178 / 428
前世編
第56話:ソナと世界樹の里
しおりを挟む
「ソナに教えておきたい秘密があるんだ。ついて来て」
学生寮のエカとアズの部屋。
ソナの手を引いて、エカは部屋の奥にある転送陣へと進む。
それは、エカとアズが実家へ帰る時に使っているもの。
ローズとエアもそれぞれの部屋にあるから、この転送陣を使うのはエカとアズだけだった。
「これは、どこに繋がっているの?」
「俺の実家だよ」
短すぎる説明を聞いただけで転送されたソナは、現地に着いてしばし呆然。
「…猫ちゃんじゃない人たちがいる…!」
「世界樹の民っていう種族だよ。……俺も、ね」
この時にはソナはもうほとんど元の世界の記憶が無かった。
だから、自分と似たニンゲンタイプの種族を初めて見るような感覚だったらしい。
驚くソナの前で、エカは本来の姿に戻って驚き追加だ。
「エカが……猫ちゃんじゃ、ない?!」
「学園やお城では内緒だよ。こっちが俺の本当の姿なんだ」
状況に思考が追い付かなくて困惑するソナに、エカはちょっと申し訳なさそうに言う。
エカの本当の姿は夢の中で見ているんだけど、今のソナにはその記憶は無かった。
「ソナはこの姿より、猫人姿の方がいいかな?」
「ううん。どんな姿でもエカはエカだわ」
「よかった」
ソナは、エカの見た目に好意を寄せているわけじゃない。
エカの言葉や行動に救われて、信頼を寄せているんだ。
だから猫人でも元の姿でも、ソナがエカを慕う気持ちは変わらなかった。
「おかえり、エカ、ソナ」
「わたしも、おかえり、なの?」
庭から聞こえる話し声に気付いて玄関の扉を開けたフィラさんが、二人を見て微笑みかけた。
いらっしゃい、ではなく、おかえり、と言われて、ソナが不思議そうに首を傾げる。
「ソナはエカのお嫁さんになるんでしょう? だから、ここはあなたのお家よ」
「「えっ?!」」
ソナが驚く声にエカの声も重なった。
ボクにしてみたら、あれだけベッタリくっついてて今更? って思うけどね。
エカもソナも互いを異性とか恋人とか、今日までそういう感覚はほとんど無かったらしいよ。
「どうして驚くの? ずっと一緒にっていうのは、結婚の約束じゃないの?」
「お、エカ、その子が未来の嫁さんか?」
フィラさんが首を傾げていると、畑仕事を終えて帰って来たジャスさんが追い打ちみたいに言う。
「と、父さんまで何言い出すんだよ」
今のエカの顔は、髪より赤いかもしれない。
ソナも同じくらい真っ赤だ。
「とりあえず、中に入りなさい。ごはん出来てるから」
軽く苦笑して、フィラさんが先に家の中へ入って行った。
まだ顔が赤いエカが照れつつもソナの手を引いて中に入り、最後にジャスさんも入った。
食卓には、ソナの分も食事が用意してある。
「お口に合えばいいのだけど。たくさん食べてね」
「美味しそう~いただきます」
手を合わせるソナを真似て、セレスト家の3人も手を合わせて「いただきます」を言う。
ソナはニホンに居た時の記憶は無くなったけど、いただきますの挨拶とハシの使い方だけは忘れなかった。
学生寮のエカとアズの部屋。
ソナの手を引いて、エカは部屋の奥にある転送陣へと進む。
それは、エカとアズが実家へ帰る時に使っているもの。
ローズとエアもそれぞれの部屋にあるから、この転送陣を使うのはエカとアズだけだった。
「これは、どこに繋がっているの?」
「俺の実家だよ」
短すぎる説明を聞いただけで転送されたソナは、現地に着いてしばし呆然。
「…猫ちゃんじゃない人たちがいる…!」
「世界樹の民っていう種族だよ。……俺も、ね」
この時にはソナはもうほとんど元の世界の記憶が無かった。
だから、自分と似たニンゲンタイプの種族を初めて見るような感覚だったらしい。
驚くソナの前で、エカは本来の姿に戻って驚き追加だ。
「エカが……猫ちゃんじゃ、ない?!」
「学園やお城では内緒だよ。こっちが俺の本当の姿なんだ」
状況に思考が追い付かなくて困惑するソナに、エカはちょっと申し訳なさそうに言う。
エカの本当の姿は夢の中で見ているんだけど、今のソナにはその記憶は無かった。
「ソナはこの姿より、猫人姿の方がいいかな?」
「ううん。どんな姿でもエカはエカだわ」
「よかった」
ソナは、エカの見た目に好意を寄せているわけじゃない。
エカの言葉や行動に救われて、信頼を寄せているんだ。
だから猫人でも元の姿でも、ソナがエカを慕う気持ちは変わらなかった。
「おかえり、エカ、ソナ」
「わたしも、おかえり、なの?」
庭から聞こえる話し声に気付いて玄関の扉を開けたフィラさんが、二人を見て微笑みかけた。
いらっしゃい、ではなく、おかえり、と言われて、ソナが不思議そうに首を傾げる。
「ソナはエカのお嫁さんになるんでしょう? だから、ここはあなたのお家よ」
「「えっ?!」」
ソナが驚く声にエカの声も重なった。
ボクにしてみたら、あれだけベッタリくっついてて今更? って思うけどね。
エカもソナも互いを異性とか恋人とか、今日までそういう感覚はほとんど無かったらしいよ。
「どうして驚くの? ずっと一緒にっていうのは、結婚の約束じゃないの?」
「お、エカ、その子が未来の嫁さんか?」
フィラさんが首を傾げていると、畑仕事を終えて帰って来たジャスさんが追い打ちみたいに言う。
「と、父さんまで何言い出すんだよ」
今のエカの顔は、髪より赤いかもしれない。
ソナも同じくらい真っ赤だ。
「とりあえず、中に入りなさい。ごはん出来てるから」
軽く苦笑して、フィラさんが先に家の中へ入って行った。
