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悪魔、人間の本拠地へ
19.ギルドマスター
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ーーーーーラドンーーーーー
雲一つ無い快晴の朝。
今日もいつも通り、早朝の五時までにギルド本部で仕事を始める。書類をまとめ、手紙を管理したら朝食を取る。ギルド員に仕事を預け、冒険者の流れや物流を確認しながら大切な遠距離武器の整備をする。
俺はラドン。ギルドマスターを務める、数少ない圧倒的強者である。そんな俺は今……
「胃が痛ぇ……。」
デカい仕事で胃痛を訴えている…………!
遡ること数時間前。
とてもいい天気で何か良い事でもありそうだ!なんて適当を言いながら出勤した。一ヶ月前の土砂降りの日に強烈な事があってからは、晴れの日がどうにも心の支えになっていた。
強烈な事が何かって?それは話せば長くなるが……。
まぁ、悪魔が人間を喰うところを目撃するって事があってな。今じゃあその悪魔は良きお隣さんとか言う、まるで意味分からんことになっているが。
まあそんなこんなで何となく「良い日になるだろう!」とか言う気持ちで職場に来た訳だが。机に向かってまず最初に目に入った物は、この国の王家の紋様が入った便箋。この時点で嫌な予感はした。封を開け手紙を読むと、たちまち俺の脳は思考を停止した。
内容を簡単にしてみよう。
『ギルドタウンに白色が二人も来たって聞いたから、今日の昼過ぎに騎士団長と視察に行くことにしたよ。ギルドマスターはその二人を探して呼んでおいてね!国王より』
…………
前日に伝えろと嫌ほど言ったよな!?あんの若造はァ!
……ってな訳で今日の昼までにお隣さん二人をここまで呼ばないといけない訳だ。なぁんだ簡単……じゃないから胃が痛いんだけどな?
えー、白色のお隣さん。
片方は悪魔で、今は外出が難しい。
片方は勇者で、勝手に城から出た奴。
…………
いや陛下に会わせていいのか!?
勇者の方のイオリはまだ良いだろう。無断外出したから謹慎くらいはあるかもだけど。
でも悪魔の方のミカはアウトだろ!普通に過ごせば人間に見えるけど!国の敵だからなあいつ!?
とは言え、陛下の命令には逆らえない。こんな正式な手紙まで貰って逆らえば最悪、国家反逆で一族郎党この国から追放だ。
ってな訳で、とても良い天気の中、胃薬飲んであの二人を呼んでくる。
「あれ、ラドンじゃねーか。顔色悪いけどどした?」
どう見ても悪魔には見えない神秘的な容貌の青年…に見えるめっちゃ歳上のミカ。見た目の割に言動が荒いと言うかなんというか……。
まぁ、こんなでも悪魔の国で一番強いらしい。魔王より敵にしちゃいけねぇ相手だ。神秘的な見た目の中で、首筋の赤い点や噛み跡が目立っている。お盛んだな爺さん。
「ラドン?おはよう……こんな早くに珍しいな。」
どう見ても寝起きの真っ黒な目付きの悪い青年、イオリ。どっちかと言えばこいつの方が悪魔と言われて納得できる。
寝起きでボケているが、人間の中で一・二を争う実力者だ。脱走兵ならぬ、脱走勇者だ。なんだ脱走勇者って。
ミカに振り回されてる仲間だったりする。
「陛下が新たな白色を知ったみたいでな、それで二人と面会を望んでおいでだ。」
「げっ、人間の国の王がかよ。その面会っていつかわかるか?」
「今日の昼過ぎ、だ。」
「「は!?」」
イオリの意識が一瞬でハッキリするほどの話だ。相当ヤバい。
それは置いといて、どう紹介するかが問題だ。白色三人が固まっていればギルド員からの注目は避けられない。ギルド員はここ三人が面識ある事を知っている。初めて会ったは通用しないだろう。もう、腹を括るしか無い。
つか、行方不明の勇者を報告しなかったとなれば職務怠慢になるのか!?
「とりあえず、口裏合わせはしておくか……。」
「というか、俺とラドンは言い訳考えないとだ。」
「念のために、オレとイオリの事も話を捏造しねぇとな。」
さて、そんなこんなで話を固めればちょうど昼だ。早めに向かって、ギルド本部で昼食を取る事にした。
下の階にある酒場から賄いのサンドイッチを二人分譲ってもらい、俺とイオリは急いで食べる。こういう時、普通の食事が不要なミカが羨ましく感じる。
食事中はミカは馬車の動きを見ていた。パッと見はただ座って眠っている様だが、意識を切り離し外を見る事が出来るらしい。
「……表門なら十一分後、裏門なら十八分後に到着ってとこだな。」
「すげぇな、そんな事まで分かるのか……。よし、二人は三階の会議室で待っててくれ!」
会議室の場所をざっくりと教えてから、俺は裏門に向かった。ポケットに忍ばせておいた胃薬を飲んでな。
嗚呼、もう少しまともな上司が良かったぜ………。
雲一つ無い快晴の朝。
今日もいつも通り、早朝の五時までにギルド本部で仕事を始める。書類をまとめ、手紙を管理したら朝食を取る。ギルド員に仕事を預け、冒険者の流れや物流を確認しながら大切な遠距離武器の整備をする。
俺はラドン。ギルドマスターを務める、数少ない圧倒的強者である。そんな俺は今……
「胃が痛ぇ……。」
デカい仕事で胃痛を訴えている…………!
遡ること数時間前。
とてもいい天気で何か良い事でもありそうだ!なんて適当を言いながら出勤した。一ヶ月前の土砂降りの日に強烈な事があってからは、晴れの日がどうにも心の支えになっていた。
強烈な事が何かって?それは話せば長くなるが……。
まぁ、悪魔が人間を喰うところを目撃するって事があってな。今じゃあその悪魔は良きお隣さんとか言う、まるで意味分からんことになっているが。
まあそんなこんなで何となく「良い日になるだろう!」とか言う気持ちで職場に来た訳だが。机に向かってまず最初に目に入った物は、この国の王家の紋様が入った便箋。この時点で嫌な予感はした。封を開け手紙を読むと、たちまち俺の脳は思考を停止した。
内容を簡単にしてみよう。
『ギルドタウンに白色が二人も来たって聞いたから、今日の昼過ぎに騎士団長と視察に行くことにしたよ。ギルドマスターはその二人を探して呼んでおいてね!国王より』
…………
前日に伝えろと嫌ほど言ったよな!?あんの若造はァ!
……ってな訳で今日の昼までにお隣さん二人をここまで呼ばないといけない訳だ。なぁんだ簡単……じゃないから胃が痛いんだけどな?
えー、白色のお隣さん。
片方は悪魔で、今は外出が難しい。
片方は勇者で、勝手に城から出た奴。
…………
いや陛下に会わせていいのか!?
勇者の方のイオリはまだ良いだろう。無断外出したから謹慎くらいはあるかもだけど。
でも悪魔の方のミカはアウトだろ!普通に過ごせば人間に見えるけど!国の敵だからなあいつ!?
とは言え、陛下の命令には逆らえない。こんな正式な手紙まで貰って逆らえば最悪、国家反逆で一族郎党この国から追放だ。
ってな訳で、とても良い天気の中、胃薬飲んであの二人を呼んでくる。
「あれ、ラドンじゃねーか。顔色悪いけどどした?」
どう見ても悪魔には見えない神秘的な容貌の青年…に見えるめっちゃ歳上のミカ。見た目の割に言動が荒いと言うかなんというか……。
まぁ、こんなでも悪魔の国で一番強いらしい。魔王より敵にしちゃいけねぇ相手だ。神秘的な見た目の中で、首筋の赤い点や噛み跡が目立っている。お盛んだな爺さん。
「ラドン?おはよう……こんな早くに珍しいな。」
どう見ても寝起きの真っ黒な目付きの悪い青年、イオリ。どっちかと言えばこいつの方が悪魔と言われて納得できる。
寝起きでボケているが、人間の中で一・二を争う実力者だ。脱走兵ならぬ、脱走勇者だ。なんだ脱走勇者って。
ミカに振り回されてる仲間だったりする。
「陛下が新たな白色を知ったみたいでな、それで二人と面会を望んでおいでだ。」
「げっ、人間の国の王がかよ。その面会っていつかわかるか?」
「今日の昼過ぎ、だ。」
「「は!?」」
イオリの意識が一瞬でハッキリするほどの話だ。相当ヤバい。
それは置いといて、どう紹介するかが問題だ。白色三人が固まっていればギルド員からの注目は避けられない。ギルド員はここ三人が面識ある事を知っている。初めて会ったは通用しないだろう。もう、腹を括るしか無い。
つか、行方不明の勇者を報告しなかったとなれば職務怠慢になるのか!?
「とりあえず、口裏合わせはしておくか……。」
「というか、俺とラドンは言い訳考えないとだ。」
「念のために、オレとイオリの事も話を捏造しねぇとな。」
さて、そんなこんなで話を固めればちょうど昼だ。早めに向かって、ギルド本部で昼食を取る事にした。
下の階にある酒場から賄いのサンドイッチを二人分譲ってもらい、俺とイオリは急いで食べる。こういう時、普通の食事が不要なミカが羨ましく感じる。
食事中はミカは馬車の動きを見ていた。パッと見はただ座って眠っている様だが、意識を切り離し外を見る事が出来るらしい。
「……表門なら十一分後、裏門なら十八分後に到着ってとこだな。」
「すげぇな、そんな事まで分かるのか……。よし、二人は三階の会議室で待っててくれ!」
会議室の場所をざっくりと教えてから、俺は裏門に向かった。ポケットに忍ばせておいた胃薬を飲んでな。
嗚呼、もう少しまともな上司が良かったぜ………。
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