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歪な物語の始まり
7.異常
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よっぽどの事が無い限り睡眠を必要としないオレは、ソファの上でうずくまって朝を迎えた。ようやく体の感覚が元に戻り、一息つけた。
前々から思ってはいたが、この体質は面倒だ。
普通の食事から取れる魔力は微々たるもので、自然回復もだいぶ遅い。特にオレみたいに筋力をほとんど使わずに魔力で動いている奴は魔力の消費量はえげつない。
まぁそんな危険な事する奴なんてそうそういないけど。
オレは昔から魔力で動いていたから筋力なんてほとんどない。
体の軸となる骨、魔力を循環する為の循環器、魔力を貯めておくための内臓、記憶を保管するための脳。人間とあまり変わりないが、どれも動力源の確保のためだけにあるようなものだ。
オレにとっての死は魔力が完全に枯渇する事。だから呼吸で僅かに回復を続けている。
………馬鹿だよな。
ようするにオレは魔力そのものに支配されているようなものだ。少しずつでもこの体質を変えないと、取り返しのつかない事になるだろう。
こんなに魔力切れが速いだなんて、自然回復が遅いだなんて思わなかった。食い溜めって意味ねぇんだなぁ…。
「ん……おはよう、ミカ。今日も早起きだな。」
「おはよ、イオリ。オレが早いんじゃ無くてお前が遅いの。」
イオリは寝癖の無いサラサラの黒髪をかき上げ、顔を洗いに行った。
あいつは、オレがそもそも寝てない事を知らない。知ったらどう思うだろうか。必要が無いと言っても無理矢理寝させようとするかも知れないし、夜遅くまで話し相手になろうとするかも知れない。どっちも有り得そう…っていうか一度あったからまたするだろうけど、今のオレにはどっちもキツい。
顔を洗い終わり水を飲むイオリ。今日はとある依頼を受ける予定だ。と言っても、オレは行けそうに無い。
「イオリ、悪いけど今日の討伐依頼はお前一人で行ってくれるか?」
イオリは一瞬動きを止めると、何かを考え始めた。
「別にいいけど…何か予定が?」
「ちょっとね……昨夜オレが体調崩してたろ?またなった時面倒だから薬を作っておこうと思ってな。」
嘘だけど嘘じゃ無い。媚薬の抑制剤は作るが、本当の目的は違う。抑制剤そのものは数十分程度で作れる。
オレが今日残ろうと思った理由は、サキュバスの『他人の体液から魔力補充をする』と言う特性を少しでも変えて、自然回復出来る様にしたい。その為に魔法を編む必要がある。だから時間が欲しかったんだ。
何で嘘をついたかって?あんまりイオリに心配かけたく無いからだ。
最初は感情を表に出さないイオリの困った顔や心配している顔が貴重で、見れて嬉しかった。でも今じゃ心配をかけて困らせてばかりだ。やっぱりどこか申し訳なく感じるし、イオリには笑っていて欲しい。だからオレは『大丈夫だ』って笑顔で嘘をつく。
またいつ酔うか分からないから少し早いけどイオリの準備を手伝った。部屋を出る時まで心配していたけど、オレは何とも無い様に笑って送った。数分経って、窓からイオリの姿が見えた。
………早く始めよう。
出来る限り心配も迷惑もかけないように。
ーーーーーイオリーーーーー
最近、ミカが何かを隠してる様な気がする。
数週間前から表情豊かだったミカがずっと笑い続け、オレがちょっとした悪戯をした時も困った様に笑っていた。当の本人はあれで隠せているとでも思っているのだろうか。
きっと今日単独行動を選んだのは、隠してる何かのことで共にいれないから。
二ヶ月も共に過ごしていれば何と無くだが分かってくる。
ミカは自分の事を『有能』『便利』『利用価値がある』とポジティブそうに言う。何かある度に『オレに任せとけって!』と笑って解決する。圧倒的な力で何でもこなして見せる、凄い人だ。
けど、俺から見たら違う。たしかに『何でも有り』と言える程の能力と知恵でできない事が殆どない様に見える。けど、あまりにもミカは狂っている。
一ヶ月ほど前、依頼でモンスターの集落を潰した時のこと。今までで一番大きな依頼だった。いつもの討伐依頼の通り、お互いに得意な戦法でモンスターを倒していた。
俺は初級元素魔法で炎を出し、剣の形に変えて敵を切っていた。
元素魔法から武器を生成する特殊な魔法。武器を持ち歩く必要もなく、相手に合わせて元素を変える事ができる為とても便利だ。
ミカは魔法を交えた肉弾戦。長い手足と小柄な体格で俊敏に動き、適正だと判断した位置で魔法を使い一掃する。ミカにとっては大気ですら壁になるようで、よく空中を地面の様に蹴ったり走ったりしている。
ミカも俺も強い自負はあった。ただ、俺は周りの敵に集中しすぎて矢に気が付かなかった。風を切る音に気づいた時には、ミカが俺を庇って矢を肩から腕に三本くらっていた。
「ミカ!」
「敵に集中しろ!」
一瞬取り乱したが、ミカの言葉でまた戦闘に戻った。
全てのモンスターを倒し終わった時、急いでミカの方へ向かった。そこそこ離れてしまった様で、近くに姿は無かった。
モンスターの死骸を辿っていくと、途中から数がガラリと変わっていた。それはまるで山の様に積み重なっていた。
更に進むと数だけじゃなくモンスターの大きさまで変わっていた。俺が倒していたのは俺より小さいモンスターの大群。数十体程度だ。俺の倒していないモンスターは全てミカが倒した。………ざっと俺の十倍の数。そのうちの九割は俺が戦ったモンスターより上だろう。
この数を傷付いた腕で……?
いや、あんなに強くて器用なのだからどこかタイミングを見て治してるかもしれない。
死骸で埋め尽くされた道を進んでいくと、ボスと思われる大きなモンスターの首を持ったミカが立っていた。
「お、こっちは終わったぞー。」
ミカは、いつもと同じように大きな目を細めて俺に笑いかけている。天使の様な姿は、その瞬間はどんな悪人よりも危険な感じがした。
やはり、ミカは悪魔なのだと再度理解した。なのにどうしてか『悪』には見えない。
「あ、あぁ。これで全部だと思う。それにしてもミカ、服が血だらけで傷か返り血か分からないよ。」
「返り血?オレが倒した奴らほとんど血は流してねぇけど……。」
確かに、モンスターの死骸からはあまり流血は無い。恐らく窒息や打撲なのだろう。
つまり、赤く血塗られた白い服の血は全てミカの?
真っ白なふわふわの髪も赤く染まり、血液が滴っている。
「わっ!服真っ赤じゃん……。あ、頭からも血ぃ出てたんだ……。」
「え……?まさか、気付いて無かった?」
痛覚すらも無効になっているのだろうか。魔法で生み出した水の反射を鏡代わりに傷を見ている。
「いやー、敵を倒すのに必死で気にして無かった。引きこもってた数年でここまで力が落ちるとはなー。」
そう苦笑しながらミカは怪我の治療をした。
この時だけじゃ無い。
林檎の味見と毒見をした時も、ギルドで初めて食事を取った時も、他の時も。ミカは、自分が傷付いたり危険な目に遭うことを何とも思っていない。
よくあること。
この程度のこと。
いつだってそういう風に振る舞っていた。
彼が今いくつかは知らないが、俺と比べ物にならない程生きていればそういう風になるのだろうか。傷はまるで寝癖の様に、危険はまるで日常の様に。
俺から見たミカは『自分の事を大切にしない、自身を物の様に考えている、それをあたかも当然のように振る舞う、悲しい悪魔』だ。何があってそういう風に感じながら生きてるかは見当もつかない。
それでも、せめて俺の前だけでは欲を張って甘えて欲しい。俺も、ミカを…大切な人を守れるだけの力が欲しい。だから剣を教わり始めた。
それにしても、どうすればミカは甘えてくれるだろうか。『甘えて欲しい』なんて言ったところで今の彼じゃ何も要求しないかも知れない。
どうしたらいいかを考えていたら、いつの間にか討伐依頼をクリアしていた。
