中を浮遊していた。
最後に自身のスキルで、周辺に武装砲塔を浮遊させ、手には【オルトロス】を構える。
タクマはあいも変わらず手には俺から譲り受けた魔剣【レガルド】が握られていた。
その表情は獰猛な獣を彷彿とさせるように、ぎらついていた。
ラーはさっきと同様にみんなの護衛を買って出てくれた。
ポヨンポヨン身体を震わせながらも、その防御性能の高さはさっきの衝撃波を余裕で退けるレベルに達している。
ほんと頼りになるよなみんな……
『主~、がんばってぇ~』
って、ラー……ありがとう、肩の力が抜けたよ。
——————
「本当にケントさんなの?」
私はケントさんからカイリを託されてただ見ているしかできなかった……
私の目の前で起こった戦いは簡単に表現できるようなものじゃなかった。
「カレンちゃん……」
「大丈夫よアスカ……何とか起き上がれそう……」
アスカも無事みたいで安心した。
カイリは……うん、大丈夫そうね。
ケントさんと自称神の戦いはすでに戦いの領域じゃなかった。
ぶつかり合えばその衝撃でその場所は灼熱の業火に見舞われ、離れれば急速に冷却され極寒と化して周囲が凍結する。
地面にぶつかれば大地が揺れ、大地震でも来るんじゃないかって思えるほどの衝撃が伝わってくる。
うん、私は今神話の戦いを目の前にしているんだと思う……
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「なかなかどうして、私についてくるとはすばらしい!!我が主神に捧げるにふさわしい肉体です!!ますますほしい!!」
素晴らしい!!
素晴らしい!!
素晴らしすぎる!!
これほどまでの器、今までかつて存在してでしょうか?
私がこれまで手掛けてきた神器の中でも、最高傑作と言っても過言ではない!!
あぁ~、早く主様のもとへ届けねば!!
それしても、周りのハエがうるさいですね!!
私の戦いの邪魔をするな!!
いくつも浮く魔導具でしょうか、本当にうざったい。
壊しても壊してもなぜかまたやってくる。
いったいいくつ壊せばいいのですか!!
——————
『このままだとじり貧ですよケントさん。』
『何を泣き言を言っておる!!これほどまでに熱い戦い体験できるものではないぞ!!何とも血が沸き上がることか!!』
『黙れ脳筋!!』
焦る僕をよそに、タクマの表情は嬉々としていた。
本当にうれしいのか、ニヤリと口角を上げて笑っていた。
これだから脳筋は嫌いだ!!
タクマは手にした魔剣【レガルド】をカチャリと自称神に向けまたも駆け出す。
何度この光景が繰り返されていた事か。
これぞまさにゾンビアタックって……笑えないからな⁈
タクマはこんなに突貫を来る返している理由は簡単だ。
僕たち【召喚獣】は死ぬことはない。
ケントさんさえ生きていれば、何度だって復活できる。
だからって痛みが無いわけじゃない。
切られれば血も出るし、痛みだってある。
正直怖いよ……だけど俺にしかできない仕事がある……
だから俺は何度だって立ち上がるし、吠えてやる!!
『スキル【魔導具複製】!!行ってこい!!【煉獄】!!【雷獄】!!』
——————
『なんとも血沸き肉躍る状況よな……産まれてこの方、久しく味わっておらん状況だ!!』
吾が右手に携えしは、主より賜りし魔剣。
幾度となく振り下ろし、神を切り裂いてきた。
だがそれでも神は倒れることはなかった。
やはり吾が剣では神には届かぬということか……
『だが、実際に打つ手なしは変わりがないのは事実かの。主よ、どうするのだ?』
吾は何度目かの打ち合いの後、一度仕切り直しとその場を引いた。
主神は楽しんでいるかのように、吾の後退をわざと見逃したようだ。
それにしてもなんとも不思議なものよ……
吾の世界において絶対神であった主神と剣を構える。
今にして思えば、これも運命なのやもしれぬな。
あの時主と出会っていなければ、これほど楽しいことには出会えんであったろうな。
吾は幸せ者よ……なぁ、お前たち……
——————
「糸口なら既に見つけてあるよ。それに自称神との差はさほど感じられない。あいつは余裕かましているけど、内心は焦ってるはずだ。」
俺はそう確信していた。
俺たちが……タクマたちが責めれば責めるほど、奴の表情が一瞬曇っていた。
そしてゾンビアタックよろしく、タクマは斬られても斬られても、構うことなく突貫していく。
それを嫌がるように、自称神はタクマと距離を話そうとしていた。
だけどそれをタケシ君は許さずに、また追い詰めている。
うん、これだったら時間が稼げそうだ……
「というわけで皆、力を貸してほしい……。違うな……力を分けてほしい。皆のこれまでの経験を俺に……。」
俺は皆に頭を下げた。
本当はこんなことしたくはなかった。
皆がこれまで積み上げてきた経験値を分けてほしいと願っているんだから。
断られるのは覚悟の上だ。
その時は俺が悪者になればいい。
「「「任せた!!」」」
皆の声が一つになって聞こえた。
しかもここにいる人だけじゃなく、世界中から響いてくるような。
でもなんで?