まだ顔が赤いエカが照れつつもソナの手を引いて中に入り、最後にジャスさんも入った。
食卓には、ソナの分も食事が用意してある。
「お口に合えばいいのだけど。たくさん食べてね」
「美味しそう~いただきます」
手を合わせるソナを真似て、セレスト家の3人も手を合わせて「いただきます」を言う。
ソナはニホンに居た時の記憶は無くなったけど、いただきますの挨拶とハシの使い方だけは忘れなかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ベテラン精霊王、虐げられ皇子の子育てに励みます
はんね
ファンタジー
大陸で最も広大な領土と栄華を誇るアストラニア帝国。
その歴史は、初代皇帝ニコラスと精霊王バーティミアスが“疫病王ヴォラク”を討ち倒したことから始まった。ニコラスとバーティミアスは深い友情を結び、その魂を受け継ぐ皇子たちを永遠に見守り、守護する盟約を交わした。
バーティミアスは幾代もの皇帝を支え、帝国は長き繁栄を享受してきた。しかし、150年の眠りから目覚めた彼の前に現れた“次の皇帝候補”は、生まれたばかりの赤ん坊。しかもよりにもよって、十三番目の“虐げられ皇子”だった!
皮肉屋で老獪なベテラン精霊王と、世話焼きで過保護な月の精霊による、皇帝育成(?)奮闘記が、いま始まる——!
人物紹介
◼︎バーティミアス
疫病王ヴォラクを倒し初代皇帝ニコラスと建国初期からアストラニア帝国に使える精霊。牡鹿の角をもつ。初代皇帝ニコラスの魂を受け継ぐ皇子を守護する契約をしている。
◼︎ユミル
月の精霊。苦労人。バーティミアスとの勝負に負け、1000年間従属する契約を結びこき使われている。普段は使用人の姿に化けている。
◼︎アルテミス
アストラニア帝国の第13皇子。北方の辺境男爵家の娘と皇帝の息子。離宮に幽閉されている。
◼︎ウィリアム・グレイ
第3皇子直属の白鷲騎士団で問題をおこし左遷されてきた騎士。堅物で真面目な性格。代々騎士を輩出するグレイ家の次男。
◼︎アリス
平民出身の侍女。控えめで心優しいが、アルテミスのためなら大胆な行動に出る一面も持つ。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
気弱令嬢の悪役令嬢化計画
みおな
ファンタジー
事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?
しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?
いやいやいや。
そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!
せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。
屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?
異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。
企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する
namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。
転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。
しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。
凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。
詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。
それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。
「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」
前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。
痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。
そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。
これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。
転生貴族の領地経営〜現代知識で領地を豊かにして成り上がる
初
ファンタジー
ネーデル王国の北のリーディア辺境伯家には天才的な少年レイトがいた。しかしその少年の正体は現代日本から転生してきた転生者だった。
レイトが洗礼を受けた際、圧倒的な量の魔力やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のレイトを辺境伯領の北の異種族の住むハーデミア領を治める領主とした。しかしハーデミア領は貧困に喘いだ貧乏領地だった。
これはそんなレイトが異世界の領地を経営し、領地を豊かにして成り上がる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる