57 / 428
転生者モチ編
第56話:新薬の効果(画像あり)
しおりを挟む
しばらく号泣した後、俺はイオに前世でも完全回復薬を飲まされた話をした。
その時のアズと同じことをイオが答えたから、涙腺にきたと説明もした。
『エカ、完治したなら、そろそろアレを片付けてくれない?』
疲れた様子が感じられる念話でフラムが言う。
その翼越しに空を見上げると、魔族たちがまだ攻撃を続けていた。
イオが触れているので、俺もフラムも完全回避の効果に護られ、魔法は全部はずれているけれど。
俺たちは傘のように広げられたフラムの翼に隠されていて、イオが加わったことはまだ知られていない。
魔族たちはフラムの行動を妨害する目的で魔法を撃っているので、当たらなくなったことに気付かなかった。
俺を刺した魔族も気付かず、一緒になって魔法を撃っているようだ。
「そうだ、あいつらのせいでアズに唇を奪われたんだ……」
「人命救助だし! 俺はアズじゃない!」
男に唇を奪われた八つ当たりを、俺は魔族たちに向けた。
完全回避効果が切れないように、イオが背後から抱きつきながら名前が違うと主張する。
俺の中でイオとアズが同じ心の棚に入っていて、名前を言い間違えたが気にする余裕は無い。
「魔族は全て消え失せろ! 爆破消滅!」
俺はまた全力の爆裂魔法を放った。
生命力を使い切っても、イオが護ってくれるから大丈夫だろう。
俺は心肺停止状態となり、イオの腕に身を委ねて気を失った。
今度は、蘇生直後に魔族に刺されることは無かった。
しかし、俺を蘇生したのはフラムじゃない。
俺が意識を取り戻したら、イオに口付けされている真っ最中だった。
口を塞ぐように唇を重ねられ、喉に薬を流し込まれた直後のようだ。
完全回復薬とは違う、蜜のように甘い味がする。
とろけるような快感を伴う、この薬はなんだ?
意識はあるのに、抵抗できない。
というよりも、気持ち良くて抵抗する気にならない。
無抵抗で唇を重ねられたまま、甘い薬が喉から胃へと流れていくのを感じるだけだった。
「……なん……で……?」
唇が離れた後、ほろ酔いみたいな心地よさを感じながら、俺は聞いた。
生命力が尽きた俺に使ったのなら、イオが飲ませたのは蘇生薬だろう。
フラムがいるから蘇生は任せていいのに、何故飲ませた?
「エアに新薬を試してほしいって頼まれたから」
答えるイオも、少し顔が赤い。
俺はエアに渡されかけたあの薬を思い出した。
気持ち良く口移しできる蘇生薬とか言ってたな、これがそうか。
さっき完全回復薬を飲まされた時は、男に唇を奪われてショックだったのに。
今はメンタルダメージなどは無く、とろんとした心地よい感覚に身を委ねてしまっている。
「奪われてばっかりで悔しいから、俺も奪わせてもらうぞ」
「え?」
後から思い出したらトンデモナイことを、この時の俺は言って実行した。
キョトンとするイオの後ろ頭に手を添えて、こちらへ引き寄せて唇を重ねる。
イオは抵抗するどころか、受け入れるように俺を抱き締めた。
この新薬は、相手を恋人と錯覚させるような快感を与えるらしい。
多分、身体に無害だから完全回避は仕事しなかったんだろう。
フラムはといえば、見なかったことにするかのように目を逸らしていた。
御腐人方が喜びそうな世界に片足を突っ込んだ後、正気に返ってもメンタルにダメージは無かった。
むしろ口付けの心地よさだけが残っている。
まるで「いい思い出」みたいに感じるほど。
が、俺たちはそれを「事故」ということにして、記憶の隅に片付けた。
エアよ、この薬は調整を要するぞ!
その時のアズと同じことをイオが答えたから、涙腺にきたと説明もした。
『エカ、完治したなら、そろそろアレを片付けてくれない?』
疲れた様子が感じられる念話でフラムが言う。
その翼越しに空を見上げると、魔族たちがまだ攻撃を続けていた。
イオが触れているので、俺もフラムも完全回避の効果に護られ、魔法は全部はずれているけれど。
俺たちは傘のように広げられたフラムの翼に隠されていて、イオが加わったことはまだ知られていない。
魔族たちはフラムの行動を妨害する目的で魔法を撃っているので、当たらなくなったことに気付かなかった。
俺を刺した魔族も気付かず、一緒になって魔法を撃っているようだ。
「そうだ、あいつらのせいでアズに唇を奪われたんだ……」
「人命救助だし! 俺はアズじゃない!」
男に唇を奪われた八つ当たりを、俺は魔族たちに向けた。
完全回避効果が切れないように、イオが背後から抱きつきながら名前が違うと主張する。
俺の中でイオとアズが同じ心の棚に入っていて、名前を言い間違えたが気にする余裕は無い。
「魔族は全て消え失せろ! 爆破消滅!」
俺はまた全力の爆裂魔法を放った。
生命力を使い切っても、イオが護ってくれるから大丈夫だろう。
俺は心肺停止状態となり、イオの腕に身を委ねて気を失った。
今度は、蘇生直後に魔族に刺されることは無かった。
しかし、俺を蘇生したのはフラムじゃない。
俺が意識を取り戻したら、イオに口付けされている真っ最中だった。
口を塞ぐように唇を重ねられ、喉に薬を流し込まれた直後のようだ。
完全回復薬とは違う、蜜のように甘い味がする。
とろけるような快感を伴う、この薬はなんだ?
意識はあるのに、抵抗できない。
というよりも、気持ち良くて抵抗する気にならない。
無抵抗で唇を重ねられたまま、甘い薬が喉から胃へと流れていくのを感じるだけだった。
「……なん……で……?」
唇が離れた後、ほろ酔いみたいな心地よさを感じながら、俺は聞いた。
生命力が尽きた俺に使ったのなら、イオが飲ませたのは蘇生薬だろう。
フラムがいるから蘇生は任せていいのに、何故飲ませた?
「エアに新薬を試してほしいって頼まれたから」
答えるイオも、少し顔が赤い。
俺はエアに渡されかけたあの薬を思い出した。
気持ち良く口移しできる蘇生薬とか言ってたな、これがそうか。
さっき完全回復薬を飲まされた時は、男に唇を奪われてショックだったのに。
今はメンタルダメージなどは無く、とろんとした心地よい感覚に身を委ねてしまっている。
「奪われてばっかりで悔しいから、俺も奪わせてもらうぞ」
「え?」
後から思い出したらトンデモナイことを、この時の俺は言って実行した。
キョトンとするイオの後ろ頭に手を添えて、こちらへ引き寄せて唇を重ねる。
イオは抵抗するどころか、受け入れるように俺を抱き締めた。
この新薬は、相手を恋人と錯覚させるような快感を与えるらしい。
多分、身体に無害だから完全回避は仕事しなかったんだろう。
フラムはといえば、見なかったことにするかのように目を逸らしていた。
御腐人方が喜びそうな世界に片足を突っ込んだ後、正気に返ってもメンタルにダメージは無かった。
むしろ口付けの心地よさだけが残っている。
まるで「いい思い出」みたいに感じるほど。
が、俺たちはそれを「事故」ということにして、記憶の隅に片付けた。
エアよ、この薬は調整を要するぞ!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
魔道具は歌う~パーティ追放後に最高ランクになった俺を幼馴染は信じない。後で気づいてももう遅い、今まで支えてくれた人達がいるから~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界転生者シナグルのスキルは傾聴。
音が良く聞こえるだけの取り柄のないものだった、
幼馴染と加入したパーティを追放され、魔道具に出会うまでは。
魔道具の秘密を解き明かしたシナグルは、魔道具職人と冒険者でSSSランクに登り詰めるのだった。
そして再び出会う幼馴染。
彼女は俺がSSSランクだとは信じなかった。
もういい。
密かにやってた支援も打ち切る。
俺以外にも魔道具職人はいるさ。
落ちぶれて行く追放したパーティ。
俺は客とほのぼのとした良い関係を築きながら、成長していくのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
