【完】天使な淫魔は勇者に愛を教わる。

輝石玲

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悪魔、人間の本拠地へ

27.人探し

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 数時間休んでようやく体が回復した。まだ若干腰に違和感が残ってるけど、それもそのうち治るだろう。本当に…この体はイオリに変えられすぎだ。
 番人になる前は適当な悪魔を捕まえては体を重ねてた。でもオレは全くの不感で、締まらないからナカで気持ち良くさせるのが難しくって、自分から動く事でなんとかしてた。
 イオリとしてる時はオレは大体寝てるだけ。オレから動こうとしても気持ち良すぎてすぐ動けなくなる。そんなのイオリ相手の時だけだ。

「ミカ、体は大丈夫?」
「あぁ。だいぶ良くなったよ。」
「悪いな、毎回……。負担を掛けないように調整したくとも、どうにも抑えが効かなくなる。」

 え、何それ、嬉しい。
 イオリは欲望のまま獣みたいにオレを抱くけど、でもそれは一方的なものじゃ無い。ちゃんとオレを気持ち良くさせようとしてるのが凄く伝わって来る。
 過敏なとこを掠めた時、奥まで挿入ってきた時の圧迫感、負担が大きすぎる時もキスで落ち着かせてくれる。オレの体が反応した時それに合わせるように動いてくれてる事、もしかしてイオリは自覚が無い?
 サキュバスとしての体質を変えて良かった。あんな性行為を知ったら、他の人となんてぜっっっったいにしたく無いなんて思う。
 どう転んでもイオリとの別れは絶対に来る。イオリは人間だから、寿命があるから。人間の一生なんかオレからしたらほんの僅かな時間。
 オレは…どうしよう。短い時間をできる限り共に過ごすか、それとも別れの時が来てもいいよう距離を置くか。間違ってもイオリを人間から外すような事はしたくない。この世界で生まれたわけじゃ無いイオリを人間じゃ無くしても、悪魔にはできないから。イオリをどの種族にも属さない存在に変えるなんて、絶対にダメだ。

 ……やっぱり、短い時間でもそばに居たいな。あと……3ヶ月?そうだ。寿命まで居れる訳じゃ無かった。3ヶ月後の勇者のお披露目、そこが区切りになるだろう。それまでにやる事を終わらせないと。


「なぁイオリ。一つ頼まれてくれない?」
「何?俺にできる事なら何でもするぞ。」
「ありがとう…。探して欲しい物があるんだ。」

 オレはいつかここに来る予定だった。ちょっと予定と変わったけど、目的を果たすにはちょうど良い時期かも知れない。

「悪魔と人間の中立についてはオレが直接リルジに持ち掛ける。その間にイオリには『天使マイヤの絵』を探して欲しい。」
「天使マイヤの絵?」
「そう。天使マイヤが描いた絵の内のどれか一つが目的の物だ。」

 水に愛された天使マイヤ。芸術をこよなく愛する彼の絵の中にあるはず……。確信は無いけど、マイヤなら…と予測できる。天使の中で最も深い関わりがあったマイヤが残した物。……きっと、見つけ出す。

「秘密裏に動いた方がいいか?」
「いや、隠さなくていい。なんなら誰かに協力してもらってもいい。」
「分かった。」


 3ヶ月でオレは目的を果たさないと。余計にイオリと居れる時間は短くなるだろう。やっぱり寂しいな。
 ……なら、さっさと終わらせれば良いんだ!そうすればゆっくりイオリと居られる。そう思うと俄然やる気が出てきた。




 パッパと身なりを整えて、リルジのところへと向かった。人間と悪魔で敵対しなくなれば…オレの知らないところで種族間の争いが無ければ、使。奴らと対等に戦えるのはオレしかいないんだから、何としてでもオレがやらないと。その後はまぁ、人里で暮らすなんて出来なくなるだろうけど。

 そう言えばリルジはどこにいるんだろ。なんて考えてると、知ってそうな人と偶然会った。

「あ、ヒルメル。ちょうど良かった、聞きたいことが………って、どした?」

 オレを見るなり硬直したヒルメル。なにやら動揺した様子でオレを指差した。……いや、正確にはオレの首元を、だな。


「な、なな……なんてふしだらな!」
「へ?」
「羞恥心というものが無いのですか!?そ、それ!隠してくださいよ!」

 どうも、広範囲に付けられたキスマークが見えてたらしい。一応マントで首元は隠れてるんだけど……それじゃ隠しきれなかったか。
 それにしても、この程度で顔赤くして慌てるなんて…こいつ、童貞かなんかか?


「あー…えっと、すまん。」
「い、イオリさんと…ですか。」
「それ以外に無いだろ。」

 てか、なんでオレが謝ったんだよ。
 それに………なんでコイツからリルジの気配がするんでしょうね~……。
 って、今はいいや。

「ところでヒルメル、リルジがどこにいるか分かるか?」
「え?陛下ならこの時間帯は自室か執務室にいると思いますよ。」
「そうか、ありがとう。それと……」


 オレはヒルメルに近付いて、そっと首元に触れた。


「コレ、黙ってた方がいいか?」
「………はい?これって……?」

。リルジのだろ?」


 耳元でボソッと告げると、顔を真っ赤にして動揺した。わっかりやすいなー。まぁ、オレが淫魔だから気付いた事だけどさ。まさかリルジとヒルメルがデキてたとは。妻子持ちで何やってんだか、リルジは。

「な…え……え………!?」
「で、黙ってた方がいいか?」
「当たり前ですよ!」


 あー面白い。狂信者みたいなこいつは腹立つけど、人間臭さがあればなかなかどうして楽しいものだ。初な反応しておきながら王様と、ねぇ?よし、なんかあったら脅しの道具にでもしてやるか。


 とりあえず、ヒルメルに教えてもらった通りに向かった。
 どうやら執務室にはいないらしい。全く人の気配がしない。と、なれば自室か。

 リルジの部屋に着くと、確かにそこから気配がした。ノックして名乗り、部屋の中に入る。
 やっぱ王様だな。部屋がアホみたいに広いし、なんかよく分からないけどキラキラしてる。やっぱりオレにはこの価値もセンスもよく分からないな。


「あれ、どうしたの?」
「…っと、悪い。着替え中だったか。」

 リルジは部屋でタイを結んでいた。髪の毛も跳ね放題で、ぱっと見は服以外に高貴さも何も無い。つか、いいのかこんなのんびりで。


「全然問題無いよ。」
「そうか。まぁ、お前が今一人で良かった。他のやつがいると話し辛いからな。」
「それは…君の国のこと、とか?」
「そ。」


 やっぱり話しはしやすい。雰囲気で掻き消されていてもやはり優秀な王だ。とりあえず、リルジの部屋に防音魔法をかけた。ちゃんと許可を得てな。
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