ギルドに行き、報酬を受け取った後にもう一つ依頼を受ける事にした。少し危険だが、その分報酬はいい。危険と言えどモンスターの集落を潰すよりは全然簡単だ。中級モンスターの鱗を取るだけの依頼。これでちょっとした小遣い稼ぎをする事にした。
別に金銭に困ってはいないが、どうせなら自分でどうにかしたい。ふと思い浮かんだ事をする為に。
目的地に着いた。すぐそこが断崖絶壁の森の奥深く。
木々の隙間を縫う様に地面を這う音。どうやら目的のモンスターが俺を見つけ狙っている様だ。
音がする方から飛び出したモンスターは頭が二つ付いた大蛇。額に付いている一際大きい鱗がこの依頼の目的だ。
生きたまま剥がすよりも討伐した方がいいだろう。俺はそう思い、木々をも簡単に粉砕する打撃を避けて片方の頭を切り落とした。これで討伐出来ただろうと思い、額から鱗を剥がそうとした。その気を抜いた一瞬のうちに、強い衝撃を感じたと思った。
俺は気付けば空を飛んでいた。大蛇の首を持ちながら。
もう片方の頭が攻撃したと言うことを理解した頃には、近くの崖から落ちていた。猛スピードで落下するのはきっと、重たい大蛇の首…と言うより鱗を持っているからだろう。何とか初級元素魔法で風を起こしてスピードを遅くした。それでも地面は瞬く間に近付いていた。
「やばっ………!」
ーーーーーミカーーーーー
日がだいぶ沈んだ。
抑制剤と解毒薬はしばらく分出来た。サキュバスの特性を出来る限り抑え、自然回復に切り替える為の魔法も編めた。とは言え、体の構造そのものを変える事になる為すぐには変わらないけど。遅くとも半年後にはほとんど自然回復出来るようになっているはずだ。
そんなことよりもイオリが帰ってこない。あいつの力量なら昼頃には終わっていてもおかしく無いのに。何かあったのか、それともオレから離れたくなったのか。………ダメだ、ネガティブ思考はしちゃダメだ。そう、思っているのにどうにも胸が騒つく。
お願いだから、早く戻ってきてくれ……。
前々から思ってはいたが、この体質は面倒だ。
普通の食事から取れる魔力は微々たるもので、自然回復もだいぶ遅い。特にオレみたいに筋力をほとんど使わずに魔力で動いている奴は魔力の消費量はえげつない。
まぁそんな危険な事する奴なんてそうそういないけど。
オレは昔から魔力で動いていたから筋力なんてほとんどない。
体の軸となる骨、魔力を循環する為の循環器、魔力を貯めておくための内臓、記憶を保管するための脳。人間とあまり変わりないが、どれも動力源の確保のためだけにあるようなものだ。
オレにとっての死は魔力が完全に枯渇する事。だから呼吸で僅かに回復を続けている。
………馬鹿だよな。
ようするにオレは魔力そのものに支配されているようなものだ。少しずつでもこの体質を変えないと、取り返しのつかない事になるだろう。
こんなに魔力切れが速いだなんて、自然回復が遅いだなんて思わなかった。食い溜めって意味ねぇんだなぁ…。
「ん……おはよう、ミカ。今日も早起きだな。」
「おはよ、イオリ。オレが早いんじゃ無くてお前が遅いの。」
イオリは寝癖の無いサラサラの黒髪をかき上げ、顔を洗いに行った。
あいつは、オレがそもそも寝てない事を知らない。知ったらどう思うだろうか。必要が無いと言っても無理矢理寝させようとするかも知れないし、夜遅くまで話し相手になろうとするかも知れない。どっちも有り得そう…っていうか一度あったからまたするだろうけど、今のオレにはどっちもキツい。
顔を洗い終わり水を飲むイオリ。今日はとある依頼を受ける予定だ。と言っても、オレは行けそうに無い。
「イオリ、悪いけど今日の討伐依頼はお前一人で行ってくれるか?」
イオリは一瞬動きを止めると、何かを考え始めた。
「別にいいけど…何か予定が?」
「ちょっとね……昨夜オレが体調崩してたろ?またなった時面倒だから薬を作っておこうと思ってな。」
嘘だけど嘘じゃ無い。媚薬の抑制剤は作るが、本当の目的は違う。抑制剤そのものは数十分程度で作れる。
