253 / 428
本作の元になった夢の話
真冬の夜の夢⑩
しおりを挟むようやく起きたブラックT。
寝ぼけながら辺りを見回して、俺たちに気付いた。
「誰だ貴様等?」
ブラックTが、眠そうな顔で言う。
こいつ、俺とモチを抹殺しに来たんじゃなかったか?
「俺たちを探しに来たくせに、誰だはねぇだろ」
蹴りを入れるモチ。
しかしブラックTは動じない。
まあでも、それでちゃんと起きたみたいだ。
「ああ、貴様等が双子の勇者の生まれ変わりか。ふはははははは!」
が、不気味な笑い声を上げて、ブラックTが指差したのはカジュちゃんとユズだ。
「「……違うっちゅ~ねん」」
ツッコミと蹴りを同時に入れる俺とモチ。
2人がかりで後ろから蹴ったら、ブラックTはベッドの上に突っ伏した。
「何だ貴様等、足癖が悪いな」
ムクッと起き上がったブラックTは、俺たちを見てハッとする。
「……むっ、その顔……貴様等、憎き双子だなっ」
今頃気付いたのかよ。
っていうか顔知ってんのかよ。
「「顔知ってんなら間違えんな」」
再び、ツッコミと蹴りを同時に入れる俺とモチ。
再び、蹴られたブラックTはベッドの上に倒れた。
「くくくっ、遂に見つけたぞ」
とか言ってるけど、本気で探していたのか疑わしいぞ。
カジュちゃんはともかく、インコを間違えるのはどうかと思う。
「貴様等に復讐すると誓ってから1000年間、夜も眠れなかった我が憎しみを思い知るがいい」
バサァッと黒いマントを翻し、邪悪な笑みを浮かべるブラックT。
カッコつけてるけどさ、あんたさっきまでぐーぐー寝てたよな?
「さっきまで熟睡してたくせに」
呆れ顔でモチも言う。
「目を閉じていただけだ」
言い返すブラックT。
うわ~白々しい。
「嘘つけ、イビキかいてたくせに」
「イビキなどかいておらん」
俺も言ってやったら、それでも寝てた事を否定する。
「かいてたよっ」
「かいとらんっ」
「寝てた!」
「寝とらん!」
不毛な言い争いが、しばらく続いた。
「ふっ、無駄話もここまでだ。我が手下どもよ、こやつらを始末しろ」
言い争いをやめて、ブラックTは命じた。
………が。
手下のヘビはみんな、カジュちゃんに倒された後だ。
「……ぬうっ、いつの間に……!」
床に転がってるヘビたちを見て、歯軋りするブラックT。
「……ってか、やっぱり寝てたろ」
モチがボソリとツッコミを呟いた。
「我が手下を倒すとはな……」
それをシカトしてブラックTは言う。
「さすがは勇者の生まれ変わり、という事か?」
なんか、手下を倒した者が誰か間違ってるような?
(ヘビを倒したのは俺たちじゃないんだけどな)
俺とモチは心の中で呟いて、背後にいるカジュちゃんをチラリと見た。
チラ見されてもすました顔で、ユズとたわむれるカジュちゃんなのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ベテラン精霊王、虐げられ皇子の子育てに励みます
はんね
ファンタジー
大陸で最も広大な領土と栄華を誇るアストラニア帝国。
その歴史は、初代皇帝ニコラスと精霊王バーティミアスが“疫病王ヴォラク”を討ち倒したことから始まった。ニコラスとバーティミアスは深い友情を結び、その魂を受け継ぐ皇子たちを永遠に見守り、守護する盟約を交わした。
バーティミアスは幾代もの皇帝を支え、帝国は長き繁栄を享受してきた。しかし、150年の眠りから目覚めた彼の前に現れた“次の皇帝候補”は、生まれたばかりの赤ん坊。しかもよりにもよって、十三番目の“虐げられ皇子”だった!
皮肉屋で老獪なベテラン精霊王と、世話焼きで過保護な月の精霊による、皇帝育成(?)奮闘記が、いま始まる——!
人物紹介
◼︎バーティミアス
疫病王ヴォラクを倒し初代皇帝ニコラスと建国初期からアストラニア帝国に使える精霊。牡鹿の角をもつ。初代皇帝ニコラスの魂を受け継ぐ皇子を守護する契約をしている。
◼︎ユミル
月の精霊。苦労人。バーティミアスとの勝負に負け、1000年間従属する契約を結びこき使われている。普段は使用人の姿に化けている。
◼︎アルテミス
アストラニア帝国の第13皇子。北方の辺境男爵家の娘と皇帝の息子。離宮に幽閉されている。
◼︎ウィリアム・グレイ
第3皇子直属の白鷲騎士団で問題をおこし左遷されてきた騎士。堅物で真面目な性格。代々騎士を輩出するグレイ家の次男。
◼︎アリス
平民出身の侍女。控えめで心優しいが、アルテミスのためなら大胆な行動に出る一面も持つ。
気弱令嬢の悪役令嬢化計画
みおな
ファンタジー
事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?
しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?
いやいやいや。
そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!
せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。
屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?
異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる
初
ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。
レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。
これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
