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終わりへ
66.龍人vs龍神
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ーーーーーイオリーーーーー
櫻に飛ばされ、ミカから離れてしまった。
ミカの方はきっと大丈夫だろう。だが、櫻は全くの未知だ。少なくともサシで戦って勝てる相手では無いことだけ確か。
………使いたくは無いが、万が一のためにあれを仕掛けておこう。
「どうした?父親とは戦いたく無いか?」
「いや、なんで戦う相手に俺を選んだんだろうと…。同じ力を持つ俺が相手じゃ手の内が明かされてるようなもの。相性が悪いはずだ。」
……なんて、そんなわけ無いけどな。同じ力と言えど、俺はやつの半分すら力を持っていないだろう。泥試合になる前にやられるのがオチだろうな。
でもせめて、ギリギリでも突破できる方法を探すために時間を稼がなければ。
「何故お前を選んだか?……それは、あの天使とお前がやり合っても万に一つも勝ち目が無いからだ。あのまま戦わせていたらお前は殺されていただろう。そうしたら……」
分かってる。この男はすでに俺の知ってる咲良さんとは別だと。
だから、次の言葉も何となく予想がつく。
「そうしたら、私の手でお前を殺せない!」
………だと思った。
「大方、力を継いだはいいものの、自分の思い通りに動かなそうだからいらない。そんなとこか?」
「あぁそうだ。流石はイオリ、心無く常識に囚われないお前なら分かってくれると思っていた。」
「心無いは余計だな。大切なものとそうで無いものの区別がはっきりしてるだけだ。」
それに、考えは読めてもそれに従う気は全くない。
最優先はミカ。そして俺はミカが望むように生きて戦いを終わらせないといけない。
ここで殺されてたまるか。
戦闘体制になった櫻は、どこからか刃が桜色の日本刀を出した。あれは俺もできる。同じように俺は刃が漆黒の日本刀を呼び出した。
この形の剣は実際に使ったことがないが、元素武器魔法で作る武器より全然強い。
「すぐには殺さない。今の実力を見せてもらおうか。」
当たり前のように余裕そうだ。でもまだ殺さないなら、あの魔法を完全なものにできる……。
すでに俺は諦めかけていた。ミカさえ無事ならそれでいいと。
ごめん、ミカ。もしかしたら約束を破ることになるかもしれない。
それでもすぐに死ぬわけにはいかない。俺は最初から全開で櫻に攻撃を仕掛けた。
最初の攻撃、渾身の一撃はあっさり防がれてしまう。が、そんなことは想定内だ。そのまま何度も刀をぶつけ合うが、まるで手応えがない。
「どうした。不慣れな力は扱いづらいか?」
「そんな言い訳をする気は無い!」
「ふっ、流石だな。」
どこまでも余裕な櫻。このままじゃ簡単に殺されてしまう。それだけは避けないと……
俺は斬り掛かっている最中に気配を消した。そのまま背後から斬ろうとしたが、それも防がれてしまう。
「おっと、これはなかなか良かったぞ。」
「チッ…、まだだ!」
正直翼が鬱陶しい。が、中途半端に人間だからか櫻のように翼なしでは飛べない。
それでも、未だ余裕の笑みを浮かべる櫻に攻撃を続けた。しかしそこから戦況に変化が無くなり、とうとう櫻から俺に攻撃が来た。たった一振り、一撃で俺の刀を綺麗に斬った櫻は、そのまま俺の首を目掛けて刀を振る。何とか避けて直撃は免れたものの、右腕を深く斬られ刀を手放してしまった。
利き腕はもう使えない。左腕で、あと数秒でも時間を稼げれば……
そう考えながら櫻と距離を置いたその時、視界の端に嫌なものが見えてしまった。
「ミ、カ…………」
上半身を大きく斬られ、島の端に倒れるミカ。慌てて駆け寄るが、いくら揺すっても反応が無い。それどころか、魔力も聖力も感じられない。
ミカが、死んだ………
「ほう…、あの天使と相打ちしたか。大天使と言えど戦闘目的に作られていない以上は当然の結果か。」
こんな状況で冷静に分析している櫻。それに対し俺は、ヴィントの生死など気にする余裕も無かった。