「お兄ちゃん!!」
「え⁈美鈴⁈どうしてここに⁈」
いるはずのない美鈴の姿が見えた。
そっか、一ノ瀬さんが……よくよく美鈴の手を見ると、一台のタブレットが握られていた。
手にしたタブレットの画面には細かくいろいろな人が映し出されていた。
「お兄ちゃんの声が世界に届いてる!!だからがんばれ!!」
そっか……さすがは美鈴だ。
それじゃあ遠慮なく……
「【レベルドレイン】!!」
——————
その時世界は一つになった……
高らかに宣言されたスキルは、地球全土にわたって発動された。
人々は徐々に体が重くなっていくのを感じていた。
そしてそれは目に見える形で人々に影響を及ぼしていく。
自分が今まで蓄えてきた経験値が、抜け落ちていくのを感じたからだ。
中には拒絶して者もいたが、強制ではないためその者は特に変化は見られなかった。
後の人々はこう語る……
誤った時代の終焉の始まりの福音だと……
——————
俺の周りに光の玉が集まり始める。
それは人々がダンジョンが出来てから経験してきたあらゆる経験の塊。
それが一つ……また一つ俺の中に集まっていく。
自称神はそれが危険と判断したのか、俺に対して猛攻を仕掛ける。
だけど、タケシ君とタクマがその攻撃をことごとく退けてくれた。
二人の息は熟練と言ってもいいかもしれないな。
そう言ったら二人とも怒るかもしれないけど。
タケシ君が自称神の攻撃の起点をつぶして、タクマがそれを足掛かりに自称神を抑え込む。
したい事が出来ない自称神は、怒りと焦りを募らせているだろうな。
「えぇい!!鬱陶しい!!あなた方は退場願おう!!」
するとついにイライラの限界を超えたのか、自称神《【プロメテウス】》の全力の攻撃が始まった。
タケシ君でもさすがにこの猛攻は捌き切れないみたいで、徐々に押され始めていた。
宙に浮く【煉獄】や【雷獄】に【守護の盾】。
幾度となく壊されては新たに創り出されてまた守りを固める。
それでも押されるということはそれだけ自称神がすごいということだろうな。
『多田野よ!!これぞまさに神話大戦!!心躍るのぉ~!!』
『うるさい筋肉だるま!!さっさと攻撃を仕掛けろ馬鹿!!』
口が悪いのもお構いなしにタケシ君は自称神も攻撃を捌き続ける。
どのくらいこのこの攻防が続いたのであろうか……
ついにその時が来た。
「待たせた。ありがとう、もう終わりにしよう……」
俺がそう言うと、すべてが終わることを確信したタケシ君たちは、ついに力尽き黒き靄となり、その場から消え去ってしまった。
ありがとう二人とも……
「終わりにしよう自称神。この物語はここで終わりだ。」
俺は一振りの剣を創造する。
「スキル【神器創造】。」
その剣は禍々しい黒いオーラと、神聖を思わせる白いオーラに包まれていた。
ふわりふわりと俺の手の中に納まると、一層そのオーラが強さを増していった。
「【神斬りの戦剣】それがこの剣の名前だ。この戦いにお似合いの剣だろ?」
俺は縦に一振り……ブオンと音を立てさせて自称神へ向けて振りぬいた。
「威嚇……ですか?なるほど、しかし僕には関係が無い。さあ、これで終わり……に………………!!」
力なく崩れ落ちる自称神。
がくりと膝をつき、その万能感の喪失に混乱を示していた。
何があったのか分からないと、体中をまさぐるも、傷らしい傷は全く見当たらなかった。
「何をしたのです!!私の!!私の力をどうした!!」
叫ぶ自称神をよそに、さらに一振り……。
俺の行動は、奴にとって不可解極まりなかったと思う。
【神斬りの戦剣】の届かない距離を保っていたはずなのにも関わらず、自称神がダメージを負い続けるのだから。
俺は幾度となく、【神斬りの戦剣】で虚空を切り刻む。
自称神はその度に弱弱しくなっていき、ついには膝立ちすらできなくなり、うつぶせに地面に倒れ込んでしまった。
「な、なぜ……。私は神だ……。神の私がなぜひれ伏さねばならないのだ……」
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