オレが今日残ろうと思った理由は、サキュバスの『他人の体液から魔力補充をする』と言う特性を少しでも変えて、自然回復出来る様にしたい。その為に魔法を編む必要がある。だから時間が欲しかったんだ。
何で嘘をついたかって?あんまりイオリに心配かけたく無いからだ。
最初は感情を表に出さないイオリの困った顔や心配している顔が貴重で、見れて嬉しかった。でも今じゃ心配をかけて困らせてばかりだ。やっぱりどこか申し訳なく感じるし、イオリには笑っていて欲しい。だからオレは『大丈夫だ』って笑顔で嘘をつく。
またいつ酔うか分からないから少し早いけどイオリの準備を手伝った。部屋を出る時まで心配していたけど、オレは何とも無い様に笑って送った。数分経って、窓からイオリの姿が見えた。
………早く始めよう。
出来る限り心配も迷惑もかけないように。
ーーーーーイオリーーーーー
最近、ミカが何かを隠してる様な気がする。
数週間前から表情豊かだったミカがずっと笑い続け、オレがちょっとした悪戯をした時も困った様に笑っていた。当の本人はあれで隠せているとでも思っているのだろうか。
きっと今日単独行動を選んだのは、隠してる何かのことで共にいれないから。
二ヶ月も共に過ごしていれば何と無くだが分かってくる。
ミカは自分の事を『有能』『便利』『利用価値がある』とポジティブそうに言う。何かある度に『オレに任せとけって!』と笑って解決する。圧倒的な力で何でもこなして見せる、凄い人だ。
けど、俺から見たら違う。たしかに『何でも有り』と言える程の能力と知恵でできない事が殆どない様に見える。けど、あまりにもミカは狂っている。
一ヶ月ほど前、依頼でモンスターの集落を潰した時のこと。今までで一番大きな依頼だった。いつもの討伐依頼の通り、お互いに得意な戦法でモンスターを倒していた。
俺は初級元素魔法で炎を出し、剣の形に変えて敵を切っていた。
元素魔法から武器を生成する特殊な魔法。武器を持ち歩く必要もなく、相手に合わせて元素を変える事ができる為とても便利だ。
ミカは魔法を交えた肉弾戦。長い手足と小柄な体格で俊敏に動き、適正だと判断した位置で魔法を使い一掃する。ミカにとっては大気ですら壁になるようで、よく空中を地面の様に蹴ったり走ったりしている。
ミカも俺も強い自負はあった。ただ、俺は周りの敵に集中しすぎて矢に気が付かなかった。風を切る音に気づいた時には、ミカが俺を庇って矢を肩から腕に三本くらっていた。
「ミカ!」
「敵に集中しろ!」
一瞬取り乱したが、ミカの言葉でまた戦闘に戻った。
全てのモンスターを倒し終わった時、急いでミカの方へ向かった。そこそこ離れてしまった様で、近くに姿は無かった。
モンスターの死骸を辿っていくと、途中から数がガラリと変わっていた。それはまるで山の様に積み重なっていた。
更に進むと数だけじゃなくモンスターの大きさまで変わっていた。俺が倒していたのは俺より小さいモンスターの大群。数十体程度だ。俺の倒していないモンスターは全てミカが倒した。………ざっと俺の十倍の数。そのうちの九割は俺が戦ったモンスターより上だろう。
この数を傷付いた腕で……?
いや、あんなに強くて器用なのだからどこかタイミングを見て治してるかもしれない。
死骸で埋め尽くされた道を進んでいくと、ボスと思われる大きなモンスターの首を持ったミカが立っていた。
「お、こっちは終わったぞー。」
ミカは、いつもと同じように大きな目を細めて俺に笑いかけている。天使の様な姿は、その瞬間はどんな悪人よりも危険な感じがした。
やはり、ミカは悪魔なのだと再度理解した。なのにどうしてか『悪』には見えない。
「あ、あぁ。これで全部だと思う。それにしてもミカ、服が血だらけで傷か返り血か分からないよ。」
「返り血?オレが倒した奴らほとんど血は流してねぇけど……。」
確かに、モンスターの死骸からはあまり流血は無い。恐らく窒息や打撲なのだろう。
つまり、赤く血塗られた白い服の血は全てミカの?
真っ白なふわふわの髪も赤く染まり、血液が滴っている。
「わっ!服真っ赤じゃん……。あ、頭からも血ぃ出てたんだ……。」
「え……?まさか、気付いて無かった?」
痛覚すらも無効になっているのだろうか。魔法で生み出した水の反射を鏡代わりに傷を見ている。
「いやー、敵を倒すのに必死で気にして無かった。引きこもってた数年でここまで力が落ちるとはなー。」
そう苦笑しながらミカは怪我の治療をした。
この時だけじゃ無い。
林檎の味見と毒見をした時も、ギルドで初めて食事を取った時も、他の時も。ミカは、自分が傷付いたり危険な目に遭うことを何とも思っていない。
よくあること。
この程度のこと。
いつだってそういう風に振る舞っていた。
彼が今いくつかは知らないが、俺と比べ物にならない程生きていればそういう風になるのだろうか。傷はまるで寝癖の様に、危険はまるで日常の様に。
俺から見たミカは『自分の事を大切にしない、自身を物の様に考えている、それをあたかも当然のように振る舞う、悲しい悪魔』だ。何があってそういう風に感じながら生きてるかは見当もつかない。
それでも、せめて俺の前だけでは欲を張って甘えて欲しい。俺も、ミカを…大切な人を守れるだけの力が欲しい。だから剣を教わり始めた。
それにしても、どうすればミカは甘えてくれるだろうか。『甘えて欲しい』なんて言ったところで今の彼じゃ何も要求しないかも知れない。
どうしたらいいかを考えていたら、いつの間にか討伐依頼をクリアしていた。
ギルドに行き、報酬を受け取った後にもう一つ依頼を受ける事にした。少し危険だが、その分報酬はいい。危険と言えどモンスターの集落を潰すよりは全然簡単だ。中級モンスターの鱗を取るだけの依頼。これでちょっとした小遣い稼ぎをする事にした。
別に金銭に困ってはいないが、どうせなら自分でどうにかしたい。ふと思い浮かんだ事をする為に。
目的地に着いた。すぐそこが断崖絶壁の森の奥深く。
木々の隙間を縫う様に地面を這う音。どうやら目的のモンスターが俺を見つけ狙っている様だ。
音がする方から飛び出したモンスターは頭が二つ付いた大蛇。額に付いている一際大きい鱗がこの依頼の目的だ。
生きたまま剥がすよりも討伐した方がいいだろう。俺はそう思い、木々をも簡単に粉砕する打撃を避けて片方の頭を切り落とした。これで討伐出来ただろうと思い、額から鱗を剥がそうとした。その気を抜いた一瞬のうちに、強い衝撃を感じたと思った。
俺は気付けば空を飛んでいた。大蛇の首を持ちながら。
もう片方の頭が攻撃したと言うことを理解した頃には、近くの崖から落ちていた。猛スピードで落下するのはきっと、重たい大蛇の首…と言うより鱗を持っているからだろう。何とか初級元素魔法で風を起こしてスピードを遅くした。それでも地面は瞬く間に近付いていた。
「やばっ………!」
ーーーーーミカーーーーー
日がだいぶ沈んだ。
抑制剤と解毒薬はしばらく分出来た。サキュバスの特性を出来る限り抑え、自然回復に切り替える為の魔法も編めた。とは言え、体の構造そのものを変える事になる為すぐには変わらないけど。遅くとも半年後にはほとんど自然回復出来るようになっているはずだ。
そんなことよりもイオリが帰ってこない。あいつの力量なら昼頃には終わっていてもおかしく無いのに。何かあったのか、それともオレから離れたくなったのか。………ダメだ、ネガティブ思考はしちゃダメだ。そう、思っているのにどうにも胸が騒つく。
お願いだから、早く戻ってきてくれ……。
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