ミカが死ぬなんて想定外だ。……でも、ミカが死んだなら、約束を破ることになっても咎められないよな?すぐにミカのところに行っても、いいよな。
「可哀想に。すぐにお前の愛する者と同じところへ送ってやろう。」
………それでいい。時間は十分に稼いだ。あとはお前がその刀で俺を殺すだけだ。
櫻は俺の心臓を貫くと、その刀は砕け散った。そして櫻自身も強制的に花びらへと姿を変えられ、どこか適当な世界へと飛ばされた。
俺の最後の足掻きだ。これでやつは二度とあの刀は使えずこの世界にも来れない。
本当は俺の命が散ってもミカだけでも助かるように賭けた魔法だった。
でもミカは死に、俺ももう意識が消えそうだ。あの魔法が発動した時点で俺の死は確定している。
俺は最後の力を振り絞り、冷たくなったミカの体を抱きしめた。
また、会えるだろうか。生まれ変わっても、またお前と愛し合えるだろうか。
今度こそ、共に生きられるだろうか。
神はもういないと知っている。それでも、運命を決める何かがいるのなら………
俺からミカを、奪わないでくれ………………
俺と櫻の戦いは、俺の死によって櫻を強制退場させたことにより俺の負けに終わった。
そして、この世界から神も天使も完全に消滅することとなった。
ーーーーー??ーーーーー
これが結末か。お前はそれで良いのか?
「…………だれ?」
答えなさい。お前は、自身も愛する人も失って終わって良いのか?
大天使の死は魂の死、異邦人の魂はこの世で輪廻しない。
次は無い。それで本当に良いのか?
「いやだ……」
ならば誓え。
その正体を決して誰にも明かしてはならん。
悟られてもならん。
『 』の存在は忘れ去られ、お前は名も無き天上の存在となるのだ。
「…………だれ?」
我は世界から忘れ去られた存在。
お前と、異邦人のみが覚えている存在だ。
「回りくどいな。今更濁す必要もないだろ、親父。」
……………本当に、口汚くなったものだ。
だが、我を『 』と呼ばないでくれたのか。
「だってオレももう『 』じゃないからな。」
あぁ。
我はもうこの世界に混ざる。だが消えるわけではない。
お節介だろうが、いつまでもお前たちを見守ろう。ミカよ。
櫻に飛ばされ、ミカから離れてしまった。
ミカの方はきっと大丈夫だろう。だが、櫻は全くの未知だ。少なくともサシで戦って勝てる相手では無いことだけ確か。
………使いたくは無いが、万が一のためにあれを仕掛けておこう。
「どうした?父親とは戦いたく無いか?」
「いや、なんで戦う相手に俺を選んだんだろうと…。同じ力を持つ俺が相手じゃ手の内が明かされてるようなもの。相性が悪いはずだ。」
……なんて、そんなわけ無いけどな。同じ力と言えど、俺はやつの半分すら力を持っていないだろう。泥試合になる前にやられるのがオチだろうな。
でもせめて、ギリギリでも突破できる方法を探すために時間を稼がなければ。
「何故お前を選んだか?……それは、あの天使とお前がやり合っても万に一つも勝ち目が無いからだ。あのまま戦わせていたらお前は殺されていただろう。そうしたら……」
分かってる。この男はすでに俺の知ってる咲良さんとは別だと。
だから、次の言葉も何となく予想がつく。
「そうしたら、私の手でお前を殺せない!」
………だと思った。
「大方、力を継いだはいいものの、自分の思い通りに動かなそうだからいらない。そんなとこか?」
「あぁそうだ。流石はイオリ、心無く常識に囚われないお前なら分かってくれると思っていた。」
「心無いは余計だな。大切なものとそうで無いものの区別がはっきりしてるだけだ。」
それに、考えは読めてもそれに従う気は全くない。
最優先はミカ。そして俺はミカが望むように生きて戦いを終わらせないといけない。
ここで殺されてたまるか。
戦闘体制になった櫻は、どこからか刃が桜色の日本刀を出した。あれは俺もできる。同じように俺は刃が漆黒の日本刀を呼び出した。
この形の剣は実際に使ったことがないが、元素武器魔法で作る武器より全然強い。
「すぐには殺さない。今の実力を見せてもらおうか。」
当たり前のように余裕そうだ。でもまだ殺さないなら、あの魔法を完全なものにできる……。
すでに俺は諦めかけていた。ミカさえ無事ならそれでいいと。
ごめん、ミカ。もしかしたら約束を破ることになるかもしれない。
それでもすぐに死ぬわけにはいかない。俺は最初から全開で櫻に攻撃を仕掛けた。
最初の攻撃、渾身の一撃はあっさり防がれてしまう。が、そんなことは想定内だ。そのまま何度も刀をぶつけ合うが、まるで手応えがない。
「どうした。不慣れな力は扱いづらいか?」
「そんな言い訳をする気は無い!」
「ふっ、流石だな。」
どこまでも余裕な櫻。このままじゃ簡単に殺されてしまう。それだけは避けないと……
俺は斬り掛かっている最中に気配を消した。そのまま背後から斬ろうとしたが、それも防がれてしまう。
「おっと、これはなかなか良かったぞ。」
「チッ…、まだだ!」
正直翼が鬱陶しい。が、中途半端に人間だからか櫻のように翼なしでは飛べない。
それでも、未だ余裕の笑みを浮かべる櫻に攻撃を続けた。しかしそこから戦況に変化が無くなり、とうとう櫻から俺に攻撃が来た。たった一振り、一撃で俺の刀を綺麗に斬った櫻は、そのまま俺の首を目掛けて刀を振る。何とか避けて直撃は免れたものの、右腕を深く斬られ刀を手放してしまった。
利き腕はもう使えない。左腕で、あと数秒でも時間を稼げれば……
そう考えながら櫻と距離を置いたその時、視界の端に嫌なものが見えてしまった。
「ミ、カ…………」
上半身を大きく斬られ、島の端に倒れるミカ。慌てて駆け寄るが、いくら揺すっても反応が無い。それどころか、魔力も聖力も感じられない。
ミカが、死んだ………
「ほう…、あの天使と相打ちしたか。大天使と言えど戦闘目的に作られていない以上は当然の結果か。」
こんな状況で冷静に分析している櫻。それに対し俺は、ヴィントの生死など気にする余裕も無かった。
ミカが死ぬなんて想定外だ。……でも、ミカが死んだなら、約束を破ることになっても咎められないよな?すぐにミカのところに行っても、いいよな。
「可哀想に。すぐにお前の愛する者と同じところへ送ってやろう。」
………それでいい。時間は十分に稼いだ。あとはお前がその刀で俺を殺すだけだ。
櫻は俺の心臓を貫くと、その刀は砕け散った。そして櫻自身も強制的に花びらへと姿を変えられ、どこか適当な世界へと飛ばされた。
俺の最後の足掻きだ。これでやつは二度とあの刀は使えずこの世界にも来れない。
本当は俺の命が散ってもミカだけでも助かるように賭けた魔法だった。
でもミカは死に、俺ももう意識が消えそうだ。あの魔法が発動した時点で俺の死は確定している。
俺は最後の力を振り絞り、冷たくなったミカの体を抱きしめた。
また、会えるだろうか。生まれ変わっても、またお前と愛し合えるだろうか。
今度こそ、共に生きられるだろうか。
神はもういないと知っている。それでも、運命を決める何かがいるのなら………
俺からミカを、奪わないでくれ………………
俺と櫻の戦いは、俺の死によって櫻を強制退場させたことにより俺の負けに終わった。
そして、この世界から神も天使も完全に消滅することとなった。
ーーーーー??ーーーーー
これが結末か。お前はそれで良いのか?
「…………だれ?」
答えなさい。お前は、自身も愛する人も失って終わって良いのか?
大天使の死は魂の死、異邦人の魂はこの世で輪廻しない。
次は無い。それで本当に良いのか?
「いやだ……」
ならば誓え。
その正体を決して誰にも明かしてはならん。
悟られてもならん。
『 』の存在は忘れ去られ、お前は名も無き天上の存在となるのだ。
「…………だれ?」
我は世界から忘れ去られた存在。
お前と、異邦人のみが覚えている存在だ。
「回りくどいな。今更濁す必要もないだろ、親父。」
……………本当に、口汚くなったものだ。
だが、我を『 』と呼ばないでくれたのか。
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我はもうこの世界に混ざる。だが消えるわけではない。
お節介だろうが、いつまでもお前たちを見守ろう。ミカよ。
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